高岡市観光振興ビジョン - takaoka- 4 - 2 高岡市の観光の現状と課題 (1)...

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高岡市観光振興ビジョン 魅力あふれる観光地域づくりと広域観光拠点の確立をめざして 平成28年3月 高岡市

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高岡市観光振興ビジョン

~ 魅力あふれる観光地域づくりと広域観光拠点の確立をめざして ~

平成28年3月 高岡市

Page 2: 高岡市観光振興ビジョン - Takaoka- 4 - 2 高岡市の観光の現状と課題 (1) 高岡市の現況(前計画を振り返って) 本市では、平成23年に策定した前計画(H23年度~27年度の5年間)に基づき、7

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目 次

1 はじめに

(1) 策定の背景と目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

(2) 計画期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

2 高岡市の観光の現状と課題

(1) 高岡市の現況(前計画を振り返って) ・・・・・・・・・・ 4

(2) 高岡市の観光の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7

3 高岡市観光振興ビジョンの方向性と目標

(1) 基本方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9

(2) 高岡市の観光におけるテーマ ・・・・・・・・・・・・・・ 9

(3) 基本戦略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

(4) 目標 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

4 高岡市観光振興ビジョン 体系図 ・・・・・・・・・・・・・・ 12

5 高岡市観光振興ビジョンの推進に向けた取組み

(1) 広域観光の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13

① 飛越能や富山県西部等、広域的な連携による観光施策の展開

② 二次交通の充実

③ 新高岡駅の拠点性向上

(2) 歴史まちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

① 伝統的まつり、イベントの活性化

② 資源を活かした観光プログラムの開発

③ 戦略的なプロモーション活動

④ 観光拠点施設等の整備

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(3) MICE及びインバウンドの誘致促進 ・・・・・・・・・・ 16

① MICEの開催支援と誘致強化

② インバウンドに資する展開

(4) 観光関連産業の活性化 ・・・・・・・・・・・・・・ 17

① 観光地周辺における開業支援

② 食のブランド化・土産品の開発支援

③ 観光関連団体との連携

④ 産業観光の推進

⑤ クルーズ船誘致の促進と受入体制の強化

(5) もてなしの環境づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

① もてなしの心の醸成

② 市民協働による観光の推進

③ 案内機能の充実

6 実施計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

○ 資料編 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

国定公園 雨晴海岸 国指定名勝 おくのほそ道の風景地「有磯海」

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1 はじめに

(1) 策定の背景と目的

地域の宿願であった北陸新幹線が金沢まで開業しました。国宝瑞龍寺を中心に、観光

地や宿泊・食事施設等において大勢の観光客が訪れており、新幹線開業の効果と呼べる

ものが感じられる一方、周辺都市、観光地に比すれば、更なる取り組みが求められてい

ます。

この間、富山県と歩調を合わせ、地域住民や観光関連事業者の皆様とともに、体験や

食など観光ソフトの充実に取り組むとともに、高岡駅、新高岡駅の整備、駅周辺アクセ

ス環境の向上、能登方面、飛騨方面への2つの高速バス導入など、高岡が「飛越能の玄

関口」として機能するために必要な環境整備にも取り組んできました。

特に、新幹線開業効果は一過性である場合も多く、これからは、近隣の観光地だけで

なく、東京から3時間圏内、すなわち国内の相当部分が競合相手ということにもなり、

開業2年目からがようやく本番、という見方も出来ます。今後は、整備してきた環境を

活かし、北陸新幹線の金沢以西への延伸も念頭に、大都市圏からの誘客、交流の拡大に

繋げていかなければなりません。地元の受入態勢の充実に取り組みつつ、対外的に効果

的な打ち出しが求められます。

一方、訪日外国人は増加の一途を辿っています。年々、過去最高を記録しており、訪

日外国人 3,000 万人の目標は、もはや絵空事ではなくなってきています。平成 32 年の東

京オリンピック・パラリンピックに向け、インバウンド(外国人観光客誘致)は益々盛

り上がっていくものと考えられます。本市としても、この時流に乗り遅れることなく、

明確なコンセプトのもと、インバウンドの展開が求められるところです。

本格的な人口減少時代に突入した今、観光に求められている役割や期待は年々高まっ

てきています。いま一度、「交流人口の拡大に伴う地域経済の活性化」のツールとしての

観光、地域に活力と潤いを与える観光として、本市における観光のあり方を見つめなお

し、取り組みを進めていくべきと考えます。

こうした状況を踏まえ、北陸新幹線開業後の観光振興を図っていくため、市全体の方

向性と、それに基づく施策・事業等を体系的に取りまとめた「高岡市観光振興ビジョン」

を策定することとします。

(2) 計画期間

平成 28 年度~平成 32 年度(5年間)

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2 高岡市の観光の現状と課題

(1) 高岡市の現況(前計画を振り返って)

本市では、平成 23 年に策定した前計画(H23 年度~27 年度の5年間)に基づき、7

つの柱に沿って取り組みを進めてきました。

① 人づくり・体制づくり

市民との協働や産学官の連携などにより、祭りやイベントによる観光振興や観光ボ

ランティアガイドの養成を行ったほか、講演会や広報などによる、もてなしの心の醸

成にも努めました。

一方、国の施策に基づく、観光におけるワンストップサービスの実現(プラットフ

ォーム組織の運営)や中核人材の育成には、今なお課題が残るものと考えます。

取り組み事例

観光地学習会(新規ボランティアガイド養成)、市民おもてなし講座(一般市民向

け)、観光案内人研修会(企業向け)、広報企画「おもてなしのススメ」

② 観光・交流の基盤づくり

高岡市歴史的風致維持向上計画(通称:高岡市歴史まちづくり計画)に基づき、町

並みや歴史的建造物の修理・修景に努めているほか、高岡駅、新高岡駅の整備、誘導

標識の拡充、二次交通の充実といった交通インフラの整備、御車山会館の建設など、

基盤整備に努めました。

今後は、これらの観光インフラを有効に使いながら、個々の施設・機能を有機的に

結び付け、活用していく必要があります。

取り組み事例

・ハード整備

瑞龍寺山門ほか8棟保存修理事業(H24~)、前田利長墓所整備事業(H25~)、

勝興寺大広間及び式台ほか 11 棟保存修理事業(H17~)、高岡御車山会館建設事業

(~H26)、山町筋重要伝統的建造物群保存地区保存修理事業(H13~)、金屋町重

要伝統的建造物群保存地区保存修理事業(H25~)、文化財等修理補助事業(H20

~)、新高岡駅周辺整備事業(~H26)、高岡駅周辺整備事業(~H26)

・二次交通整備

世界遺産バス(H25~)、わくライナー(H26~)、シャトル6(H27~)、城端線

増発実験(H27~)、周遊観光バス「まわるん」(H27~)

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③ 魅力あふれる観光資源の充実

祭りやイベントの活性化(他都市との相互交流や伏木曳山祭の桟敷席導入など)や

食のブランド化(高岡昆布百選、クラフトの台所、B級グルメ普及への支援)への取

り組みを進めたほか、観光地魅力アップのための開業支援、体験・滞在プログラムの

造成支援に取り組み、本市の観光魅力向上に努めました。

観光素材は豊富に揃っており、今後、どうプログラム化・商品化し、来訪者に楽し

んでいただけるかを追求していくことが求められます。

取り組み事例

祭行事・イベント振興(各年)、観光誘客強化事業(伏木曳山祭の旅行プログラム

化。H24~)、旅行商品等企画造成事業(H23~)、高岡再発見プログラム(H24~)、

食ブランド活性化事業(高岡昆布百選(H23~)、高岡コロッケ実行委員会補助、ク

ラフトの台所事業(H26~))、観光地魅力アップ開業等支援事業(H20~)、日本遺産

魅力発信推進事業(H27~)

④ 的確な情報発信とイメージアップ

北陸新幹線の開業を踏まえ、雑誌広告やイベント出展、民間との連携による旅行会

社への出向宣伝など、広報・PR活動に積極的に取り組んだほか、映画撮影協力など

フィルムコミッション活動や、観光親善大使の協力によるCM制作・放映など、本市

の知名度向上に努めました。

北陸新幹線ブームに伴い、各種メディアに取り上げられる機会も多く、一定の効果

は上がっていますが、まだまだ限定的であり、今後も継続的な周知活動が必要になる

ものと考えます。

取り組み事例

新幹線開業対策誘客促進PR事業(首都圏観光プロモーション、旅行メディア等

への広告出稿、CM制作・配信等。H25~)、観光宣伝事業(旅行会社への出向宣伝、

観光展等への出展、パンフレット・ポスター製作、売り込み隊支援事業等)、フィル

ムコミッション事業(アオハライド、ゆるゆり、すず、脳男、がんばれ!サンダー

バーズ!!等の撮影協力)

⑤ 新しい枠組みの観光客誘致

富山県などと連携してMICEの誘致に取り組み、年々、宿泊補助数は増加してい

ます。今後、更なる連携強化を図るほか、本市のインフラ条件(客室数や会議室の規

模等)に見合った団体への働きかけを強めていく必要があると考えます。

取り組み事例

富山コンベンションビューローと連携した誘致活動、コンベンション誘致・支援

事業(H19~)

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⑥ 国際観光の振興

他市との連携や本市単独による台湾への観光客誘致活動、多言語パンフレットの製

作、誘導標識の充実、公共 Wi-Fi の整備に努めたほか、クルーズ船寄港時の臨時窓口

開設による通訳サービスの実施、電話による通訳サービス(国の機関が行うサービス

の活用)にも取り組み、外国人観光客の来訪者増とサービス向上に努めました。

外国人の来訪を意識した環境整備は、今後益々重要になるものと考えられます。

取り組み事例

外国人観光客誘致事業(郡上市と連携した台湾観光客誘致。H22~)、4か国語(英、

中(簡体)、中(繁体)、韓)パンフ製作、台湾を対象とした「日本遺産のまち高岡」

PR(H27~)、大型クルーズ船受入事業(シャトルバス運行、専用パンフ製作、臨

時窓口開設)

⑦ 広域観光の積極的な展開

飛越能エリア(飛騨地域、越中(富山県西部)地域、能登地域)との連携による共

同PR、旅行商品の造成・販売、周遊バスの実証実験、相互交流に努めたほか、本市

とゆかりのある都市との交流を通じ、交流人口の拡大に努めました。

広域的な事業、特にPRに関するものは総花的に陥りやすいことから、テーマや切

り口などを工夫し、PRする対象の心に届くメッセージの発信が求められます。

取り組み事例

飛越能経済観光都市懇談会事業(広告宣伝、周遊マップ製作、イベント相互交流、

モニターツアー等。H8~)、越中・飛騨観光圏事業(高速バス実証実験、連泊促進事

業、高速 SA でのクーポン付パンフ配布、産業観光受入事業所拡大、修学旅行誘致活

動、食の交流イベント、総合案内所運営等。H22~26)、富山県西部地区観光協議会

事業(出向宣伝、広域旅行商品造成・販売、物産展開催等。S57~)、観光宣伝事業

(金沢市、上越市、越前市、大垣市、奈良県等とのイベント交流)

高岡御車山会館(H27.4 開館)

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(2) 高岡市の観光の課題

これまでの取り組みや社会情勢等の要因を踏まえ、本市における課題は次のような

ものがあると考えます。

① 多様化するニーズへの対応

旅行形態が団体から個人へシフトしているように、個々人の趣味、嗜好に応じて、

多様なスタイルの旅行が生まれているとともに、時代によっても、求められるものが

違ってきています。そうしたニーズを的確に捉え、変化し、飽きられない工夫が求め

られます。

② 知名度向上

北陸新幹線の開業を見据え、様々なPR活動を展開してきたこと、開業ブームに伴

い、マスメディアに取り上げられる機会が増えたことなどから、以前に比べ知名度は

向上したものの、これで十分、ではありません。また、定期的に話題を提供しつづけ

ることで、旅行の計画を立てる際、観光地として選択肢に加えてもらえる可能性が高

まることから、継続的かつ多様なPR活動が求められます。

③ 観光資源に関する「選択と集中」/ターゲットに関する「選択と集中」

「何でもあるのは何もないのと同じ」と言われているように、全ての観光資源を同

じ量だけアピールしても、焦点がぼやけて観光客には逆に伝わりません。また、居住

地、年齢、性別、収入、嗜好などによって、求められるニーズは様々です。高岡の観

光にとって最適なターゲットと、そこに「刺さる」資源を選定して対応する必要があ

ります。

④ 訪日外国人への対応

海外からの誘客が国を挙げて行われており、訪日外国人の数が飛躍的な伸びを見せ

ています。2020 年の東京オリンピック・パラリンピックの開催も大きな追い風となっ

ており、この好機を活かした海外誘客の展開が求められるとともに、案内機能、サー

ビス、マインド、ルートといった、来訪者をもてなす態勢の充実が求められます。

⑤ 広域観光、富山県 DMOとの連携

観光客が移動する際、市町村の枠組みは関係ありません。周辺の観光資源と当地の

資源とを組み合わせることによって、多様なコースが生み出され、選択の幅が拡がる

ことは、観光客と地域双方のメリットに繋がります。積極的な広域観光に取り組むこ

と、併せて、それを可能にする移動手段やソフトの確保が重要です。

また、富山県 DMO(※)と連携し、客観的データに基づく効率的かつ効果的な事業

展開が求められます。

(※)DMOは Destination Marketing/Management Organization の略で、戦略策定、各種調査、マーケティ

ング、商品造成、プロモーション等を一体的に実施する組織体のこと。富山県版 DMO は、富山県観光連

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盟を母体として、これまでのプロモーション、旅行商品の造成・販売を行う企画販売部門に、顧客管理、

データ収集・分析・活用を行う観光マーケティング部門を加えた組織として事業に取り組みます。

⑥ 多様な関係者の巻き込み

戦後に発展したアルミ産業をはじめ、「ものづくりのまち」であった高岡には、観光

関連産業に従事されている方の割合は少なく、豊富な観光資源の割に、十分な受入態

勢が整っているとは言い難い状況にあります。新規参入を促していく必要とともに、

複層的で厚みのあるサービス提供のためにも、これまで観光に無縁であった分野から

の参画と協力が必要です。

⑦ ホスピタリティ産業(飲食、休憩、土産、宿泊等)の充実

旅行は、観光地を見学するだけでは成立しません。観光地周辺、もしくは拠点とな

る地域・施設には、飲食、休憩、土産、宿泊等といった、ホスピタリティ産業の存在

は欠かせません。そうした役割を担う方々との連携のほか、新規の立地を誘導する仕

組みや仕掛けが必要です。

⑧ もてなし力向上

「旅の人」という方言があるほど、市民の、自分と縁のない来訪者に対する態度に

は、どこか冷たい面があることは否めません。観光の基本は人と人との交わりです。

また来たいと思ってもらえるための最重要キーである、もてなし力の向上、おもてな

しマインドの醸成を図る必要があります。

富山県西部地区観光協議会

による旅行商品「富山 WEST」

(H27.10~H28.3)

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3 高岡市観光振興ビジョンの方向性と目標

(1) 基本方針

北陸新幹線は最早、特別なものではなく当たり前のものとなりました。開業2年目以

降は、他地域に対し強い優位性を持つツールではなくなりますが、一方で、時間的距離

の短縮効果、安定した輸送力は、他地域との競争において引き続き有効に機能します。

このような状況の中、本市への観光流入の増大を図るためには、「日本遺産」をはじめ、

他地域にはない資源を発掘し、磨き、魅力ある商品として提供できるような「仕組み」

を構築していくこと、そしてそれを、効果的に打ち出していくこと。重要性を増すイン

バウンドへの対応とともに、積極的かつ実直に取り組みを進めます。

加えて、近隣市町村と連携し、広域的な観光を展開することは、本市の観光プログラ

ムに厚みを加えること、近隣との共存共栄が図られることだけでなく、新幹線新高岡駅

の利用拡大や、「飛越能の玄関口」としての拠点性向上にも繋がります。

こうした観点に基づく施策の実行にあたっては、これまで観光に携わってきた方々の

みならず、地域住民や一次産業、二次産業に従事される方々など、多様な立場の方々と

手を携え、それぞれが主体的に、かつ一体的に取り組みを進めていきます。

併せて、「観光振興=地域づくり」の観点のもと、地域への愛着を深めること、活力と

潤いを与えること、一体感の醸成を図ることなど、「地域コミュニティの維持・発展に寄

与する観光」の立場にも立って、総合的かつ多元的に施策を進めていきます。

これらのことから、高岡市における観光の基本方針を、以下のように設定します。

「魅力あふれる観光地域づくりと広域観光拠点の確立をめざして」

(2) 高岡市の観光におけるテーマ

歴史的建造物や伝統文化、工芸技術といった、本市固有の特徴を最大限活かした取り

組みを進めながら、本市のイメージ、魅力をアピールし、知名度向上と観光振興に繋げ

ていくため、高岡市の観光におけるテーマを以下のように設定します。

「『歴史と文化』と『ものづくり』を活かした観光振興」

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(3) 基本戦略

本市の観光施策を実行するにあたり、活かすべき機会や優先的に着手する内容など、

戦略的に取り組む事項を以下のとおり設定します。

① 北陸新幹線の活用とハブ機能の充実

「飛越能の玄関口」である新高岡駅と、そこを中心に展開する道路網とを活かし、

広域観光におけるハブ的機能(移動手段や観光ソフト等)の充実を図ります。

○ 設 定 目 標 ・新高岡駅利用者数増

・広域旅行商品の利用者数増

○ 主な関連施策 ・広域的な連携による観光施策の展開

・二次交通の充実 ・新高岡駅の拠点性向上

② 日本遺産(強み・機会)の活用

日本遺産の認定のほか、高岡御車山祭のユネスコ無形文化遺産登録に向けた活動な

ど、本市が持つアドバンテージを活かし、対外的なアピールの強化と観光ソフトの充

実を図ります。

○ 設 定 目 標 ・日本遺産を冠した観光ツアー/体験型ソフト増

○ 主な関連施策 ・資源を活かした観光プログラムの開発 ・産業観光の推進

・戦略的なプロモーション活動(出向宣伝によるツアー造成依頼)

・観光関連団体との連携 ・市民協働による観光の推進

③ インバウンドの積極的展開

台湾を中心とするインバウンド(外国人観光客誘致)を積極的に展開し、新たな市

場への参入を果たします。

○ 設 定 目 標 ・外国人宿泊者数増

○ 主な関連施策 ・インバウンドに資する展開(誘致活動の強化、受入態勢充実)

・もてなしの心の醸成

④ 「泊まって良かった」の実現

ホテル2棟の新規開業も踏まえ、宿泊事業者、飲食店等と連携して宿泊滞在機能の

充実を図り、来訪者の方々に「また来たい」と思ってもらえるよう、旅行満足度の向

上を図ります。

○ 設 定 目 標 ・宿泊客数増

○ 主な関連施策 ・資源を活かした観光プログラムの開発

・食のブランド化 ・観光関連団体との連携

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(4) 目標

これからの観光振興を図っていくにあたり、次の数値目標を設定します。

① 観光入込客数(千人)

平成 26 年 平成 32 年

3,471 4,500

平成 27 年を 10%増、28 年を5%増とし、以降は3%ずつ増加として算出。

② 宿泊者数(人)(※)

平成 26 年 平成 32 年

220,379 286,400

平成 27 年を5%増、28 年を3%増とし、29 年は新規ホテルの立地があることから 10%の伸びを

加味。以降は3%ずつ増加として算出。

③ 外国人宿泊者数(人)(※)

平成 26 年 平成 32 年

6,399 12,300

平成 27 年を 20%増、以降は 10%ずつ増加として算出。

④ コンベンション開催補助に係る宿泊者数(人)

平成 26 年 平成 32 年

4,414 5,000

MICEの誘致を積極的に推進することにより、毎年 100 人ずつの増加を目指す。

平成 27年は北陸新幹線開業年であることから、今後の施策の実効性を正確に推し量るため、平成 26年値を

ベースとしました。

(※)平成 26 年値は観光庁「宿泊旅行統計調査」の調査票情報を利用。

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4 高岡市観光振興ビジョン 体系図

(1) 広域観光の推進

① 広域的な連携による観光施策

の展開

② 二次交通の充実

③ 新高岡駅の拠点性向上

(2) 歴史まちづくりの推進

① 伝統的まつり、イベントの活性化

② 資源を活かした観光プログラム

の開発

③ 戦略的なプロモーション活動

④ 観光拠点施設等の整備

(3) MICE及びインバウンド の誘致促進

① MICEの開催支援と誘致強化

② インバウンドに資する展開

方向性

(5) もてなしの環境づくり

① もてなしの心の醸成

② 市民協働による観光の推進

③ 案内機能の充実

(4) 観光関連産業の活性化

① 観光地周辺における開業支援

② 食のブランド化・土産品の

開発支援

③ 観光関連団体との連携

④ 産業観光の推進

⑤ クルーズ船誘致の促進と受入

態勢の強化

基本戦略 推進に向けた取り組み

北陸新幹線の 活用とハブ機能の

充実

広域連携による、移動手段

と観光ソフトの充実

日本遺産の活用

本市の優位性を活かした、

対外的なアピールの強化と

観光ソフトの充実

インバウンドの 積極的展開

台湾に対するインバウンド

(外国人観光客誘致)の

強化

「泊まって良かった」 の実現

ホテルの新規開業も踏まえた、

飲食店等との連携による

旅行満足度向上

観光テーマ

「歴史と文化」と「ものづくり」を活かした観光振興

基本方針

魅力あふれる観光地域づくりと広域観光拠点の確立をめざして

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5 高岡市観光振興ビジョンの推進に向けた取り組み

先に掲げた基本方針やテーマに基づいて目標を達成するため、取り組むべき政策や

施策は次のとおりです。

(1) 広域観光の推進

富山県西部地区を、世間から「観光エリアとして認知してもらう」ことを目標に、

県西部ならではの観光ルートづくり、旅行商品化に取り組み、首都圏を中心に観光プ

ロモーション活動を展開します。

飛越能の枠組みとしては、「新幹線駅や空港を起点として圏域を広く周遊してもら

う」ため、多様な交通手段を活かした旅行モデルの造成や提案に取り組むとともに、

域内の相互交流の促進を図るための、情報発信やイベント交流に取り組みます。

① 広域的な連携による観光施策の展開

広域的に展開する各種協議会や団体等と連携し、圏域内の交流を深めながら、周遊

ルートの開発に努めるとともに域外に対し効果的なメッセージを発信し、観光客誘致

に取り組みます。

○ 取り組む施策

・ ユネスコ無形文化遺産(候補)の高岡御車山祭、城端曳山祭をはじめとする「山・

鉾・屋台行事」のネットワークや食文化など、地域の強みを繋ぐ取り組みを軸に

した広域展開

・ 広域協議会等による事業展開(富山県西部地区観光協議会、飛越能経済観光都

市懇談会、富山県 DMO など)

・ 観光列車「べるもんた」など城端線・氷見線の活用

② 二次交通の充実

広域的な移動を伴う観光客の需要にも応えられるよう、拠点を結ぶ二次交通の充実

を図り、移動利便性の向上に努めます。

○ 取り組む施策

・ 個人旅行者へ対応するための、公共交通ネットワークの周知とそれを活用した

観光ルートの発掘と提案

・ 高速バスの運行支援(世界遺産バス、わくライナー)

・ 周遊観光バス「まわるん」への支援

・ 城端線の増便試行

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③ 新高岡駅の拠点性向上

新高岡駅が名実ともに「飛越能観光の玄関口」となれるよう、利用者が求める機能

(誘導サインの充実、誘導、観光案内等)の充実を図り、質の高い案内サービスを提

供することで、広域観光における拠点性の向上に取り組みます。

○ 取り組む施策

・ ファーストタッチ、ラストタッチとなる駅としての情報提供機能・顧客満足度

の向上

・ 北陸新幹線の金沢以西への延伸と連動した、飛越能観光の拠点としてのPR

・ 新高岡駅周辺(駐車場、公園など)の機能向上

・ 新高岡駅観光交流センターの運営

(2) 歴史まちづくりの推進

「日本遺産の活用」を柱に、“日本遺産のまち高岡”のイメージ定着、歴史ストーリ

ーの観光プログラム化、語り部の育成、等を一体的に推進します。PRについても、

日本遺産(歴史と文化)を第一に、ターゲットに“刺さる”イメージ展開を図ります。

① 伝統的まつり、イベントの活性化

高岡市の伝統・歴史を受け継ぐまつりやイベントの継続的発展とそれらを核とした

旅行商品づくりを推進し、観光振興に繋げます。

○ 取り組む施策

・ 個々の祭りの成り立ち等のストーリー化による、アピール力の強化

・ 来訪者自らが参加し、楽しめる機会の増大

・ 祭り・イベント実施団体への事業補助、支援

・ 祭り・イベントの検証、改善活動(伏木曳山祭の桟敷席設置など)

② 資源を活かした観光プログラムの開発

伝統産業の技術を活かした工芸体験やガイド付きの町歩きなど、高岡市の特徴を観

光プログラム化し、提供することで、観光の魅力向上を図ります。

○ 取り組む施策

・ ものづくり体験で自作した器で地酒や夕食を楽しむなど、組み合わせによって

より高い満足度を得られるプログラムづくり

・ ホテルとタイアップした飲食店との連携(「地のもの」を活用した朝食・夕食の

グレードアップ)

・ 体験・滞在型プログラムの造成支援

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・ 日本遺産を活用した観光プログラムの充実(旅行商品化、ガイド養成など)

・ 藤子・F・不二雄先生ゆかりの観光資源の活用(ふるさとギャラリー、ドラえ

もんトラムなど)

・ 鋳物工房の整備

③ 戦略的なプロモーション活動

日本遺産の認定を受けた本市の歴史ストーリーを活かしながら、国内外への戦略的

なプロモーション活動を展開し、高岡の認知度向上と来訪者の増大を図ります。

また、設定したテーマや、キーとなる観光資源を踏まえたプロモーション活動を展

開するにあたり、優先すべき事項、地域、対象等を以下のとおり設定します。

ア 国内

年代 地域 テーマ 主な告知媒体

メイン

ターゲット

50 代以上

夫婦 関東、長野

歴史文化

ものづくり(産業観

光、体験、買い物)

旅行誌

旅行会社パンフ

サブ

ターゲット

20~30 代

女性

クラフト

(体験、買い物)

専門誌(モノ、カメラ)

フリーペーパー

ファミリー 北陸、中京 ドラえもん関係

ドライブスポット

ドライブ誌

旅行誌(近距離向け)

イ 海外

年代 地域 テーマ 主な告知媒体

メイン

ターゲット

30~50 代

夫婦

カップル

台湾

ドラえもん関係

クラフト

(体験、買い物)

Web メディア

旅行会社パンフ

○ 取り組む施策

・ 庁内部局間の連携による、ターゲットと密接に関わる部門からのアプローチの

強化

・ 効率的、効果的な情報発信媒体の選択と実行

(広告宣伝、ホームページ、SNSの活用、観光展等への出展など)

・ 旅行会社に対するPR活動

④ 観光拠点施設等の整備

歴史的文化資産を活かし、観光施設や誘導サイン等を整備し、高岡市の拠点性と回

遊性を高めます。

Page 17: 高岡市観光振興ビジョン - Takaoka- 4 - 2 高岡市の観光の現状と課題 (1) 高岡市の現況(前計画を振り返って) 本市では、平成23年に策定した前計画(H23年度~27年度の5年間)に基づき、7

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○ 取り組む施策

・ 御車山会館、藤子・F・不二雄ふるさとギャラリーなど、天候に影響のない施

設を拠点とする、周辺地域への出店誘導など面としての観光魅力向上

・ 歴史的風致の維持・向上(歴史的建造物の修理・修景、周辺環境整備)

・ 誘導案内の充実(サイン計画に基づく案内板等の設置)

・ 良好な景観形成の推進(景観計画に基づく規制誘導など)

・ 観光施設の運営

(3) MICE及びインバウンドの誘致促進

MICEについては、スポーツコンベンションに一定の需要があり、年々利用が伸び

ていることから、教育委員会との連携のもと、競技団体に対し継続的な利用を求めてい

きます。また、会場のキャパシティ、本市の歴史的・文化的土壌を踏まえ、生涯学習活

動、芸術文化活動における、北陸地区、中部地区のブロック大会の誘致活動を強化しま

す。

インバウンドについては、「台湾」を中心に誘客活動ならびに受入態勢の充実を図りま

す。現地で人気の高い「北陸の食」「ドラえもん」「クラフト」「買い物」をキーコンテン

ツに、スマートフォンで得られる情報(Web メディア、動画、SNS 等)を活用したPRを

展開します。

① MICEの開催支援と誘致強化

コンベンションをはじめとする MICE の開催は、飲食や宿泊など、観光客と遜色ない

経済効果をもたらすことから、この開催を積極的に支援するとともに、新たな需要の

掘り起こしを図るため、誘致活動を強化します。

○ 取り組む施策

・ 生涯学習、芸術文化、ものづくりなど、高岡の特徴を活かせる分野における、

庁内各部局が一体となった誘致活動の展開

・ MICE(コンベンション等)の誘致

・ MICEの開催支援

② インバウンドに資する展開

台湾を中心とするインバウンド(外国人観光客誘致)に積極的に取り組むとともに、

パンレットやガイド、公共 Wi-Fi などの受け入れ環境の充実に努めます。

○ 取り組む施策

・ 相手国の心情、嗜好に配慮した観光ソフト・環境づくり

・ 東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う国・県事業との連携

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・ 相互交流による互恵関係の構築

・ 外国人観光客誘致活動の展開

・ 受入態勢の充実(サイン、パンフレット、公共 Wi-Fi、情報提供、ガイド養成、

もてなし講座の開催など)

(4) 観光関連産業の活性化

民間事業者や地域住民との連携を強め、対外的な営業活動や観光地周辺の出店支援、

食のブランド化など、「稼げる観光」に向けた取り組みを官民一体となって展開します。

産業観光を観光ツールとして定着させるとともに、受け入れ企業が“持続可能”で

“具体的なメリットを得られる”仕組みの構築を目指します。

① 観光地周辺における開業支援

観光地の魅力向上と滞在時間の延長を図るため、飲食店や土産物店などの観光関連

施設の開業支援を行います。

○ 取り組む施策

・ 観光客等の嗜好の分析による出店希望者への情報提供

・ 観光地魅力アップ開業等支援事業

② 食のブランド化・土産品の開発支援

その土地ならではの「食」や「土産物」が楽しめることは、観光客が目的地を決め

る際の大きなポイントの一つであることから、「食」のブランド化や「土産物」の開発

を支援し、本市における観光の魅力の向上を図ります。

○ 取り組む施策

・ ホテルとタイアップした飲食店との連携(「地のもの」を活用した朝食・夕食の

グレードアップ)(再掲)

・ 食のブランド化に対する支援(高岡食ブランド活性化事業支援など)

・ 土産品、クラフト等の開発支援

・ 高岡ならではの食のもてなし(クラフトの台所事業など)

③ 観光関連団体との連携

誘致活動と受け入れ態勢の整備とが一体的に行われ、観光のワンストップサービス

が図られるよう、観光に関わる多様な団体の主体的な参画のもと、官民が連携して観

光振興に取り組みます。

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○ 取り組む施策

・ 各団体の情報共有に基づく認識レベルの統一と、受入環境整備とPRの一体的

運用

・ 観光ソフトづくり、共同による出向宣伝など観光関連産業(宿泊、飲食、土産、

交通など)との連携

④ 産業観光の推進

伝統産業や近代産業の製造現場の見学やものづくり体験等を観光素材として活用す

るため、地元受け入れ企業とのマッチング、体験プログラムの充実等を推進します。

○ 取り組む施策

・ 提供事業者のメリットに繋がる仕組みの研究・提案

・ 体験・滞在型プログラムの造成支援(再掲)

・ 企業内の観光案内人材の育成

⑤ クルーズ船誘致の促進と受入体制の強化

伏木港への大型クルーズ船による観光客の増加を図るため、誘致活動の推進と2次

交通や外国語対応などの受け入れ態勢の強化を図ります。

○ 取り組む施策

・ クルーズ船の誘致、受入態勢の強化(免税店の拡充、パンフ・ガイド等案内機

能充実、市内へのシャトルバス運行など)

(5) もてなしの環境づくり

観光客は、新たな親交・交流を育み、まちに活力と潤いをもたらす大事なお客様で

あるとの認識のもと、もてなしの心とともに、その作法を学び、実践します。

① もてなしの心の醸成

観光客の受け入れに伴う意識や心構え等について啓発し、おもてなし意識の向上を

図ります。

○ 取り組む施策

・ 面として満足度向上を図るための、施設・店舗間の連携への誘導

・ おもてなしに関する情報提供・啓発(広報誌、市民講座開催など)

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② 市民協働による観光の推進

祭・イベントでの連携や観光ガイド対応など、市民協働による観光を推進します。

○ 取り組む施策

・ 観光客の動向・嗜好など、来訪者のニーズの共有

・ 祭り・イベント実施団体への事業補助、支援(再掲)

・ 観光ボランティアガイドの養成

③ 案内機能の充実

新高岡駅をはじめとする各観光案内所の人的・物的な案内機能を充実させ、来訪者

の満足度向上を図ります。

○ 取り組む施策

・ 飛越能、北陸新幹線沿線の情報発信を通じた案内機能のワンストップ化

・ 観光案内所の運営(新高岡駅、高岡駅、雨晴駅)

修理が進む重文・勝興寺(H27.7 撮影)

さじき席から臨む「伏木曳山祭」出発式

前の様子(H27.5 撮影)

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5 実施計画

(体系図、実施事業とその実施年度を記載)

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○ 資料編

(1) 全国・富山県における観光客の動向

① 国民1人当たり国内宿泊観光旅行の回数及び宿泊数の推移

出典:国土交通省「平成 27年版観光白書」/観光庁「2013年旅行・観光消費動向調査」

② 都道府県別延べ宿泊者数(上:全体、下:うち外国人)

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(平成 26年)」/従業者数 10人以上のホテル、旅館及び簡易宿所を調査

単位:万人

単位:万人

(速報値)

上:1 人当たり回数(回)

下:1 人当たり宿泊数(泊)

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③ 訪日外国人旅行者数の推移

出典:国土交通省「平成 27年版観光白書」/日本政府観光局(JNTO)資料をもとに観光庁作成

④ 富山県内での宿泊先

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

⑤ 県内宿泊旅行者の居住ブロック

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

(万人)

(年)

立山・黒部

宇奈月

富山 高岡・氷見

砺波

エリア

不明

その他

(%)

甲信越

北陸

北海道 東北 関東 東海 関西 中四国 九州

(%)

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⑥ 県内宿泊旅行者の年代別構成

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

⑦ 県内宿泊旅行の時期

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

⑧ 来訪経験

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

(%)

(%)

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⑨ 県内宿泊旅行の目的(複数回答)

出典:じゃらん宿泊旅行調査 2015

⑩ 県内・外国人延べ宿泊者数(出身地別)

韓国 中国 香港 台湾 アメリカ ロシア シンガポール

11,140 12,390 13,050 63,060 2,840 1,020 2,830

タイ マレーシア インド インドネシア フィリピン その他 合計

8,530 1,720 1,420 1,740 1,290 9,750 132,520

出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(平成 26年)」

従業者数 10 人以上のホテル、旅館及び簡易宿所を調査

(%)

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(2) 高岡市における観光客の動向

① 観光客入込数の推移

② 延べ宿泊者数(左:全体、右:うち外国人)

③ コンベンション開催

補助の推移

補助件数 9 16 17 22 17

(人) (人)

(千人)

(人) 宿泊者補助人数

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(3) SWOT分析の整理

前計画において状況分析のため行ったSWOT(※)の現状を整理します。

(※)SWOT分析

プロジェクトの達成等への意思決定のため、内外の状況を「強み( Strength)」「弱み(Weakness)」「機会

(Opportunities)」「脅威(Treats)」に分類して評価する手法。戦略計画ツールとして有用な手法。

【強み】

5年前の状況 判定 備考(現状、ポイント等)

大伴家持ゆかりの、数多くの万葉歌 △ 万葉まつり、全国万葉フェス(大伴家持生誕 1300 年祭)

万葉の研究機関のメッカである万葉歴史館 △

開町 400年の歴史と、国宝や重要文化財に指定される寺社 ◎ 歴史都市認定、日本遺産認定

土蔵造りや千本格子などの特色ある古い町並み ◎ 金屋町の重伝建指定

銅器、漆器などの伝統工芸 △ ↑新商品開発、↓市場の縮小

菅笠などの伝統的なものづくりのまち △

歴史ある和菓子文化 △

四季折々に開催されるイベント △

歴史ある祭が今に残る △ 各祭・イベントの工夫による改善

世界的にも珍しい景勝地(雨晴海岸) ◎ 国名勝指定「おくのほそ道の風景地」

桜の名所百選にも選ばれる公園(古城公園) ○ 国史跡指定

B級グルメ(高岡コロッケ) ○ 全国フェス第 1 回優勝。「ととまる」「グリーンラーメン」も

飛越能地域への交通アクセスの拠点 ○ 能越自動車道氷見~七尾 IC 開通。能登有料道路無料化

クラフトの町 ◎ 錫製品や高デザイン商品の開発・普及

観光ボランティアが充実 △ ↑ガイドのスキルアップ、↓高齢化・担い手不足

◎大きな進展、○進展あり、△現状維持、▲進展なし・マイナス傾向

【弱み】

5年前の状況 判定 備考(現状、ポイント等)

多様な観光資源があり方向性が定まっていない △ 前計画においてテーマを「歴史と文化」「ものづくり」に設定

観光資源が点在し繋がっていない △ 周遊バス「まわるん」、周遊クーポン「あるきさくる高岡」販売

観光地における駐車場不足 △ 金屋町駐車場の暫定供与

「食」が弱い(特徴ある料理、名物料理、ブランド力、食材が少ない) ○ 昆布百選の取り組み、各種 B 級グルメの活躍

食と宿の連携が無い ▲ 各宿において対応。TUT「ゆるゆるまちネタ巡り」

温泉のある旅館が少ない ▲

宿泊はビジネス客が多く観光客が少ない ○ 新幹線開業以降、観光客は増加(ビジネスは減少の兆し)

市民のおもてなしの体制が整っていない(人材不足) ○ ひと・まち・交流会や高岡観光発信会の取り組み等

高岡の知名度が低い ○ 新幹線ブームやクラフトブームによる知名度向上

旅行エージェントへの情報提供不足 ○ 営業力強化(民間連携)、共同事業展開

夜の観光の魅力不足 △ 瑞龍寺ライトアップ、伏木曳山祭の観光資源化

冬場の観光客の減少 △ 瑞龍寺ライトアップ、氷見寒ぶり、五箇山ライトアップ

Page 29: 高岡市観光振興ビジョン - Takaoka- 4 - 2 高岡市の観光の現状と課題 (1) 高岡市の現況(前計画を振り返って) 本市では、平成23年に策定した前計画(H23年度~27年度の5年間)に基づき、7

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他地域とのネットワークが少ない ○ 広域連携の進捗(県西部、飛越能)

外国人観光客の対応不足(観光案内機能や看板) △ ↑サイン計画による進捗、公共 Wi-Fi 設置、↓ガイド不足

ホスピタリティ産業(飲食・休憩・土産・宿泊等)不足 ○ 高岡観光発信会の取り組み、山町筋・金屋町界隈の充実

◎大きな進展、○進展あり、△現状維持、▲進展なし・マイナス傾向

【機会】

5年前の状況 判定 備考(現状、ポイント等)

北陸新幹線の開業(H26 年度予定) ◎ H27.3.14 開業

東海北陸自動車道の全線開通 ○ 4 車線化に向けた活動へ

能越自動車道の整備進捗 ◎ 能越自動車道氷見~七尾 IC 開通

高速料金の土日 1000 円、無料化 - 廃止。現在は割引制度のみ

団塊世代の退職に伴う市場拡大 △ ↑シルバー世代の市場拡大、↓旅行回数・消費の減少

国のVJCによる外国人観光客の増加 ◎ 年々史上最高を記録

短大が 4 年制(富大芸術文化学部)になった △ 一般教養課程が五福キャンパスへ統合

高岡御車山祭の無形世界遺産登録への取組み △ H28 秋頃か(ユネスコ無形文化遺産)

金屋町の伝建地区認定の動き ◎ 国重伝建指定

各種案内看板の進捗 ○ 高岡市サイン計画に基づく整備進捗

瑞龍寺駐車場の大型バス専用化(地元協議会の設置) △

開町 400 年における市民参加の盛り上がり ○ 継続に課題

御車山会館の建設 ○ H27.4 開館(→来館者増に向けた対策)

国や広域協議会の売り込みによる海外観光客の増加 ○ 団体を中心に増加傾向

◎大きな進展、○進展あり、△現状維持、▲進展なし・マイナス傾向

【脅威】

5年前の状況 判定 備考(現状、ポイント等)

他の観光地との競争激化 △ 首都圏から 3 時間圏内での競争

近隣観光地との住み分け、競争化 ○ 広域連携の進捗

滞留時間の減少 △ 立ち寄り機会としては増加傾向

地場産業の落ち込み ▲ 市場規模の縮小

流行への遅れ △ (インバウンド、日本遺産活用、ものづくり…への着目)

人口減少 ▲ 合併後の減少値は年 1,000 人超

商店主の高齢化と担い手不足 ▲ 出店希望者と地権者とのミスマッチ

中心市街地の空洞化 ▲ 高齢化率、人口減少率の上昇

経済低迷、社会不安、病気等による旅行者減 △ ↓新型インフル・近隣諸国との緊張・リーマンショック

自然災害等による観光地の損壊、旅行客減 △ ↓東日本大震災 / ↑新幹線開業・インバウンド人気

観光インフラの整備の遅れ ○ 北陸新幹線敦賀開業前倒し論議

高速交通網の発達による観光客の「通過」 ○ 広域連携の進捗

現高岡駅と新幹線新駅による分散化 ▲ 特急利用者のシフトに伴う高岡駅周辺への影響

◎大きな進展、○進展あり、△現状維持、▲進展なし・マイナス傾向