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聖ホセマリア・エスクリバー

聖なるロザリオ聖なるロザリオ聖なるロザリオ聖なるロザリオ

JOSEMARIAJOSEMARIAJOSEMARIAJOSEMARIA

3

今も昔もロザリオが

強力な武器であることに変わりはありません。

内的戦いに勝利を得るため

そして人々を助けるために。

自分の言葉で聖母を称えなさい。

あなたが主を称え

償いを捧げることを神はお望みです。

聖母への麗しい信心と愛のわざによって

世界中に平和と喜びをふりまけますように。

1968年10月

ローマにて 著者

4

目次目次目次目次

◆著者について

◆読者へ

第五版への序

第十二版への序

◆喜びの神秘

第1 お告げ

第2 聖母の訪問

第3 イエスの誕生

第4 主の奉献

第5 御子を見失う

◆苦しみの神秘

第1 ゲッセマニの祈り

第2 鞭打ち

第3 茨の冠を被せられる

第4 十字架を担う

第5 イエスの死去

◆栄えの神秘

第1 主の復活

第2 主の昇天

第3 聖霊降臨

第4 聖母の被昇天

第5 聖母の戴冠

◆結び

◆付録(1)光の神秘

第1 主の洗礼

第2 カナの婚礼

第3 神の国を告げる

第4 主の変容

第5 聖体の制定

◆付録(2)聖マリアの連祷

聖マリアの連祷

◆付録(3)聖マリアの連願

聖マリアの連願

◆奥付

5

◆◆◆◆読者へ読者へ読者へ読者へ

秘義〈神秘〉を黙想しながら主の祈りと聖母マリアへの祈りを繰り返し、三

位一体の神を称え、神の母の御名を絶えず呼び続けるロザリオは、信仰と希望

と愛、そして礼拝と償いの絶えまない祈りです。

この本が書かれたのは、気弱な人のためではありません。むしろ大人、しか

も立派な大人で、きっとある時、詩編作者のように「行くべき道を教えてくだ

さい。あなたに私の魂は憧れているのです」(142・8)と叫び、心を神に上げた

ことのある人、そのような人々のために書かれました。

その人々に秘密を明かしたいと思います。それは、キリストがお望みになる

道を歩み始めるのに役立つことでしょう。

友よ、偉大なものになりたいのなら、まず小さくなりなさい。

小さくなるには、子供のように信じ、子供のように愛し、子供のように自ら

を委ね……、そして、子供のように祈らなければなりません。

これらすべては、わたしがこれから明かそうとすることを行いに移すために、

ぜひとも必要なことです。

道の終わりには、我を忘れてイエスを愛する自分に気づくことでしょう。し

かし、その<道の始まり>は、マリアに対する信頼しきった愛でなければなり

ません。

6

聖母を愛したいのですか。 それなら親しくなりなさい。どのようにすれば

親しくなることができるのでしょうか? ロザリオを<よく>唱えることによ

って……。

でも、ロザリオは……いつも同じことばかりを繰り返すのでしょう。 同じ

ことばかりですって。 愛し合っている人たちは、いつも同じことばを繰り返

し話し合っているのではありませんか……。あなたは上の空でロザリオを唱え

ているのではないでしょうか。人間らしく祈らずに、動物のように音を出すだ

け、そして、心は神から遠く離れている。だから、同じことの繰り返しに過ぎ

ないと思うのではありませんか。

ごらんなさい。十回の「聖母の祈り」(アヴェ・マリア)を唱える前に、<黙

想>すべき秘義(神秘)があるでしょう。

あなたは、一度でも秘義〈神秘〉)を<黙想>したことがありますか。

「小さくなりなさい」。わたしと一緒に進みましょう。そして、イエスとマリア

とヨセフの生涯を体験しましょう。これこそ、わたしが打ち明けようとしてい

ることなのです。

そうして毎日、イエスとマリアとヨセフに、何かをして差し上げましょう。

また、聖家族の話し合いに耳を傾けましょう。救い主の成長ぶりを眺めましょ

う。そうすれば、主の三十年に及ぶ隠れた生活に感嘆することでしょう。それ

から、主の受難と死去にも立ち会うでしょう。また、栄光に輝く復活を見て、

畏敬の念に打たれることでしょう。つまり、黙想です。至上の愛である神の愛

に我を忘れ、イエス・キリストの生涯のあらゆる瞬間をあまさず眺め、黙想す

るということなのです。

1973年1月 9日

著者

7

◆◆◆◆喜びの神秘喜びの神秘喜びの神秘喜びの神秘

8

おめでとう。恵みあふれる方。主があなた共におられる。(ルカ 1・28)

9

第1第1第1第1 お告げお告げお告げお告げ

友よ、わたしたちが子供であることを忘れないでほしい。甘美な名を持つ婦

人・マリアは祈りにひたっておられる。

あなたは、あの家で何になってみたいのだろうか。友人、召し使い、訪問者、

それとも隣の人…? わたしは今、何かになって、などとは考えられない。あ

なたの後ろに身を潜め、畏敬の念にうたれつつ、あの情景を眺めるだけ。

大天使が自らの使命を告げる……。

「どうしてそのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませ

んのに」(ルカ 1、34)。

わたしたちの御母の御声を聞いて、その清さとは対照的な、あらゆる人のあ

らゆる汚れが思い浮んでくる……。自分自身の汚れも。

すると、この世のことがらの低俗さ、惨めさに対する強い嫌悪の情が湧き上

がってくる……。なんとすばらしい決心。

「お言葉どおり、この身になりますように」(ルカ 1.38)。

この乙女の言葉に魅せられて、みことばは人となられた。

最初の一連が終わりに近づいているが、まだわたしの神に申し上げる余裕があ

る。他の人が言う前に、イエス様、あなたをお愛ししています、と。

10

主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は、なんと幸いでしょう。

(ルカ 1・45)

11

第2第2第2第2 聖母の聖母の聖母の聖母の訪問訪問訪問訪問

さあ友よ、もう一人で続けることができるだろう。喜び勇んでマリアとヨセ

フについて行こう。そうすればダビデ家の言い伝えを耳にすることだろう。

エリザベトとザカリアの話も聞くことができる。ヨセフの純愛に涙ぐみ、間

もなくベトレヘムでお生まれになる幼子の名前を聞くたびに胸を震わせること

だろう。

わたしたちは大急ぎで山地のユダの町へと向かっていく。

到着した家で、洗礼者ヨハネが生まれるのだ。そこで、救い主の御母の訪問

に感激して、エリザベトは叫ぶ。「あなたは女の中で祝福された方です。胎内の

お子さまも祝福されています。わたしの主のお母さまがわたしのところ来てく

ださるとは、どういうわけでしょう」と。

「胎内の子(洗礼者)は喜んでおどった……」(ルカ 1.41)。マリアの謙遜が

マニフィカト(賛歌)となってあふれ出る。そして、高慢な、少なくともかつ

て高慢だった、あなたとわたしは謙遜になる約束をする。

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言(ことば)は、肉となって、わたしたちの間に宿られた。(ヨハネ 1・14)

13

第3第3第3第3 イエスのイエスのイエスのイエスの誕生誕生誕生誕生

そのころ、全世界の人々を戸籍に登録せよという勅令が、チェザル・アウグ

ストによって公布された。人々はみな、登録のため、それぞれの出身地に帰ら

なければならない。「ヨゼフもダビデ家に属し、その血筋であったので、ガリラ

やの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデ街へ上って行った」(ルカ

2、1-5)。

そして、そこベトレヘムで、わたしたちの神、イエス・キリストがお生まれ

になった。宿屋に空いた部屋がなかったので、馬小屋で。御母はイエスを布に

包み、秣桶にお寝かせになる(ルカ 2、7)。

寒さ。貧しさ。わたしはヨセフの召し使い。それなのに、ヨセフはなんと優

しい方なのだろう。まるで自分の子のようにわたしを受け入れ、幼子を抱き上

げることさえ許してくださる。わたしは時のたつのも忘れ、いつまでもいつま

でも優しい言葉、燃えるような言葉を幼子にささやきつづける。

幼子に頬ずりをする。あなたもそうしてあげなさい。踊りあやし、歌を歌っ

てさしあげる。そして、王様、愛の中の愛、わたしの神、かけがえのない御方、

わたしのすべて…とお呼びするのだ。幼子のなんと可愛いことか……。一連の

祈りのなんと短く感じられることか。

14

◆奥付◆奥付◆奥付◆奥付

聖なるロザリオ

……………………………………………………………

2015 年 4月 27 日発行(第 7 版デジタル版)

著 者:聖ホセマリア・エスクリバー

訳 者:旧精道教育促進協会スタッフ

監修者:新田壮一郎

発行人:中井俊已

発行所:セイドーブックス(ホセマリア出版事業部)

〒659-0095 兵庫県芦屋市東芦屋町 12-12

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【表紙の絵】1930 年に発見された 17 世紀の作とされる「マリアの十五玄義」(京都大学蔵)

に描かれている聖母子像をもとに、スペイン人の画家サルバドール・ペレス氏が日本滞在

中の 1980 年に描いた作品。学校法人精道学園精道三川台小学校・中学校・高等学校聖堂内

の祭壇画。

【題 字】安井圭次

【聖マリアの連祷の絵】1500 年にブラッセルで描かれた絵「庭においでになる聖母と御子」

【聖マリアの連願の絵】ラファエロ・サンティ作。イタリア、フィレンツェ、ピッティ美術館蔵。

【その他の絵】イタリア人画家ロレンゾ・ロレット作「ロザリオの聖母」(1539 年)イタ

リアのチンゴリ美術館蔵。

本書は、『聖なるロザリオ』2003 年 6 月 26 日第 6版の改訂電子書籍版です。第 6 版に至

るまでの改訂と校正の各段階で、オプス・デイの方々が様々な形で協力してくださいまし

た。心からお礼を申し上げます。

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