ネパールにおける 気候変動とその影響

Prakash Mani Sharma Senior Advocate /Executive Chair

FoE-Nepal/PRO PUBLIC Nepal

q ネパールの温室効果ガス(GHG)排出量は全世界排出量合計のわずか約0.027%

q 気候変動の悪影響を受ける最も脆弱な国の一つで、干ばつや豪雨、洪水、浸水、地滑り、土石流、土壌侵食や雪崩など、水に起因する災害や異常気象による災害により、大きな社会的・経済的コストとともに人命も失われている

Source: Government of Nepal Ministry of Population and Environment INTENDED NATIONALLY DETERMINED CONTRIBUTIONS (INDC) Communicated to the UNFCCC Secretariat in February 2016

• 75ある地区のうち、 29地区は地滑り、 22地区は干ばつ、 12地区はGLOFs（氷河湖決壊洪水：Glacier Lake Outburst Floods）、 9地区では洪水に対して非常に脆弱である

Source: (National Adaptation Program of Action (NAPA) 2010)

• 2013年に行われた重要セクター（農業、水力、水起因の災害）における気候変動の経済的影響アセスメント調査では現在の気候変動の直接コストが試算された

• それによると、甚大な災害では現在の年間GDP （2013年で約2.7-3.6億米ドル）の1.5-2%以上に相当する

Source: (National Adaptation Program of Action (NAPA) 2010)

ネパールのヒマラヤでは、1977年から2010年で氷の量が29%（129km3）減少したと試算されている 氷河湖の数は11%増加し、氷河は同時期（1977～2010年）に平均で一年で38km2後退している 気候変動は目に見えて明白であり、雪や氷河への影響は氷河湖決壊洪水（GLOFs）の増加につながる恐れもある

Source: (National Adaptation Program of Action (NAPA) 2010)

UNIPCC Report 2007

•  2007年の国連IPCC（気候変動に関する政府間パネル）報告によると、ヒマラヤの氷河は2035年には全て溶けるといわれている

•  他の科学者は、地球の気温がちょうど2℃増加するまでにヒマラヤの氷河の半分以上が消滅するだろうと言っている

国際総合山岳開発センター（ICIMOD）の研究は、人々の生活への脅威とGLOFs（氷河湖決壊洪水）の特徴を明確に示しており、現在の気候下でさえ、少なくとも44の氷河湖でGLOFsの危険性が高いとしている。

Source: Pradeep. K.M., Bajracharya, S.R., Joshi, S.P. 2001a. Inventory of Glaciers, Glacier Lakes and Glacial Lake Outburst Floods, Nepal

Source: Pradeep. K.M., Bajracharya, S.R., Joshi, S.P. 2001a. Inventory of Glaciers, Glacier Lakes and Glacial Lake Outburst Floods, Nepal

このうち、20の氷河湖においてGLOFs（氷河湖決壊洪水）が起きる危険性があるといえる。 潜在的な危険性のある湖でも、緩和策が取られている地域はほとんどない。

GLOFは過去数十年にわたって何度か起こっており、道や橋、トレッキング道、人命及び村々、そして他の資産やインフラにも甚大な被害を与えている。

Source: Pradeep. K.M., Bajracharya, S.R., Joshi, S.P. 2001a. Inventory of Glaciers, Glacier Lakes and Glacial Lake Outburst Floods, Nepal

氷河湖決壊洪水

Glacier Lake Outburst Flood （GLOF）

今までに少なくとも12のGLOFが報告されている。 それらは甚大な被害を引き起こしており、局地的温暖化が続くと、GLOFsはさらに起こりやすくなるだろう。

Source: Pradeep. K.M., Bajracharya, S.R., Joshi, S.P. 2001a. Inventory of Glaciers, Glacier Lakes and Glacial Lake Outburst Floods, Nepal

イムジャ・ツォ湖には異常な速さで氷河の湧水が満ちている。

過去数十年間で溶解の平均速度は年10m、 この湖は1960年代から2,000%（20倍）にも増大した。

Source : Matt Westoby/Flickr

イムジャ湖の脅威 •  2011年にイムジャ湖を研究した山岳協会の科学者はこの湖は地域社会に潜在的な脅威をもたらすと結論づけている。

•  モレーン（氷堆石）下で溶解した氷は巨大な洪水を引き起こし、溶解水は湖の周りの丘まで浸透し、丘の崩壊を引き起こす可能性があると予測している。

•  また、周辺国にとって、氷河雪崩は湖に流れ込み、下流の地域に氾濫をもたらす大きな波を引き起こすだろうとも警告している。

Source: http://glacierhub.org/tag/intergovernmental-panel-on-climate-change/

イムジャ・ツォ湖の下に位置する渓谷の村は、 常に氷河湖の突発的な洪水のリスクにさらされている

Source : jarikir/Flickr

気候変動によって雪が解け、雪景色の山肌が岩山になっており、サガルマータ世界遺産の美しい景色が大きな影響を受けている。 ダイナミックな氷河はその氷の中核を失い、活気を失った破片となっている。

Source: An overview of Glaciers, Glaciers Retreat and Subsequent Impacts in Nepal, India and China, WWF, Nepal Program.

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