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タブレット時代の 営業提案書 作成&活用術

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タブレット時代の 営業提案書 作成&活用術

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 いまの時代は、お客様のニーズが細分化し、商品やサービスもどんどん多様化してきています。営業の現場でも、時代の変化とともにお客様のニーズに合わせたきめ細かい対応が求められているといえます。 そして最近では、営業マン自らが提案書をつくる機会も増えてきました。これまでは、お客様との交渉は営業、提案書づくりは企画職の人というように役割分担していましたが、これも時代の流れとともに職域がボーダーレス化し、営業マンにも提案書づくりのスキルが求められるようになってきています。 そこで、本書では「タブレット時代の営業企画提案書 作成&活用術」として、営業マンがつくる提案書に必要なノウハウをまとめました。提案書づくりの流れを理解しながらレッスンできるように構成し、2冊に分冊しています。 本書、第1巻は以下のような構成になっています。

1章:現代の営業提案書とは何か?2章:提案書づくりを理解しよう3章:提案書づくりの準備をしよう4章:コンセプトをつくろう5章:ストーリーを考えよう

 1章〜 2章では、まず「提案書づくり」の概要と考え方を学習します。そもそも提案書がどういったものかをよく理解していないと、伝わる提案書はつくれません。そのうえで、3章で提案書づくりの材料を集め、ヒアリングでお客様のニーズをつかんでいきます。そして、4 〜 5章で提案内容づくりの「考える」レッスンに入っていきます。 大切なことは、提案書づくりの流れ、プロセスをしっかりつかむことです。望ましい提案書をつくるには、そこに至るためのしかるべきプロセスがあります。あくまでも結果はプロセスの延長なのです。1つ1つノウハウを理解し、レッスンを積み重ねながら、上手にスキルアップを目指していきましょう。

は じ め に

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第1章 現代の営業提案書とは何か?Lesson 01 ◉タブレット時代の営業提案書って何がちがうの? ......................08

Lesson 02 ◉提案書づくりも、営業の仕事になってきている .........................10

Lesson 03 ◉想いを一言で伝える「コンセプト」を考えよう ............................12

Lesson 04 ◉コンセプトは「オチ」、提案内容は「ネタ」である ....................14

Lesson 05 ◉提案内容に「驚き」というスパイスを加えてみよう .................16

Lesson Ex ◉タブレット時代の営業提案書を考えてみよう ................................18

◎第1章のまとめ ...................................................................................................................................20

第2章 提案書づくりを理解しようLesson 06 ◉そもそも「提案書」って何だろう? ......................................................22

Lesson 07 ◉相手に「想い」を伝えるには、工夫が必要 ...................................24

Lesson 08 ◉紙芝居のようにストーリーで見せよう ...............................................26

Lesson 09 ◉説得力のある提案書を短時間でつくろう .......................................28

Lesson 10 ◉提案書づくりに必要なスキルって何だろう? ................................30

Lesson Ex ◉提案書づくりについて考えてみよう ...................................................32

◎第2章のまとめ ...................................................................................................................................34

第3章 提案書づくりの準備をしようLesson 11 ◉何のために提案書をつくるのか? ........................................................36

Lesson 12 ◉提案書づくりはヒアリングからはじまる ...........................................38

Lesson 13 ◉ヒアリングで相手の課題を発見しよう ..............................................40

Lesson 14 ◉多角的な質問で「本当のニーズ」を探る .......................................42

Lesson 15 ◉相手の話を引き出す質問のコツを身につけよう .......................44

│ もくじ

Contents も く じ

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Lesson Ex ◉自分自身にヒアリングしてみよう ..........................................................46

◎第3章のまとめ ...................................................................................................................................48

第4章 コンセプトをつくろうLesson 16 ◉提案書における「コンセプト」って何だろう? .............................50

Lesson 17 ◉基本的なコンセプトのつくり方 ..............................................................52

Lesson 18 ◉コンセプトづくりの発想法 .........................................................................54

Lesson 19 ◉コンセプトをわかりやすい言葉にする ..............................................56

Lesson Ex ◉自分自身のコンセプトをつくってみよう ............................................58

◎第4章のまとめ ...................................................................................................................................60

第5章 ストーリーを考えようLesson 20 ◉面白いストーリーに共通する「型」とは? .......................................62

Lesson 21 ◉ストーリーとは、「問題解決」の連続である ...............................64

Lesson 22 ◉設定では、あえて「ギャップ」をつくる ............................................66

Lesson 23 ◉提案書での「ギャップ」のつくり方 .....................................................68

Lesson 24 ◉必然性と連続性のある展開を心がける ...........................................70

Lesson 25 ◉ストーリー展開に「共感」してもらうためには? .........................72

Lesson 26 ◉「結末」は終わりではなく、始まりである ......................................74

Lesson Ex ◉ストーリーについて考えてみよう .........................................................76

◎第5章のまとめ ...................................................................................................................................78

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第1章

01 タブレット時代の営業提案書って何がちがうの?02 提案書づくりも、営業の仕事になってきている03 想いを一言で伝える「コンセプト」を考えよう04 コンセプトは「オチ」、提案内容は「ネタ」である05 提案内容に「驚き」というスパイスを加えてみよう

Ex タブレット時代の営業提案書を考えてみよう 第1章のまとめ

現代の営業提案書とは何か?

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*タブレット2010年に発売された

「 iPad」に代表される、

薄型軽量の情報端末。「タ

ブレットコンピュータ」や

「タブレット端末」などと

呼ばれる。

タブレットは携帯性に優れ、プレゼンツールとしても、可能性を秘めていますが、万能ではありません。タブレット端末の「制約」を考えることによって、提案書に大切な要素が浮き彫りになってきます。

│ 第 1 章:現代の営業提案書とは何か?

なぜ、「タブレット時代」と「営業」が含まれているのか

 本コースは、提案書のつくり方と、その効果的な活用の仕方について学んでいく講座です。お客様の心を動かす提案書のつくり方とプレゼンテーションの仕方について、これから2冊のテキストとワークブックによって身につけていきます。ところで、本コースのタイトルには、コースを特徴付ける二つのキーワードが入っています。「タブレット*時代」と「営業」という言葉です。どうしてこの二つの言葉がキーになるのでしょうか。本コースを学ぶにあたって、とても大切なポイントですので、本題に入る前に確認しておきましょう。

「タブレット時代」の意味とは?

 まず「タブレット時代」について、この言葉には二つの意味が含まれます。一つは、「 iPadなどのタブレット端末をはじめとしたデジタルツールを営業活動で活用する時代」という意味、もう一つは、「こうしたツールが使われるような時代に求められる提案書とはどのようなものか」という意味です。 前者については、すでに会社から支給されていて、営業プロセスに組み込まれている人もいれば、個人的に購入し、移動時間などのスキマ時

タブレット時代の営業提案書って何がちがうの?

Lesson

01

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間を有効活用するために使っているという人もいるでしょう。「自分はタブレットを持っていないんだけど…」という人も少なくないかもしれませんが、心配しないでください。本コースでは、先ほど述べた「タブレット時代」という言葉のもう一つの意味、「タブレットが使われるような時代に求められる提案書とはどのようなものか」について考えることによって、タブレットを使う提案だけでなく、すべての形式の提案書の質を高めていこう、という意図を含んでいるのです。 タブレットを仕事で使っている、使っていないにかかわらず、どのような提案書が求められるのかを考えることは、あらゆる形式の提案書つくりに活きます。なぜなら、タブレットでのプレゼンに大切な要素である「シンプルなビジュアルと言葉」は、すべての提案書のクオリティを高める重要なポイントであるからです。

制約があるからこそ、大切なことが浮き彫りになる

 特にタブレットは、今までのノートパソコンと比べると、概して薄くて軽いものです。そのため、機動性に優れ、商談にもってこいのツールのように思えますが、実は良いことばかりではありません。たとえば、ノートパソコンと比べると、以下のような制約があります。

 ①PowerPointのアニメーションに対応していない➡アニメーションが使えないので、1枚1枚のストーリーの流れが明

確である必要がある ②ノートパソコンよりも画面が小さいので、お客様は少々見づらい

➡画面が小さいので、長い文章よりも、印象的な短文やビジュアルで表現する必要がある。

 つまり、タブレットを使った提案書には、「わかりやすく明確なストーリー」と、「印象的な短文やビジュアル表現」が欠かせないのです。 しかし、よく考えてみると、上記はタブレットを使ったプレゼンに限ったことではありません。印象的なキャッチコピーやビジュアルは、紙の提案書でもなんら変わることなく大切な要素であり、それはストーリーについても同じです。つまり、「タブレット」という制約条件によって、提案書に大切なことが浮き彫りになるといえるのです。

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営業マンに求められてきた提案書づくりのスキル。相手の心を動かす提案書をつくるには、「ストーリー」「短文」「ビジュアル」を意識することです。これが、タブレット時代を象徴する3つの要素です。

│ 第 1 章:現代の営業提案書とは何か?

営業マンが提案書をつくる時代

 前項では、本コースを特徴付けるキーワードのうち、「タブレット時代」について述べましたが、次にもう一つの「営業」という言葉について、考えてみましょう。従来、「提案書」あるいは会社によっては「企画書」ともいわれますが、いずれにせよ、新しい企画や商品・サービスを提案する際の資料をつくるのは、企画職の仕事でした。企画を立て、その企画を企画書・提案書としてまとめるまでは企画の仕事、その後、その資料を携えて仕事をとってくるのが営業の仕事、というように、役割分担が現在よりもはっきりしていたものです。 しかし、顧客ニーズの多様化やツールのIT化、提案営業の増加などによって、最近では営業マンが自ら提案書をつくる機会が増えてきました。一昔前の提案書であれば、提案先の社名や見積りを変える程度で持っていくことができたのに、昨今の案件の複雑化によって、内容にカスタマイズを施すことが、営業職に求められてきているのです。 提案書づくりには、ライティング能力やビジュアルセンスなど、これまでの営業スキルとは少々異なるスキルが求められます。そのため、実際にはどうすればいいかわからなくて困っているという人も多いのではないでしょうか。時間ばかりかかってしまい、なかなか満足のいく資料を用意できず、提案もうまくいかずに契約を取れない……。そのような状況に困っているという人も、少なくないはずです。

提案書づくりも、営業の仕事になってきている

Lesson

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「タブレット時代」を意識することが、一番の近道

 では、どうすれば、お客様の心を動かしたり、説得することのできるような提案書をつくることができるのでしょうか。 ここでつながってくるのが、前項で触れた「タブレット時代」というキーワードです。「タブレット時代」の提案書に大切な要素として、「ストーリー」「短文」「ビジュアル」の3つを挙げましたが、実は、それらを意識して提案書をつくることが一番の近道になります。これを「提案書の基本3要素」と呼ぶことにします。 それぞれについての詳しい解説は後述しますが、ここで上記の基本3要素について、もう少し説明しておきましょう。

①ストーリー 提案書全体の流れのことです。物語、シナリオとも言い換えることができます。伝えたいことを最も効果的に伝えるためのストーリーを用意し、その順番に提案書の各ページを並べることは、提案書の説得力を高めるために、とても大切なことです。

②短文 その名の通り短い文章です。何文字以内が短文だという明確な定義はありませんが、パッと目で見て、その文章の意味がスッと頭に入る程度の長さと考えておけばよいでしょう。文章をシンプルにわかりやすく書くことも大切な要素です。短くすることでインパクトのある表現が可能になります。これは「キャッチコピー」と言い換えることもできます。

③ビジュアル 文章や言葉以外で表現することを意味します。表やグラフ、図、イラスト、写真などを使って、わかりやすく見せるということです。これも短文と同様、パッと見てすぐに伝わる、印象に残るということが大切です。複雑な説明などをいかにビジュアルでわかりやすく表現できるかが、提案書において重要なポイントになります。

 上記の3要素が「タブレット時代」には特に重要であり、ひいてはそれが提案書の質を高めるために大切であるということを、ここで覚えておいてください。

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提案書づくりの基本3要素は、あくまでもパーツです。「ストーリー」「短文」「ビジュアル」をどう組み合わせるかは「コンセプト」にかかっています。提案書づくりは「コンセプト」から始まるのです。

│ 第 1 章:現代の営業提案書とは何か?

「スト―リー」「短文」「ビジュアル」はパーツにすぎない

 前項までで、「タブレット時代」と「営業」という本コースを特徴付けるキーワードと、提案書づくりで大切な基本3要素について述べました。「その3要素を提案書に盛り込むためには、具体的にどうすればいいの?」ということを知りたくなったことと思いますが、具体的な方法論に移る前に、もう二つほど、大切なことについて触れておきます。それは、「コンセプト」と「提案内容」です。 ここではまず、「コンセプト」について取り上げていきましょう。 提案書に大切な基本3要素として、「ストーリー」、「短文」、「ビジュアル」を挙げましたが、それらはあくまでも提案書を形づくるためのパーツであり、表現手段です。それらのパーツの質を高めることは、良い提案書をつくるために必要なことではありますが、その前提として、

「その提案書は何を伝えるための提案書なのか」ということを明確にしておく必要があります。そして、その想いを一言でまとめたものが、「コンセプト」です。 「ストーリー」、「短文」、「ビジュアル」という3要素は、「コンセプト」を相手に伝え、動かすためのパーツにすぎません。言い換えると、コンセプトを表現するため最適な「ストーリー」、「短文」、「ビジュアル」をつくり、組み合わせていくことが「提案書づくり」という作業そのものなのです。

想いを一言で伝える「コンセプト」を考えよう

Lesson

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面白い4コマ漫画に大切なこととは?

 もう少し身近な例で、「コンセプト」と「基本3要素」との関係をみていきましょう。 たとえば、4コマ漫画を、「4コマの流れ=ストーリー」、「セリフ=短文」、「絵=ビジュアル」というように置き換えてみます。4コマ漫画の要素は、まさにこの3つで全てといってもいいのですが、それは「見た目上」で考えた場合の話です。その前提として、「その4コマのマンガで何を言いたかったのか」という、いわゆる「オチ」が考えられていなければなりません。もし、オチのない4コママンガがあったらどうでしょうか。どんなに秀逸なセリフや絵があっても、さっぱり面白くなく、何も伝わってこないはずです。「4コマの流れ(=ストーリー)」「セリフ(=短

文)」「絵(=ビジュアル)」という見た目の3要素の裏にある、「何が言いたいのか=オチ」が秀逸であって、はじめて面白い4コマ漫画となりえます。そしてこの「オチ」がすなわち提案書における「コンセプト」なのです。

「コンセプト」づくりが、提案書づくりのはじめの一歩

 つまり、「何を伝えるためにこの提案書はあるのか=コンセプト」をまず明確にしておくことが、提案書づくりのはじめの一歩であり、大切なプロセスであるのです。そして、そのコンセプトをもっとも伝わりやすくするために、「基本3要素」を組み立てていけばいいのです。 提案書づくりというと、とかく

「上手いコピーをつくろう」とか、「おしゃれな見た目のスライドをつくろう」といったことに注意がいきがちですが、それはあくまでもコンセプトを表現するためのものであることを、忘れないようにしましょう。

短文

コンセプト

ストーリー ビジュアル

「コンセプト」を支える提案書づくりの3要素

3要素を使って表現する「コンセプト」

図:「コンセプト」と「基本3要素」

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「ストーリー」「短文」「ビジュアル」を使って、「コンセプト」を具体的に「提案内容」に落とし込んでいく。これらすべてが上手くつながったときに、説得力のある提案書ができるのです。

│ 第 1 章:現代の営業提案書とは何か?

提案内容が的はずれでは、すべてが台無し

 「コンセプト」と「基本3要素(ストーリー・短文・ビジュアル)」に加えて、もう一つ大切なのが、肝心な「提案内容」です。当たり前といえば当たり前ですが、どんなにコンセプトと提案書の表現手段が素晴らしくても、お客様への提案そのものが的はずれなものであれば、何の意味もありません。 それでは「コンセプト」や「基本3要素」もあまり意味がないのでは? と思うかもしれませんが、それは違います。むしろ、「コンセプト」と「基本3要素」と密接に結びついたのが「提案内容」なのです。 簡単にいうと、「コンセプト」を具体的な課題解決に落とし込んだものが「提案内容」であり、その「提案内容」を伝わりやすく、説得力を持たせるように表現するための手段が「基本3要素」なのです。これらがすべてが上手くつながったとき、大きな説得力を備えた提案書が出来上がります。

「コンセプト」と「提案内容」の密接な関係

 ここでも先ほどと同じように4コマ漫画にたとえてみましょう。 4コマ漫画では、「4コマの流れ=ストーリー」「セリフ=短文」「絵=

コンセプトは「オチ」、提案内容は「ネタ」である

Lesson

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ビジュアル」「オチ=コンセプト」と置き換えて考えてみましたが、そうすると、「提案内容」は何になるのでしょうか。それは、「題材」です。「ネタ」と言い換えることもできます。どのような人物を登場させるか、どのような舞台設定にするか、どのような内容の話にするかといった、漫画の内容に関する全般のことです。どんなに秀逸なオチ(コンセプト)を思いついても、そこに的はずれな題材(提案内容)を用意してしまっては、残念ながら良い4コマ漫画(提案書)にはならないでしょう。 たとえば、4コマ漫画「サザエさん」において、「うっかりしたことによる失敗が、かえって人助けになった。」というオチの4コマをつくりたいとします。すると、まず題材の有力候補としては、サザエさんがもっとも有力になります。いつもうっかりミスをしてしまうサザエさんを主人公にしておけば、ほかの舞台設定にあまり凝らなくても、すんなりストーリーが決まることでしょう。 これが波平さんだったらどうでしょうか。確かに意外性があって面白いですが、なぜ波平さんがそのうっかりした失敗をしたかという別の理由、つまりもう一つの題材が必要になります。「おでんの屋台で飲んで酔っ払っていたから、うっかり忘れ物をした」といった追加の設定です。もしそれがなければ、いまいちしっくりこないストーリーになってしまい、オチが「ストン!」と落ちてこないでしょう。

良い提案書に必要なさまざまな要素

 提案書においては、4コマ漫画の例のように、「コンセプト=オチ」と「提案内容=ネタ(題材)」は、密接な関係にあります。 明確でわかりやすいコンセプトがなければ、良い提案内容を考えづらくなり、良い提案内容があってこそ、コンセプトが引き立ちます。そしてそれらを「ストーリー・短文・ビジュアル」でうまく表現することができれば、提案の通る確率はかなり高まります。 良い提案内容を用意するためには、しっかりとヒアリングしてお客様のニーズ引き出すことや、そのニーズの本質的な原因を理解すること、課題解決のためのアイデアを考えることなど、提案営業の根幹ともいうべき様々なスキルが求められます。ただ、ここではひとまず「コンセプト」と「提案内容」、そしてそれを表現する「ストーリー・短文・ビジュアル」が揃った時、良い提案書になるということを把握しておきましょう。