ローカル5gとlpwa - yokosuka research park...2019/09/24  · 高機能版 lte-m(emtc)...

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ローカル5GとLPWA

千葉大学大学院

阪田 史郎

sakata@p08.itscom.net

2019年9月24日

1. LPWAとIoTシステム

・IoT(≒ユビキタス)のTの主役はセンサ

・IoTの中核はセンサネットワーク

・センサネットワークの主役はLPWA

IoTシステムとLPWA

デバイス 中継ノード サーバ群

センサを搭載したデバイス群

・各種センサ

・スマートフォン

・携帯電話機

・家電

・ロボット

・電子タグ

・ウェアラブル機器

・車

・ドローン

::

アプリケーション(ユーザ企業)

無線センサネットワーク

(LPWA)

基地局/ゲートウェイ クラウド

既存ネットワーク(有線網、移動通信網、無線LAN等)

データ収集 データ蓄積・管理 データ分析・処理・利用

ビッグデータ AI

・事の発端: 独自仕様のLPWA(LoRa、Sigfox)が2015年からヨーロッパ中心に、

携帯電話網のデータ通信市場を奪い始めた。

・3GPPは、2015年末に市場奪還のため急遽LTE版LPWAを2016年3月に規格化。

・現在は、LoRa、Sigfoxが先行、LTE版LPWA(LTE-M(eMTC)、NB-IoT)が猛追。

独自仕様LPWAは乱立状態に。

LPWA出現の背景

- ユビキタス(1990年代末~2012年頃): 不発

- IoT(2012年頃~):

2017年頃まで低迷

2018年以降LPWAはIoT市場を立上げるか❓

本講演における通信距離によるセンサネットワークの分類

最大通信距離 主なネットワーク

狭域 200m以下 ZigBee(PRO)、ZigBeeIP、Z-Wave、EnOcean、Bluetooth、BLE

準広域(準LPWA)

約1km Wi-SUN、IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)、SmartHop(沖電気)

広域(LPWA)

2km以上

独自仕様: LoRa、Sigfox、RPMA、FlexNet ← 先発

EnOcean Long Range、ELTRES(ソニー)、ZETA、

Weightless-P、 IEEE 802.15.4k(LECIM)他← 後発

セルラー(現在は4GのLTE版LPWA): LTE-M(eMTC)、NB-IoT

LPWAの位置づけ・価格

LTE版LPWA(LTE-M, NB-IoT)

IEEE 802.11ah

Wi-SUN

LPWA

したものにさらに加筆

MBB:Mobile BroadBand

MBB

独自仕様

LPWA1km 2km

準LPWA

センサネットワークの変遷

2000 2005 2010 2015 2020

ユビキタス IoT

狭域ZigBee(PRO), ZigBeeIP, Z-Wave, EnOcean, - - -

準広域(準LPWA) Wi-SUN, IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)

広域(LPWA)独自仕様

セルラー

Sigfox, LoRa, - - -先発

後発EnOcean Long Range, ELTRES, - - -

LTE-M(eMTC), NB-IoT

黎明期 成長期 普及期

LPWAの主な応用

メータリング

(検針)

・電気、ガス、水道のスマートメータリング(遠隔自動検針)

・農業(水田、グリーンハウス)の温度、湿度、肥料状態計測

・マンホールの水位、自動販売機、AED等のバッテリー残量

モニタリング

(監視)

・大気中や森林、土壌、海洋、河川、湖沼等の環境汚染モニタリング

・川、崖、ダム、橋、トンネルなどの公共インフラの崩壊予知・監視

・プラント、石油パイプラインなどの設備監視

・エレベータ、エスカレータの遠隔監視

・自動車・自転車の駐車管理、シェアバイク/シェアサイクル

・各種資産の盗難監視・検知

トラッキング

(追跡)

・物流における物資の配送、貨物の追跡

・トラック・タクシー・バスの配車、運行、追跡

・児童や高齢者の見守り、徘徊検知・追跡

・災害や遭難時の安否確認、避難誘導

・各種資産の盗難時の追跡

準LPWA比較

Wi-SUN IEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow) SmartHop標準化母体

IEEE 802.15.4 IEEE 802.11ahタスクグループ IEEE 802.15.4

標準化/開発時期

2013年標準化。2015年

頃開発。

2012年基本仕様、2017年最

終仕様標準化。

2013年開発。

通信方式 物理層はIEEE 802.15.4g

(FSK)、MAC層はIEEE

802.15.4e

物理層はIEEE 802.11n、4G等

で採用されたOFDM。

物理層はIEEE 802.15.4g

(FSK)、MAC層はZigBee

と同じIEEE 802.15.4

ホップ マルチホップへ拡張 1ホップ マルチホップ

備考 屋内用HAN、屋外用FAN

規格化。実用化は屋内

用が主。Wi-SUNアライア

ンスのメンバは約180社。

2018年末に突如活動再開、

チップセット供給開始、国内

で推進協議会(56社)発足。

東南アジアにも展開。無線

LANの利用実績が強み?

ZigBeeとWi-SUNの複合

型。2017年に電池駆動

モジュール販売開始。

パートナー40社強。米国、

東南アジアにも展開。

使用周波数はいずれもサブギガヘルツ帯(国内では920MHz)

独自仕様LPWA vs. セルラーLPWA

独自仕様LPWA セルラーLPWA

LoRa, Sigfox, FlexNet, EnOcean Long Range, ELTRES, ZETA, - - - 4GのLTE版LPWA(LTE-M(eMTC), NB-IoT)

・免許不要帯域(920MHz(国内)が大部分。サービス品質の保証は困難)

・規制なし・プロプライエタリベンダによるクローズドソース

・製品認証・テスト不要・IP利用不可・カバーする領域が限定・容易に低価格で導入可能・短パケット、低消費電力・低モビリティ

・免許帯域(700MHz~2.1GHz。サービス品質保証)

・規制あり・グローバル標準のオープン仕様

・製品認定要・IP利用可能・カバレジが広い・キャリアグレードサービス

-安定性 -信頼性

-セキュリティ

-モビリティ (ハンドオーバ, FOTA)

低性能で低機能だが低価格 高性能で高機能だが高価格

主なLPWAのサービスイメージ

LTE-M(eMTC)上り:1Mbps下り:1MBPS

料金例:未定

LoRaとSigfoxの通信速度は代表例

通信料金

通信速度

セルラーLP

WA

独自仕様LP

WA

LoRa Sigfox推進企業・団体

LoRaアライアンス(2019年8月現在500社強)。2015年設立。

仏Sigfox。2009年設立。

サービス形態

サービス開始2014年。携帯電話網と競合しない。

サービス開始2012年。携帯電話網と競合。

無線方式 仏Cycleoが開発した独自のチャープ方式による信号多重、周波数拡散。適応データレート(ADR)。

仏Sigfoxが開発したBPSKによる100Hz幅の超狭帯域伝送UNBと周波数ホッピングによる信号多重。

通信速度 200bps~50kbps 10bps~1kbps (100bpsが基本)

通信距離 1kbpsで8km(見通しで約10km) 30~50km(都市部以外), 3~10km(都市部)

帯域幅 125/150kHz(標準) (7.8~500kHz) UNB仕様の100Hz。混信に強い。

周波数帯、送信電力

920MHz帯。20mW以下。 920MHz帯。20mW以下。

通信方向 双方向へ拡張 双方向へ拡張

LoRaとSigfoxの比較 ①

LoRa Sigfox

消費電力 半径8kmの通信で電池の寿命10

年。

50µW。ボタン電池による寿命は5年以上。1

回の送信電力は約170mAs。

モビリティ 時速40kmでも通信可能。 時速約20kmまでは通信可能。

サービス備考 センタ側からセンサを起動した通

信も可能。

各デバイスから1日最大140回、最大12byte

のメッセージを送信可能。

商用展開 42社以上が商用展開(1年で30

社以上増加)、50社でトライアル

中。国内では2017年3月に商用

展開開始。直後にソフトバンクと

NTTドコモも2017年より商用展開。

約60カ国で展開、10億人をカバー、600万

回線接続。

国内では京セラコミュニケーションシステム

(KCCS)がSNOとして2017年2月に商用展開

開始。パートナー約480社。

LoRaとSigfoxの比較 ②

LoRaとSigfoxの比較まとめ

LoRa Sigfox

消費電力(LP) 〇

カバーエリア(WA)-広いと基地局数が少なくて済む

通信速度 〇

送信可能な通信量 〇

通信方向 〇 (クラスB) 〇 (2019年より)

オープン性 〇

価格を含む導入容易性 〇

携帯電話事業者の選択(国内) 〇

展開計画 〇

FlexNet EnOcean Long Range Weightless-P開発企業 米Sensus社。スマートメータ

リングに特化。独EnOcean社。 英Weightless SIG策定。

台湾ユービック社が開発。

無線方式、特徴

変調方式はFSK、ポケットベル(ページャ)の通信方式を基にIPv6にも対応。

狭域のEnOceanのLPWA版。エネジーハーベストにより電池不要。

FDMA/TDMAによる狭帯域通信と周波数ホッピング。同時接続多数。

周波数 280MHz(免許帯域) 920MHz帯 920帯MHz帯

通信諸元 都市部で5km、郊外で20km。1%以下のパケットロス率、最大10kbps。

送信出力10/20mW、通信速度1kbps、見通しで3~4km(最大6km)。

下り最大100kbps。都市部で2km、郊外で5km。電池寿命5~10年。

実績 米国、英国でスマートメータを2000万台以上導入。神戸市水道局、山間部の工場用水のスマートメータリング実験。

NTT東日本等との協業で、長距離気象センサシステム製品化、養鶏場等へも導入。

2018年に製品化。街灯、ガス栓制御、中古車管理等で実績。

他の独自仕様LPWA ①

ELTRES ZETA開発企業 ソニー 英国ZifiSense

無線方式、

特徴高精度な波形合成により送受信の周波

数とタイミングを補正。遠距離通信、高

速移動中の通信、GPS LSI標準搭載。

通信方式はETSI(欧州電気通信標準化

機構)でLPWAの標準の一つに採用。

最大4のマルチホップ通信により、トンネル

や地下でも途切れず、障害時に迂回路設

定可能。屋内使用で有力。

超狭帯域(チャンネル帯域幅 0.6~2.0

kHz)による多チャンネル通信。

周波数 920MHz帯 920/429MHz帯

通信諸元 見通しで、最大100km以上、時速

100kmの移動中でも通信可能。コイン

電池1個で1年間稼働。上り通信のみ。

通信速度 50~100kbps、通信距離 22m~

10km。双方向通信で電池寿命5~10年。

実績 牛の起立困難(狂牛病)検知、林業従

事者の安否確認など。2018年9月にプ

レサービス開始。2020年全国展開。

中国でインフラやマンホール監視、街灯制

御等。京都スマートシティ、サメの養殖、果

樹園、スマートビルディングなどで実験。

他の独自仕様LPWA ②

LTE版LPWAの仕様

高機能版 LTE-M(eMTC) 低機能版 NB-IoT端末カテゴリ Cat.M1 Cat.M2/Cat.NB1

下り最高速度 1Mまたは0.8Mbps 26kbps以下

上り最高速度 1Mbps 62kbps以下

音声通信 可 不可

カバレジ 従来LTE(MBB)から最大+15dBまで拡張 従来LTE(MBB)から最大+20dBまで拡張

アンテナ数 1 1

二重モード 全/半二重 半二重

端末の受信帯域 1.4MHz 200kHz

端末の送信電力 20/23dBm 23dBm

ハンドオーバ(モビリティ) 可 不可

復号可能な最大データ量 上り: 1000bit 下り: 1000bit 上り: 1000bit 下り: 640bit

LTE-M(eMTC)

180kHz ✕ 50RB = 9MHz(MBBでは50RBで通信)

1RB = 180kHz = 12サブキャリア

NB-IoT

PSM(*) (Power Saving Mode) :端末側で受信確認の間隔を長くすることで消費電力を抑える。基地局からのアクセスは受

けつけない。 端末は自分宛ての着信があるか否かを定期的に確認し、センサのようなIoT

端末では着信頻度が低いと想定。

LTE版LPWAにおける省電力化技術: eDRXとPSM

eDRX (extended Discontinuous Reception) :端末は、事前に定められた受信タイミングに基地局からの呼びかけ(ページング)により受

信する。リリース8(2009年)に規格化されたDRXは、受信していない期間ではRF(Radio

Frequency)機能部を停止させてスリープ状態(デバイスを一定時間疑似的に電源オフの

状態)にすることで消費電力を抑える技術。

eDRXは、ページングの期間を大幅に延長した方式でリリース13(2016年)で規格化。

※PSMは無線LANのIEEE 802.11nで採用されている。

※LTE-M(eMTC)は、単3電池2本分の電源で10年以上の稼働が可能としている。

・海外の一部の携帯電話事業者はLoRa、国内のNTTドコモ、ソフトバンクも、

LoRa、ZETA、ELTRESなどを展開。

過疎地などの4Gの圏外(不感地帯)でLoRa、ELTRES、ZETAなどを用いて4Gを

補完し、さらにゲートウェイのバックエンドで4Gを利用させるサービスを模索。

① eMBB(enhanced Mobile BroadBand): 高速化モバイルブロードバンド

② URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications): 超信頼性/

遅延型コミュニケーション

③ mMTC(massive Machine Type Communications): 大量マシン型コミュニ

ケーション(多数同時接続) → IoT(LPWAでは実現できない)

・2020年(一部の仕様で2019年)にサービスが開始されるのはeMBB全体とURLLCの一部のみ。

2020年3月完了予定の3GPPリリース16(フル仕様)でも詳細化はeMBB全体と、URLLCの一部

のみ。URLLCとmMTCの本格的サービス開始は2022年以降❓

・LTE版LPWAでは端末接続密度最大105(/km2)、 5GのmMTCでは同最大106(/km2)を目指す。

5Gで提供される3種類のサービス

通信速度(bps)

遅延

1ms

10ms

100ms

1s

10s

10G1G100M10M1M

5Gにおける代表的サービスの位置づけ

URLLC

eMBB

mMTC

IoT

自動運転

4K・8KVR・AR

4G

5G:

5GにおけるIoT (mMTC)

・5Gでは、3.7, 4.5, 24.25~86GHzを使用するため、4GのLTE版LPWAよりハイエン

ド(より高速、大量通信、高消費電力、高価格)になる方向 。この周波数では、

LPにもWAにもならない。

・高速移動を含むカメラ(視覚センサ)で撮影された画像の解析による監視(モニ

タリング)や追跡(トラッキング)、交通制御などのアプリケーションを想定。

これらは、ローカル5Gにおいても有力なIoTアプリケーション。

・LTE-M(eMTC)の5G版をfeMTC(fはfurther)、NB-IoTの5G版をeNB-IoT(eは

enhanced)と命名。

仕様の詳細化は、LTE版LPWAの利用状況を見ながら進める。

5G mMTC への適用が検討されている主な技術

① NOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)

・周波数、時間の両ドメインに新たに電力ドメインを使って、基地局が複数ユーザへの信

号を重畳することで、スループットを向上させる下りリンク用に適用検討中の多元接続

技術。受信側は電力差を利用して分離する。

・比較的低い周波数帯における容量改善技術。

② グラントフリーアクセス(*)

・端末から基地局に通信する際に、基地局からの事前許可(グラント)が不要な上りリンク

用のチャネルアクセス方式。センサを収容しやすくなる。

IoTに関係するのは、②の上りリンクを対象としたグラントフリーアクセス

[参考] (*)3GPPによるリリース15(2018.6)で規格化されたShort TTI

・mMTCよりもURLLCのための低遅延化の方法として規格化。

SR: Scheduling Request TTI:Transmission Time Interval

リリース15でグラント高速化

LPWAのすみ分けイメージ

個人 産業 公共

・スマートメータリング

(電力、水道、ガス)

・環境モニタリング

・インフラ監視、防災監視

高速移動

移動なし

低速移動

・交通監視・制御

・各種トラッキング

・スマートビルディング・スマートパーキリング・シェアバイク

・家電遠隔制御・鳥獣被害防止

・農業

・物流、配送管理

・高齢者、児童見守り

セルラーLPWA

独自仕様LPWA

モビリティ

・工場、プラント監視(*)

(*)高信頼性が要求される

・ゴミ収集・街頭点消灯

(将来)

2. ローカル5GとLPWA

https://blog.global.fujitsu.com/jp/2019-07-03/01/ (総務省)

ローカル5Gで実用化が期待されるアプリケーション

・ローカル5Gは、輻輳が発生する公衆網や、不安定で遅延が保証されない無線LANでは実現

が困難な、高品質・高精細映像や高信頼・低遅延の通信を駆使した主にeMBB、URLLCに

よって実現されるアプリケーションが注目されている。

アプリケーション 利用例

スマートファクトリ 生産設備のリアルタイム制御、産業用ロボットの自動運転

建設現場 重機の遠隔操縦

発電所・プラント・港湾・空港 遠隔作業支援

インフラ監視 河川の氾濫、崖の崩落、ダムの決壊、トンネル・橋梁の崩壊の監視

イベント会場/eスタジアム 観客向けのコンテンツ配信、警備・セキュリティ

観光支援 観光施設での高精細VRによる体感観光、SL列車への映像配信

4K・8K映像配信(含.地域BWA、CATV連携) 地域BWAによるマンションへのCATV映像配信

医療機関・病院 個人情報保護の目的からプライベートネットワークを構築

農業支援 ドローンによって撮影された画像データの解析、農薬散布

ネットワークから見たローカル5GとLPWA

周波数と通信距離から見たローカル5GとLPWA

周波数

通信距離200m 2km

28GHz

ローカル5G(eMBB, URLLC, mMTC)

4.5GHz

920MHz800MHz

独自仕様LPWA

LTE版LPWA

ローカル5G (主にeMBB、URLLC)

この周波数ではLPにもWAにもならない

ローカル5GとLPWAとの接点

・ネットワークから見ると、狭域に閉じ4.5GHz以上を使うローカル5Gと、広域まで

を対象としサブギガ帯を使うLPWAとの接点は見えにくい。

・IoTアプリケーションではエッジ(センサ)ドリブンで上りトラフィックが主と捉える

と、LPWA、mMTCだけでなく、eMBB、URLLCによるカメラ(視覚センサ)からの高

品質映像を利用するアプリケーションもIoTアプリケーションと捉えられる。

IoTアプリケーション: エッジのセンサ群からの情報をコア側で収集、ビッグデータとして

蓄積、AI等で分析するアプリケーション(トラフィックは上りが主)

特定域内のローカル5G環境におけるIoT向けのネットワーク

周波数 概要

独自仕様LPWA、

準LPWA

920MHz LoRa、Sigfox、ELTRES、ZETA、Wi-SUN、IEEE 802.11ah等。

mMTC、LTE版LPWAよりも低性能。一般センサからのデータ。

LTE版LPWA 主に800MHz

4GのLTE-M(eMTC)、NB-IoT。

NSA(Non-Standalone Architecture)での4Gの部分で利用。

mMTCよりも低性能。一般センサからのデータ。

ローカル5Gの

ネットワーク

eMBB, URLLCは

4.5GHz, 28GHz

mMTCは主に4.5GHz

eMBB, URLLCでは、映像主体。mMTCでは、Short TTI、グラントフ

リーアクセス等によりセンサ収容、LPWAより高性能でセキュリティ

確保、カメラからの映像もセンサからのデータも。

Bluetooth 5 2.4GHz 最大通信距離はメッシュ構成で約40m。iBeaconを搭載すれば位

置測定も可。通信速度は270kbpsでLTE-M(eMTC)とNB-IoTの間。

BAN 400, 800, 900MHz

(医療用), 2.4GHz

2012年に規格化されたIEEE 802.15.6。最大通信距離は約3mで最

大10Mbps。

FAN

PANBAN

現在比較的狭域のバイタルケア、フィットネス、見守り、家電制御等では無線LAN, 3G/LTE, BLE等が利用されているが、今後上記に一部置換えられると考えられる。

・LPWAは、これまで主に屋外を対象に通信の長距離化を追求してきたが、

ローカル5G環境では、屋内、室内、地下、トンネル等の隅々まで届きやすい

マルチホップが可能なLPWAが有効になる可能性がある。

IoTアプリケーションから見たローカル5GとLPWA

屋外

(敷地内)

・工事・建築現場における異常監視・作業管理

・公共インフラ(河川氾濫、ダム決壊、崖、橋梁、トンネル等)の崩落予知・監視

・自動車・自転車の駐車管理(スマートパーキング、シェアバイク/自転車)

・石油・天然ガスのパイプライン監視

・農業支援(水田等の温度、湿度、肥料状態などの測定による自動灌漑・給水

管理、作物の栽培・品質管理、牧場の家畜見守り・放牧管理)

・鳥獣被害検知・防止

・イベント会場、テーマパーク、観光スポット、ショッピングモール等における災害

対応(位置情報を用いた安否確認、避難誘導等)、マーケティング

屋内

(建物内)

・スマートファクトリ(工場における設備の故障・異常監視)

・スマートビルディング(BEMS、人流管理)

・健康・フィットネス・福祉・介護等を支援するヘルスケア、ウェルネス

・スマートオフィス(温度、湿度、在席状況などのセンシング)

特定域内のローカル5G環境においてもLPWAで実現されるアプリケーション

・ローカル5G環境においては、eMBB, URLLCで期待されるIoTアプリケーショ

ンと、LPWAによるIoTアプリケーションとは共通のものも多い。

すなわち、ローカル5GとLPWAが普及すると、双方の同時使用によりアプリケー

ションを高度化することが可能になる。

eMBB, URLLCにより

カメラからの高品質

映像をアップロード

LPWAにより一般センサ

からの計測・感知データ

をアップロード

コア側では、双方を同時に利用することで、より精度が高い

効果的な分析や制御、処理が可能になる。

ローカル5GにおけるIoTアプリケーション高度化の例

アプリケーション 例

建設現場

一定間隔での多数のセンサからの情報収集により異常監視し、工事

に支障がないことが確認できた時点で、高品質3次元映像を見なが

ら重機を遠隔操作し工事を行う。

公共インフラ発電所・プラント・

港湾・空港

一定間隔での多数のセンサからの情報収集により異常監視し、何ら

かの異常が検知された時点で、カメラからの高品質映像を事務所等

に送り、AIによる画像解析等により、異常に対処する。

農業支援

農場に設置した多数のセンサを設置して一定間隔で温度、湿度、

土壌、作物の状態等を監視し、異常、条件等が検知された時点で、ド

ローンが農場を撮影しクラウドに収集された映像をAI等で解析するこ

とで、施肥や収穫の的確な時期等を把握する。

参考文献等

[1] 阪田史郎: 無線通信の話、電気書院、2015.12.

[2] 阪田史郎: IoT/M2M無線ネットワーク技術、電気計算(電気書院)、2016.12.

[3] S. Sakata: Emerging LPWA as a core of IoT - Overview and Perspective, Wireless Technology Park (WTP), 2017.5.

[4] 阪田史郎: LPWAの現在と未来、MDB技術予測レポート(日本能率協会総合研究所)、2018.1.

[5] 阪田史郎:広域センサネットワークLPWAの最新動向、けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会 ‘IoT

サービス創出に向けて’ 講演会、2018.2.

[6] 阪田史郎: LPWAの最新動向と将来展望、総務省九州総合通信局電波利活用セミナー - IoT時代における

LPWAの魅力と可能性 -、2018.6.

[7] LPWA全般動向 http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/mag/ne/18/00007/00013/?P=1、2018.5.

[8] LoRaの仕様概要、開発手順、ネットワーク評価キット等については、

https://www.digikey.jp/ja/articles/techzone/2017/jun/develop-lora-for-low-rate-long-range-iot-application 等

[9] Sigfoxの仕様概要、メッセージコマンド等については、

http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1701/31/news002.html等

[10] 阪田史郎:競争激化で成長・普及期に突入したIoT向け広域センサネットワークLPWAの詳細、組込みシステ

ム開発技術展、2019.4.

[11] 阪田史郎: IoTを牽引する広域センサネットワークLPWAの最新動向と将来展望、オプトロ二クス、2019.5.

[12] 阪田史郎: IoTの中核 ‘LPWA’と次世代移動通信システム ‘5G’ の最新動向と将来展望、ET/IoTカンファランス、

2019.11.

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