hot kiwi fruit juice...hot kiwi fruit...
Post on 12-Jul-2020
2 Views
Preview:
TRANSCRIPT
2015年 12月 16日から 12月 20日までの 5日間、埼玉県立近代美術館で開催された第 6回埼玉県障
害者アート企画展『Discover~あなたも見つけに』。
今回は戸田わかくさ会から入選した 8名のアーティストの制作時の“表情”をお伝えしたいと思います!!
社会福祉法人戸田わかくさ会のアート広報紙 Vol.4(2016年 10月発行)
Hot kiwi fruit juice ~表情編~ ほっと・きうい・ふるーつ・じゅーす(ひょうじょうへん)
いいだたかゆきさん(ゆうゆう)
かわむらさちこさん(わかくさ)
(左 2点)飯田さんの作品、(右 4点)川村さんの作品
さんぺいよしのりさん(わかくさ)
はせがわしょうたさん(わかくさ)
たなかとしひとさん(ゆうゆう)
にしたかひろさん(ゆうゆう)
いまむらあきよしさん(わかくさ)
きたにあきのりさん(ゆうゆう)
≪各々の「表現」が持つ魅力:展覧会の作者紹介文から≫
(※戸田わかくさ会における作者紹介文は、作者のことを福祉サービスの「利用者さん」ではなく「一人のアーティスト」として扱う視点から、
美術館の作者紹介文で一般的な敬称無し表記とさせて頂いております。)
・飯田貴之の作品は、一定のスピードでリズミカルに手を動かすことによって描かれている。そのようにリズ
ミカルに描かれた飯田の作品は、複数の色彩が互いを邪魔し合うことなく見事に調和している。色の組み合わ
せも絵の描き方も独学の飯田だが、心の中に流れるメロディーを視覚化したような画風が美しい。
・川村幸子は、車椅子に座りながら絵を描いている。川村の華奢でか細い腕から生み出される作品の数々は、
じっくり見れば見るほど画面の中に活き活きとした躍動感と奥深さを発見できる。川村の作品は繊細なグラデ
ーションによって彩られ、夢の中にいるような幽玄の情景を描き出している。
・長谷川翔太は筆にたっぷりと水分を含ませて、絵の具でペタペタと塗りたくる画風を得意とする。その作品
はしばしば、長谷川の交友関係における特定の人物をイメージしていることがあり、極めて抽象的な作品であ
りながら題名に人物の名前が付けられていることも多い。勢いと躍動感があり、エネルギッシュである。
・三瓶好範はマジックペンを用いたドローイングを主たる画風としている。三瓶のドローイングのうち、ペン
先と画用紙の激しい衝突が表現された作品は、特に三瓶らしい強いダイナミクスが見出せる。そのほかにも、
直線と回転、緩と急が織り交ざった氷上のダンスのようなドローイング作品も多く描いている。
・田中俊人は、テプラ(ラベルシールを作る事務用機器)やスタンプを用いて、文字による表現をおこなう。
その内容は、さまざまな年代と芸能タレントやテレビ番組などの記述である。しばしば一人で何らかの名詞や
セリフをつぶやいたり叫んだりする田中の頭の中を、作品を通して鑑賞者は垣間見ることができる。
・今村明義は路傍に自生している草木を手折り(たおり)、指先でひらひらと動かしてその感触を楽しむ。手
折った草木をゆらゆらと揺らしながらその動きを眺めて愛でる。万葉集には『梅の花 たをりかざして遊べど
も 飽き足らぬ日は 今日にしありけり』という和歌がある。千年以上昔の日本を生きた貴族と同じように、
今村は草木を手折り愛でている。
・西隆博は物静かで、おっとり&どっしりとした、落ち着いた雰囲気を持つ人物である。普段は熱心に清掃業
務や花の世話をしている。そんな西が描いた「ふね」は、実際の船や写真を見ながら描いたものではなく、真
っ白な画用紙の上に西がインスピレーションによって描き上げたものである。
・木谷章紀が通う事業所は、昼食に仕出し弁当を頼む者がボールペンで注文表に○を付け、頼まない者はボー
ルペンで注文表に×を付けることになっている。木谷はこの注文表に強い関心を持っており、毎日この注文表
の役目が終わった後、必ずボールペンの上からマジックペンでなぞる。毎日繰り返されるその行為がこの作品
を生み出している。
≪編集後記≫
今回の Hot kiwi fruit juiceでは、2015年度の埼玉県障害者アート企画展で入選した戸田わかくさ会の作
家の「表情」をお伝えしました。楽しそうな表情も真剣な表情も、撮影者を意識した“作られた”表情ではな
い、生きた表情です。戸田わかくさ会の表現活動は、作品を作ることを 1番の目的とせず、こういった生きた
表情を大切にすることを最優先事項とします。今後も作家の皆さんの「表情」を大事にし、その「表情」から
生み出される表現こそを大切にしていきたいと思います。
さて、2016年度より埼玉県内では、社会福祉法人みぬま福祉会が厚生労働省「平成 28年度障害者の芸術活
動支援モデル事業」の助成を受けて「アートセンター集」の事業を始めました。この「アートセンター集」を
事務局として、埼玉県内の様々な施設が集い「埼玉県障害者アートネットワーク TAMAP±○(タマッププラマ
イゼロ)」が立ち上がりました。このネットワークには戸田わかくさ会も参加しています。
埼玉県障害者アートネットワーク TAMAP±○の今後の活動にもご注目ください!!
≪発行元≫社会福祉法人戸田わかくさ会 ≪住所≫〒335-0021 埼玉県戸田市新曽 1522-1
≪電話≫048-229-7421 ≪FAX≫048-229-7431 ≪担当≫わかくさ生活支援員 清水
top related