ミャンマーの農作物とagro-tourismの可能性 -...

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ミャンマーの農作物とAGRO-Tourismの可能性 8月上旬、雨季のミャンマーに農作物の視察に行きました。今回の訪問目的はきたる1118(火)-19日(水)の2日間、日本アセアンセンターで開催されるASEANショーケース-ミャンマー展(食品 展)に出展する企業の選抜でした。ミャンマーの農耕地は日本の約3倍と言われています。その形態 は大きく分けると次の3つだということです。南部のエーヤワディー川下流のデルタ額の稲作農業地 帯、マンダレーからマグウェー管区の中央平原で豆類、ゴマ、綿花等を生産する乾燥地帯、カチン 州、シャン州、チン州等山岳部の畑作地帯です。 今回訪問したのは、シャン州の州都タウンジー周辺です。標高1,430メートルで難関を通じて涼し く、高原野菜の栽培にてきしています。主な生産は、キャベツ、カリフラワー、じゃがいも、玉ねぎ、人 参、なす、アスパラガス、とうもろこし、枝豆、生姜、ウコン、ニンニク、アボガド、すいか、メロン等 です。 この他に注目をあつめているのは、シャン州の最大の湖インレー湖で栽培するトマトです。藻や 水草が集まって出来た浮島(チョン・ミョー)を集めて土台にして、浮島に家を建てていました。 インレー湖のトマト水上栽培 緑色のまま収穫されるトマト 出荷準備を終えたトマトの箱詰め 手作業による分別(陸上にて)

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  • ミャンマーの農作物とAGRO-Tourismの可能性

    8月上旬、雨季のミャンマーに農作物の視察に行きました。今回の訪問目的はきたる11月18日

    (火)-19日(水)の2日間、日本アセアンセンターで開催されるASEANショーケース-ミャンマー展(食品

    展)に出展する企業の選抜でした。ミャンマーの農耕地は日本の約3倍と言われています。その形態

    は大きく分けると次の3つだということです。南部のエーヤワディー川下流のデルタ額の稲作農業地

    帯、マンダレーからマグウェー管区の中央平原で豆類、ゴマ、綿花等を生産する乾燥地帯、カチン

    州、シャン州、チン州等山岳部の畑作地帯です。

    今回訪問したのは、シャン州の州都タウンジー周辺です。標高1,430メートルで難関を通じて涼し

    く、高原野菜の栽培にてきしています。主な生産は、キャベツ、カリフラワー、じゃがいも、玉ねぎ、人

    参、なす、アスパラガス、とうもろこし、枝豆、生姜、ウコン、ニンニク、アボガド、すいか、メロン等

    です。

    この他に注目をあつめているのは、シャン州の最大の湖インレー湖で栽培するトマトです。藻や

    水草が集まって出来た浮島(チョン・ミョー)を集めて土台にして、浮島に家を建てていました。

    インレー湖のトマト水上栽培 緑色のまま収穫されるトマト

    出荷準備を終えたトマトの箱詰め 手作業による分別(陸上にて)

  • しかし、100年ほど前から少しずつ藻や浮草は増加し、除去作業に困惑した人々は、50年

    ほど前に浮島を利用してトマト栽培をはじめました。試行錯誤を重ねながらも、今ではトマト

    水上栽培として有名になり、海外からの視察も多くなるようになりました。

    インレー湖上のトマト栽培農家連盟の会長であるMya Nadi 氏によると、栽培時期は8月から

    12月で年間の数か苦労は200トンということです。種子はタイから購入しており、陸上栽培と

    は大きさが異なるそうです。水上栽培は小粒で実が固く、加熱調理やドライトマト等の加工食

    品に適しています。実は青いうちに収穫し、ボートで運搬され陸揚げされます。Nyang Shweと

    う町の各倉庫で熟成をさせ、箱詰をして市場に運ばれます。

    また、ゴマ製造会社を何件か視察しましたが、ミャンマーのゴマ生産量は世界でもトップに

    なっています。 原材料の供給も行われてきましたが、輸出関税が高いことからゴマ油やすり

    ゴマに加工して韓国に輸出する企業が増加しています。韓国企業からは、製造工程で必要

    な機械の導入からメンテに至るまで全般にアドヴァイスを受けているとのことでした。

    今回の視察を通じて日本が今後ミャンマーの農産物を輸入するにあたり、クリアするべき点

    と思われました事を下記としました。

    2010年のゴマ生産量上位10カ国

    国 生産量(100万トン)

    収穫率(トン/ヘクタール)

    Myanmar 0.72 0.46

    India 0.62 0.34

    China 0.59 1.22

    Ethiopia 0.31 0.99

    Sudan 0.25 0.19

    Uganda 0.17 0.61

    Nigeria 0.12 0.38

    Burkina Faso 0.09 0.72

    Niger 0.09 0.50

    Somalia 0.07 0.96

    Total 3.84 0.49

    灌漑排水の設備(畑に引き入れる水路が見当たらず、水不足 になるとダメージがある可能性。 逆に排水設備が整ってい ない耕作地では雨量が多いと水はけが悪くなり作物に影響 する。) 高品質種子に対する助言。(多くの種子をタイから購入し、土壌 にあうかどうかは試行錯誤である。日本からの助言を必用と している。) 化学肥料、農薬に対する助言(対日輸出には日本の基準に関 す情報不足になやんでおり、残量農薬、使用可能な農薬の 種類などに対して個々の指導だけでなく、生産農家全体で基 準値をまもるような機会を欲している。) トレーサビリティ等の商品管理システムの徹底(定着していない

    世代でなく、新しい事を吸収出来うる若い世代の教育が必 要。外部からの指導ではなく、第2世代がリスクマネージメン ト等の概念をミャンマー社会に啓蒙することを目標。) その他の課題 (外部からはコントロールできない部分であるが、安定 価格を可能にする公的機関が必要。ほとんどの農作物に ついては。ブローカーによる価格変動があり、安定価格 の供給が難しい。採算が合わない場合は農作物を収穫 せず、腐敗させることも起こるという。)

  • トラックで市場まで運搬されるキャベ ツ (タウンジー、シャン州)

    “枝豆” も栽培実験中(ヘイホー、シャン州) アスパラガスの分別作業(シャン州)

    ミャンマーで収穫できるマペ類 2013年から製品化を試みるマカダミアンナッツ (シャン州).

  • シャン州 タウンジー“Aythaya(エータヤー)”という場所には、ヨーロッパ風の

    ワイナリーがあります。ミャンマーで初めて、本格的なブドウワインを製造した最初

    の会社です。1998年に3,000本のブドウの木をヨーロッパから輸入し、Loi Kawという

    場所に植林しましたが、翌年、タウンジー高原に移植し、気候風土が適切であった

    エータヤーでの栽培が定着しました。順調に品質も改良され、ミャンマー国内のスー

    パーではどこでも見かけるほど人気になっています。また、このワイナリーには、ワ

    インをテイスティングできるワインバーがある他、レストランや宿泊ロッジもあり、

    観光客には人気です。

    ミャンマーのビジネスマンからは、「AGRO-TOURISM」を売りにミャンマーの農

    作物をアピールできないか?という提案がありました。 これはとてもいいアイデアだ

    と思います。ワイナリーを訪れ、インレー湖のトマト市場栽培を視察するボートに乗

    り、マカデミアンナッツ農場でナッツ狩りするなどのアクティビティを楽しむのです。

    AGRO-Tourismはエコツーリズムの発展した観光パターンで、農家に滞在し、農村のコ

    ミュニティと触れ合いながら農村の生活の体験を通してその国を知ってもらうことで

    す。観光客にこのような機会を提供することが、ミャンマーの将来のビジネスパート

    ナーとの出会いに発展しないとも限りません。

    ヨーロッパ風ワイナリー

    ロゼと白ワイン

    インレー湖から25キロのところにあるワイナリー

  • Myanmar Golden Produce Co., Ltd. ミャンマー・ゴールデン・プロデュース社

    Thiri Thukha Soe San Co., Ltd. シリ・トゥーカ・ソー・サン社

    Power Maw Shan Co., Ltd. パワー・モ-・シャン社

    次の企業が出展者として11月18日(火)~19日(水)ASEANショーケースーミャンマー展(食品展)に来日する予定です。ぜひご来場ください。

    (Yangon・ヤンゴン) ドライマンゴ、マンゴピューレ ドライマンゴは口に入れた瞬間、フレッシュな香りがよみがえる奇跡の一品です。

    (Mandalay・マンダレー) ミャンマー伝統麺 シャンヌードルとよばれています。米や小麦を原材料に使用した乾麺です。ベトナムと比較すると低価に提供できます。

    (Yangon・ヤンゴン) 緑茶、緑茶のピクルス ミャンマーで栽培されたお茶の葉です。若い青年が熱意を持って会社運営に携わっています。

    Kaung Ko Trading Co., Ltd. カン・コ貿易会社

    (Yangon・ヤンゴン) ローストセサミパウダー ゴマの原材料はマンダレー、マゴウェーから購入し、加工はヤンゴンで行います。主な取引先は韓国です。

  • OK Tun Trading オーケー・トン 貿易

    Aurora Preserved Fruits オーロラ・プレサーブド・フルーツ社

    New Golden Gate Co., Ltd. ニュー・ゴールデン・ゲート社

    Myint Myint Khin Co., Ltd. ミン・ミン・キン社

    Shwe Myin Pyan (Pathein Halawa) シェー・ミン・ピェン社

    (Patherin・パティン) 伝統的スィーツ “Halawa(ハラワー)” と呼ばれ、もち米、バター、ココナッツミルク、砂糖を煮詰めたライスケーキです。 ブランド名はゴールデンホース。

    (Yangon・ヤンゴン) チリ、ウコンのパウダー サプライヤーでミャンマー国内のレストランにデリバリーサービスも行っています。ブラックマペ、豆類等取扱商品は豊富です。

    (Yangon・ヤンゴン) ゴマ油、多種の豆類 ミャンマー屈指の大手メーカー。4か所の工業団地にそれぞれ工場を所有しています。

    (Pyin Oo Lwin・ピンウーリン) ワイン、ジャム マンダレー北部の高原にあるにワイン製造会社で、加工プラム等も製造しています。

    (Mandalay・マンダレー) 伝統的スィーツ

    “Htoe Mont (トーモー)”と呼ばれるマンダレーでしか製造していない菓子。もち米、砂糖、ピーナッツオイル、ココナッツ等で加工しています。

    Please contact [email protected]. M.K.

    mailto:[email protected]