RACE RESULT

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低コストなのに、速さ・パワーは想像以上

低コストだからこそ練習を積んで技術を習得できる

JAF F4にあるもの数々のトップドライバーを輩出してきたJAF-F4そのマシンレベルはFIAと比べても決して引けを取らないマシンの違いから参戦費用まで、FIA-F4と比較してみてみよう

Text：大串 信（Makoto Ogushi）Photo：小笠原貴士（Takashi Ogasawara）高木翔子（Shoko Takagi）／酒井聖一（Seiichi Sakai）

田正幸氏は現在、ルーニースポ

ーツを主宰し将来性のある有望

なレーシングドライバーの育成を進め

ている。ルーニーモータースポーツに

はかつて石川京侍、牧野任佑、大湯都

史樹ら次世代に向けて注目を浴びる若

手が在籍し基礎技術を磨いた。

「運転免許を持たないうちからまずス

ーパーＦＪに乗せて育てたいと思って

います。うちはＪＡＦ‐Ｆ４はもちろ

んＦＩＡ‐Ｆ４も持っていますからそ

れで育てて、メーカー系のスクールに

行かせる。そこまでは協力してあげる

つもりですよ」と代表の植田は語る。

　

なぜＪＡＦ‐Ｆ４を育成に活用して

いるのかと問うと「フォーミュラカー

の練習という意味でＪＡＦ‐Ｆ４は非

常に優れていると思うからです。ＪＡ

Ｆ‐Ｆ４はモノにお金がかからないん

です。鈴鹿を２分３秒、４秒で走るこ

とを考えれば破格に安い」という。

　

現在、ＪＡＦ‐Ｆ４にはカーボン製

モノコックのマシンとアルミ製モノコ

ックのマシンが出場可能。一時期はカ

ーボン優勢と言われてクラス分けが行

なわれたが、現在は性能差はないとし

て、トランスミッション形式によりＨ

パターンクラスとシーケンシャルクラ

スに分けられている。ルーニースポー

ツのマシンは、中古で入手したアルミ

モノコックのＭＹＳＴ

ＫＫ‐ＺＳだ。

「カーボンのクルマも探したんですが

高かったので、結局はアルミのモノコ

ックに１８５０㏄のエンジン、Ｈパタ

ーンのミッションがついている中古を

買って、２０００㏄のエンジンとシー

ケンシャルミッションに積み替えて今

のクルマを作りました」

　

ルーニースポーツは、このマシンで

優秀な選手を育てチャンピオン争いを

展開。昨年は大湯、一昨年は牧野がこ

のマシンに乗り、東日本、西日本とも

シリーズチャンピオンとなっている。

　

では、フォーミュラカーレースを志

す若いドライバーがルーニースポーツ

でレースをしようとしたとき、どれほ

どの予算が必要になるのだろうか。

　

シャシー、エンジンともに新品を買

おうとしたとき、コンプリートカーの

標準的な勝てる仕様で約９００万円。

それを走らせるためにはタイヤ代金と

メンテナンス体制の料金がかかる。だ

が、多くの場合シリーズ参戦チームは

シリーズ単位あるいはレース単位でパ

ッケージレンタルを行なっている。ル

ーニースポーツの場合は、「正直なこ

とを言いますと、最低は１レース60万

円プラス、タイヤ代は自分で負担して

くださいね、という感じです。これは、

随分安い金額だと思います。カーボン

のクルマだと高いところで１００万円

程度のところもあると聞いています」

と植田。

　

元々中古マシンを入手して準備した

マシンだけにコストを低く抑えられて

いるのだろうが、その戦闘力は充分だ

と植田は胸を張る。「ＪＡＦ‐Ｆ４は

道具で差は出ません。練習量と自分の

努力で大きく結果が変わるカテゴリー

なんです。うちは安いクルマですから

パッケージも安い。でも牧野や大湯や

石川たち優秀な若者たちがセッティン

グをしてきたクルマで、データは全部

持っている。だからちゃんと練習をす

れば結果が出せます。ＪＡＦ‐Ｆ４は

そういうカテゴリーなんです」。

　

このパッケージ料金をどう評価する

かは、それぞれの事情次第だろう。だ

が植田は「あくまでも牧野、大湯レベ

ルで勝敗を争うためのコストである」

と言う。「ＪＡＦ‐Ｆ４のコストはピ

ンキリです。安くあげようと思ったら

本当に安くあげられます。ただ、勝つ

つもりならやはりこれくらいのお金が

かかります。何か特別な道具が必要だ

ということではありません。純粋に練

習を重ねる必要があるからです」。

　

言い換えれば、コストが低いからこ

そ、その分練習を積んで技術を習得で

きるということになる。「ＦＩＡ‐Ｆ

４で上位を走る選手を見ていると、や

っぱりしっかりと走り込んできていま

す。上位を戦うために必要な技術や経

験は、ＪＡＦ‐Ｆ４で積めます。とい

うのもＦＩＡ‐Ｆ４よりＪＡＦ‐Ｆ４

の方が速いからです。パワーがあるか

ら直線スピードはＦ３よりも速いくら

いです。パワーがあってダウンフォー

スのないクルマをどうやってコントロ

ールするか、タイヤはどうやって使え

ばいいのか、充分な練習をしてしっか

り覚えると、その後のステップアップ

に役立つんです」

　

上位へつながる基礎技術を習得する

場としてＪＡＦ‐Ｆ４が再評価されつ

つあるようだ。

今回JAF-F4について教えてくれた植田氏は、自身でもレースに参戦しながら若手の育成にも力を入れている。さまざまなカテゴリーを目にしてきた植田氏からJAF-F4を見て「このカテゴリーは門戸が広く、若手から少し年齢を重ねた人までが参戦し、経験を積んでいける。FIA-F4と同じように台数が増えて盛り上がれば、さらに面白くなるとずっと思っている。盛り上がるべきであるし、こんなに魅力のあるカテゴリーはないだろう」と評価している。

魅力あるカテゴリーに間違いない

３月12日ツインリンクもてぎで開幕した東日本シリーズ。ドライコンディションのもと行なわれたこのレースで、圧倒的な速さでレースを制した若者がいた。角田裕毅、17歳だ。今季MARUSAN・ミスト・JSSから参戦している角田は、予選で１分54秒161のタイムを出すと、２番手に約２秒の差をつけてPPを獲得。12周で争われた決勝も危なげなく制した。続くSUGOでの２レースは第２戦で２位に26秒、第３戦では20秒以上の大差をつけて勝利。圧倒的なスピードを持つ17歳が、今後どんなレースを見せてくれのか。次戦は東日本シリーズが７月29、30日にツインリンクもてぎで、西日本シリーズが８月19、20日に岡山国際サーキットで開催される。

17歳が圧巻のスピードで魅せる

開発競争のあるミドルフォーミュラF4の魅力を探る

Round 1●３月12日ツインリンクもてぎ

Round 2●４月30日スポーツランドSUGO

Round 3●４月30日スポーツランドSUGO

Round 1●４月１日岡山国際サーキット

Round 2●４月１日岡山国際サーキットEAST

SERIES WESTSERIES

植

Vol.1国内唯一

F4東西シリーズはダンロップタイヤのワンメイクレースです

www.f4k.co.jp