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OOK PSK が共存する光アクセスにおけるフレーム構成, 受信機のフィルタ構成の研究 2017SC021 2017SC071 員: 1 はじめに PC スマートフォン じた IoT 活に くて サー スが , それを える大 ネッ トワーク たち 活において くこ っている.IoT(Internet of Things) によ り,さまざま から データを し, AI( ) いった により, あったきめ かい しいアプ リケーション 待されている.[1] これから ネッ トワーク くて いインフラ るため大 ますます える.しかし大 をするにあたって りを多く してしま いう 題が げられるため,フィルタ シンボ を変 させ にした.[2] 2 光アクセスの大容量化技術 ネットワーク ネットワークが している. ネットワーク PON(Passive Optical Network) により し, PON FTTH いられており, GE(Gigabit Ethernet)- PON G(Gigabit)-PON いたネットワークサー スが されている.多く OOK によって GE-PON いたサー スを しているが, QPSK QAM によって変 された いて るこ にする. 2.1 共存によるメリット に,インターネット されるた め,大 する が多く われているが, RF いたディジタル した させるために, ネットワーク いたいが, ONU いて うこ いため, いコストが掛かってしまう.しかし, OOK QPSK させる いる するこ く運 る.[6] 2.2 共存によるデメリット 案されている OLT あらかじめ OOK QPSK させて する ,変 する がある. 1(a) に, 1(b) す. OLT りを多く してしまう.[2] ため, フィ ルタ シンボル を変 させ,こ 題を する. 下り方向 (a) 上り方向 ONU(QPSK)r:::: ONU(OOK) (b) 1 OOK PSK する アクセスにおける 3 OOK 信号と QPSK 信号の多重化 OOK OOK ON OOK される OOK OFF OOK されてい いため位 され いう がある.これら いて OOK QPSK する. 3.1 OOK 信号と QPSK 信号の重畳手法 より OOK PSK OOK PSK に対して 20[dB] 大きく るよう にして する.[5] これにより OOK OOK Off するこ きる.OOK データ した On Off するこ するこ きる. OOK QPSK 2(a)2(b) す. OOK がしっかり れているため きるが QPSK い.OOK QPSK した 2(c) す. 2(c) OOK off( ットが 0) され い.つまり QPSK 1

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OOKとPSKが共存する光アクセスにおけるフレーム構成,受信機のフィルタ構成の研究

2017SC021 加藤彩香 2017SC071 鈴木彩加

指導教員:奥村康行

1 はじめに

近年では,PCやスマートフォン等を通じた検索,動画視

聴,電子決済,IoTなど日常生活になくてはならない通信

サービスが世界中に普及し, それを支える大容量通信ネッ

トワークは私たちの生活において欠くことのできない基盤

になっている.IoT(Internet of Things) 技術の普及によ

り,さまざまな端末からの膨大なデータを蓄積し,機械学

習や AI(人工知能) といった新技術により,従来では不可

能であったきめ細かい気象予測や予防医療等の新しいアプ

リケーションも期待されている.[1] これからの通信ネッ

トワークは,なくてはならないインフラとなるため大容量

通信はますます重要性が高くなると考える.しかし大容量

通信をするにあたって誤りを多く含む信号を受信してしま

うという課題が挙げられるため,フィルタの特性とシンボ

ルの連結数を変化させ誤り率の改善を図る研究に取り組む

ことにした.[2]

2 光アクセスの大容量化技術

現在,通信ネットワークは光通信ネットワークが広く

普及している.光通信ネットワークは PON(Passive  

Optical Network)により広く普及し,現在 PONは日本

の FTTHで広く用いられており,GE(Gigabit Ethernet)-

PONや G(Gigabit)-PONなどを用いたネットワークサー

ビスが提供されている.多くの通信事業者は OOK 信号

によって GE-PON を用いたサービスを提供しているが,

QPSK や QAM によって変調された信号を用いて伝送す

ることで大容量通信を可能にする.

2.1 共存によるメリット

将来的に,インターネット通信量の増加が予測されるた

め,大容量通信を可能とする研究が多く行われているが,

将来 RF 信号を用いたディジタル信号を利用した光信号

を普及させるために,同一光ネットワーク内で新たな変調

方式で大容量通信を行いたいが,旧 ONUでは多値変調を

用いて通信を行うことができないため,新たな終端装置の

設置が必要になり高いコストが掛かってしまう.しかし,

OOK 信号と QPSK 信号を共存させる方法を用いると終

端装置を交換することなく運用が可能となる.[6]

2.2 共存によるデメリット

既に提案されている OLTであらかじめ OOKと QPSK

を共存させて送信する下り方式と,変調方式の異なる信号

を送信する上り方式がある.下り方向を図 1(a) に,上り

方向を図 1(b) に示す.上り方式では OLT で誤りを多く

含む信号を受信してしまう.[2]そのため,本研究ではフィ

ルタの特性とシンボルの連結数を変化させ,この課題を解

決する.

下り方向

(a) 下り方向

上り方向

ONU(QPSK)r:::: ヽ

ONU(OOK)

(b) 上り方向

図 1 OOKと PSKが共存する光アクセスにおける信号の

送受信

3 OOK信号とQPSK信号の多重化

OOK 信号と位相変調信号の重畳信号は OOK 信号が

ON状態の場合は OOK信号と位相変調信号が重畳される

が OOK信号が OFF状態の場合は OOK信号側の光信号

が出力されていないため位相変調信号のみとなり重畳され

ないという特徴がある.これらの特徴を用いて本研究では

OOK 信号と QPSK 信号の重畳手法及び再現手法を提案

する.

3.1 OOK信号とQPSK信号の重畳手法

先行研究より OOK信号と PSK信号の光信号強度比を

OOK 信号が PSK 信号に対して 20[dB] 大きくなるよう

にして送信する.[5] これにより重畳信号は OOK 信号と

OOK信号が Off状態のときの位相変調信号の両信号を保

持することができる.OOKデータは受信した重畳信号か

ら光信号の Onと Offを判定することで復調することがで

きる.

OOK 信号と QPSK 信号を図 2(a),図 2(b) に示す.

OOK信号は図の通り山と谷がしっかり現れているため復

調できるが QPSK 信号は復調ができない.OOK 信号と

QPSK信号を重畳したものを図 2(c)に示す.図 2(c)の波

の部分は OOK 信号の信号が off(ビットが 0) のときであ

り信号が出力されない.つまり QPSK 信号が綺麗な残っ

1

ていることを示すためOOK信号を取り除き綺麗なQPSK

信号を取り出す.そのために,フィルタの特性を変更を検

討する.

4

2

[・n・eJ

n OOK

」〇゜ ー 2

3

4 5 6 Time [ns]

7

8

9 10

(a) OOK信号

4 .------x10 -4

2

[・n・e]

QPSK

゜゚↓|

2

3

4 5 6 Time [ns]

7

8 ,

10

(b) QPSK信号

(c) OOK信号と QPSK信号の重畳信号

図 2 OOK信号と QPSK信号の重畳信号

3.2 重畳信号からQPSK信号の再現手法

2 つ目の再現手法について説明する.1 回の変調で送ら

れるひとまとまりのデジタルデータを 10ns かけて送信し

ているグラフを図 3(a)に示す.図 3(b)のように 1nsずつ

10 分割し重複しないように最適化すると図 のような 1ns

分の信号ができる.10ns 時間分の信号を足し合わせると

元の信号の 1ns 分の信号を再現できる.元の信号は 10ns

のため図 3(c)のように 10nsになるように複製する.本研

究ではシンボルの分割数を 11にし再現する.

4 技術課題と先行研究との差異

技術課題と先行研究との差異について述べる.

4.1 技術課題

同一光ネットワーク内で新たな変調方式で大容量通信を

行いたいが高いコストがかかってしまうため OOK信号と

3.ff xlO -a

3

2.5 l A~ ~ ~ ~ ~ t I I I I I'I I

o.! ~ Q 11 I I I I I I I I I I I I!

゜1 2 3 4 5 6 7 8 , 10

① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩

(a) 1nsごとに番号振り分け

一一 重複しない①十② よう最適化

①+②

(b) 断片的な位相変調信号からもとの位相変調信号を再現

(c) 再現した位相変調信号をもとの PSKの信号長だけ復調

図 3 再現手法

QPSK 信号を共存する.しかし共存するにあたって変調

方式の異なる信号を送信すると OLTでは誤りを多く含む

信号を受信する問題が発生する.そのため本研究で受信部

にあるフィルタの特性とシンボルの連結数の変更を行い問

題の解決に取り組む.

4.2 先行研究との差異

先行研究では,OOK信号と QPSK信号を共存させ大容

量通信を可能にする研究をしていた.この研究から本研究

では誤り率を改善させていく.フィルタの特性である帯域

幅を 0.5GHzだったのに対し 0.2GHzから 1.0GHz

に変更し,シンボルの連結数は先行研究が 10ns のところ

本研究では 11nsとした.

5 シミュレーション

シミュレーション条件は表 1 に従う.[3] MATLAB

と OptSim を用いてシミュレーションを行う.それぞれ

2

OptSimは光部品,ファイバ,変調器等のアナログ部品の

処理を行い,OptSimを用いることで光通信システムを現

実想定でシミュレーションを行うことが可能,シミュレー

ションの環境構築が簡単であり豊富なライブラリにより

様々な環境を想定可能,メインメモリを大量に使用せず

MATLABと連携したシミュレーションが可能,サポート

が充実している.MATLABは重畳等のディジタル処理を

行う.これらの連携シミュレーションにより,BER 特性

の改善方法を検討する.

5.1 フィルタの特性

図 4 の赤丸で囲ってあるフィルタを変更する.OptSim

で使用できるフィルタの種類は 8種類である.この 8種類

はローパスフィルタ,ハイパスフィルタ,バンドパスフィル

タの 3つに分かれており,そのうちのバンドパスフィルタ

に分類される信号の処理に適しているベッセルフィルタを

使用する.図 5 の青色の部分である帯域幅 (Bandwidth)

の値を変更する.先行研究では帯域幅の値を 0.5GHzに設

定していた.本研究では 0.2GHzから 1.0GHzにして幅

0.2GHzから 0.05GHz刻みで幅 1.0GHzまで増やすよ

うに設定しシミュレーションを行った.

5.2 シンボルの連結数

まずシンボルとは,1回の変調で送られるひとまとまり

のディジタルデータのことである.またシンボルの連結数

とは,1 シンボルあたりの送信時間のことである.1 シン

ボルあたりの送信時間を短くすると送信できるビット数が

多くなるためよりたくさんのデータのやり取りができるの

が嬉しい半面,ビット誤り特性が悪くなる可能性がある.

また 1シンボルあたりの送信時間を増やすことでやり取り

できるデータは減るがビット誤り特性の改善を図ることが

できる.そのため先行研究がシンボルの連結数 10ns(1 シ

ンボル送信するのに 10ns掛かる)に対して,本研究ではシ

ンボル連結数 11nsに変更し検討する.

表 1 シミュレーション条件

シンボル数 4.2 ∗ 105

データ変調方式 AM_PM(OOK+QPSK)

変調周波数 2GHz

伝送路条件 AWGN

signal shaping shell mapping

畳み込み符号

7-4ハミング符号

6 シミュレーション結果

シミュレーションの結果について述べる.

6.1 フィルタの特性の変更結果

帯域幅 0.2GHz から 0.05GHz 刻みで幅 1.0GHz ま

で増やすように設定し 17 個のシミュレーションを行った

結果,帯域幅が大きくなるにつれ 4つの点が広がっていき,

コンスタレーションの結果が悪くなった.0.2GHz のコ

ンスタレーションを図 6に示す.

6.2 シンボル連結数の変更結果

先行研究と同様なシンボルの連結数 10nsを図 7に示す.

本研究ではシンボル連結数 11ns に変更し検討した結果を

図 8に示す.また先行研究の結果との差異を図 9に示す.

7 結果と考察

6.1 節で得られた 17 個のコンスタレーションより,

最良な帯域幅はより綺麗に 4 つの点に集まっている 0.

2GHzである.帯域幅の値が小さくなるほどコンスタレー

ションの結果が 4つの点により綺麗に収束していることか

ら,帯域幅が狭いほどビット誤り率が改善されると考える.

また 1シンボルあたりの送信時間を検討した結果,10nsの

ときより図 8 の 11ns である方が効率が良い (送信時間と

ビット誤り特性とのトレードオフ) ことがわかった.また

図 9の赤線が重畳信号,青線が連結数が 10nsのときの重

畳信号から再現した QPSK 信号,緑線が重畳していない

QPSK信号,紫線が本研究で再現した連結数が 11nsのと

きの QPSK信号である.このグラフから SERが 10−3の

値ときの紫線と青線の値がそれぞれ-10dBと-16dBであっ

た.この結果から連結数を 11nsすると誤り率が 5dB改善

されることがわかった.

8 おわりに

本研究では OOK 信号と位相変調信号 (QPSK 信号) の

光アクセスネットワークの上り伝送において新たな多重分

離方式を改善し評価を行った. その結果,ベッセルフィル

タを使用した際の最もビット誤り率を改善する帯域幅は

0.2GHzであり,ビット誤り率はシンボル連結数 10nsよ

り 11ns のとき改善されることが検証できた.重畳信号か

ら位相変調信号を再現する手法は,多くのビット誤りを含

む状態からビット誤りを大幅に改善することが可能である

ことが確認された.今後の課題として挙げられるのは,本

研究で最後まで研究できなかった位相変調信号を QPSK

信号だけでなく QAM信号等を適用したときの特性の評価

を行うことが挙げられる.

参考文献

[1] 宮本 裕,吉野 修一,岡田 顕,”将来の大容量通信イ

ンフラを支える超高速通信技術”,NTT技術ジャーナ

ル,2019年 3月.

[2] 小川翔輝,“光アクセスネットワークにおける OOK

と位相変調の重畳手法に関する研究”,南山大学大学

院理工学研究科 2019年度修士論文,2020.

[3] 小川翔輝,“クリップ送信方式による QAM と OOK

信号の共存するネットワークの誤り率特性に関する研

究”,2018年 2月.

3

ビット判定用 iう→江し一翠

B— 巴通信路にに~--- I 薔

.1

11 I艶-=-+f1d— I叫~ . ..!!!!!1.. ~、.. .._

ニ糾 一 I ~

_ , IIIP四 I---— rr -, ~ I I 1~- ; 瀑1 、.,, 曇-<~JI し b:J阿"\J""i. 1,1 I I , 賽― _•竺喜甚苓L..._,l— 受石部I.t_-~~ ← ¥'こ!

ヒr ~ I ―r:ご~eビ・,ー

i-

送信部

図 4 ブロック図

図 5 フィルタの特性

Qu

ad

ratu

re [

a.u

.]

In-phase [a.u.]

図 6 コンスタレーション

[4] 神谷 幸宏,”MATLABによるディジタル無線通信技

術”,コロナ社 (1998),東京,2008.

[5] 大脇康平,”OptSim・MATLAB連携を用いた次世代

PONの誤り率特性に関する研究”,南山大学大学院理

工学研究科 2015年度修士論文,2016.

[6] N.Iiyama,S.Y.Kim,T.Shimada,S.Kimura,

and N.Yoshimoto,“Co-existent Downstream-

Scheme between OOK and QAM Signals in

anOptical Access Network using Software -de

nedTechnology,”IEEE/OSA Opt.Fiber Com-

mun.Conf(OFC/NFOEC)2012,OSA Technical

Digest,paper JTh2A.53,2012.

Qu

ad

ratu

re [

a.u

.]

In-phase [a.u.]

図 7 コンスタレーション

In-phase [a.u.]

Qu

ad

ratu

re [

a.u

.]

図 8 コンスタレーション

゜ー

工UJS

→—重畳していないQPSK信号→ー再現された10nsの重畳信号→—重畳信号→ー再現された11nsの重畳信号

-5 -10 -15 付加雑音量 [dB(mW/THz)]

-20

図 9 雑音負荷量と SER

4