miso - maff.go.jp...- 1 - はじめにはじめに...

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平成 平成 平成 平成 21 21 21 21 年度 年度 年度 年度 農林水産物等輸出 農林水産物等輸出 農林水産物等輸出 農林水産物等輸出ステップアップ ステップアップ ステップアップ ステップアップ推進託事業 推進託事業 推進託事業 推進託事業報告 報告 報告 報告 (味噌 味噌 味噌 味噌のフランス フランス フランス フランス向け輸出促進 輸出促進 輸出促進 輸出促進) 平成 平成 平成 平成 22 22 22 22 年 3 農林水産省総合料局品産業振興課 農林水産省総合料局品産業振興課 農林水産省総合料局品産業振興課 農林水産省総合料局品産業振興課 (託先 託先 託先 託先:株式会社 株式会社 株式会社 株式会社エヌケービー エヌケービー エヌケービー エヌケービー) MISO

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平成平成平成平成 21212121 年度年度年度年度

農林水産物等輸出農林水産物等輸出農林水産物等輸出農林水産物等輸出ステップアップステップアップステップアップステップアップ推進委託事業推進委託事業推進委託事業推進委託事業報告書報告書報告書報告書

((((味噌味噌味噌味噌ののののフランスフランスフランスフランス向向向向けけけけ輸出促進輸出促進輸出促進輸出促進))))

平成平成平成平成 22222222 年年年年 3333 月月月月

農林水産省総合食料局食品産業振興課農林水産省総合食料局食品産業振興課農林水産省総合食料局食品産業振興課農林水産省総合食料局食品産業振興課

((((委託先委託先委託先委託先::::株式会社株式会社株式会社株式会社エヌケービーエヌケービーエヌケービーエヌケービー))))

MISO

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■■■■目目目目 次次次次

はじめに 1

1.本事業の概要 2

2.事業にかかる調査結果 4

(1) 輸出対象国フランスの概要 4

1-1 フランスにおける日本食・食材普及状況 4

1-2 フランスへの輸出・流通事情 10

(2) フランスにおける味噌の普及状況とビジネス事例 17

2-1 流通・小売における現状と課題 17

2-2 フランスの消費者・シェフなどの味噌に対する認識 35

・消費者の味噌に対する認識 35

・シェフの味噌に対する認識 47

2-3 フランスのプレスの味噌への関心・見解 52

(3) フランスにおける味噌の普及の可能性および提言 54

3.味噌輸出実行プラン 68

(1) 味噌輸出戦略および実行プラン全体フレーム 68

(2) フランスにおける味噌の利用拡大想定フロー 69

(3) 味噌輸出のための基本的戦略及び輸出実行プランの設計 70

戦略1 「輸出体制の確立および業者との連携」 70

1.1 商社機能を持った業者との関係構築 70

1.2 連携業者との一体となった販促 74

戦略2 「現状商品の見直し及び販促支援」 76

2.1 対仏を明確化したパッケージ開発および販促ツール作成 76

ブランディング1 「味噌の利点・理解の普及」 84

1.1 味噌に特化したプラットフォームの立ち上げ 84

ブランディング2 「業務用利用者への積極的な情報発信・利用促進」 87

2.1 シェフの接触媒体への情報の露出 87

2.2 料理学校を入り口とした未来のシェフへの認知・利用拡大 89

ブランディング3 「一般生活者への積極的な情報発信・利用促進」 91

3.1 一般生活者の接触媒体への情報の露出 91

3.2 料理教室でのプログラム導入 92

4.日本における流通および味噌メーカーの輸出に対する現状と意向 94

■巻末資料 「食関連の展示会・見本市一覧」 98

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はじめにはじめにはじめにはじめに

近年、世界的な健康志向の高まりにより、日本産食品へのニーズが高まっており、中でも、日本の伝統食材

でもある味噌に対する期待が高まっています。今事業で調査を実施したフランスは、2009年の世界的な金融不

況の後、数少ない日本産食材の輸出増加国の一つ(その他の輸出増加国は中国のみ)であり、味噌の認知も

非常に高くなってきています。

農林水産省では平成20年度のみなぎる輸出活力誘発委託事業(味噌のロシア向け輸出促進)に続き、平成

21年度においても農林水産物等輸出ステップアップ推進委託事業の中で味噌を重点品目として、フランス向け

の輸出促進を図っています。

本調査では味噌を海外輸出希望される企業様の輸出促進支援として、フランスでの味噌普及に関する調査

結果、普及の可能性をまとめたものです。

本報告書の作成に当たり、各関連事業者様から貴重な情報提供を頂くと共に、味噌輸出促進事業検討委員

会・フランス味噌普及促進委員会でご協力頂きました委員・関係各所の皆様方に深く感謝いたします。

本調査が、味噌の輸出・普及に取り組む業界関係者と今後の輸出を検討している方々の一助となれば幸い

でございます。

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1111....本事業本事業本事業本事業のののの概概概概要要要要

((((1111))))事業事業事業事業のののの背景背景背景背景とととと目的目的目的目的

2009年には、フランスに年間400トン以上の味噌が日本より輸入されており、10年前の2000年(年間46トン)

に比べて約9倍という高い伸び率で増加(財務省「日本貿易月報」より)している。これは、フランスにおいて日本

の味噌が着実に普及していることを示している。

背景には現地の日本食ブームによる、日本食レストランの増加も寄与していると考えられ、2010年に入って

も日本食に対する関心は引き続き高く、日本食品・日本食文化に対する評価は不動の物になりつつあり、味噌

が代表的日本食材として非常に期待の高い食材になることが想定される。

今後更に味噌の輸出促進を図るにあたり、フランスでの味噌の認知度や流通状況などの実態を調査するこ

とにより、戦略的に輸出に取り組める味噌製造事業者を数多く育て、味噌のフランス向け輸出の拡大と、将来

にわたり輸出を継続的に行える体制の構築を目的とし、今事業を味噌製造事業者等への輸出実行プラン提示

に値する資料とする。

((((2222))))事業事業事業事業のののの概要概要概要概要

((((3333)))) 検討委員会検討委員会検討委員会検討委員会 委員一覧委員一覧委員一覧委員一覧

①味噌輸出促進検討委員会

伊藤 孝様 伊藤総合研究所株式会社 代表取締役

小畑 圭秀様 全国味噌工業協同組合連合会 専務理事

沼田 美樹様 株式会社アシェット婦人画報社 ELLE a table 編集部 シニアエディター

高梨 修様 みそ健康づくり委員会 委員長

中田 啓司様 マルコメ株式会社マーケティングチームサブリーダー

松本 善隆様 株式会社エール・ダルジャン 代表取締役社長

ロバート・ヴェルディエ様 デクシア銀行 日本支社長

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②フランス味噌普及促進委員会

William Ledeuil 様 「Ze Kitchen Galerie」シェフ

Gontran Cherrier 様 フードクリエーター

Antoine Chaeffer 様 「Ecole Ferrandi」料理学校講師

Patrick Duval 様 フリーペーパー「WASABI」編集長

Antoine Boucomont 様 流通業者「LE DELAS」社長

Nakatani Yomei 様 流通業者「FOODEX」

((((4444)))) 事業実施体制事業実施体制事業実施体制事業実施体制

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2222....事業事業事業事業にかかるにかかるにかかるにかかる調査結果調査結果調査結果調査結果

((((1111)))) 輸出対象国輸出対象国輸出対象国輸出対象国フランスフランスフランスフランスのののの概要概要概要概要

1111----1111 フランフランフランフランススススににににおおおおけるけるけるける日本食日本食日本食日本食・・・・食材普及状況食材普及状況食材普及状況食材普及状況

■■■■日本食材日本食材日本食材日本食材のののの輸出状況輸出状況輸出状況輸出状況

現在のEU諸国において、フランスやイギリスをはじめとする国々は構成国ごとに、経済規模や人口の相違が

あり、域内すべて同じようなマーケット特性を持ち合わせているとは限らない。

そのような状況の中で、日本の農林水産物はEUまでの輸送費や関税の問題からコストがかかり、いわゆる

「高級品」と位置付けされる傾向がある。そして、それらの食材を購入可能な輸出マーケットは人口が5,000万

人以上で、一人当たりのGDPが2.5万ユーロ(約3万ドル)以上あるイギリス・フランス・ドイツなどが代表的な輸

出相手国となる。

出典:駐日欧州委員会代表部発表資料 (データ元はEurostat ※数値は2008年のもの)

※購買力基準(Purchasing Power Standard, PPS):物価水準の違いにかかわらず、各国の実質的な経済力を比較するための単位。1PPSはほぼ

1ユーロに相当する。

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2009年では、日本からフランスへ輸出されている品目において、輸出額が多い食品は、ホタテ貝(生・蔵・凍・

塩・乾)(約4.4億円)、アルコール飲料(約3億円)、醤油(約2.3億円)である。中でも、近年のフランス市内での

日本食レストランの増加に伴い、ソース混合調味料、スープ・プロスなどの調味料や、うどん・そうめん・そばな

どの食材の需要が増加している。一方、生鮮品は、輸送距離の問題や日持ちする加工食品が多いためほとん

ど輸出されていない。

▼日仏2国間貿易における農林水産物輸出入額の金額上位20品目 (単位:千円)

数量 金額(千円) 数量 金額(千円) 数量 金額(千円) 数量 金額(千円)農林水産物計 4,067,532 3,986,496 4,105,718 4,035,037 農産物 2,867,231 2,891,887 2,481,027 1,534,580 林産物 98,565 120,835 138,380 98,984

 水産物 1,101,736 973,774 1,486,311 2,401,473

ホタテ貝(生・蔵・凍・塩・乾)     KG 393,000 441,202 171,992 216,538 674,920 987,027 1,243,952 1,865,893アルコール飲料              L 629,587 304,509 383,350 332,619 234,582 299,264 281,640 174,161醤油                   KG 909,906 236,658 576,810 140,370 485,467 112,904 413,969 91,658ペプトン等 KG 28,218 200,750 22,717 246,361 - - - -緑茶                   KG 56,022 197,739 58,655 222,714 36,237 165,494 28,684 134,576ソース混合調味料 KG 189,492 154,826 179,487 127,979 151,572 109,814 106,290 77,096真珠(天然・養殖)           GR 133,425 153,161 187,941 326,536 243,163 379,931 199,598 346,419播種用の種等 KG 16,396 133,454 19,665 122,612 11,145 99,697 13,774 138,594デキストリン等 KG 65,168 89,470 74,296 88,203 15,031 39,200 1,530 13,043干しのり 焼きのり 味付けのり KG 17,548 81,501 21,869 82,040 17,603 69,869 16,595 70,926植物性ろう KG 56,774 70,630 71,940 90,120 80,370 102,296 50,140 64,772味噌                   KG 411,176 68,004 360,127 57,735 284,902 48,448 219,687 36,654メントール                KG 48,150 64,946 40,670 56,441 28,485 39,370 24,340 28,731スープ ブロス KG 43,625 56,894 28,924 42,004 11,758 10,814 5,215 8,819植物の液汁エキス KG 4,023 47,304 6,271 68,110 8,704 97,857 7,630 55,900うどん・そうめん・そば KG 103,475 42,538 50,548 22,385 38,683 16,042 32,957 13,701たばこ                  KG 5,924,790 39,352 4,839,300 45,213 4,446,490 45,169 2,782,590 35,121即席麺                  KG 56,291 21,792 74,217 22,545 52,165 18,833 48,752 22,092米菓(あられ、せんべい) KG 31,035 18,403 45,020 29,818 22,684 13,623 44,161 17,064錦鯉等 KG 1,174 16,253 394 7,090 697 8,117 1,084 11,691

2007年 2006年主要品目 単位

2009年 2008年

出典:農水省「我が国農林水産物貿易統計」

■ 味噌味噌味噌味噌のののの輸出状況輸出状況輸出状況輸出状況

2009年度において味噌の国別輸出仕分けを比較するとフランスを含むEU圏での輸出量は全体の約16.1%

(1,544,660kg)を占め、日本にとっては北米、アジアに次いで第3の輸出市場である。

▼味噌輸出仕分け国別比率

2009200920092009年度年度年度年度    味噌輸出仕分味噌輸出仕分味噌輸出仕分味噌輸出仕分けけけけ国別比率国別比率国別比率国別比率

アジア34.0%

EU計17.7%

北米41.0%

中東0.9%

アフリカ0.1%

中南米0.4%

大洋州5.9%

アジア

中東

アフリカ

EU計

北米

中南米

大洋州

出典:財務省「2009年度貿易統計」

EU圏内での味噌の輸出推移を比較すると、2000年から2009年までの日本からフランスへの味噌の輸出状

況は、金額は11.1倍、数量においては約9.7倍の伸びがみられる。 他EU国と比べてもフランスの伸びが著しい

のはパリを中心とした日本食ブームに伴って味噌自体の需要も伸びたと考えられる。

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▼味噌輸出量及び輸出額の推移

日本日本日本日本 からからからからEUEUEUEU主要圏主要圏主要圏主要圏へのへのへのへの味噌味噌味噌味噌のののの輸出量輸出量輸出量輸出量のののの推移推移推移推移

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

イギリス ドイツ フランス オランダ(トン)

日本日本日本日本からからからからEUEUEUEU主要圏主要圏主要圏主要圏へのへのへのへの味噌味噌味噌味噌のののの輸出額輸出額輸出額輸出額のののの推移推移推移推移

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年

イギリス ドイツ フランス オランダ(千円)

出典:財務省「2009 年度貿易統計」

■■■■フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける外食外食外食外食・・・・事情事情事情事情

世界的に健康志向が進む中、フランスにおいて日本食レストランは 1990 年代後半から増え始め、今日では

パリ市及びその近郊だけで約 800 軒、フランス全体では約 1000 軒あるといわれている。パリの日本食レストラ

ンの 2006 年度における平均売り上げ規模は全体で約 4.5 億ユーロ1。

日本食は若者を中心に食されているとのことで、現地調査でも、日本食飲食店には比較的若いフランス人

が多く見受けられた。若者の日本への関心の高さや健康志向から、フランスでは近年の日本食ブームが起こり、

日本人以外の経営による日本食飲食店が台頭しているという。これらの日本食レストランのうち、日本人経営

者による店舗は全体の1割弱にしかすぎず、近年の日本食・健康ブームに乗って開店したアジア系の経営店

(以前は中華料理店を営んでおり、この機に日本食料理店に転向した店が多いという)が多数を占めている状

況である。このようなアジア系の経営による日本食レストランは、料理人が日本人ではない場合が多く、日本人

の経営は全 800 軒中 65 軒ぐらいといわれ、後は中国人、一部にフランス人、モロッコ人が経営をしており、さら

に、日本人による経営店もその料理人の多くは中国人であるという。このほとんどが寿司レストラン、もしくは寿

司・焼鳥という2大代表メニューを提供している。

一方、うどん屋やラーメン屋などの麺類系の店では、日本人経営の店舗率が寿司屋と比べると高くなる。フ

ランスでは、ラーメンの人気が高く、パリ以遠にはラーメン屋が少ないことから、お昼時には行列を作るラーメン

屋もみられるという。中でも、「ひぐま」、「サッポロラーメン」はよく知られており、「ひぐま」はパリ市内に 2 店舗、

「サッポロラーメン」は全国に 300 店舗ほど展開しており、両店ともに経営者は日本人である。

これら以外にも、そばや定食など日本人が経営する日本食飲食店はあるが、現地調査では価格が割高な店

が多く見受けられた。そのため、「多くのフランス人はこのような他の料理から日本食に転向したレストランにな

じみがあり、日本人が日本食と感じる「正統的な」料理が、多様・繊細で、地方色もある料理であることをほとん

ど知らない」2現状がある。

アジア系経営の日本食レストランにおいては、一般的に低価格志向で日本食の普及に貢献している一面もあ

るように見えるが、「低価格路線のレストランの食材は、日本産の食材でない場合がほとんどのため、日本食

1 JETRO 「フランスにおける日本食・食材普及の現状及び市場拡大可能性」

2 パリ産業情報センター「一般調査報告書」(平成 18 年)

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材の普及や輸出促進の面からもマイナス」2となっているなど日本食の普及拡大における課題となっている。

▼オペラ地区に多く見られる日本食飲食店

どの店も、メニューや価格帯については同様で料理そのものの質も低い傾向があり、正統な日本食が提供されているとは言い難い状況である。

フランス人シェフの間でも日本食や日本食材・調味料への関心は非常に高いという。しかしながら、ヨーロッ

パで得ることかできる正統な日本料理や日本食材についての情報源は限定されており、せっかくフランス人シ

ェフ自らが日本食材を使った料理を創作する意欲と機会があるにも関わらず、食材に関する知識や的確な日

本食材とそれにみあった料理方法などの情報が欠落している状況である。

彼らは新しい食材への関心も高く、「食品展示会・見本市」「知り合いのシェフからの口コミ」で情報を仕入れ

ることが多いといい、現在、日本食材では「柚子」が注目されており、柚子胡椒や柚子を使ったメニュー開発が

シェフの間でも盛んであるという。(「VJC 魅力ある日本のおみやげコンテスト 2008」(主催 国土交通省及びVJ

C実施本部)でも、「隠れ里の柚子こしょう」(株式会社いずみ)が、フランス賞を受賞しており、柚子が従来のフ

ランス料理にも合うと評判であるとのこと)

■■■■フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける家庭食家庭食家庭食家庭食のののの現状現状現状現状

フランスでは 1930 年代から家族政策が始まり、家族手当をはじめとする育児支援制度により、結婚・出産後

も女性が仕事を続けられる環境が整っているため、25~49 才の女性の就業率は約 80%と高く、共働きの家庭

が多くを占める。そのため、冷凍食品、缶詰、中食などのすぐに食べられる商品が人気であり、電子レンジで簡

単に用意できる 1 パックの食事が陳列棚に増え、冷凍食品コーナーや中食コーナーは非常に充実している。

▼現地大手小売の小型チェーン店での中食コーナー

惣菜や調理パンなどの中食コーナーが充実しており、店内には食べるスペースも設置されている。

中食コーナーには寿司パックもみられる。

フランス最大手の冷凍食品メーカー「PICARD(ピカール)」は、冷凍食品を製造・販売しており、『フリーザー・

センター』という冷凍食品店を全国で 700 店舗展開している。その「PICARD(ピカール)」でも、近年の日本食ブ

ームに合わせ、寿司、焼き鳥をはじめ日本食の冷凍食品を販売しており、価格も随分手頃な値段で設定されて

いる。冷凍ではあるが、味も評価が高いため、家庭でも多く利用されているようだ。

▼「PICARD(ピカール)」のネットショップで売られる冷凍日本食

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冷凍の日本食の種類は幅広く、代表格の寿司、焼き鳥はもちろん、枝豆や弁当なども売られている。味噌汁も 2 パックが冷凍で売られていた。

現地生活者曰く、味も悪くなく、値段も手頃なため、日本食といえばこれを利用する者は少なくないとのこと。

■■■■フランスフランスフランスフランス人人人人のののの食生活食生活食生活食生活とととと日本食日本食日本食日本食にににに対対対対するするするする意識意識意識意識

前述の通り、近年フランス人の「中食」化が進み、手軽に食べられる寿司などはレストランだけで味わうもの

ではなくなってきている。このような「中食」化を通じて家庭にも寿司が入り込みつつある一方で、寿司以外の日

本食メニューにおいては、焼鳥が認知度を上げつつある以外はあまり知られていないのが現状である。

味噌などの日本特有の調味料に関しては、一般家庭での利用方法や健康食品としての認知度が未だ低い。

また、幅広い日本食材の普及が進まない原因について、日本食材を購入しようにも、一般的なフランス人消費

者には購入できる場所が分からず、購入機会が限られていることが原因の一つとして考えられる。

一般的にフランス人は「これ」と認めたもの、愛着のあるものには相応の対価を惜しまず、長く愛用する気質

を持つといわれている。さらに、オーセンティック(本物志向、お墨付き)なものを好むといわれており、それらが

フランス人の生活や趣向に合えば、食においてもシェフのお墨付きは大きな魅力となる。フランスではTV番組

や雑誌監修などシェフのメディアでの活躍が目立ち、シェフとの開発による食品がヒットするなど、特に有名シェ

フによる発言は、生活者に影響力を持ち、シェフから発信した情報がブームになることも少なくない。

▼シェフ監修の雑誌と、パン職人による開発でヒットした商品

また、日本食ブームのきっかけとなった健康・自然派志向により、BIO3商品が増えてきている。フランス人の

BIO に対する意識は高く、CSA4が 2006 年にフランス人 1,006 人を対象に行った統計によると、フランス人の約

40%が BIO 商品を少なくとも 月に 1 回、約 23%が週に 1 回、そして約 7% が毎日摂取しているという結果がで

た。さらに、約 80%のフランス人が、BIO 商品に対して「化学物質なしで生産されているため、よりナチュラル 」、

「環境を保護することに貢献」、「より健康にいい」という意見を持っているという。

BIO 商品を表す表示は複数あるが、中でも政府機関により特定の農業システムや基準に基づいて生産・加

3 BIO とは Agricultule Biologique のことで、オーガニック(無農薬有機農法)のことを指す。」

4 CSAは「コミュニティー・サポーテッド・アグリカルチャー」の略。農家が数十人の消費者と年間契約し、野菜などを毎週供給する仕組みで、フラ

ンス版は 2001 年に誕生した。

(左)消費者への影響力の大きいといわれているシェフ Cyril Lignac 氏が

監修する料理雑誌「Vie pratique Gourmand」は、スーパーのレジ横などに

売られていた。

(右)Michel&Augustin「Petits sables ronds et bons

(丸くておいしいプチ・サブレ)」

180 店のパン屋を取材したガイド本、パン好きのバイブル、

”Le Guide des Boulangeries de Paris”の著者でもあり、

パン職人の研究が高じて商品化されたサブレ。

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工製造された生産品には「AB」マーク5が与えられる。スーパーには「AB」マークや BIO をうたった食品のコーナ

ーが設置されており、その種類も豊富である。

BIO 専門の市場や小型小売店が存在し、中でも「Biocoop(ビオコープ)」という自然食品専門の大型チェーン

店は、フランスで 313 店舗を展開し、好調に売上を伸ばしている。

▼スーパーのBIO食品のコーナー

スーパーでは BIO 食品のコーナーが大体あり、食材だけでなくお菓子やレトルト食品など幅広い商品がある。

しかし、BIO への高い意識と消費の増加の一方、価格は通常の商品よりも高めに設定されており、利用は生

活者の所得事情によるところが大きい現状がある。フランスでは、富裕層と労働者層とで消費スタイルが明確

に分かれており、富裕層は文化・娯楽の支出が住居費および食費とほぼ同じであるのに対し、一般労働者層

は住居・食費の合計が世帯支出の4割以上を占める6。 つまり、経済的社会階層により、消費的関心および、

食に対する購買欲を掻き立てられるポイントが異なると考えられる。これに伴い日本食産品の輸出拡大におい

ては、シェフのお墨付きや BIO など、ある一定の価値を見出すことに慣れているフランス人消費者に対して、日

本食材は買う価値のある食品であることを認識させることが課題である。

■■■■フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける日本食材日本食材日本食材日本食材のののの購入方法購入方法購入方法購入方法

フランスの一般消費者の日本食全般の購入方法としては、一般的に中華系食材店、韓国系食材店、日本食

材店、フランス現地系販売店などがある。価格設定はアジア系のほうが安く、日本・フランス系は高い価格設定

の店舗が多く見受けられた。しかし、BIOへの高い意識と消費の増加の一方、価格は通常の商品よりも高めに

設定されており、利用は生活者の所得事情によるところが大きい現状がある。

中華系食材店、韓国系食材店では、日本での販売品をそのまま輸入した商品が多く見受けられたが、フラン

ス現地系販売店では、海外の商社によリパックされた商品も多く目につく。

日本食でも、小売業者ごとにブランドシリーズ化されて販売されているものもある。異なるメーカーがそれぞ

れに製造した醤油、わさび、海苔、酢などの各商品が、一つの販売ブランド名で統一されて販売されており、こ

のようなブランドシリーズ食品は、ブランドとしての統一されたラベルやロゴを新たに付けるために、フランス、も

しくは他ヨーロッパ圏で日本産品を再包装する手法などがとられている。

5 「AB」マークをはじめとする BIO 商品を現す表示は、p.15 参照

6 フランス国立統計経済研究所(INSEE)

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1111----2222 フランスフランスフランスフランスへのへのへのへの輸出輸出輸出輸出・・・・流通事情流通事情流通事情流通事情

■■■■フランスフランスフランスフランス向向向向けけけけ味噌輸出味噌輸出味噌輸出味噌輸出にあたりにあたりにあたりにあたり

まずフランスへ輸出する際の考え方として、フランスが加盟する EU は共同体域内自由流通制度が適用

されているため、日本からはフランス単国ではなく対 EU 加盟国への輸出と捉えるのが正しいと言える。とは

言え、通関や検疫においては EU 諸国間でも対応差が見られ、フランスは他の EU 諸国より運用レベルが厳

しいと言われている。そこで、輸出にあたり、具体的な輸出手続きは主に輸入業者と契約し代行を依頼する

のがより確実な方法であるが、その際、日本の味噌事業者がいかに輸出相手国の市場や輸出に関する情

報を把握し、その上でパートナーとなる輸出事業者を選定するかがその後の潤滑な輸出の鍵となる。

以下、実際にフランスへ味噌を輸出するにあたり相談窓口となる機関である。

動物性成分を含む食材に対する輸入規制の運用レベルの相違(現地調査から)

規制厳格度 対象国 内 容

フランス ・ クリームが含まれる菓子も輸入禁止。

・ 肉類は微量でも入っていれば輸入が認められない。

英国

ドイツ

・ 動物性成分が微量のものは輸入許可が得られるケースもある。

・ 個別交渉で輸入が認められるケースもあるが、交渉努力とそれに見合う

だけの需要が必要となる。動物成分が高いものの輸入は基本的に困難

である。

オランダ

ベルギー

・ 動物性材料がおおむね全体の 10%以下なら、輸入が可能となるケースが

多い。

出典:「我が国の農林水産物・食品輸出マニュアル-EU 編-」(農林水産省大臣官房国際部貿易関税チーム)

◆独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)パリセンター

2, Place du Palais-Royal

75044 Paris Cedex 01

Tel: +33(0)1 42 61 27 27

URL: http://www.jetro.go.jp/world/europe/fr

味噌味噌味噌味噌のののの輸出輸出輸出輸出カテゴリカテゴリカテゴリカテゴリーーーー

輸出事業においては、相手国ごとに輸出が可能な品目や禁止されている品目が定められているが、味噌

は加工食品に該当し、添加物・残留農薬・ラベル規制等の規則に沿っていれば EU への輸出も可能である。

但し、動物性食品と植物性食品の EU 規則が確立されつつある一方で、加工食品については統一ルールが

未確立で EU 諸国間に対応差があり、関係各所とこまめに確認をとることで商機を広げられる余地も残って

いる。味噌に関して言えば、「だし入り味噌」を始め味噌の中に他食材を含む加工味噌については、その含

有物によって規制項目も異なるため確認が必要。下記、一例を紹介する。

規制が

緩い国

規制が

厳しい国

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1)肉および肉エキス入り味噌

EU へ動物性製品(食肉及び同加工品)を輸出するには、「第三国リスト」と呼ばれる輸入許可リストへの

掲載が必要であるが、日本はそのリストに含まれていないため EU への輸出が禁止されている。従って、

肉類およびそのエキスが含まれた味噌についても通常輸出は不可能である。但し、実際は EU 諸国間にも

多少の運用差が見られ輸入されるケースもあるため、確認の余地はある。

2)鰹エキス入り味噌

水産加工物に該当する鰹エキスを含む「だし入り味噌」についてはその含有量が最終製品の50%未満

であれば動物検疫の対象から除外となり輸出は可能。ただし、EU向けの加工施設として認可を受けた

HACCP適用工場で加工処理を行わなければならないなど、その他の規定もクリアしなければならない。

3)その他、果実・野菜入り味噌

野菜・果実のなかには、国連欧州基準で定めた品質に則したものしかEU域内に輸出が認められないも

のがあるので予め確認が必要となる。具体的には、品質保持義務を要する品目として、にんにく、人参、

たまねぎ、ねぎ、養殖きのこなど、最近フランスでブームと言われている柚子(柑橘類)もこれに該当し、

日本で販売されている柚子味噌についても輸出業者との相談・確認を要する。また、輸出相手であるEU

の農業を守る観点から、野菜や果実類は輸入価格によって課徴金が課せられる。

輸出通関輸出通関輸出通関輸出通関

1)通関書類の準備

一般的に輸出業者が代行して下記書類を準備し、輸出品に関する申請等を行う。それにあたり、味

噌事業者は書類作成に必要な情報を提供する必要がある。

輸出通関に必要な書類(輸出者が用意する書類)

書類名 書類の性格 含まれる情報

船積指示書 どの船や航空機に船積するかを指示する

・輸出入者の名称

・積地&仕向け地

・貨物の内容や個数

・その他

インボイス

(仕入書)

どのような品物を、いくらで、どれくらい売るかと

いう貨物の売買内容

・売主 ・買主

・商品名 ・数量 ・単価

・価格 ・貿易建直

パッキングリスト

(梱包明細書) 梱包内容

・個数 ・入り数 ・重量

・容積 ・外装のマーク

(必要な場合)

検疫合格書 検疫に合格していることを証明する

出典:「我が国の農林水産物・食品輸出マニュアル-EU編-」(農林水産省大臣官房国際部貿易関税チーム)

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2)関税率・付加価値税率

フランスの関税率は EU の基準に準拠しており、共通の関税率を適用している。関税率については、

関係機関のウェブサイトより HS コードを使って検索可能。

◆EU 統合関税率(Taric)データベース

http://ec.europa.eu/taxation_customs/dds/cgi-bin/tarchap?Lang=EN

味噌の輸入関税は現状 7.7%であるが、それに加えフランスでは付加価値税(VAT)が課税される。

3)ラベルの表示規則

EU に輸出するためには、ラベル規制、添加物、残留農薬等の EU 規制に従わなければならない。ラ

ベルの表示に使用される言語は、最低限その製品が消費される国の言語で書かれていなければなら

ない。フランスの場合は、フランス語で表示する。

◆必要なラベル情報

- 最終販売者

- 成分 ※アレルギーを引き起こす可能性のある成分については、その含有量に関わらず全て記載する必要がある。

- 正味重量

- 賞味期限 ※3 ヶ月以内→月日まで。3~18 ヶ月→月・年。18 カ月以上→年。

- 保存方法

- (輸入品の場合)域内供給者の名前および住所

- 原産地

- 使用法

- 1.2%以上のアルコールが含まれている場合、その旨記載

- ロット番号(製造者・包装者・輸入者等が製品の特定をできるもの)

4)食品添加物

食品添加物については、日本で使用可能なものも EU では禁止されている場合があるので、種類お

よび使用量については注意する。

◆フランスにおける加工食品の輸入制度

http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000082/france.pdf#search

5)遺伝子組換え

2004 年 4 月 18 日以降、EU への遺伝子組み換え食品および加工品は規制を受ける事になった。そ

れ以降、遺伝子組み換え食品(GMO)は新規食品とみなされ、明記・記録されなければならない。オー

ガニック製品を好むフランス人にとって遺伝子組み換え食品は大変イメージが悪く、大豆が原料となる

味噌は遺伝子組み換え食品とイメージに結びつきやすいため、販売の際は IP ハンドリング7によって証

明された“Non GMO(遺伝子組み換え大豆不使用)”表示などの対策を行うことが重要となる。

7 IP ハンドリング(Identity Preserved Handling)とは、分別生産流通管理と言って生産から加工に至るまでの各流通ポイントでしっかり分別管理

が行われているという証明書を発行し、全工程の証明書を加工業者に提供することで「遺伝子組み換えではない」ということを表示するシステム

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◆遺伝子組み換え食品の登録と表示義務

http://ec.europa.eu/food/dyna/gm_register/index_en.cfm

6)残留農薬

フランスでは、独自のルールを制定し、その許可使用量と使用可能な農薬を定めている。

http://e-phy.agriculture.gouv.fr/bas.htm

参考資料:

◆「我が国の農林水産物・食品輸出マニュアル-EU 編-」(農林水産省大臣官房国際部貿易関税チーム)

http://www.maff.go.jp/j/export/e_enkatu/manual_2006/index.html

◆フランスにおける加工食品の輸入制度(JETRO パリ・センター)

http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000082/france.pdf#search

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■ フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける有機有機有機有機((((オーガニックオーガニックオーガニックオーガニック))))認証制度認証制度認証制度認証制度

食への関心の高いフランスにおいて、「健康によい」「美味しい」「おしゃれな」オーガニック(有機)食品は女性

や若者のみならず、現在は幅広い年齢層に浸透している。また、オーガニックメニューを提供するレストランや

オーガニックフードを専門に扱う小売店なども見受けられ、それらの食品にはいずれもオーガニック認証がつけ

られており、“安全な食材”の代名詞となっている。実際、英インデペンデント紙の報告によれば、フランス大手4

社のスーパーにおける2009年10月の価格を比較すると、オーガニック製品は通常の同等製品と比較して平均

して 72%以上も高価であり、たとえ値段が高くてもオーガニック製品を好んで購入するというフランスにおける

人気の高さを証明している。

ついては、日本の味噌事業者が今後フランスへ味噌を輸出する上で、このオーガニック認証は有効な参入

カテゴリーになると見込まれる。

1)フランスオーガニック認証の概要

フランスでは、オーガニック農産物や加工食品は BIO と呼ばれ、もともと「生命(オーガニック)」を意味する言

葉だが、現在では一般的に有機栽培された農作物や有機の素材で製造された加工食品を表す。フランス農務

省は BIO オーガニック食品の有機認証制度をヨーロッパで最も早い 1980 年に導入、その後 1991 年には EU 基

準として採用されるなどオーガニック発祥の地といえる。その為かフランスでは BIO の認証がとても厳しく、使用

する原料全てが BIO 認証機関の検査を受けた上、製造ラインも BIO 専用でなくてはならない等の規定がある。

2)加工食品のオーガニック認証

・有機原料の割合が95%以上の場合は「有機農産品」と表示、有機原料の割合が70~95%の場合は、成分表

中に「原料の○%が有機農産物」と表示できる。ただし、残りの原料についても有機農産品の原料としての使

用可能品リストに載っていなければならない。

・成分ごとの証明書が必要。また、認証機関が製造業者の会計帳簿から、原料の入出量をチェックし、有機原

料が使用されていることを検査する。

・遺伝子組換え(GMO)農産物は、偶然の混入レベルが 0.9%を超えない場合のみオーガニック表示可能。

・有機農産物の流通・加工・包装業者が各段階でデータを入力し(輸入品についても税関でデータ入力)、物流

の入出を把握できるシステムを構築中であり、穀物から始め、果実や家禽類に対しても適用させていく予定で

ある。この際、データの管理は民間会社に委託するが、データそのものは国有となる。

3)オーガニック認証へのステップ

・オーガニック認証の申込み

・契約

・検査 ※前述(2)のような多項目にわたる条件をクリアするかどうかを検査。

条件に満たない場合は改善点を指導の上、再検査を実施。

・定期検査 ※品質保持を目的として最低年 1 回の検査(抜き打ちや追加含む)実施。

味噌事業者味噌事業者味噌事業者味噌事業者

オーガニックオーガニックオーガニックオーガニック

認証機関認証機関認証機関認証機関

オーガニックオーガニックオーガニックオーガニック

証明書発行証明書発行証明書発行証明書発行

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上記のとおり、オーガニック認証取得を希望する味噌事業者から申請を受け付けた認証機関は、まず取得

にかかる費用などを算出して味噌事業者へ提示、その見積りが合意されると両者は契約を結ぶ。その後、認

証に向けて検査が行われ、基準を満たしていればオーガニック認証の証明書を発行。その製品は、正式にオ

ーガニックとして表示することが出来る。また、一度認証を取得した製品も、その後最低年一回の様々な検査

が行われる。

フランスフランスフランスフランス((((EUEUEUEU))))におけるにおけるにおけるにおける代表的代表的代表的代表的ななななオーガニックオーガニックオーガニックオーガニック認証機関認証機関認証機関認証機関およびおよびおよびおよび関連団体関連団体関連団体関連団体

オーガニック製品として適当かどうかを検査(調査)し、合格した製品に対し認証を与える権限を国から委託

された団体および機関。これら認証団体には外部からのあらゆる影響にも屈しない公正さが求められる。

ECOCERT(ECOCERT(ECOCERT(ECOCERT(エコサートエコサートエコサートエコサート))))

1991 年にフランス農務省が設立した世界最大の国際有機認定機関。ヨーロッパを

中心として世界 85 カ国以上で活動、オーガニック認定団体の世界基準とも言われて

いる。ここで認定を受けた食品は、栽培から加工される商品の製造過程における添

加物まで厳正な管理が行われている。また、遺伝子操作や組み換え食品は認定され

ないなど、その他にも厳しい基準が設けられている。

IFORMIFORMIFORMIFORM((((International Federation of Organic Agriculture Movements)International Federation of Organic Agriculture Movements)International Federation of Organic Agriculture Movements)International Federation of Organic Agriculture Movements)

1972 年にフランスで創立、その後ヨーロッパ全土に広がり今では世界 100 カ国以上

約 900 団体が加盟する世界最大の民間オーガニック組織。但し、IFORM(国際有機

農業運動連盟)自体は認証機関ではなく、基準作成や様々な加盟組織や国連の

FAO(Food and Agriculture Organization)との連携を任務としている。

フランフランフランフランスススス((((EUEUEUEU))))でででで認知認知認知認知されているされているされているされているオーガニックマークオーガニックマークオーガニックマークオーガニックマーク((((ロゴロゴロゴロゴ))))

先のオーガニック認証機関により、オーガニック製品と認められた製品に付与されるオーガニックマーク。

日本の有機 JAS の様に一種類ではなく、国や機関によってそれぞれのオーガニックマークを表示している。

EUEUEUEU オーガニックロゴオーガニックロゴオーガニックロゴオーガニックロゴ((((Organic FirmingOrganic FirmingOrganic FirmingOrganic Firming))))

日本の有機 JAS に相当する、EU 各国共通のオーガニックロゴで 2000 年 EU 委員会

によって制定された。しかし、このロゴをつけることは任意であった為、EU で流通する

全てのオーガニック製品にこのロゴがついているわけではない。そこで EU 委員会

は、2010 年 7 月よりロゴを一新。EU 加盟国内で製造される全ての包装済みオーガニ

ック製品へのロゴ表示が義務付けられることになっている。

ABABABAB マークマークマークマーク((((Agticulture BiologiqueAgticulture BiologiqueAgticulture BiologiqueAgticulture Biologique))))

Agriculture Biologique(有機栽培農業)の略。フランス政府公認の有機認定マークで

あり、政府が認めた高品質なオーガニック製品にのみ与えられる。オーガニック原料

を 95%以上含み、EU 圏内で生産あるいは加工されたものと限定されている。

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((((参考参考参考参考))))有機有機有機有機 JASJASJASJAS マークマークマークマーク

日本のオーガニック認証としては、日本の有機 JAS がある。これら両者は品質表示項目の基準がほぼ同じ

で、輸出する食品が日本国内で有機 JAS 認定を取得していれば、その検査データを EU の認定機関に提出し

て、現地で EU オーガニック認定取得する方法がある。ただ、有機 JAS では許可されている資材でもエコサート

(ECOCERT)では認められないものもある。

有機有機有機有機 JASJASJASJAS((((Japan Agricultural Standard)Japan Agricultural Standard)Japan Agricultural Standard)Japan Agricultural Standard)

有機 JAS とは、農林水産省が改正 JAS 法(平成 13 年 4 月 1 日施行)に基づき、有機

農産物やその加工食品に関する日本農林規格をが制定し、そこに定められている技

術的基準に基づいて審査を行い認定する日本のオーガニック認証。これにより、認

定事業者から有機 JAS マークが付されたものでなければ「有機」や「オーガニック」又

はこれと類似した表示をすることは不可となる。また、有機 JAS の中には 4 つの種類

があり、その中でも味噌は「有機加工食品」に該当する。有機加工食品の条件は以

下の通り。

- 化学的に合成された食品添加物及び薬剤の使用を避けること。

- 原材料は、水と食塩を除いて、95%以上が有機農産物・有機畜産物・有機加工

食品である。

- 製造ラインや保管場所で禁止されている薬剤や消毒剤に触れないようにする。

- 許可された薬剤であっても噴霧式のものは使用しない。

- 遺伝子組み換え技術は使用してはならない。

尚、輸出事業者や現地の流通業者の中にはオーガニック認定事業者もおり、彼らが生産地から流通経路や

倉庫まで格付け審査を行い、オーガニック認証を申請・取得することもある。その場合、味噌事業者が直接申

請手続きや検査対応を行う必要はないため、フランスのオーガニック認証取得を希望する味噌製造事業者にと

っては選択手段の一つとなるだろう。

◆有機加工食品の検査・認証制度ハンドブック(農林水産省 HP より)

http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_handbook_b.pdf

◆有機農産物および有機加工食品の JAS 規格 Q&A

http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuuki_0911qa.pdf

◆有機登録認定機関一覧

http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki_kikan.html

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((((2222)))) フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける味噌味噌味噌味噌のののの普及状況普及状況普及状況普及状況ととととビジネスビジネスビジネスビジネス事例事例事例事例

2222----1111 流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売におけるにおけるにおけるにおける現状現状現状現状とととと課題課題課題課題

EUでの日本食材の普及に関しては、克服すべき点が数点存在する。(以下、農林水産省「我が国の農林

水産物・食品輸出マニュアル-EU編-」(2007)より抜粋)

(1) コスト高要素

日本の場合、輸入する場合に関税(それも、優遇関税同盟の対象国でないので 1 番高い税率)が課

せられ、遠距離であるために運送費用も高くなる。

(2) 規制への対応

EUの食品安全基準の強化に伴って「手間」と「コスト」がかかるようになっている。加えて、近年では

大手小売店を中心に国の規定とは別に独自に安全基準を設ける例も増えており、それに対応するた

めのコストを負担せねばならない。

(3) 価格競争は厳しい

新規商品や独自商品は高額でも売れる可能性が高いが、日常的に用いられる食材の場合、周辺諸

国から安い製品が輸入されるので、まず価格面が重視される。

(4) 商品の質や「新しさ」といったニーズに応えられるか

若い年齢層を中心に、目新しいもの、新規なものへの嗜好が強まっている。それに従い外国のもの

が受け入れられるようになってきている。この点は日本食への「追い風」であるが、今まで馴染みのな

い外国食品(例えばタイやアフリカ)にも同様な関心が向けられている。日本食はある程度浸透して

いるので、「新規さ」といった点では魅力が少なくなっている。

これらは簡単には克服できない課題ではあるが、前述の通り味噌の輸出量は増加傾向にあり、さらなる拡

大が見込める市場とも考えられる。

流通流通流通流通におけるにおけるにおけるにおける現状現状現状現状とととと課題課題課題課題

味噌の卸先としては一般小売店よりも飲食店の比率が圧倒的に高く、先の日本食ブームやラーメンブーム

が牽引していると推測され、ここ数年味噌の認知度が著しく上がっているとのことで、現地商社によると、大手

の商社が自主的に現地系スーパーのバイヤーを集めて日本食材のプレゼンを開いており、パリ以外の普通の

小売店でも売れ始めているという。

「日本食は味噌以外にもわさび、のり、グリンピース、お茶(ジャスミン・紅茶)等を入れているが、ここまで伸

びた商材は無く、味噌には非常に大きな可能性を感じている。しかし、フランスで味噌の取扱が増え始めたとは

いえ、未だ日本食のマーケットは大きくはない」、と現地商社は語る。

また、EUは関税が一律であることと、流通事情として前述の通りフランスの税関は他のEU諸国と比較し厳し

いため、比較的税関の緩いドイツ、オランダ、ベルギーを介してフランスに入ってくる商品も少なくない。そのた

め、日本側の輸出量とフランス側の輸入量の数値が合わず、日本からのフランスへの輸出量を正確に捉えた

データが存在しないため、現状の把握は取り扱い業者の経験値に頼るところが大きく、新規参入者には、味噌

市場の余地の判断が難しい。加えて、厳しい税関など、フランス国内で活動する商社に不利な環境のため、新

規参入者が増えにくいという問題点があるようだ。

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フランスへの輸出に関しては、①日本側の商社、②フランス側の商社、③フランス現地の小売との取引が考

えられるが、フランスにおける商社と小売店のパートナーシップは信頼関係で構築しており、同じ商品を持つ商

社が後発で割り込む余地は非常に少なく、結果、日本の輸出業者とフランスの輸入業者も対の関係にあること

が多い。この場合、フランスの輸入業者や小売店は、既に味噌を扱っていた場合、現在取引している輸出業者

との契約上、他の輸出業者の扱う品などの自社が取り扱いたい品を取り扱うことが難しいという点がある。

①日本側の商社、②フランス側の商社、③フランス側の小売の関係は各社によって大きく異なる。下記は、

フランスへの輸出における関連業者との関係性を図に表したものである。

※①日本側の商社をエクスポーター、②フランス側の商社をインポーターと表記している。

フランスでは商社-卸–小売店の住み分けは厳格ではないようで、②フランス側の商社が直接レストランなど

に卸すケースもあれば、①日本側の商社が直接レストランや小売に卸すケースなど、さまざまである。これらは

各社によって大きく異なるため、詳細は各社に問い合わせ願いたい。

日本国内 フランス他

エクスポーターA インポーターA フランス現地系小売店味噌製造事業者

エクスポーターB インポーターB

アジア系日本食レストラン

高級フレンチレストラン

高級日本食レストラン

アジア系小売店

日本食専門店

オーガニック系小売店

フレンチレストラン

味噌製造事業者

味噌製造事業者 インポーターC

味噌製造事業者 インポーターDエクスポーターC

エクスポーターD味噌製造事業者

エクスポーターE味噌製造事業者

味噌製造事業者 高級フレンチレストラン

株式会社むそう商事株式会社東京共同貿易トップトレーディング株式会社西本貿易株式会社吉川商事株式会社

JFC FRANCEFOODEXPALMIFRANCELEDELASDISTRIBORGCLEAR SPRINGBAYCLIFF

■日系食品専門店KIOKO(京子食品)OTODOKE SARL(十時や)ISSE&Cie(WORK SHOP ISSE)■アジア系小売店陳氏百貨商場所 TANG FRERES巴里超級市場 PARIS STORE

日本国内 フランス他

エクスポーターA インポーターA フランス現地系小売店味噌製造事業者

エクスポーターB インポーターB

アジア系日本食レストラン

高級フレンチレストラン

高級日本食レストラン

アジア系小売店

日本食専門店

オーガニック系小売店

フレンチレストラン

味噌製造事業者

味噌製造事業者 インポーターC

味噌製造事業者 インポーターDエクスポーターC

エクスポーターD味噌製造事業者

エクスポーターE味噌製造事業者

味噌製造事業者 高級フレンチレストラン

日本国内 フランス他

エクスポーターA インポーターA フランス現地系小売店味噌製造事業者

エクスポーターB インポーターB

アジア系日本食レストラン

高級フレンチレストラン

高級日本食レストラン

アジア系小売店

日本食専門店

オーガニック系小売店

フレンチレストラン

味噌製造事業者

味噌製造事業者 インポーターC

味噌製造事業者 インポーターDエクスポーターC

エクスポーターD味噌製造事業者

エクスポーターE味噌製造事業者

味噌製造事業者 高級フレンチレストラン

株式会社むそう商事株式会社東京共同貿易トップトレーディング株式会社西本貿易株式会社吉川商事株式会社

JFC FRANCEFOODEXPALMIFRANCELEDELASDISTRIBORGCLEAR SPRINGBAYCLIFF

■日系食品専門店KIOKO(京子食品)OTODOKE SARL(十時や)ISSE&Cie(WORK SHOP ISSE)■アジア系小売店陳氏百貨商場所 TANG FRERES巴里超級市場 PARIS STORE

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■■■■ヒアリングヒアリングヒアリングヒアリング結果結果結果結果((((流通流通流通流通対象対象対象対象))))

下記は味噌輸出における流通関連業者に対して行ったヒアリングの概要である。

既に日本の商社は、各社取り扱う商品の選定基準は異なるが、現地の輸入業者への直接営業はかなり難

しいため、展示会・見本市での出会いは重要としており、そこでの継続的な取引には担当者ベースではなく、会

社ベースでも付き合える規模感の企業であること、などメーカー側のフォロー体制も重要であると感じている。

□□□□日本日本日本日本のののの商社商社商社商社 –––– AAAA 社社社社

【【【【海外輸出業務海外輸出業務海外輸出業務海外輸出業務にににに関関関関してしてしてして】】】】

北米向けの業務用卸として約 80 年の歴史を持つが、10 年前からヨーロッパ向けの事業展開を開始、2009

年で約 5 億円までの規模感になってきた。

欧州は 8 カ国、他中東、オセアニア、アメリカ、アジア等全エリア対応しているが、ヨーロッパが一番伸びてい

る。ドイツ、フランスが主である。

【【【【どのようなどのようなどのようなどのような形形形形でででで実施実施実施実施していますかしていますかしていますかしていますか】】】】

ヨーロッパ向けの事業では、現地に拠点を持たず、一カ国毎にパートナー企業(インポーター)と小売マーケ

ットを中心に展開、欧州は現在 8 カ国展開をしている。

【【【【フランスフランスフランスフランス向向向向けけけけのののの対策対策対策対策としてとしてとしてとして】】】】

ドイツのアヌーガ、フランスの SIAL は毎回出展する。現状、県別の出展や、JETRO、農林水産省、現地パー

トナー等、出展の手段は多くあるので条件の良いものを選んでいる。

現地のインポーターへの直接営業はかなり難しいため、展示会・見本市での出会いは非常に良い機会にな

る。一度会えば次回の商談に繋がりやすく、フォローアップが重要。大きく、継続的な取引には担当者ベースで

はなく、会社ベースでも付き合える規模の企業であることも重要である。

【【【【取引条件取引条件取引条件取引条件////小売小売小売小売へのへのへのへの展開条件展開条件展開条件展開条件】】】】

小売店は、味噌を商材として売れる条件で提供できる会社を探している、主な条件は価格・賞味期限の長さ

(※味噌は変色してしまうため変色しないもの)

小売店の取引条件はシビアだが、基本的に日本のような商習慣がなく対等なのが魅力であり、店頭の割引

フェアなども基本的に小売店の負担の場合が多い。負担が掛かるのは入店料程度である。

【【【【商品開発商品開発商品開発商品開発にににに関関関関してしてしてして】】】】

現地小売向けに商品開発できるか(価格・OEM)が重要で、味噌メーカーが取引を単にしたいと言っても商材

が合うか合わないかも判断できない、同じようなものであればさらに難しいため、開発型の商材でないと難しい。

OEM に入れる場合、輸入業者の商品開発の時期に合わせて売り込んでいくことが必要である。輸入規制から、

だし入りも受け入れられないものがあるため、規制にあわせた開発が必要である。

【【【【流通流通流通流通にににに関関関関してしてしてして】】】】

現状は船便を使用(約1ヶ月半)し、チップで温度管理しているが、冷蔵・冷凍コンテナ(リーファー)だと金額

が倍になる。

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- 20 -

□□□□日本日本日本日本のののの商社商社商社商社 –––– BBBB 社社社社

【【【【海外輸出業務海外輸出業務海外輸出業務海外輸出業務にににに関関関関してしてしてして】】】】

約40ヶ国にオーガニックを主とした日本の伝統食品を輸出している。リーマンショック、ドバイショックと各業種

ともに世界的に影響が出ている中、ヨーロッパはオーガニックの認知度も高く、市場も成熟しており、一時的な

ダウンはあったが回復時期も早く、有機食品市場は比較的安定している。

【【【【どのようなどのようなどのようなどのような形形形形でででで実施実施実施実施していますかしていますかしていますかしていますか】】】】

現地の輸入業者との取り組みで、比較的購入量の少ない海外バイヤーにも、リーズナブルな輸送コストで提

供できる独自のシステムを構築しており、会社規模の大小を問わず、幅広く対応ができるようにしている。また

有機原料を使用した商品を製造いただいている事業者の方には、有機JASのみならず海外認証を取得した有

機原料を提供させていただいている。

【【【【フランスフランスフランスフランス向向向向けのけのけのけの対策対策対策対策としてとしてとしてとして】】】】

フランス向けと特定はしておらず、海外での活動は、ドイツのオーガニック食品展示会BioFach、米国アナハ

イムのナチュラルフードエキスポ等に出展している。

【【【【そのそのそのその他他他他】】】】

・オーガニックは価格が高いが確たる市場があるのは事実であるが、その市場規模はまだまだ一般食品市場

の比ではない。市場全体の方向性は向きつつあるが、過度な期待はしないほうが良い。

・味噌はそのまま食することも可能だが、基本は味噌汁など調理を要するため、現地の方々が味噌の使用方

法について十分に知っていただかなければ、販売数は伸びていかない。商品に現地の料理にあったレシピを

つけたり、誰でも調理できるインスタント化なども今後の味噌市場拡大には必要。

・流通に関して、我々が取り扱っている商品は基本乾物が多く賞味期限も長いため、ほぼ問題は無いが、味噌

について言うならば、発酵食品のため生味噌だと輸送途中で発酵が進み吹きこぼれるリスクがあるのは事実

である。

・オーガニック系の商材をご提案いただければ流通パートナーとしてサポートすることは可能です。

・農水の輸出促進パートナーに登録してからメーカーから相談を多く受けるようになりましたが、商品さえ出せ

ば、海外市場で自然に売れるという簡単なものではない。メーカーから輸出商社に丸投げで販売委託するの

ではなく、メーカーと商社が一丸となり、海外の展示会に出展するなど、ともに販路を開拓していくぐらいの関

係構築が必要。

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□□□□フランスフランスフランスフランス現地流通業者現地流通業者現地流通業者現地流通業者 –––– CCCC 社社社社

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

現在フランスに参入している(JFC扱い)味噌メーカーは大手がほとんどである。中国産味噌については、そ

れほどフランスには入っていないと思う。

【【【【取引条件取引条件取引条件取引条件////小売小売小売小売へのへのへのへの展開条件展開条件展開条件展開条件】】】】

しかし、現地大手のスーパーには、まだ味噌のスペースはない。(米国でも同様)5~6 年前に味噌を現地大

手のスーパーに卸していた時は、味噌の取扱い方法を知らないため、常温のまま陳列し色が変色してしまった

という失敗事例がある。

(醤油と比較した場合の)味噌の輸出におけるデメリットとしては、賞味期限が短いことがあげられる。概ね 8

ヶ月程度である上に、輸送(船便)で 1 ヶ月かかってしまうので実質半年強しか賞味期限がない。

【【【【必要必要必要必要なななな啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動】】】】

この点からも味噌は醤油に比べて取り扱いが難しいので、我々としてはまずは業務用での普及を考えている。

レストランから味噌の特長や調理方法など啓蒙していく必要があるのでは。ただし、味噌の単価が高いことが

業務用の普及阻害要因である。一般的に、味噌スープの需要はあるが、それ以外の用途では・・・。ジョエル・

ロブションの創作和食店 YOSHI や米国の NOBU みたいなレストランが増えてくれれば、味噌の普及に即効性も

あり良いと思う。

□□□□フランスフランスフランスフランス現地流通業者現地流通業者現地流通業者現地流通業者 –––– DDDD 社社社社

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

卸先は、飲食店が 8~9 割で、フランス全土で、1,000 件程度である。小ロットでも取り扱っており、OEM はして

いない。取り扱う商材では、日本食材が 5 割。ベーシックなものと大豆系は、日本製を扱うのがポリシーで、味

噌は、完全に日本製(9 割 5 分)。中国系は衛生局からチェックがあり、米国系は遺伝子組み換えの問題があり、

イメージが良くない。シェフからの依頼があって仕入れており、取り扱いは若干増えている。

【【【【取引条件取引条件取引条件取引条件////小売小売小売小売へのへのへのへの展開条件展開条件展開条件展開条件】】】】

少量の場合、賞味期限の関係で、輸送はエアーの場合もあり、冷蔵で、1.5~2 週間かかる(通関含む)。船

だと 1.5 ヶ月。

【【【【普及方法普及方法普及方法普及方法】】】】

チェーン店には、インスタント、サーバーなど、いろいろなシステムを紹介しており、人件費もコストも削減でき

るし、味も1年中保てる。口に合う商品を紹介するのがポイント。

メーカーが売り上げを伸ばすには、味噌汁以外の使い方を紹介した方がいい。例えば、フュージョン、ソース、

たれ、ドレッシングなど、いろいろな扱いができると思う。

飲食店への紹介の仕方がポイントで、お客のキッチンを使っても紹介する。個別にやらなければ進まない。

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【【【【オーガニックオーガニックオーガニックオーガニック商品商品商品商品についてについてについてについて】】】】

オーガニックへのこだわりは最近高まっており、(小売店)ナチュラリア、ビオコープなども、バイオ、オーガニ

ックは盛んである。味噌も同様だが、難しいのは、保存期間が短くなるので流通が嫌がる場合もあり、また流通

のシステムをバイオのシステムに切り替えなければならない。それに対してのフィーがかかり、フランスの農林

省にも支払わなければならない。ヨーロッパは、バイオの規制があり、いろいろな面で難しい。バイオといって、

日本から入れるのも意味がなく、船を使って 1 万 5000km の距離から移動するオーガニックの商品より、バイオ

というからには現地で作る方がいいのでは。

□□□□フランスフランスフランスフランス現地流通業者現地流通業者現地流通業者現地流通業者 –––– EEEE 社社社社....

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

現在、販路は EC サイトのみで、実店舗はない。48H 以内にどこでも配達する。卸先は、レストラン(ミシュラン

☆つき 150 店)、パティシエ、ショコラチエ、パン屋、工場、冷凍食品などである。現在取り扱っている、ゆず味

噌、白味噌、三丁味噌は、日本のベスト味噌で、選定理由は、その他の味噌に比べて、塩分が少ないからであ

る(他は、多すぎ)。特に特別な白味噌で、塩にも使えて、お砂糖を入れられるので、パティスリー、料理に使え

欧人にとって使いやすい。

取扱量は、エアー(飛行機で 48 時間、EMS で 68 時間)であるため、少量しか取り扱えない(5 ヶ月間で、700~

800 個 15ERO/500g/1 パック)

【【【【どのようなどのようなどのようなどのような形形形形でででで実施実施実施実施していますかしていますかしていますかしていますか】】】】

今まで日本のスーパーにあるものがフランスに入ってきたが、他にいいものがもっとあるだろうし、それを入

れたい。差別化として、他の小売よりも、もっとグルメなものを扱っており、日本の食材を使ってもらおうと努力し

ているのは、我々だけである。日本の偽物ではなく、本当にいいもの、伝統的なものを紹介していく上で、一番

大事なのは、フランスの持っている Value と日本のもっている Value が合わさって、次のものが見えてくる。

日本側パートナーは、トップトレーディングで、7 年前から取引を開始している。毎週様々な商品が送られてく

るが、ビジュアル、におい、味を試して、アイディアが出てくる。何の為に、誰が作っているのか質問し、主婦を

呼んでのテイスティングをおこなう。一般の人が、表現するシンプルな言葉が重要だからである。また 10 人のシ

ェフに同じものを送り、どう思うかコメントをもらう。

【【【【フランスフランスフランスフランス向向向向けのけのけのけの対策対策対策対策としてとしてとしてとして】】】】

カタログ(2009 年 10 月完成)には、クオリティの高い商品を紹介しており、その商品の味、風味、産地、どうい

う人がつくっているか、どういう形で料理するかを細かく説明している。今、第二弾を作っており 2500 件の客に

無料で配布(フランス、ドイツ、スペイン、ヨーロッパ全体、北アフリカの方向け)。カタログができてから売れ行き

が非常に良い。

2008年 10 月から、日本の食材をプロと個人に紹介する事業を始め、その為にいいものを紹介する WEBサイ

トをフランスで初めてつくった。(2010 年 2 月末から WEB 閲覧可能)

※ 「ニシキドオリマーケット」 (www.nishikidori-market.com)では、味噌も扱っている。

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【【【【取引条件取引条件取引条件取引条件////小売小売小売小売へのへのへのへの展開条件展開条件展開条件展開条件】】】】

商品の取引ミニマムはなく、自由に決められる。30~40 トンのストックができ、温度調節できる倉庫を持っお

り、味噌は冷蔵庫に入れている。

【【【【今後今後今後今後のののの展望展望展望展望】】】】

常温で長く置けるなら、スーパーに卸したい。始めの頃は、148 件のスーパーに卸していたが、問題なのは、

スーパーは最低限のレベルを保ちながら、でも安くなければならないということ。今までに頼まれているけど、難

しい。顆粒で小さいサイズのものが良い。近所のスーパーの日本食コーナーに味噌は足りていないので、取引

を考えていて、それが決まればやりたいが、時間がかかるし、複雑でもある。

現在、取り扱っている味噌(2件)に加え、今後以下3つの味噌を揃えたい。

①新鮮で、高品質 = 既に取引有り

②味噌スープ用粉末 = 既に取引有り

③常温でも保存のきくもの 白、赤、あわせ = 今後

【【【【必要必要必要必要なななな啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動】】】】

味噌訴求ポイントは、下記と考える。

①健康にいい、体にどういうインパクトがあるか

②ミネラルが入っている

③ナチュラルな素材でできている

④使い方の説明

⑤プロでも家庭でも簡単に使える方法をコミュニケーション

一般にまだ味噌を知られていないのは良いかもしれない。なぜなら、味噌=味噌スープを思い出すが、味噌

スープはイメージが良くない(現地の日本風飲食店などのイメージ)。食べた人は塩辛いイメージで、体に悪く血

管が詰まると考えてしまうため。しかし、味噌自体はヨーロッパに入っていきやすいと考える。日本の材料は、ヘ

ルシーで、体、健康にどういうインパクトがあるか気にされる。日本での使い方だけを紹介しても効果はなく、シ

ェフと新しいレシピをつくって、一般に伝えていくのがいいだろう。フランス料理の中に味噌を材料としてどう入

れていくかが鍵となる。

□□□□フランスフランスフランスフランス現地流通業者現地流通業者現地流通業者現地流通業者 ––––FFFF 社社社社

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

1 年前から、日本の厳選されたナチュラルな商品のみを扱っており、カタログで選ぶことができる。そこでは、

まずそれぞれの商品が何かをきちんと説明。そしてその商品がどのような工程で製造されているかを写真(ビ

ジュアル化)で明確に伝えている。ターゲットはハイクォリティのレストラン。

会社に試作&試食ができるキッチンを持っており、シェフが材料をテイスティングできるスペースがある。

【【【【今後今後今後今後のののの展望展望展望展望】】】】

日本の商材は、ナチュラルで素晴らしいので、税関や価格など様々な問題はあるが、そこの部分は卸業であ

る我々が解決し、多くの人々に紹介していきたい。

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小売小売小売小売におけるにおけるにおけるにおける現状現状現状現状とととと課題課題課題課題

現地小売における現状の把握のため、店頭調査を行った。味噌および味噌関連商品(即席味噌汁など)は、

フランス現地系小売店では取り扱いが少なく、日本食品専門店、自然食品専門店、アジア系小売店で販売され

ており、主にアジア食品系コーナーまたは、自然食品コーナーの近くに置かれていることが多く見受けられた。

中華系食材店、韓国系食材店では、日本での販売品をそのまま輸入した商品が多く見受けられたが、フラン

ス現地系販売店では、海外の商社によリパックされた商品も目についた。特に味噌および味噌関連商品(即席

味噌汁など)は日本の商品にそのままフランス語のラベルを貼ったものが多く、海外商社によりリパックされた

商品も、パッケージに記載されている多言語のうちの1つがフランス語という具合で、使い方や保存方法などの

消費をサポートする情報の掲載は乏しい。

その中で、フランスのブランドシリーズである Distriborg の「Tanoshi(楽)」ブランドは、パッケージを完全にフラ

ンス語で表記し、使い方なども明確に記載しているため、ブランドとしても認知が高まっているという。

▼ Distriborg の「Tanoshi(楽)」ブランド

ある大手小売店では、日本食コーナーを「Tanoshi(楽)」ブランドが占めていた。

※この小売店では、商品の選定及び物流を各店舗に任せているため、各店舗ごとに品揃えが異なる。

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■■■■店頭調査店頭調査店頭調査店頭調査

「味噌」及び「加工味噌」の価格一覧

※商品の白、赤、淡色においては、商品名において「白」など明記されているもののほか、パッケージからのぞく商品の色や商品写真を元に分類

しており、明確な基準ではない。

※製造国は、最も外側のパッケージのバーコードの国番号を元に判定している。

しかし、ほとんどの味噌は日本産であり、製造国が日本以外ではあるが、それは最終的なリパックが海外であるものがほとんどと考えられる。

※価格はユーロ(€)表示

▼味噌

日本食品日本食品日本食品日本食品専門店専門店専門店専門店

自然食品自然食品自然食品自然食品専門店専門店専門店専門店

アジアアジアアジアアジア系系系系小売店小売店小売店小売店

フランスフランスフランスフランス現地系現地系現地系現地系小売店小売店小売店小売店

3333店店店店 2222店店店店 3333店店店店 2222店店店店

250g イギリス 5.8 14.8

300g フランス 8.0

750g 日本 3.7

750g 日本 6.3

750g 日本 7.0

400g 日本 14.0

500g 日本 8.4

500g 日本 12.0

1000g 日本3.33.3

1000g 日本 5.0

750g 日本 6.3

500g 日本 6.4

500g 日本 9.5

500g 日本 9.5

500g 日本 3.4

1000g 日本 6.7

300g 日本 4.2

250g イギリス 5.3

500g (小売店リパック) 4.4

250g (小売店リパック) 6.3

750g 日本3.73.5

1000g 日本 3.3

1000g 日本 5.0

400g 日本 14.0

500g 日本 4.4

500g 日本 12.0

750g 日本 6.3

750g 日本 7.0

1000g 日本 6.7

1000g イギリス 18.5

300g フランス 7.3

500g 日本 15.0

250g イギリス 5.9

300g フランス 6.3

400g 日本 4.2

500g 日本 6.5

なっとう味噌 250g イギリス 5.9

鉄火味噌 80g 日本 6.7

もろみ味噌 130g 日本 2.5

加工味噌加工味噌加工味噌加工味噌

淡色

赤(八丁)

味噌味噌味噌味噌

原料原料原料原料銘柄銘柄銘柄銘柄 色色色色 内容量内容量内容量内容量 製造国製造国製造国製造国

淡色

(調合含む)

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▼即席味噌汁

日本食品日本食品日本食品日本食品専門店専門店専門店専門店

自然食品自然食品自然食品自然食品専門店専門店専門店専門店

アジアアジアアジアアジア系系系系小売店小売店小売店小売店

フランスフランスフランスフランス現地系現地系現地系現地系小売店小売店小売店小売店

3333店店店店 2222店店店店 3333店店店店 2222店店店店

10g×4 イギリス 3.8 11.0

10g×4 ベルギー&ルクセンブルク 4.4

14g アメリカ 3.6

10g×11 日本 5.4

10g×11+1 日本 5.4

10g×3 フランス 2.1

10g×3 フランス 2.1

10g×3 日本 4.7

10g×3 日本 2.2

10g×4 イギリス 3.8 10.0

10g×4 ベルギー&ルクセンブルク 4.4

10g×4 フランス 4.2

15g アメリカ 3.6

10g×3 フランス 2.2

10g×3 フランス 2.2

10g×4 イギリス 3.4

10g×11 アメリカ 4.0

400ml 中国 1.2

400ml 中国 1.2

390ml フランス 4.4

10g×1 日本 4.2

銘柄銘柄銘柄銘柄

味噌汁味噌汁味噌汁味噌汁

色色色色・・・・形状形状形状形状

白(粉末)

白(生味噌)

赤(粉末)

赤(生味噌)

白・淡色(生味噌)

白(液状缶)

赤(液状缶)

赤(液状パック)

白・淡色(固形ドライ)

内容量内容量内容量内容量 製造国製造国製造国製造国

店頭調査は、日本食品専門店3店舗、自然食品専門店2店舗、アジア系小売店3店舗、フランス現地系小売店

2店舗にて実施。

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取扱取扱取扱取扱についてについてについてについて

日本食品専門店および自然食品専門店が、幅広い種類の商品を扱っている。日本食品専門店および自然

食品専門店で取り扱う味噌は、日本人になじみの深いブランドや、こだわった商品が多く見受けられた。価格は

比較的高く設定されるが、顧客には日本食飲食店ばかりでなく、フランス人のシェフの利用も多いという。

味噌は、フランス現地系小売店では取り扱いが少なく、日本食品専門店、自然食品専門店、アジア系小売店

で販売されている。製造国は日本以外にも、イギリス、フランスと様々であるが、味噌自体はほとんどどの商品

も日本製のものを使っていると考えられるため、バーコードの製造国はリパックして出荷する段階の国であり、

実際の中身は日本製の味噌と思われる。(一部の商品には、「日本産」「Product of Japan」の表記がみられ

た。)

一方、味噌を取り扱うフランス現地系小売店は多くないものの、取扱店舗ではバイヤーの考えが反映されて

いるためか(商品選定や仕入れを全て各店舗に任せる形を取っている大手小売チェーンは、各店舗のバイヤ

ーに一任されているため、バイヤーの日本食への意識が大きく影響していると考える)、味噌そのものは扱わ

ず、インスタント味噌汁が多く見られた。中食化している寿司の付け合せなど、味噌の扱いの知見の少ないフラ

ンス人にも利用しやすい形のものを選定していると考える。

フランス現地系小売店には、日本食のブランドシリーズのものが多く見られ、味噌を扱うブランドシリーズで

いえば、英国「Clearspring」ブランド、米国 Baycliff Company の「Sushi Chef」ブランド、Distriborg の「Tanoshi

(楽)」ブランドである。これらのブランドシリーズの日本食は、他の日本食材と比べると手頃な価格で提供され

ている。

▲「Clearspring」ブランド ▲「Sushi Chef」ブランド ▲「Tanoshi(楽)」ブランド

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価格価格価格価格についてについてについてについて

複数の店舗で重複している商品が少なく、また各店舗の規模も異なるため、単純な比較はできないが、価格

面ではアジア系小売店 < 自然食品専門店 ・ 日本食品専門店 < フランス現地系小売店と続く。

アジア系小売店は、現地日本風飲食店などが卸し先であるため、一括仕入れやすでに市場に出回っている

単価の安い商品の選出などにより、コストを抑えていると考える。その他、ジェトロの報告書8によると、アジア系

小売店は「場所が13区や18,19区のチャイナタウンにあり、不動産コストが割安であることも強みである。また、

日本食材店や韓国系食材店にも言えることだが、フランス系企業に比較して、社員の労働効率性が高いことも

理由」とされている。

日本食品専門店・自然食品専門店は、店舗ごとに市場であまり出回らない商品を置いている。例えば、大衆

的なある日本食品専門店では日本での知名度が高いブランドのものを扱っており、またこだわり商品を扱うあ

る日本食品専門店では、店主によって厳選された味噌を扱っていたりしていた。これらの日本食品専門店・自

然食品専門店は、チェーン店ではない単独の店舗であり規模の経済が適用しない点や、パリの都市部に店を

構えるなど立地の点などで、比較的割高な価格に反映されていると考える。

フランス現地系小売店は、調査した両店舗とも比較的中~高所得層を対象としたスーパーであるため、価格

は高めに設定される傾向にある。ジェトロの報告書3によると、「フランス現地のハイパー、スーパー、デパート

での価格設定が高いのは、元々フランスの流通のマージンが高いこともあろうが、在庫の回転の予測に慣れて

いないため、高めの設定がなされていることも理由」という。

8 ジェトロ 「フランスにおける日本食・食材普及の現状及び市場拡大可能性」(2009)

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■■■■ヒアリングヒアリングヒアリングヒアリング結果結果結果結果((((小売対象小売対象小売対象小売対象))))

下記はパリにある小売店および食品メーカーの担当者に対して行ったヒアリングの概要である。

□□□□日本食品専門店日本食品専門店日本食品専門店日本食品専門店

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

フランス向け味噌の輸出量が伸びているとは言うものの、それは総量のことなので、小売りという点ではさほ

ど成長を感じていない。また、フランスに普及している感覚もない。

味噌汁をメニューとして出しているのは、日本風レストランのみ。(日本人のお店は出さない。)但し、それら

の日本風レストランでも使用しているのは大抵日本産の味噌。現在、味噌の卸し先で一番消費が多いのは、ラ

ーメン店(味噌ラーメン)である。

【【【【味噌味噌味噌味噌のののの輸出事業輸出事業輸出事業輸出事業におけるにおけるにおけるにおける意見意見意見意見・・・・要望要望要望要望】】】】

日本食として味噌を売るのは良いが、フランス料理に融合させるのは限界があるのではないか?

フランス人の味覚に合う味噌製品を作ったら打開策になるかもしれない。

肉の味噌漬けなど、加工品の方がよいだろう。

取り扱う味噌の選定は価格の問題が大きく、割安な海外工場産の日本味噌を取り扱っている。小売店として

は、もっと価格を抑えるための補助など、現実的なサポートを望んでいる。

□□□□フランスフランスフランスフランス現地系小売店現地系小売店現地系小売店現地系小売店

【【【【現状現状現状現状】】】】

理念は「さまざまなお客さまのニーズに柔軟に対応すること」であるため、その一貫として、日本を含むアジ

ア食材の取扱も行っている。展開するチェーン店のうち、約 100 店舗にて日本食材の取扱をしており、アジアの

食材としては、「日本」「中国」「タイ」「ベトナム」の食材を計約 30 種取り扱っている。

約 14~15 年ほど前には、まだ日本食が今ほどブームではなかったが、トレンドを常に追求する我々は、いち

早く「Sushi」の扱いを始めた。その 2~3 年後には、家庭で寿司が作れる「Sushi キット」の販売を始め順調に

売上を伸ばしている。

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□□□□フランスフランスフランスフランスをををを含含含含めめめめ海外海外海外海外でででで展開展開展開展開してしてしてしているいるいるいる日本日本日本日本のののの食品食品食品食品メーカーメーカーメーカーメーカー

【【【【必要必要必要必要なななな啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動】】】】

日本食文化をどういった形で伝えて行くかがキーであり、それには下記の3つの手法があると考えている。

①プロ向け

トップシェフに味噌を使ってもらうことで、プロからプロ(レストランなど飲食業界)へと伝わる。

②日本食文化に興味のある一般向け

この層には、日本文化会館で日本料理セミナー等を展開。

③その他の一般向け

サロンや展示会・見本市で、味噌と触れ合う機会を創出。そこから、味噌という食材を発見→興味を持って

もらう。商品に関しては、一般消費者にも分りやすいパッケージと使用方法の説明が必要である。

□□□□フランスフランスフランスフランスをををを含含含含めめめめ海外海外海外海外でででで展開展開展開展開しているしているしているしている日日日日本本本本のののの食品食品食品食品メーカメーカメーカメーカーーーー –––– ママママルコメルコメルコメルコメ

【【【【現状現状現状現状およびおよびおよびおよび供給先供給先供給先供給先】】】】

業務用味噌は、海外の工場で生産し、現在 200 店以上に利用されている。一方、小売向けには日本から

輸入したものを販売している。

フランス大手チェーンであるカルフールのようなメインストリーム系スーパーへ参入するのは極めて困難で

あり、彼らとのコネクションが必要である。フランスでチェーン展開しているオーガニック系の小売店ナチュラリ

アについても、以前売り込んだが断られた。

フランス人にとって“味噌=味噌スープ”であり、味噌自体に対する知識は全くと言って良い程ない。フランス

の小売店は、現在の扱い量で満足している状態で、これ以上仕入れを増やす意向はないようだ。さらに、小売

店側が味噌の管理方法を知らないため、多くの店舗で味噌が変色してしまう。

【【【【必要必要必要必要なななな啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動啓蒙活動】】】】

フランスで普及させるには、まず味噌の特長や知識をフランス人(シェフ)に教え、彼らの食文化にあった味

噌料理を考案させなければならない。(以前、ドイツでコンソメを出汁とした味噌汁を作ったところ好評だっ

た。)フランスは発酵食品が多いものの、発酵食品の調味料は少ない。そこにオリジナル性が出せれば味噌

の市場は拡大するのではないだろうか。

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【【【【参考資料参考資料参考資料参考資料】】】】 各各各各メーカーメーカーメーカーメーカー・・・・商社商社商社商社のののの海外展開海外展開海外展開海外展開におけるにおけるにおけるにおける味噌普及施策味噌普及施策味噌普及施策味噌普及施策

□□□□【【【【事例事例事例事例①①①①】】】】 マルコメマルコメマルコメマルコメ USA Inc.USA Inc.USA Inc.USA Inc. のののの取組取組取組取組(※米国の工場で味噌を製造)

【【【【店頭店頭店頭店頭プロモーションプロモーションプロモーションプロモーション】】】】

「フランスにおける取り組みでは、まず本来の味噌汁の味を知ってもらうべく小売店の店頭にて試食販売

(月 1 ペース、これまで 2~3 回)を実施している。日本食材店に来るフランス人ということもあり、好評ではある

ものの、以前豚汁の具材にこんにゃくやごぼうなど彼らの馴染みのない食材に対して拒否反応を示されたので、

フランス人の家庭にある食材へアレンジした。以前、ドイツのアヌーガ(※食品展示会)でコンソメを出汁とした

味噌汁を作ったところ好評だった。」(同社ヒアリングより)

【【【【フランスフランスフランスフランス現地現地現地現地でのでのでのでのシェフシェフシェフシェフ・・・・一般消費者対象一般消費者対象一般消費者対象一般消費者対象セミナーセミナーセミナーセミナー】】】】

2010 年 2 月に、日本文化会館でフランス人シェフと一般消費者(各 20 名)それぞれに対し、味噌セミナーを

実施し、日本から和食料理人を講師に招き、味噌の調理法などのレクチャーを行った。

目的:

1) 現役で活躍するシェフへ調味料としての素晴らしさを伝えることによって彼らの料理へ味噌の導入を促

進する

2) 一般消費者へ味噌の教育を行うことにより家庭での味噌使用頻度を上げる

内容:

① 第一部:シェフ向け 25 名前後

15:30~16:00 味噌の歴史、味噌の種類、味噌の作り方等講義

16:00~17:00 実演セミナー (随時試食)

a) 酢味噌和え

b) すだれ真薯スープ仕立て

c) フォアグラの西京味噌漬け焼き

d) 子羊もも肉の味噌煮

e) 玉葱のホワイトソース味噌掛け

f) 鶏琥珀揚げ

17:00~17:30 質疑応答

② 第二部:消費者向け 25 名前後

18:30~18:50 プロ向けのものをベースに一般向けに変更したもの

18:50~19:40 料理教室

料理教室メニュー

a) 味噌ポタージュ

b) 鮭の西京味噌漬け焼き

c) 子羊もも肉の味噌煮

d) 味噌饅頭

19:40~20:00 質疑応答

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消費者向けセミナーは、パリ在住の食文化ジャーナリスト相原由美子氏による味噌についてのプレゼンテー

ションと味噌の試食、シェフによる味噌を使った料理の実演と試食の2つのパートで構成されていた。プレゼン

テーションでは、味噌の歴史、味噌の種類、味噌の作り方等が講義され、またベーシックな味噌料理として味噌

汁、発展料理として鍋料理などがスライドで紹介され、参加者からは活発な質問が出るなど、非常に興味深い

様子であった。

続いて、行われた松岡敬司氏 (関西調理師協会 古萌会 常任理事)と、栄田輝彦氏(港区六本木「日本料

理 篁-たかむら-」料理長)による実演では、味噌ポタージュ、鮭の西京みそ漬け焼き、子羊もも肉の味噌煮、

味噌饅頭など、和風メニュー中心で、参加者がよく味わって試食しているのが印象的であった。

上記のセミナー構成により、参加者は、まず味噌について理解し、味噌そのものの風味を体感し、さらに、味

噌が色々な食材と合いやすく、味噌自体の風味を保ちながらもいくつもの味わいに変わっていくことが体験でき、

味噌への理解促進、興味喚起につながっていた様子である。

□□□□【【【【事例事例事例事例②②②②】】】】 他他他他のののの日本日本日本日本食材食材食材食材のののの普及施策事例普及施策事例普及施策事例普及施策事例 –––– 醤油醤油醤油醤油((((キッコーマンキッコーマンキッコーマンキッコーマン株式会社株式会社株式会社株式会社のののの取組取組取組取組))))

「1973 年に西ドイツで、鉄板焼きレストランを開店し、鉄板に醤油をたらして香ばしい香りを店内中に充満させ

るなどの演出を実施した。」

(フランス側の商社より)

「アメリカでのしょうゆの普及は、肉料理としょうゆの相性のよさを伝えたことで飛躍的に広がりました。

まず、スーパーマーケットを中心に、しょうゆを肉につけて焼き、試食してもらうデモンストレーションを行いま

した。さらに家庭料理への取り入れ方については、レシピを開発し新聞や雑誌などのメディアを通して広め

ていきました。

“Delicious on Meat”というキャッチフレーズで、これらの積極的なプロモーションを行った結果、しょうゆは肉

料理にとてもよく合う調味料である、ということが理解されていきました。

このしょうゆと肉の組み合わせをより容易にするために生まれたのが「テリヤキソース」です。1961 年の販

売開始から現在まで高い人気を維持しており、「TERIYAKI」は、いまではウェブスターの辞書にも記載されて

います。」 (キッコーマン株式会社 WEB サイトより)

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▼ フランスの日本食飲食店(※日本人以外の経営店が中心と考える)にもおいてある2種類の醤油 (左:通常、右:砂糖入り)

フランスでは醤油というと、通常の醤油と砂糖入りの甘辛醤油を指す。日本食飲食店(※日本人以外の経営店が中心と考える)でも当たり前にお

かれている。現地では、ご飯にこの甘辛醤油をかけてよく食べられているとのこと。

□□□□【【【【事例事例事例事例③③③③】】】】 フランスフランスフランスフランス以外以外以外以外のののの国国国国におけるにおけるにおけるにおける普及施策事例普及施策事例普及施策事例普及施策事例 ---- アメリカアメリカアメリカアメリカのののの味噌事情味噌事情味噌事情味噌事情

料理人料理人料理人料理人はははは高高高高いいいい評価評価評価評価

米国の料理人やメディア・流通関係者の評価は高いが、地域によって認知度にばらつきがあり、一部の消費

者以外への普及が遅れている。和食ブームで輸出量が伸びている味噌は外国での存在感を増しているが、

ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市以外での認知度は概して低いようだ。

料理人や一般消費者の評価や使用意識は高いが、使用を促進する環境が整っていない。味噌に関する知

識や使い方などが限定され、明らかに情報不足だ。国内の需要が頭打ちなだけに輸出に活路を見いだす味噌

メーカーも多いが、商品だけではなく日本の“文化”としての輸出が望まれる。

独創的独創的独創的独創的メニューメニューメニューメニュー続続続続々々々々

海外で人気の日本料理。味噌の輸出も右肩上がりで、和食ブームをけん引している。特に味噌の最大輸出

国である米国では、和食の完成度の高さやヘルシーさがメディアでも伝えられ人気だ。 全米で約 9000 店舗あ

るすし屋や、スーパーの惣菜としても欠かせないアイテムとなっている。インターネットの浸透で今後普及は加

速すると見られている。

味噌の認知状況にはばらつきがある。東西海岸地域の大都市では若年層を中心に比較的認知度は高い

が、中西部など他の地域ではほとんど知られていない。自宅で使用する例はまれだ。料理人などは新素材とし

て レシピに積極的に取り入れる傾向にあるが、一般消費者は「味噌=味噌汁」というイメージが強いようだ。

具体的なイメージは「健康的で受け入れやすい」「エキゾチック(異国的)で汎用性がある」など、料理人に

比較的好評。どのレストランでも調理法により違和感なく受け入れられているようだ。

メニューは銀ダラの西京焼きが最もポピュラーな一品。「赤・白・西京・八丁・仙台味噌を使い分けている」「メ

ニューの 25%に味噌を使っている」レストランもある。和食だけではなく、赤味噌を混ぜたホワイトチョコレート

アイスやカステラと味噌アイスのサンドイッチ、味噌を使ったカクテル、乾燥させた味噌を塩代わりに使う店も

あり、使用方法は独創的だ。

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限限限限られたられたられたられた調達経路調達経路調達経路調達経路

多くのレストランは味噌の調達を日系貿易商社に頼っている。しかし、小規模な店舗では「米国内で流通して

いる市販品から選ばざるを得ない」状態で、選択肢は限られている。特に非和食店への流通経路は限られ利

益も低いため、商社や代理店のセールス意欲も低いのが現状だ。

味噌自体には普及を阻害する要因は少ないが「情報不足」「理解不足」「流通構造の未整備」「競合商品(廉

価な中国産味噌)の台頭」など、環境的なネガティブ要因は少なくない。

米国では、料理人にも一般消費者にも味噌を実際に使うヒントになる情報が不足している。使い方が分から

ないというのが共通の悩みだ。レストラン関係者からは「パッケージに英語表記が欲しい」「容器の使い勝手が

悪い」などの意見が多い。また、味噌汁は「和食店やすし屋で提供されるもの」という考えが根強く、非和食店で

の商品化は難しいようだ。

一部商社からは「味噌汁は無料という既成概念を打ち破るのは難しい。無料だから飲んでいるが、積極的に

飲んでいるケースは少ない」との声もある。メディア関係者も「醤油は普及したが味噌は一般家庭の常備品に

は程遠い」「家庭で味噌を溶いて味噌汁を作るという行為に親近感がない」と厳しい見方をしている。

味噌の普及には情報提供が欠かせない。製品情報やレシピはもちろん、試食やイベントなど、メーカーと流

通が一体となった販促が重要だ。「郷に入っては郷に従え」で、味噌をアメリカの食文化の一部と位置付け、供

給側は対策を練らなければならない。」 (引用部分:日本食糧新聞(2008 年 4 月 3 日掲載記事)より抜粋)

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2222----2222 フランスフランスフランスフランスのののの消費者消費者消費者消費者・・・・シェフシェフシェフシェフなどのなどのなどのなどの味噌味噌味噌味噌にににに対対対対するするするする認識認識認識認識

醤油やフランス以外の国での日本食普及施策事例でも、普及の最初のアプローチにはやはり業務用(主に

飲食店)に行い、シェフ⇒現地小売⇒一般生活者へと認知・利用を拡大している。フランス人は Authenthic なも

の(本物志向、お墨付き)を好む傾向にあり、フランスでは食に関してはシェフ(特に有名シェフ)の言動は大きな

影響力を持つ。新しい食材の普及においては、シェフの存在は欠かせないものであると考える。

消費者消費者消費者消費者のののの味噌味噌味噌味噌にににに対対対対するするするする認識認識認識認識 ---- 1111....一般生活者対象一般生活者対象一般生活者対象一般生活者対象インターネットインターネットインターネットインターネット調査調査調査調査

フランスにおける普及には、業務用からのアプローチが有効と仮定したが、受けて側のフランスの一般生活

者の味噌への関心・許容は現在どれほどなのかを把握する必要がある。そのため、パリ在住の一般生活者 20

代~60 代を対象に、インターネット調査を行い、一般生活者の嗜好をまとめた。

□□□□調査概要調査概要調査概要調査概要

調査日: 2010 年 2 月 1 日(月)~2010 年 2 月 7 日(日)

調査対象者: パリ在住 20~50 代男女

サンプル数: 男性 94 人、女性 106 人

20 代 54 人、30 代 55 人、40 代 47 人、50 代 44 人

総サンプル: 200 名

調査方法: Web パネルによるインターネット調査

性別 年代 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳 総計

人 27 25 22 20 94% 13.5% 12.5% 11.0% 10.0% 47.0%人 27 30 25 24 106% 13.5% 15.0% 12.5% 12.0% 53.0%

54 55 47 44 20027.0% 27.5% 23.5% 22.0% 100.0%

男性

女性

総計

職業 人 %会社員 60 30.0%

会社幹部・管理職, 高度な知的職業 41 20.5%

職人, 自営業, 経営者 17 8.5%

仲介業 14 7.0%

農林水産業 1 0.5%

その他 5 2.5%

無職・退職者 26 13.0%

不明 36 18.0%

合計 200 100.0%

サンプルは 20~50 代まで男女とも均等に近い状態で割り付けた。

職業では、会社員および会社員幹部・管理職含めて 50%である。

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□□□□調査結果調査結果調査結果調査結果

フランスでは、漫画や映画などから若い人を中心に日本ブームが起きているという。そこで、まず日本への関

心度を年齢別にみる。

【【【【日本日本日本日本へのへのへのへの興味興味興味興味・・・・関心度関心度関心度関心度】】】】

Q 日本へ関心がありますか。※全員対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

とてもある 29.5% 31.5% 27.3% 27.7% 31.8%

まあある 33.0% 37.0% 21.8% 44.7% 29.5%

あまりない 17.5% 13.0% 21.8% 14.9% 20.5%

まったくない 3.0% 3.7% 3.6% 2.1% 2.3%不明 17.0% 14.8% 25.5% 10.6% 15.9%

日本への関心あり(TOP2合計) 62.5% 68.5% 49.1% 72.3% 61.4%

↓↓↓↓

日本への関心は、全体の約 60%が持っている。そのうち、関心の高い回答者は約 30%。

年代別にみると日本への関心が最も高いのは 40 代であり、次に 20 代である。そのうち「とてもある」と回答した

関心の高い回答者の比率をみると、20 代の回答者が高いのがわかる。

Q 日本に関心のある理由をお答えください。(複数回答可)

※関心が「とてもある」「まあある」回答者対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

日本の文化に興味がある  41.0% 48.1% 40.0% 38.3% 36.4%

日本人の家族・友人がいる  8.0% 3.7% 7.3% 6.4% 15.9%

日本へ旅行に行ったことがある 4.5% 3.7% 1.8% 8.5% 4.5%日本に関係した仕事をしている  3.5% 3.7% 1.8% 4.3% 4.5%

日本語をならっている 2.0% 0.0% 3.6% 4.3% 0.0%

その他 19.5% 20.4% 12.7% 27.7% 18.2%

日本に関心のある理由については、関心者のうち、「日本の文化に興味がある」と 20 代が最も多く答えてい

る。日本の知人や家族によるものではなく、純粋に自らの興味・関心が高いのは、20 代の若い層といえる。

【【【【日本食日本食日本食日本食へのへのへのへの興味興味興味興味・・・・関心度関心度関心度関心度】】】】

Q 「日本食への興味はありますか?」※全員対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

とてもある 44.5% 51.9% 43.6% 44.7% 36.4%

まあある 39.5% 37.0% 41.8% 42.6% 36.4%

あまりない 9.5% 7.4% 5.5% 6.4% 20.5%まったくない 6.5% 3.7% 9.1% 6.4% 6.8%

日本食の興味あり(TOP2合計) 84.0% 88.9% 85.5% 87.2% 72.7%

↓↓↓↓

日本食への興味を持つ回答者は全体の約 80%。

そのうち、日本への関心が高い 20 代の若い層が最も関心が高い。

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Q 「日本食へ興味のある理由は?」(自由回答)※興味ある回答者のみ対象

やはり「健康」「食事療法」などの声が多くみられる。また、生魚に関する記述も多く、生魚といえば和食といっ

たイメージを持つ回答者が多いようだ。生魚をはじめ、新鮮、素材という言葉など、食材のバリエーションなどに

「目新しい」と感じたという理由も目立つ。続いて、「おいしい」「個性的」「エキゾチック」「上質」「シンプル」という

理由が続いた。

※以下、自由回答より抜粋

【健康】

・フランス料理と全く違い、美味しくてヘルシー。

・とても健康に良さそうだし、テーブルの日常に変化をくれるから。

・健康に良い、カロリーが少ない、魚を食べる機会がある。

・健康的で、バラエティにあふれていれ個性的な料理

・食事療法の料理

・西洋料理と違い健康的な料理

・日本料理はとても体にいいので気に入っています。素材を活かしたシンプルな味が好きで、調理方法は私た

ちの知っているものと全く違っているので興味があります。

【目新しい(生魚などの食材)】

・あまり重くない、生魚の食べ方、斬新な調理方法、新しい味の発見。

・シンプルな食べ物だが上質で味が合う。健康に非常に良い。食品に粘着性があるのが興味深い。クオリティ

の高い食品。デザートが好き。甘くない粘着性のある食品がある。

・フランス料理とは違う。

・生ものを食べる日本料理が好きです。

・寿司、米、生魚が大好きだから。自分で作れるようになりたい。

Q あなたの日常においてどんな時に日本食・食材を食べますか、また食べたいと思いますか(複数回答)※全員

対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

レストランで 71.5% 83.3% 61.8% 74.5% 65.9%

パーティの時 18.5% 22.2% 20.0% 19.1% 11.4%

友人・親類宅で 17.5% 20.4% 20.0% 10.6% 18.2%自宅で 13.5% 18.5% 10.9% 12.8% 11.4%

ダイエットをする時 6.5% 5.6% 5.5% 12.8% 2.3%

その他 18.5% 13.0% 27.3% 14.9% 18.2%

日本食の利用は、「レストラン」がダントツであり、やはりまだ新しい食材や異国の食材を家庭に普及させる

のは難しい状況といえる。一方、「自宅で」と回答した者は 20 代で最も多く、約 20%があてはまるとしている。現

在の日本食の関心や日本食の利用は、やはり日本に関心の高い 20 代前後の若い層が牽引している言えそう

だ。

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【【【【味噌味噌味噌味噌のののの認知度認知度認知度認知度】】】】

Q 日本の食材である「味噌」を知っていますか。※全員対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

知っている 42.5% 46.3% 41.8% 48.9% 31.8%

名前は聞いたことあるが何かは知らない 13.0% 14.8% 10.9% 6.4% 20.5%知らない 42.5% 38.9% 45.5% 42.6% 43.2%

不明 2.0% 0.0% 1.8% 2.1% 4.5%

日本食へ関心のある回答者が全体の約 80%いる一方、味噌を知っているものは約 40%と半分である。

Q どこで味噌をしりましたか。※味噌認知者対象(「知っている」回答者)

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

日本食レストラン 64.0% 78.8% 62.1% 61.5% 47.8%

テレビ 6.3% 9.1% 6.9% 3.8% 4.3%

アジア系スーパー 4.5% 0.0% 6.9% 0.0% 13.0%

その他小売店 2.7% 0.0% 6.9% 3.8% 0.0%雑誌 2.7% 3.0% 0.0% 3.8% 4.3%

インターネット 1.8% 0.0% 0.0% 3.8% 4.3%

その他レストラン 0.9% 0.0% 0.0% 3.8% 0.0%

その他 10.8% 6.1% 13.8% 15.4% 8.7%

不明 6.3% 3.0% 3.4% 3.8% 17.4%

近年の和食ブームによる寿司屋(日本人以外の経営店も含め)の台頭により、味噌汁の認知は伸びたと考

えるが、味噌そのものの認知はまだ高くはないようだ。

【【【【味噌味噌味噌味噌のののの利用度利用度利用度利用度】】】】

Q 「味噌汁など味噌を使った料理を食べたことがありますか。※全員対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

よくある 38.9% 20.0% 21.3% 9.1% 23.0%

まあある 11.1% 16.4% 23.4% 18.2% 17.0%

あまりない 9.3% 10.9% 4.3% 13.6% 9.5%

まったくない 40.7% 50.9% 51.1% 54.5% 49.0%不明 0.0% 1.8% 0.0% 4.5% 1.5%

味噌の食経験あり(TOP2合計) 50.0% 36.4% 44.7% 27.3% 40.0%

↓↓↓↓

味噌を使った料理の食経験は全体で約 50%。そのほとんどが味噌汁であると考える。

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Q 味噌を食べたことがない理由をお答えください。※味噌の食経験の「あまりない」「まったくない」回答者対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

利用する機会がない 21.5% 23.1% 10.0% 23.8% 33.3%

調理の方法(レシピなど)、使い方を知らない

15.2% 3.8% 35.0% 14.3% 8.3%

興味がない 6.3% 0.0% 10.0% 0.0% 25.0%

興味はあるが日本食レストランや味噌を売っている店を知らない

5.1% 3.8% 0.0% 4.8% 16.7%

味・においが苦手・口に合わない 1.3% 3.8% 0.0% 0.0% 0.0%

パッケージ内の文字が読めない・説明がわからない

0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

量が多すぎて使いづらい 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%

その他 3.8% 3.8% 0.0% 0.0% 16.7%

Q 家庭において、味噌を使った料理をしたことがありますか。※味噌の食経験の「あまりない」「まったくない」回答者対象

全体 20歳~29歳 30歳~39歳 40歳~49歳 50歳~59歳

ある 15.3% 9.1% 20.7% 23.1% 8.7%ない 81.1% 87.9% 69.0% 76.9% 91.3%

不明 3.6% 3.0% 10.3% 0.0% 0.0%

味噌は、日本食レストランで食べる以外には、食べる機会がないのが現状のようだ。つまり、味噌はフランス

では、日本食飲食店(日本人以外の経営店も含む)で味噌汁として約半数に食されてはいるが、それ以外の約

半数は食べる機会もなく、味噌自体も知らないと捉えることができる。

Q 下記のレシピを見てお答えください。※全員対象

① ② ③

柚子みそのなす田楽牛ほほ肉の煮込み

(みそ風味)みそ風味マフィン

レストランで食べてみたい 36.0% 18.0% 30.6% 家庭で試してみたい 25.2% 27.9% 28.8% 食べたいとは思わない 11.7% 26.1% 9.0%

興味がない 7.2% 12.6% 16.2%不明 19.8% 15.3% 15.3%

食べてみたい 61.3% 45.9% 59.5%食べたくはない 18.9% 38.7% 25.2%

↓↓↓↓

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①柚子みそのなす田楽・・・なす田楽は味噌汁ほどではないが、わりとフランスでは知られており、日本食飲食

店でもメニューとして扱われているとのこと。日本食を前面に出したレシピだが、食べてみたいと答えた回答者

は約 60%。実際に、日本食飲食店でもメニューとして扱われているためか、「レストランで食べてみたい」との回

答者が多い。 ※同時にフランスでは柚子が知られてきている。

②牛ほほの煮込み(みそ風味)・・・洋食に味噌を取り入れたレシピだが、食べたくはないとの回答が他のレシピ

に比べ多い。フランス料理への味噌の安易な融合は逆効果であろうか。

③みそ風味マフィン・・・お菓子に味噌を取り入れたレシピだが、「家庭で試してみたい」という回答が、他のレシ

ピと比べると比較的高い。味噌をお菓子などスイーツのアクセントに使用するという可能性も考えられる。

20 代前後の若者を中心に起こっている日本ブームや、健康志向により日本食への関心は高い。好まれてい

る理由としては、「健康」「食事療法」といった健康に関するものが多いが、「新鮮」「生魚が好き」といった生もの

文化を評価する声も目立つ。一方、「上質」といった回答もちらほら見受けられる。

現在、フランスでは日本食は飲食店を中心に食されているが、フランス人は日本食飲食店と聞くと、日本

風飲食店と日本人経営店を混同して認識していると考えられる。(むしろ日本食飲食店≒ 日本風飲食店

を浮かべる方が多いかも知れない)

日本風飲食店では、寿司や焼き鳥のセットには大抵味噌汁がついてくるため、味噌汁の認知や消費も近

年高まっていると考える。しかし、味噌は認知においては味噌汁止まりであり、レストランはもちろんのこと

家庭では味噌が使われることはほとんどない。

日本食が好まれる土壌において、自然な食材である味噌は普及の余地はあると各関係者は語るが、一般

生活者へのプロモーションにおいては、認知の高い味噌汁など日本料理の一つと紹介していくのか、フランス

料理に融合していくのか、もしくはスイーツのアクセントなど日本料理ではあまり見られない形での普及なの

かという、味噌のポジショニング次第で反応は大きく変わるのではないかと考える。

以上、フランスの一般生活者を対象とした調査により、味噌のパッケージやプロモーションも、フランス人の

食意識や価値観に順応することが必要であるという結果が見えた。実際に、味噌はまだまだ日本食料理店で

味噌汁の材料として食される程度の規模である。それを一般の料理店さらには家庭への普及を考えると、フラ

ンス対応のパッケージなどの現行商品の改良だけでなく、テリヤキソースや甘辛醤油の事例のように、フランス

対応の商品開発も考える必要があると思われる。

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【【【【参考資料参考資料参考資料参考資料】】】】 日本日本日本日本食材食材食材食材取扱取扱取扱取扱ECECECECサイトサイトサイトサイト利用者利用者利用者利用者へのへのへのへのインターネットインターネットインターネットインターネット調査調査調査調査

味噌普及委員会委員である現地流通・小売業の「Palmifrance パルミフランス」の協力を元に、運営するニシ

キドオリマーケットという日本食材サイトの会員に対し、味噌に関するアンケートを行った。ここでは、味噌に特

化した質問を中心に調査している。

□□□□調査概要調査概要調査概要調査概要

調査日: 2010 年 1 月 25 日(月)~2010 年 2 月 27 日(水)

調査対象者: 現地流通・小売業「Palmifrance パルミフランス」運営の日本食材サイトの会員(シェフなど

プロを中心に約700名が登録) 総サンプル:293 名 調査方法:インターネット調査

Q 「味噌」という食材を知っていますか?

回答 %

食べたことがある 74.0% ※

名前は聞いたことがある 20.0%

全く知らない 6.0%

※味噌認知者対象「食べたことがある」「名前は聞いたことがある」

▼上記以外の回答からの抜粋

※味噌認知者対象「食べたことがある」

▼上記以外の回答からの抜粋

・・・・

↓↓↓↓

健全で体によい食品

調味料、ダシ

職人による手作り、文化的、伝統的

スープ(味噌汁)

Q 味噌に対してどのようなイメージを持っていますか?(自由回答)

Q 味噌の味をどう思いますか?(自由回答)

フランスで入手できる味噌は塩辛すぎる

・塩分を抑えた味噌が欲しい

・ケーキや飴など菓子類に使える味噌が欲しい

・甘辛の味噌が欲しい

ナチュラル、自然食品

味がよい、おいしい

回答(比較的多くみられたもの)

回答(比較的多くみられたもの)

・塩辛い食品

・ミネラル塩を多く含む

・たんぱく質を豊富に含む

・脂肪分の含有量が少ない

・種類によって味が濃厚もしくは淡白な食品

・高品質のものは入手しにくい

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- 42 -

□□□□調査結果調査結果調査結果調査結果

回答者の中にはシェフなど食関連の職業従事者が多く含まれると考えられるため、味噌の利用は約 70%と

高めである。また、味噌のイメージは、「健全」など健康的で体に良いというイメージが強く、同様に自然食品

というイメージももたれているようだ。

ただし、味噌を食したことのある回答者にとっては、塩辛すぎるという印象が強く、味噌の健康的なイメージ

とフランス人が実際に感じる味には矛盾がある。フランス在住者によると、フランス人はテリヤキ醤油などの、

甘辛な味を好むということもあり、甘めの味噌の要望が高い。

※味噌認知者対象

回答 %

確かに知っている 48.0%

限られた知識だが知っている 29.0%

知らない 23.0% ※

ブイヨンの味をよくするものとして

漬物に

回答(比較的多くみられたもの)

味噌料理などの用途を知りたい

各種ソースのベースに

調味料として

Q 料理における味噌の様々な用途を知っていますか?

Q 料理における味噌の様々な用途を知っていますか?(自由回答)

回答(比較的多くみられたもの)

※味噌の用途を知っている回答者対象「確かに知っている」「限られた知識だが知っている」

※味噌の用途を知らない回答者対象「知らない」

スープ(味噌汁)に

↓↓↓↓

・・・・

味噌の利用方法はやはりスープ(味噌汁)を思い浮かべるようだ。実際に、日本食料理店以外のフランス料

理などの店舗ではまだ味噌を使ったメニューは珍しいようである。

しかし、味噌の用途は知らないが、料理などの味噌の用途を知りたいと答える声が多く、味噌に食材として

の興味を持つ者は少なくないと考える。

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※味噌認知者対象

▼上記以外の回答からの抜粋

自分達が使っている味噌に関するリーフレット

製品ラベルに充分な量の情報を掲載する

Q 味噌について、どのような情報を要望しますか?(自由回答)

…… ……

・使用方法・使い方のヒントやアドバイス

・レシピ(味噌汁以外も。気軽に作れる料理、菓子類など)

・味噌の由来と歴史

・生産にあたっている職人の紹介

・原材料に関する正確な情報

・健康によい点

・西洋料理での使い方

回答(比較的多くみられたもの)

やはり味噌そのものに関するリーフレットや製品ラベルを欲する回答が多い。前述の通り、日本製造の味噌

の多くは、輸入品の販売における最小限の情報をラベルに貼ってある程度であり、海外製造の味噌でも文字

は多いが、それは複数言語で同じ内容を書いてあるだけであり、情報量はやはり少ない。店頭調査で確認した

ものでは、唯一、Distriborg の「Tanoshi 楽」ブランドが、フランス語で作り方をはじめとする情報をパッケージに

掲載していた。

消費者にとっても、また小売店にとっても、リーフレットなどの味噌に関する情報は、消費拡大において重要

であり、また、フランス対応のパッケージも1つの勝因となると考える。

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※味噌認知者対象

※味噌認知者対象

回答

非常に重要 99.0%

まあ重要 1.0%

※味噌認知者対象

回答

非常に重要 40.0%

まあ重要(製品の魅力を高める1つの要素になる) 40.0%

全く重要でない 20.0%

遺伝子組み換え作物使用の有無

有機食品であるか

Q 味噌を購入するにあたりパッケージへの明示が重要だと思う点は何ですか?(自由回答)

Q 「有機食品であるか」はあなたにとって重要なポイントですか?

Q 「遺伝子組み換え作物使用の有無」はあなたにとって重要なポイントですか?

回答(比較的多くみられたもの)

グルテンの有無

自然食品であるか

添加物や保存料の有無

味噌の種類やレシピなど味や使い方に関する情報に加え、BIO商品への関心が高いフランスでは、大豆な

どの原料そのものの情報やお墨付きも重要な要素となるようだ。特に、大豆は遺伝子組み換え作物と結び付

けられることが多いため、イメージが悪いようで、生活者も非 GM 作物の表示を気にする。フランスでの市場の

拡大として、現地の生活者の食意識も加味する必要があるよう だ。

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※味噌認知者対象

▼上記以外の回答からの抜粋

・味・オリジナリティー

・ナチュラル・自然食品であること

・食生活との関連性(メリット)

・栄養面の利点、治療行為

…… ……

・価格

・買いやすさ(入手が簡単、大手小売店での取り扱いなど)

回答(比較的多くみられたもの)

健康によい

Q どんな理由があれば味噌を使ってみたいと思いますか?(自由回答)

・使いやすさ

回答者の多くは、味噌の食材としての利点として、「健康」への良い影響と答えている。これは味噌のイメー

ジでもあり、一般生活者を対象にした調査においては日本食のイメージでもある。「味噌」の食材としてのオリジ

ナリティとしては、この「健康」食品であることをポイントといえる。

※味噌認知者対象

▼上記以外の回答からの抜粋

適切なパッケージであること

価格

保存方法

消費期限

健康への利点

オリジナリティー

・トレーサビリティー

・品質

・使いやすさ

・商品の由来

・有機であること

・遺伝子組み換え作物を使っていないこと

回答(比較的多くみられたもの)

…… ……

・レシピの提供

「比較的少量のパッケージ(200g程度)であること」、「場所をとらない」、「使い勝手がよい」、「環境に優しい」、など。

Q 味噌を購入するにあたり重要な点は何ですか?(自由回答)

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購入に当たっての重要な点として、価格や保存方法を上回って回答者全員がパッケージについて挙げてい

る。パッケージへの充分な情報の明示が望まれており、また消費機会や消費期限の問題から容量(200gが

理想とある)、そして使い勝手が、日常に利用する食材として重要なのであろう。フランス在住者によると、フラ

ンスにおいてマスタードはレストランのメニューでも家庭でも非常に馴染みがあ る食材であり常備されている

ため、同一企画の瓶形の容器は収納しやすいという。現地の食材店を見ても、瓶詰めの調味料は非常に多く

見られた。

また、保存方法についてであるが、購買を左右するほど重要な基準ではないにしても、200g程度で要冷蔵の

もの(冷凍可能であればなおよい)が好ましい。というのも、常温保存の場合、製品を戸棚の奥に入れたまま

忘れてしまう危険があるからだという。

フランスの一般生活者および業務用利用者を対象とした2つの調査により、味噌のパッケージやプロモーシ

ョンも、フランス人の食意識や価値観に順応することが必要であるという結果が見えた。

実際に、味噌はまだまだ日本食料理店で味噌汁の材料として食される程度の規模である。それを一般の料

理店さらには家庭への普及を考えると、フランス対応のパッケージなどの現行商品の改良だけでなく、テリヤ

キソースや甘辛醤油の事例のように、フランス対応の商品開発も考える必要があると思われる。

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2222----2222 フランスフランスフランスフランスのののの消費者消費者消費者消費者・・・・シェフシェフシェフシェフのののの味噌味噌味噌味噌にににに対対対対するするするする認識認識認識認識

フランスでは食に関しては、シェフの情報発信力・影響力は強く、有名レストランのシェフや、メディアに頻出

するシェフに関しては、影響力は絶大なものがある。フランスのメディア関係者も、新しい食材の普及には、シェ

フを巻き込んだプロモーションが非常に有効という。

ここでは、味噌メーカー「マルコメ USA Inc.」がフランスで行った味噌セミナーに参加したシェフへのアンケート

を元に、業務用利用での味噌の可能性をみていく。

シェフシェフシェフシェフのののの味噌味噌味噌味噌にににに対対対対するするするする認識認識認識認識 –––– 2222....味噌味噌味噌味噌セミナーセミナーセミナーセミナー参加参加参加参加シェフアンケートシェフアンケートシェフアンケートシェフアンケート

マルコメ USA Inc.主催の味噌セミナー参加者(シェフ)17 名にアンケート用紙にて調査を行った。17 名という

少人数による結果であるため定量的な判断はできないが、現在のフランスのシェフの傾向として捉える。

※味噌セミナー参加者を対象としているため、すでに味噌への関心が高いシェフによる回答結果である。

□□□□調査概要調査概要調査概要調査概要

調査日:2010 年 2 月 4 日(木)

調査対象者:マルコメ USA Inc.主催の味噌セミナー参加者(シェフ)

総サンプル:17 名

調査方法:アンケート用紙

□□□□調査結果調査結果調査結果調査結果

Q このイベントに参加する前に日本食・日本食材に関して知って(使って)いましたか?

回答 (人)

よく知っている(使っている) 8

興味はあった 6

ほとんど知らない(使っていない) 3

不明 0

総計 17

Q 味噌をはじめとする日本の食材を日常の調理に取り入れることに関してどうお考えですか。

回答 (人)

日本の食材も進んで取り入れたい 4

新しいもの・珍しいものであれば取り入れたい 2

現在のレシピや他の食材と合うのであれば取り入れたい 11

不明 0

総計 17

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味噌セミナー参加者を対象としているため、すでに味噌への関心が高いシェフが多く含まれるが、本事業の

調査全体を通して、フランス人シェフの食材への関心は非常に高いことがわかる。味噌に関しても、聞いたこと

がある者がほとんどであり、試用したことがある者も少なくない。(しかし、日常的に利用しているシェフはほとん

どいなかった。)シェフの業務においては、味噌を日本食としてではなく、現在のレシピや他の食材とマッチング

させる必要があるため、試用した者も自力で試行錯誤を繰り返しているようだ。

■味噌を試用したことのあるシェフの調理内容および反応

味噌を使った料理名 食事をされた方の反応 調理をしてのご感想・砂糖大根(テンサイ)のガスパッチョ(味噌入りドレッシング)・帆立貝のロースト、味噌のエマルジョン、生野菜

大変に良好な反応。 ―

・鳩のロースト 味噌とミュスカデ味・スモークピューレと数多くの調味料(味噌)

大変に良い反応。 大変に良い印象。

・味噌味のセロリのピューレ最初の反応は驚き。次に、味を引き立てる脇役として大変興味深いとの反応。

使いやすそうな食材、との印象。

・野鴨の腿肉のコンフィ・胡瓜と味噌

良い意味でびっくりしていました。 初めて使う者にとって、味噌は驚きです。

トルタ(torta)(イタリア語でケーキ類) 良好な反応 良い印象

人参のマリネ 味噌味 とても良い反応だが、少々塩辛い、とのこと。 ―

試用では、味噌を取り入れているようだ。(業務として食材の利用を検討するにあたり、日本食料理店のシェ

フでない限り、自身の分野においての味噌の導入を模索することは当然であろう。)主にソースやドレッシング

に取り入れており、野菜と合わせたメニューが多く見られる。

試作メニューへの反応は概ね良好である。少々塩辛いという意見も一部に見られたが、様々な種類の味噌

を試すことができれば、シェフも料理と各味噌のマッチングを模索できるであろうと考える。

Q 味噌のイメージをお聞かせください。

回答(人) 良い 普通 悪い 不明 総計

味 7 5 0 5 17

安全性 7 5 0 5 17

値段 0 8 2 7 17

健康感 5 7 0 5 17

シェフの味噌の評価は概ね良いようで、フランス人の味覚に合うかという部分で懸念されていた「味」に対し

ても良い評価を得ている。一方、「値段」では「悪い」という評価も見られ、割高感を感じているシェフもいるようだ。

前述の調査でも「高品質のものは手に入りにくい」、「フランスの味噌は塩辛すぎる」との声があり、普及にあた

っては、高品質かつ多種多様な味噌を日常的に使いやすい価格で提供することも重要だろう。

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Q 食材やレシピの情報を得る場合、どこで情報を得ていますか。(複数回答)

回答 (人)

友人・知人 7

他のレストラン・飲食店 6

インターネット 6

食関連展示会 5

一般の情報媒体(雑誌・新聞・テレビ) 5

業務用小売店 4

料理専門誌 2

一般小売店 1

講演会・研修会 1

業者の紹介・情報 0

その他・自分で試行錯誤して

・日本で4

新しい食材やメニューは、シェフ同士の口コミで広がることが多いようだ。あるシェフが飲食店やインターネッ

ト、食関連展示会・見本市で目にした食材を試し、そして他のシェフに伝えていくことで広がっていく構図である。

プロモーションにおいては、シェフに直接コンタクトを取ることができる手法で、確実にシェフに伝え、そして興

味・関心を抱かせるプロモーションが有効である。

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Q 日常の調理に味噌を取り入れる場合、問題だと考える点についてあてはまるものをすべてお選びください。

(複数回答)

回答 (人)

味噌を売っている店を知らない 7

調理の方法、使い方を知らない 6

パッケージが読めない・説明がわからない 3

栄養などのメリットがわからない 2

利用する機会がない 2

価格が高い 1

パッケージが大きすぎる・使いづらい 1

レシピに使いづらい(他の食材と相性が悪い) 0

フランス人の味覚に合わない(味・においなど) 0

興味がない 0

その他・全体的な知識不足

・フランスで手に入る味噌は塩と小麦粉を混ぜたような代物だから2

Q 味噌の情報や調理方法はどこで入手されますか?

回答 (人)

日本食材店(「KIOKO」の回答2人) 3

料理専門誌 1

インターネット 1

食関連展示会(SIRHA(シラ国際外食産業見本市)) 1

業者の紹介・情報   1

一般の情報媒体(テレビ・新聞・雑誌) 0

その他(知り合いが日本人、日本で知った) 4

既に味噌を利用しているシェフも、購入場所は日本食材店・卸であり、それ以外にはあまり出回っていないの

が現状のようである。味噌の利用同様に、味噌の購入先についても、情報を提供する必要があるようだ。

また、パリのある日本食材店の店頭では味噌の棚に、店側やメーカーが用意した味噌を使ったレシピカード

を置いている。2 日後に再度訪れた時はすでにレシピカードが全てはけてしまっているなど、顧客のニーズが伺

われた。レシピなどの味噌の説明をした販促ツールを小売店に配布し、味噌の棚に併設するなど、小売店での

販促活動も、現地シェフおよび一般消費者への利用拡大の一翼を担うと考える。

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以上、味噌を自らの分野の料理に融合することに関心を持つシェフは少なくないことが分かる。しかし、認知

はあるが知識が不足していたり、購入先がわからなかったりなど、シェフが興味・関心を持つ以前の問題がい

まだ数多く存在している。

現地のシェフには、新しい食材を積極的に試作して取り入れる意欲がみられる。価格など物理的な阻害要因

を残しつつも、シェフの口コミを利用したプロモーションやシェフの協力を仰ぐことにより、業務用で味噌の利用

が拡大する余地は充分あると考えられる。

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2222----3 3 3 3 フランスフランスフランスフランスののののプレスプレスプレスプレスのののの味噌味噌味噌味噌へのへのへのへの関心関心関心関心・・・・見解見解見解見解

□□□□料理専門料理専門料理専門料理専門ライターライターライターライター Bénédict BAUGÉBénédict BAUGÉBénédict BAUGÉBénédict BAUGÉ ベネディクトベネディクトベネディクトベネディクト氏氏氏氏

【【【【普及普及普及普及ポイントポイントポイントポイント】】】】

「Miso」は、フランス語で「みぞ」と呼ぶが、そのままの名称で、サブタイトルをつけた方がいい。

味噌が、フランス料理に入っていく可能性は、味噌をフランスの野菜スープの中に入れることができるのでは

ないか。半分日本で、半分フランスみたいなものがどんどんつくられていくので、ブログは自然にみんなの意見

が集まっていく。普及は、レストランプロへ。

【【【【プロモーションプロモーションプロモーションプロモーション】】】】

シェフやジャーナリスト向けには、Workshop ISSé、日本文化会館メゾンドジャポン(キッチン、施設が良い)で、

一つ一つの味噌の説明(色、バリエーション)、味噌が日本で伝統的に使われているか、どういう風に使われて

いるか、正しい情報をきちんと説明してほしい。一般向けには、大手スーパーとの提携がお勧めで、店内デモン

ストレーションも考えられる。料理学校アトリエシェフを活用すると、一般、プレス両方に効果的である。参加者

はもともと興味のある方だから、一般の消費者への周知というわけではないが、小さいところから始めていくの

も大事。

【【【【パッケージパッケージパッケージパッケージ】】】】

表示がはっきりしないのが問題で、パッケージ表示、小さなレシピなど、商品一つ一つに必要。チューブの容

器など大手スーパーが気に入るだろう。

【【【【メディアメディアメディアメディア掲載掲載掲載掲載】】】】

味噌は、メディアで注目されたことはないが、こんぶ、かつお、しょうゆ、だしはある。シェフのレシピで、雑誌

に掲載されていると必ず、だしの話(こんぶ、かつおより知られている)が出てくる。メディアに取り上げられるプ

ロセスは、まずトップの料理雑誌に出すと、他誌にも掲載される。「Elle àtable」読者は、一般もプロもで、よくでき

ている。「フィガロマダム」の新聞、土曜の特集記事についてくる紹介、そこで情報を得るようにいれるといい。

近年では、テレビよりもインターネット上でレシピを検索している人が多い。個人ブログで、アクセスの多いブロ

グもあり、個人でもプロでも、アクセスが多いブログの方と契約するのはどうか。レシピサイトはかなりあり、統

合サイトもあるけれど、それ程、有名ではなく、それよりも、あなた方が一般家庭でも使えるようなサイトを作っ

た方がいい。サイトよりブログの方が、見られている可能性が高い。ただ、今回、サイトとして辞書みたいな形で、

日本の料理、材料のことや、レシピがあり、ブログでみんなが自由に入ってこられる2つがあるものをつくっても

らえれば、ベストだ。特に食を対象とした検索サイト、現代ではこういったことが成功につながる。

【【【【そのそのそのその他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例】】】】

過去に、海外の食材で有名になったのは、バルザミックのお酢、それからキッコーマンの醤油はすばらしく、

1990 年代、プロモーションを頑張った。キッコーマンからメディア関係者への招待旅行など、プレスへのアピー

ルがすごかった。さらに、コンクールなどその他次々につなげていくためのプロモーションが行われていた。

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□□□□食文化食文化食文化食文化ジャーナリストジャーナリストジャーナリストジャーナリスト

【【【【普及状況普及状況普及状況普及状況】】】】

質の高い白味噌を取り扱った結果、ある商社では売れ行きがのびている。味噌を使った料理では、さけの味

噌漬けが、フランスで一番食べられていると思う。味噌の消費量に関して言えば、有名シェフは少なく、味噌ラ

ーメンは多い。

【【【【普及普及普及普及のののの課題課題課題課題】】】】

フランスにおいて、輸送、保存の問題がある。また味噌は分かっても、自分たちのところにどうやって取り入

れるかが課題。

【【【【普及普及普及普及ポイントポイントポイントポイント】】】】

ニュートラルな味から始めた方がよく、フランス人の好きな馴染みある食材とあわせるといい。例えば、乳製

品など、味噌と同じ発行醸造の食材など。味噌を売るなら周辺のものを考えた方がいい。また、シェフと協力し

たプロモーションもよい。(例えば、日本を熟知しているフランスのシェフ。) 大きいレストランは大体3ヶ月でメニ

ューを変える傾向にあるので、そこに組み込めれば。

【【【【味噌味噌味噌味噌のののの種類種類種類種類】】】】

京都の白味噌、甘くて使いやすい。

【【【【パッケージパッケージパッケージパッケージのののの課題課題課題課題】】】】

使用量を考えた小さな瓶がいい。

【【【【プロモーションプロモーションプロモーションプロモーション方法方法方法方法】】】】

展示会・見本市でのデモンストレーションが有効。

【【【【有効有効有効有効メディアメディアメディアメディア】】】】

シェフ向け:「LE CHEF」、「APICIUS」(機関紙スペイン語、フランス語、英語、イタリア語と、世界中で販売され発

行部数多い)

主婦向け :「ELLE」「Regal」「Gault Millau」「LE FIGARO」もよい。

【【【【そのそのそのその他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例他食材海外普及成功事例】】】】

醤油は、1970 年代終わり、フランスのシェフが日本に行って取り入れ、20~25 年で広まってきた。

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((((3333)))) フランスフランスフランスフランスにおけるにおけるにおけるにおける味噌味噌味噌味噌のののの普及普及普及普及のののの可能性可能性可能性可能性およびおよびおよびおよび提言提言提言提言

本事業の戦略プランを検討するにあたり、現地にてシェフをはじめとする食関連の有識者による味噌普及委

員会を開いた。ここでは、これまでの現状把握的な調査ではなく、各々の立場からの方々の意見を元に、味噌

の普及の可能性および具体的な提言を頂いた。

□□□□味噌普及委員会味噌普及委員会味噌普及委員会味噌普及委員会概要概要概要概要

調査日: 2010 年 2 月 3 日(水)

メンバー:食関連の有識者 ※各委員の紹介は p.63 参照

■フードクリエイター Gontran CHERRIER(ゴントロン シェリエ)氏

■シェフ William LEDEUIL(ウィリアム ルドイユ)氏

■料理学校 Antoine SCHAEFFER(アントワンヌ シェフェール)氏

■流通・小売(LE DELAS ル・デラス) Antoine BOUCOMONT(アントワンヌ ブコモン) 氏

■流通・小売(Palmifrance パルミフランス) Olivier DERENNE(オリヴィエ デゥレンヌ)氏

■流通・小売(FOODEX フーデックス) Yomei NAKATANI(ヨーメイ ナカタニ)氏

■プレス(『WASABI』ワサビ) Patrick DUVAL(パトリック デュバル)氏

内容: ・味噌各種およびシェフによる味噌創作メニューの試食、アンケート調査。

・フランスにおける味噌の普及促進策の検討

1111....味噌各種味噌各種味噌各種味噌各種およびおよびおよびおよびシェフシェフシェフシェフによるによるによるによる味噌味噌味噌味噌創作創作創作創作メニューメニューメニューメニューのののの試食試食試食試食

味噌各種味噌各種味噌各種味噌各種のののの試食試食試食試食

日本から持参した 10 種の味噌を実際に試食してもらい、7 名の委員会メンバーに評価シートを記入してもらっ

た。

▼試食した味噌は以下の通り。

① メーカー1 銘柄A 米味噌(だし入り)・白/塩分 11.8%

② メーカー2 銘柄B 米味噌(だしなし)・白/塩分 4.7%

③ メーカー3 銘柄C 米・麦の調合味噌(だしなし)・赤/塩分 10.7%

④ メーカー4 銘柄D 米味噌(だし入り)・淡色/塩分 11.8%

⑤ メーカー4 銘柄E 米と豆の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分 10.5%

⑥ メーカー5 銘柄F 米と麦の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分 10.4%

⑦ メーカー6 銘柄G 麦味噌(だしなし)・淡色/塩分 11.0%

⑧ メーカー7 銘柄H 金山寺みそ(嘗めみそ)

⑨ メーカー8 銘柄 I 豆味噌(八丁みそ)・赤/塩分 10.6%

⑩ メーカー9 銘柄J 豆味噌(だしなし)・赤/塩分 11.0%

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味噌はソラマメ大の 10 種の味噌を 1 皿に並べて提供、野菜およびクラッカーを添えた。味噌は下記の状態で提

供し、個々の味噌に関する情報は一切与えないブラインド方式とした。

各自、1つずつ確かめるように味わっている。30分程度の時間をかけて、それぞれの味噌を下記の項目で評価

した結果は下記の通り。

(試食した委員がシェフや流通など様々な方で構成されているため、それそれの分野・立場により評価に偏りがみられたのも確かであり、下記評

価はあくまで個々人の意見であることをご了承ください。)

▼評価項目

【見た目】 色あい・ソースとして盛り付けた場合の美しさ等

【味のバランス】 塩味、甘味、味の深み等のバランス

【香り】 スープや調味料としての使用を想定して

【食感】 舌触り、ソース使用としての可能性

【その他】 この味噌についてのあなたの印象をお聞かせ下さい。

【その他】 この味噌に適していると思う食材と食べ方を教えて下さい。

※ 7 名の平均値 ※詳細は p.65 参照

【見た目】(色あい・ソースとして盛り付けた場合の美しさ等)

【味のバランス】(塩味、甘味、味の深み等のバラ

ンス)

【香り】(スープや調味料としての使用を想

定して)

【食感】(舌触り、ソース

使用としての可能性)

① メーカー1 銘柄A 米味噌(だし入り)・白/塩分11.8% 3.4 2.9 3.2 3.5

② メーカー2 銘柄B 米味噌(だしなし)・白/塩分4.7% 4.4 3.4 3.4 3.6

④ メーカー4 銘柄D 米味噌(だし入り)・淡色/塩分11.8% 3.9 3.9 3.4 3.5

⑤ メーカー4 銘柄E 米と豆の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分10.5% 3.6 2.6 3.2 3.0

③ メーカー3 銘柄C 米・麦の調合味噌(だしなし)・赤/塩分10.7% 3.7 3.6 3.4 3.7

⑥ メーカー5 銘柄F 米と麦の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分10.4% 3.3 3.9 3.6 3.4

⑦ メーカー6 銘柄G 麦味噌(だしなし)・淡色/塩分11.0% 3.4 3.6 3.7 3.2

⑨ メーカー8 銘柄I 豆味噌(八丁みそ)・赤/塩分10.6% 2.0 1.7 2.4 1.7

⑩ メーカー9 銘柄J 豆味噌(だしなし)・赤/塩分11.0% 3.3 3.3 3.3 3.0

⑧ メーカー7 銘柄H 金山寺みそ(嘗めみそ) 3.0 3.3 2.9 3.1

※各項目で平均値が上位2位の銘柄

▼米味噌(白)

▼米味噌(淡色)

▼米+豆味噌

▼米+麦味噌

※各項目で平均値が上位1位の銘柄

▼麦味噌

▼豆味噌

▼嘗めみそ

【【【【見見見見たたたた目目目目】】】】

②銘柄B(米味噌(だしなし)・白/塩分 4.7%)の評価がずば抜けて高く、続いて④銘柄D(米味噌(だし入り)・淡

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色/塩分 11.8%)が続く。見た目では、米味噌の白味噌、淡色味噌が好まれた。特にシェフは白味噌に高い評

価をつけており、ソースとしてもクリームとも合わせやすい白めの色が見た目としてよいようだ。

【【【【味味味味ののののバランスバランスバランスバランス】】】】

④銘柄D(米味噌(だし入り)・淡色/塩分 11.8%)と⑥銘柄F(米と麦の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分 10.4%)

が同点の評価であった。

味噌の種類に評価の偏りは見られなかった。

【【【【香香香香りりりり】】】】

⑥銘柄F(米と麦の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分 10.4%)と⑦銘柄G(麦味噌(だしなし)・淡色/塩分 11.0%)

の評価が高く、香りでは麦味噌が好まれた。

【【【【食感食感食感食感】】】】

②銘柄B(米味噌(だしなし)・白/塩分 4.7%)と③銘柄C(米・麦の調合味噌(だしなし)・赤/塩分 10.7%)が好ま

れた。②ではねっとりとした食感が好印象であるとの声がみられた。

また、麦味噌に関しては賛否両論であったが、粒や発酵の具合に高い評価があった。

【【【【適適適適しているしているしているしている食材食材食材食材とととと食食食食べべべべ方方方方】】】】

①銘柄A サラダ

②銘柄B 牛乳系のスープやデザート、パティスリー(ケーキ、パイなど)

③銘柄C 肉(豚、ゲームミート※牛豚鶏羊以外の食肉、鴨などの家禽)、野菜との組み合わせ

④銘柄D スープ、魚

⑤銘柄E 魚(白身魚)、若鶏など淡白なもの

⑥銘柄F あらゆる種類の家禽、魚、肉、また野菜

⑦銘柄G マリネや調味料、ソースに

⑧銘柄H デザートやチーズ、チョコレートとの組み合わせ

⑨銘柄 I ゲームミート※牛豚鶏羊以外の食肉、鴨などの家、茶色といった色を添える素材として

⑩銘柄J ソース

塩分の低い白味噌はデザートや牛乳、だし入り白味噌は野菜や魚に合わせたいという声がみられた。

また、赤味噌や麦・豆味噌は、家禽やゲームミートなどにおいの強いものや、ソースのアクセントとして思い浮

かべるようだ。全般的に、フランス人の味覚には塩分の強くない味噌が比較的好まれるようで、八丁味噌のよう

な香りが強く塩分も強く感じるような赤味噌にはまだ戸惑うようだ。

しかし、これははじめて食べる味噌に対しての感想であり、実際、試食後の感想では、味噌がこれほどまで

に多種多様で、味もこうも違いがあるとは驚いた、という声が多かった。

慣れない食材に対しての反応は上記の通りであったが、実際に味噌を知り、使われるようになることで、そ

れぞれの味噌に合った使われ方が、現地のシェフによって開発されていくと考える。

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次の味噌の試食に続いての現地シェフによる味噌を使った創作メニューにおいても、白味噌、赤味噌などの

イメージの枠を超えたメニューが登場した。現地の食関連業者に、日本の様々な種類の味噌を紹介することで、

現地ならではのメニューにアレンジされ、フランス人の味覚に合わせた普及がなされていくだろう。

味噌創作味噌創作味噌創作味噌創作メニューメニューメニューメニューのののの試食試食試食試食

フードクリエイターの Gontran CHERRIER(ゴントロン シェリエ)氏、シェフの William LEDEUIL(ウィリアム ル

ドイユ)氏、料理学校の Antoine SCHAEFFER(アントワンヌ シェフェール)氏の3名に事前に味噌を送付し、味

噌を使って自由に料理を創作してもらった。

▽上記3名には事前に下記の銘柄を送付した。

(しかし、シェフの中には自ら購入もしくは所持しているこれ以外の味噌を使用した可能性もある。)

メーカー10 銘柄K 麦味噌(だしなし)・淡色 500g

メーカー11 銘柄L 米味噌(だしなし)・白 500g

メーカー12 銘柄M 米味噌(だしなし)・淡色 500g

メーカー13 銘柄N 豆味噌(だしなし)・赤 450g

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各氏の創作料理は以下の通り。

□□□□Gontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIER((((ゴントロンゴントロンゴントロンゴントロン シェリエシェリエシェリエシェリエ))))氏氏氏氏

テーマテーマテーマテーマ::::フランスフランスフランスフランスのののの食卓食卓食卓食卓のののの命命命命であるであるであるであるパンパンパンパンとととと味噌美香味噌美香味噌美香味噌美香ののののマリアージュマリアージュマリアージュマリアージュ TraditionTraditionTraditionTradition とととと伝統伝統伝統伝統からからからから生生生生まれるまれるまれるまれるレシピレシピレシピレシピ開発開発開発開発

1) 栗入りアカミソパン

2) 半生アプリコットとピスチオのクリームの入ったシロミソブリオッシュ

3) キャラメール風味のアワセミソ&セーグルパン

4) ショコラノワール&アカミソ、パンに塗るペースト

5) ショコラブロン&シロミソ、パンに塗るペースト

6) ショコラオレ&アワセミソ、パンに塗るペースト

7) ミルク&シロミソ、パンに塗るコンフィチュール

【作っての感想】

味噌は発酵食品なので、パンに使うとダイナミックなパンが作り出せた。

□□□□William LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUIL((((ウィリアムウィリアムウィリアムウィリアム ルドイユルドイユルドイユルドイユ))))氏氏氏氏

日本日本日本日本のののの味噌美味味噌美味味噌美味味噌美味をををを取取取取りりりり入入入入れたれたれたれたココココンテンポラリーンテンポラリーンテンポラリーンテンポラリーななななレシピレシピレシピレシピ開発開発開発開発

1) ミルクキャラメル、バニラ風味ミソコンフィチュール + チュイル・オ・ショコラ

2) バニラ風味ミソコンフィチュール + わさびのメレンゲ

3) 柑橘ミソダレ + サーモンのマリネ

4) アカミソ&チョリゾーソース + 豚のグリル&マリネ

【作っての感想】

味噌といえばスープを思い浮かべるが、実際に試して見ると味噌の素材を生かして色々なものをつくること

ができる。

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□□□□Antoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFER((((アントワンヌアントワンヌアントワンヌアントワンヌ シェフェールシェフェールシェフェールシェフェール))))氏氏氏氏

フランスフランスフランスフランスのののの家庭家庭家庭家庭でででで楽楽楽楽しめるしめるしめるしめるフランスフランスフランスフランスのののの家庭料理器具家庭料理器具家庭料理器具家庭料理器具でででで簡単簡単簡単簡単にできるにできるにできるにできるモダンジャパンクッキングモダンジャパンクッキングモダンジャパンクッキングモダンジャパンクッキングののののレシピレシピレシピレシピ開発開発開発開発

1) セロリのクリームムース、シロミソ&パッション風味

2) ナスとミンチ肉のミソ和え、ミソナスボロネーゼのキッシュ

3) ゴマ粒入りミソフィーユ

4) 日本風:日本のダシで煮た大根のゆずミソ添え

【作っての感想】

家庭で出来るメニューを考えた。キッシュなどはフランスの家庭料理として馴染みが深い。特に、赤味噌に感

じる渋みや苦味をうまくいかしてつくった。

味噌を使って自由に創作いただいたが、各料理を試食してみて、味噌とフランス料理の融合の仕方そして風

味に非常に驚きを感じた。どれも、味噌を前面に出した料理というよりも、味噌とフランス人になじみのある調味

料(マヨネーズやクリームなど)とうまく組み合わせることで、それぞれの味噌の特徴を生かしたメニューが生み

出されていた。

やはり日本人による洋食に味噌を取り入れたメニューとは違う、フランス人の味覚ならではのメニューの数々

に、現地のシェフとのコラボレーション(プロモーションや商品開発など)は、日本食料理店以外の現地のレスト

ランに味噌を普及するにあたり、有効であると感じた。

これらからも、現地の食関連事業者に、日本の様々な種類の味噌を紹介することで、現地ならではのメニュ

ーにアレンジされ、フランス人の味覚に合わせた普及がなされていく可能性を強く感じる。

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各委員各委員各委員各委員のののの見解見解見解見解((((味噌味噌味噌味噌のののの普及普及普及普及のののの可能性可能性可能性可能性およびおよびおよびおよび具体的具体的具体的具体的なななな提言提言提言提言))))

味噌や味噌を使ったメニューの試食をしていただいた上での味噌という食材についての各立場でのご意見を

いただいた。

□□□□フードクリエイターフードクリエイターフードクリエイターフードクリエイター Gontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIER((((ゴントロンゴントロンゴントロンゴントロン シェリエシェリエシェリエシェリエ))))氏氏氏氏

【【【【味噌味噌味噌味噌についてについてについてについて】】】】

パッケージに問題があるように思う、量といい大きさといい、使うには大きすぎる。また、店頭でも味噌はみつ

かりにくく、あまり店に出回っていない。

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

今日の委員会のように、使い方やレシピをうまく人々に広めるプロモーションが効果的だと思う。シェフと組み

イベントなどで味噌や味噌を使ったメニューを紹介するムーブメントづくりなど、実際、味噌は使いやすいため、

一般の人たちにも理解させる機会を提供するのがよい。味噌は「ナチュラル(自然)」の素材であるため、受けも

よいと思う。

□□□□シェフシェフシェフシェフ William LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUIL((((ウィリアムウィリアムウィリアムウィリアム ルドイユルドイユルドイユルドイユ))))氏氏氏氏

【【【【味噌味噌味噌味噌にににについてついてついてついて】】】】

味噌という食材は 8 年ほど前に、日本とフランスで知った。(多種多様な味噌において)それぞれの味噌の違

いが 7 年くらいたつと分かってきて、自分の感覚でどの味噌が好きか分かってきた。どのような料理を作るかに

よって、使いたい味噌も異なる。自分としては、やさしい感じの味噌がよい。

味も香りも悪くはない。ただ、味噌について何も知らない人には、あの大きなパックだけでは、これが何者な

のか、どのように使ったら良いのかは理解しにくいだろう。自分も味噌の使い方については戸惑い、初回は失

敗したが、トライアンドエラーを繰り返すことで味噌を使いこなすことが出来てきた。

【【【【味噌味噌味噌味噌をををを使使使使ったったったったメニューメニューメニューメニューについてについてについてについて】】】】

・白味噌は、塩気がなく甘くやさしい感じの料理に合う。鶏肉やきのこに合わせてつかってみた。柑橘系(「仏手

柑」を現場では使用)も白味噌に合う。

・赤味噌は、タルト生地につかってみた。魚にも赤味噌を使うことが多い。

・味噌を料理に使うならば、秋~冬にかけての料理に使いたい。

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

・やはりフランス人には、フランス流にカスタマイズしたメニューでの味噌の提供が有効である。

・自分が考案したメニューを商品開発したらどうか。

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▼▼▼▼料理学校料理学校料理学校料理学校 Antoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFER((((アントワンヌアントワンヌアントワンヌアントワンヌ シェフェールシェフェールシェフェールシェフェール))))氏氏氏氏

【【【【味噌味噌味噌味噌についてについてについてについて】】】】

一般の人たちに味噌を普及させるにはまだ時間がかかるだろう。

【【【【味噌味噌味噌味噌をををを使使使使ったったったったメニューメニューメニューメニューについてについてについてについて】】】】

味噌を料理に使うならば、夏にマヨネーズなどと合わせてフルーティーなメニューに使いたい。

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

フランスでのパッケージには、フランスでおなじみのマスタードの容器のようなものであると馴染みやすく、使

いやすい。

料理学校の生徒でも、味噌は知ってはいるだろうが、未だ味噌の特長を理解している者はいない。料理学校

の生徒に対しては、味噌が何なのかをしっかり伝えることが大事である。

使用する対象に、味噌をしっかり理解できるように説明することで、フランスの家庭に味噌が入っていける余

地はあると思う。

フランスでは身体にいいもの、健康的なものは求められているので、味噌も市場拡大の余地はあるだろう。

▼▼▼▼流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Antoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONT((((アントワンアントワンアントワンアントワン ブコモンブコモンブコモンブコモン))))氏氏氏氏

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

味噌が「ナチュラル(自然)」なものなので、(フランスでも「ナチュラル」食材は関心の高い話題)一般に情報

を提供し、関心層を捉えていくのが鍵である。また、レストランを中心に、厳選した商品を紹介していくのもよい。

パティスリーでも味噌を使う可能性は大きいと考える。

▼▼▼▼流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Olivier DERENNEOlivier DERENNEOlivier DERENNEOlivier DERENNE((((オリヴィエオリヴィエオリヴィエオリヴィエ デゥレンヌデゥレンヌデゥレンヌデゥレンヌ))))氏氏氏氏

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

会社ではECも運営しているため、その顧客に対して個人的にアンケートをとってみた。 ※調査結果 p.41 参照

味噌の認知度は80%と、味噌に興味を持つ人はこんなにいる。また、味噌のイメージは、「健康によいもの」「ス

ープのイメージ」など、まだ味噌の使い方がわからない人が多く、使い方などのレシピが必要である。味噌を

購入するポイントは、「健康」「値段」「使いやすさ」など、健康でシンプルな食材という認識があるため、各味噌

の特長を伝えることが必要である。味噌を売る店もまだ少ないため、取り扱う店が増えればよい。小売店による

味噌に関する気になるポイントは、「値段」「賞味期限」などがあげられているが、中でもフランス人にわかり

やすいパッケージも多くが望んでいるポイントである。また、エコ的イメージを持つパッケージや、GMOマーク

(非遺伝子組み換えマーク)もフランス人は気にするポイントだろう。商品開発としては、アイスクリームの分野

でも可能なのではないだろうか。

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▼▼▼▼流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Yomei NAKATANIYomei NAKATANIYomei NAKATANIYomei NAKATANI((((ヨーメイヨーメイヨーメイヨーメイ ナカタニナカタニナカタニナカタニ))))氏氏氏氏

【【【【普及普及普及普及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

コンフィチュールやタルトで使うのがよい。(商品開発の面でも。)ただし、賞味期限は問題である。

▼▼▼▼プレスプレスプレスプレス Patrick DUVALPatrick DUVALPatrick DUVALPatrick DUVAL((((パトリックパトリックパトリックパトリック デュバルデュバルデュバルデュバル))))氏氏氏氏

【【【【味噌味噌味噌味噌についてについてについてについて】】】】

味噌は、今日も午前から寿司の教室の取材で紹介してきた。フランス人は寿司が好きだ。そこでよく聞かれ

るのは「味噌は何でできているの?」という質問である。

【【【【普普普普及及及及のためののためののためののための施策施策施策施策】】】】

(フランスでは、寿司と味噌汁はセット)やはりフランスで知名度の高い味噌メニューは味噌汁であるため、本

物の味噌汁を紹介するなど、味噌汁をよりよいものとしてプロモーションするのが効果的だろう。「善」という日

本レストランでは味噌のワークショップが行われており、そこでは味噌の説明をしながら味噌を使ったメニューを

試食させるなどしている。このように、食べて知り、そして自ら作りたくなるようなアクションが大事だろう。そして、

その第一ステップとして、知名度の高い味噌汁がその窓口の役割を果たすと考える。

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【【【【参考資料参考資料参考資料参考資料】】】】 味噌味噌味噌味噌普及普及普及普及委員会委員会委員会委員会 各委員紹介各委員紹介各委員紹介各委員紹介

■■■■フードクリエイターフードクリエイターフードクリエイターフードクリエイター Gontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIERGontran CHERRIER((((ゴントロンゴントロンゴントロンゴントロン シェリエシェリエシェリエシェリエ))))

(Labo “Les Pains de Gontran” レ・パン・デゥ・ゴントロン) www.gontran-cherrier.com

パン屋の4代目に生まれ、フランス人の主食であるパンの素晴らしさとその可能性を広く紹介している。また、

料理家として“パンと相性の良い料理”をテーマにさまざまなレシピを開発、その多くは家庭で作れるフランス料

理が中心。

TV の料理番組への出演や、レシピ本を執筆するなどメディアへの露出も多く、企業と組んで製品のプロモーショ

ンなども手掛け、家庭で楽しく簡単に出来るレシピなどを紹介している。

■■■■シェフシェフシェフシェフ William LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUILWilliam LEDEUIL((((ウィリアムウィリアムウィリアムウィリアム ルドイユルドイユルドイユルドイユ))))

(Ze Kitchen Galerie ズー・キッチン・ギャラリー) www.zekitchengalerie.fr

フランス料理ガイドブック Gault Millau(ゴエミヨ)で Le chef dannée 2010(2010 年の№1 シェフ)に選ばれる。

日本、タイ、ベトナムといったアジアの食材をフランス料理へ繊細に取り入れたフランスフュージョン料理を得意

とし、クリエイティブなシェフとしてフランスでも評価が高い。また、素材そのものの味を大切にし、特に野菜に関

しては、契約農園の野菜を使い、旬のもの以外は一切使わないというこだわりを持つ。

日本の味噌については7年前から独自に研究しており、今一番力を入れている素材。現在も味噌を使ったオ

リジナルソースなどを考案し、フランス料理へ活用している。

■■■■料理学校料理学校料理学校料理学校 Antoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFERAntoine SCHAEFFER((((アントワンヌアントワンヌアントワンヌアントワンヌ シェフェールシェフェールシェフェールシェフェール))))

(École FERRANDI エコール・フェランディ)

フランスでは有名な料理学校であるフェランディ校の特別講師。世界へフランス料理を普及させるために、フ

ェランディ校から大使として、1984年~1985年はFrench Culinary Institute New Yorkに、1990年~2005年まで

French Food Culture Center Tokyo Japanへ派遣され、フランス料理の神髄を海外の多くのシェフに伝承。

現在は、日本との交流に関するコーディネーターを務める傍ら、海外から来た学生達やプロの料理人達に、

フランスフュージョン料理を紹介。1992年から、Club International des Toques Blanches(トックブランシュ=料理

界で名誉ある組織)のメンバー。

■■■■流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Antoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONTAntoine BOUCOMONT((((アントワンアントワンアントワンアントワンヌヌヌヌ ブコモンブコモンブコモンブコモン))))

(LE DELAS ル・デラス) 社長

世界の食の最先端情報発信地であるランジス市場にて、世界中から吟味された高品質な商品を扱うランジ

ス最大の卸業者。氏の名刺に《Entre pros on se comprend ! プロ同士だから、わかりあえる!》とある様に、ア

ランデュカスグループやエリゼー宮シェフを始めとするフランストップクラスのシェフや、またパリのある大手ス

ーパーに対し、新しく且つ確かな素材や商品を提供し、日頃シェフたちと日本食材を囲んだテイスティングを行

うなど食のプロ達からも絶大なる信頼を得ている。また、saveurs nippones(サバー・ニッポン)と称して自ら実

際に日本で厳選した高品質な商品をカタログで紹介、素材から製造過程に至るまで写真(ビジュアル)を使って

説明している。

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■■■■流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Olivier DERENNEOlivier DERENNEOlivier DERENNEOlivier DERENNE((((オリヴィエオリヴィエオリヴィエオリヴィエ デゥレンヌデゥレンヌデゥレンヌデゥレンヌ))))

(Palmifrance パルミフランス) www.nishikidori-market.com

日本食材を扱うディストリビューターで、ニシキドオリマーケットという日本食材サイトを運営、日本食材に精

通したデゥレンヌ氏により、吟味・厳選された商品が揃う。現在、同サイトはフランス語のみだが、近々日本語版

も立上げ予定。

会員は、シェフなどプロを中心に約700名が登録しており、このオンラインショップから商品を選択し購入して

いる。今回の調査に際して、顧客を対象とした味噌のフランスでの普及に関するアンケートに協力頂くなど、味

噌という食材に対しては非常に期待が持てるとのこと。また、今後、パリ市内に氏が厳選した日本食材店の出

店を予定。

■■■■流通流通流通流通・・・・小売小売小売小売 Yomei NAKATANIYomei NAKATANIYomei NAKATANIYomei NAKATANI((((ヨーメイヨーメイヨーメイヨーメイ ナナナナカタニカタニカタニカタニ))))

(FOODEX フーデックス) www.foodex.fr

フランスにおいて17年前から業務用を中心に米、醤油、味噌、海苔、わさび、酢などの日本食材を扱う、日本

食材流通大手三社のうちの一社。

■■■■プレスプレスプレスプレス Patrick DUVALPatrick DUVALPatrick DUVALPatrick DUVAL((((パトリックパトリックパトリックパトリック デュバルデュバルデュバルデュバル))))

(『WASABI』ワサビ) Chief Editor

フランス人のフランス人によるフランス人のための日本文化に関するフリーペーパー『WASABI』を発行。日本

人とは異なるフランス人ならではの視点により、フランス人(日本マニアを含め)にとって有意義な日本の情報を

丁寧に紹介している。また、『WASABI』では、現地フランス人向けに寿司料理教室などを開催、そこでも味噌ス

ープは欠かせないレシピのひとつ。

デュバル氏曰く、フランスにおいて味噌スープの家庭内飲用には大いに可能性を感じており、今後パッケージ

(チューブ型など)やデザイン改良が家庭での消費拡大のカギになると見込んでいる。

(※各カテゴリー別に、姓のアルファベット順で掲載)

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【参考資料参考資料参考資料参考資料】】】】 味噌味噌味噌味噌普及普及普及普及委員会委員会委員会委員会でのでのでのでの各味噌各味噌各味噌各味噌のののの試食評価試食評価試食評価試食評価

*は和訳において読み取れなかった箇所

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 4 3 3 4この味噌の力強さが好きだ。しかも、これは抑制が効いた力強さだ。

グリーンサラダ/大豆のモヤシ

シェフ LEDEUIL氏 3 3 3 4 - 家禽、デザート。

料理学校 SCHAEFFER氏 4 4 3 4 ねっとりした食感が良い。 スープ、ペースト、ソース

流通・小売 BOUCOMONT氏 4 2 - -塩味が大変に強い。少々辛い。深みが不足。色がくすんでいて、ぱっとしない。

サラダ、肉料理

流通・小売 DERENNE氏 2 3 4 4最初の印象(最初の香り)は*、次は栗の香り、そして海の香り。 興味深い酸味。

帆立貝、魚、野菜サラダ、ヨーロッパアカザエビ

流通・小売 NAKATANI氏 4 3 3 3 - -

プレス DUVAL氏 3 2 3 2 やや塩味が強すぎる。大豆の味があまり感じられない。

3.4 2.9 3.2 3.5

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 5 2 4 3味がぼんやりしている。しかし、No1の塩味が強かったので、そう思うのかもしれない。

人参のポタージュもしくはヴルーテスープ、レモン。

シェフ LEDEUIL氏 4 3 3 2 とてもソフト(甘い)。 牛乳系のデザート

料理学校 SCHAEFFER氏 5 5 5 5 ねっとりした食感がとても良い。 優しく、繊細なソース

流通・小売 BOUCOMONT氏 4 2 1 1 平板、甘い、美しい*色、香りが無い。 -

流通・小売 DERENNE氏 5 5 4 5 デリケートで微妙な香り、*パティスリー(ケーキやパイ)、さらにはチョコレートとの組み合わせが簡単そうだ。柑橘類との組み合わせも抜群かもしれない。バランスが良い。

流通・小売 NAKATANI氏 4 4 4 4 - -

プレス DUVAL氏 4 3 3 5 甘みが強いが味は良い。マロンクリームを思わせる。 パティスリー(ケーキ、パイなど)

4.4 3.4 3.4 3.6

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 4 3 4 4この味噌には酸味があってとても好きだ。こうした酸味があるとフランス料理に使いやすいと思う。

肉料理のソースのつなぎ、野菜スティックのディップ、アペリティフのビスキュイ(トマト、モッツァレッラ、赤い肉)

シェフ LEDEUIL氏 3 4 4 4 - 肉(豚、ゲームミート)

料理学校 SCHAEFFER氏 3 4 4 4 塩辛い。 ブラウンソース、茄子

流通・小売 BOUCOMONT氏 5 4 4 -美しいチョコレート色、味に深みがある、少々塩味がきつい。

スープ

流通・小売 DERENNE氏 4 4 3 5大変に香りが良い。酸味のバランスが良い。大豆の香りがかなり強い。

肉のポワレや野菜との組み合わせが抜群。フォンとして使える。仔牛や白身魚(ヒラメ、イシビラメ)との組み合わせも良い。単独で調味料としても使える。*

流通・小売 NAKATANI氏 3 3 3 3 - -

プレス DUVAL氏 4 3 2 2 非常に苦い後味があり、やや不快。味がややきついので、別の調味料と合わせて使うべきだろう。鴨や家禽に。

3.7 3.6 3.4 3.7

平均

③ メーカー3 銘柄C 米・麦の調合味噌(だしなし)・赤/塩分10.7%

② メーカー2 銘柄B 米味噌(だしなし)・白/塩分4.7%

平均

平均

① メーカー1 銘柄A 米味噌(だし入り)・白/塩分11.8%

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【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 4 5 3 4ヨードの風味が感じられ、とても繊細でとても面白い。フランスの市場に受け入れられ易いとも思う。

パン、魚のスープ、仔牛肉や豚肉用のソース

シェフ LEDEUIL氏 4 4 3 3 - 野菜、調味料。

料理学校 SCHAEFFER氏 4 4 4 4 個性がはっきりしていて心地よい味 スープ、ソース、*

流通・小売 BOUCOMONT氏 3 2 4 3 大変に塩辛い。深みが不足。 -

流通・小売 DERENNE氏 4 4 2 3 香りは非常に弱くて目立たず、風味とのコントラストが完璧。鰹節の香りがして、海の風味がある。魚との組み合わせが良いだろう。ニュートラルなダシのベースに、この味噌を薄めて加えるのが良いだろう。

流通・小売 NAKATANI氏 3 3 3 - - -

プレス DUVAL氏 5 5 5 4 とてもバランスが良い。 魚、肉。

3.9 3.9 3.4 3.5

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 2 3 4 4食いしん坊に好まれそうな味で大いに気に入った。デザートに使う方が向いていると思う。

フロマージュブラン、人参、若鶏

シェフ LEDEUIL氏 2 2 2 2 - -

料理学校 SCHAEFFER氏 5 4 4 5 とても良い。 パスタ、魚、*

流通・小売 BOUCOMONT氏 4 1 - -塩味。美しいキャラメル色。光沢がある、味はあまり心地よくない。

-

流通・小売 DERENNE氏 5 3 3 3 非常にクラシックな味。 どちらかと言えば、スープに使うべき。

流通・小売 NAKATANI氏 3 3 3 2 - -

プレス DUVAL氏 4 2 3 2 塩辛すぎる。 あまり味のない白身魚に使うと良い。

3.6 2.6 3.2 3.0

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 4 4 3 2 発酵風味とテクスチャーが好きだ。* コーヒー、野菜

シェフ LEDEUIL氏 4 4 4 4 - 魚、肉。

料理学校 SCHAEFFER氏 3 4 4 5 見た目がエキゾチック、興味をひかれる。 クレープ、ソース、スープ

流通・小売 BOUCOMONT氏 1 2 4 2少々粗野な(洗練されていない)外見。発酵しきれていない粒粒が残っている。味も心地よくない。

野菜 *

流通・小売 DERENNE氏 4 4 3 3 甘みがあって、大変に味が良い。 調味料として完璧。家禽、仔牛。

流通・小売 NAKATANI氏 3 4 3 3 - -

プレス DUVAL氏 4 5 4 5テクスチャーが気に入った。小さな粒粒の歯ごたえが好きだ。

あらゆる種類の家禽、魚、肉に。

3.3 3.9 3.6 3.4

④ メーカー4 銘柄D 米味噌(だし入り)・淡色/塩分11.8%

平均

⑥ メーカー5 銘柄F 米と麦の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分10.4%

⑤ メーカー4 銘柄E 米と豆の調合味噌(だしなし)・淡色/塩分10.5%

平均

平均

Page 69: MISO - maff.go.jp...- 1 - はじめにはじめに 近年、世界的な健康志向の高まりにより、日曓産颂品へのニーズが高まっており、中でも、日曓の伝統颂曩

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【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 2 4 4 2 香りとバランスの良い塩味が好きだ。 野菜、貝類のスープ

シェフ LEDEUIL氏 4 5 5 4 - マリネ、調味料

料理学校 SCHAEFFER氏 4 4 3 4 ラスティック(田舎風)、粒粒が見えるのが面白い。 ソース、*、穀物、ナッツ*

流通・小売 BOUCOMONT氏 3 1 - - *な塊り(粒)がある。味は不快。塩味が強すぎる。 -

流通・小売 DERENNE氏 3 2 2 2 *は心地よくない。酸味が強すぎる。塩味がきつすぎる。 -

流通・小売 NAKATANI氏 3 4 3 3 - -

プレス DUVAL氏 5 5 5 4 とても美味しい。*が心地良い。風味もたっぷり。 -

3.4 3.6 3.7 3.2

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 2 4 3 3 甘酸っぱいところが好きだ。 豚などの肉のグリル

シェフ LEDEUIL氏 2 2 2 2 - -

料理学校 SCHAEFFER氏 - 4 5 5 面白い、甘みが感じられる。 菓子、デザート。

流通・小売 BOUCOMONT氏 1 1 1 1 不快 -

流通・小売 DERENNE氏 5 4 3 3 *な特徴。 チーズとの組み合わせは理想的…としてチョコレートとも。

流通・小売 NAKATANI氏 3 4 3 4 - -

プレス DUVAL氏 5 4 3 4 少々、こってりしすぎ。 デザート。

3.0 3.3 2.9 3.1

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 2 2 3 2 味が強烈すぎる。 -

シェフ LEDEUIL氏 1 1 1 1 - -

料理学校 SCHAEFFER氏 3 3 3 3 あまり味が強くない。 ダークカラー、茶色といった色を添える素材として使える。

流通・小売 BOUCOMONT氏 4 2 2 1 辛すぎて燃料のようだ。味に深みが無い。 -

流通・小売 DERENNE氏 1 1 3 1 塩味が強く、とても濃厚。ゲームミートのソースとして使ったら面白そう。少しチョコレーのような苦みがある。

流通・小売 NAKATANI氏 2 2 3 3 - -

プレス DUVAL氏 1 1 2 1 タプナードみたい! 何もなし。

2.0 1.7 2.4 1.7

【見た目】 【バランス】 【香り】 【食感】 印象 適している食材と食べ方

フードクリエイター CHERRIER氏 - - - - - -

シェフ LEDEUIL氏 3 2 3 2 - 魚、*

料理学校 SCHAEFFER氏 4 4 3 4 テクスチャーが良い。 ソース、ブラウンペースト

流通・小売 BOUCOMONT氏 4 4 4 4少し滑らか。色は美しい。味は深みがあって良い。なめらか。

-

流通・小売 DERENNE氏 3 4 4 3 -海の風味が強い。スモーキー。鰹節の風味。ソースのダシとして抜群。

流通・小売 NAKATANI氏 3 3 3 3 - -

プレス DUVAL氏 3 3 3 2 やや味が強すぎる。 肉料理。

3.3 3.3 3.3 3.0

平均

⑦ メーカー6 銘柄G 麦味噌(だしなし)・淡色/塩分11.0%

平均

⑨ メーカー8 銘柄I 豆味噌(八丁みそ)・赤/塩分10.6%

⑧ メーカー7 銘柄H 金山寺みそ(嘗めみそ)

平均

平均

⑩ メーカー9 銘柄J 豆味噌(だしなし)・赤/塩分11.0%