i. serge abad gallardo · 2021. 1. 25. ·...
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ポール・ド・ラクビビエ
王権学会令和二年十二月九日
フリーメイソンは笑うことではない-引用集
I.元フリーメイソン、カトリックに回心した人、Serge Abad Gallardo（セルジュ アバド・
ガラルド）「フリーメイソンはルシファー教なのです」
「彼は元高等公務員なのです。都市の元局長の他、建築家でもあります。そして、法律家で
もあります。セルジュ アバド・ガラルドはその上、元フリーメイソン会員です。コルシカ
島のバスチアで入会しました。「大東社ロッジ（グランド・オリエント）」から発生した「人
権ロッジ（ドロア・ヒューマン）」において大親方（グランド・マスター）の地位を務めて
いました。彼は２４年間、ロッジに通っていました。第１８階級まで昇級していました。
フリーメイソンへの入会はごく普通のパターンです。最初、人生の意義について悩んだ結果、
ある日、フリーメイソンに入ってしまいました。」
セルジュ「フリーメイソン結社を定義するために、フリーメイソンによる定義を提示しまし
ょう。フリーメイソンによると、「思想勉強会」あるいは「友愛団体」だと自称しています
が、実際に私に言わせると、私の経験に照らして、フリーメイソンは宗教なのです。これを
簡単に証明できるかと思いますし、私の意見というよりも、多くの専門家はフリーメイソン
結社を宗教として定義しています。私に関して、まず、証人としていままで経験してきたフ
リーメイソンは宗教だったことは明らかで間違いないと断言できます。それだけではなく、
フリーメイソン会員あるいはフリーメイソンの多くの書物に基づいても、フリーメイソン
が宗教であることを簡単に裏付けられて、私なりに証明しておきました。一番早いのは、フ
リーメイソンの基礎憲章である「アンデルソン憲章」を参照すると明らかです。それから、
フリーメイソン会員の間、評判のある大教養人らの文章を参照しても明らかです。」
セルジュ「フリーメイソンに入る前に、本人に関する調査が行われます。これらの調査の内、
明らかな調査がありまして、つまり、面接して、多々の質問がされました。本人の思想はど
うなっているか、本人の仕事と環境はどうなっているか、本人の個人情報はどうなっている
かなど調べられます。それ自体は問題がないわけです。どこかの団体に新しいメンバーを入
れる前に、どういった人であるかある程度調べるのは正当だと言えましょう。多くの場合、
以上のような調査の結果、入会できない人々も少なくないのです。それはともかく、以上の
ような明らかな調査だけにとどまりません。隠れた調査も行われています。つまり、本人が
知らない内に行われる調査もあります。要は、本人の周りに数人のフリーメイソン会員が普
段からいますが、その正体は本人に隠されています。で、これらの会員は日常の生活におい
て、職場であろうが、どこかのクラブであろうが、本人の思想、好み、行動を調べています。
そして、入会に当たってこれらの会員はロッジに報告することがあります。これらの調査に
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基づいて、ロッジが本人の入会願望に対して配慮するかどうか決めていきます。そして、こ
の入会願望が配慮されたら、次に本人が「目隠し布」の取り調べがあります。要は、本人は
目隠しされながら、取り調べられます。」
セルジュ「入会の儀礼の言葉はロッジのマスターたちが唱えますが、非常に演劇的だという
か、非常に荘厳にすべく執り行われる儀礼です。例えば、入会儀礼の最初あたりの儀式に、
マスターはそこにいるフリーメイソン会員に次のことを言います。「兄弟よ、（あるいは姉妹
よ、というのもいくつかのロッジは男女共同になりますが、男性専用のロッジは一番多くて、
女性専用のロッジも稀にあるわけです）」。で、マスターが、「兄弟よ、門外漢の者を連れて
いって、第一の旅をさせなさい。命が残るように無事に戻るように頑張りなさい」と。
あなたが目隠しされながら、このようなことを聞くと、やはりちょっと心配してしまうので
すね。例えば、大東社の儀礼だと、入会儀礼の一場面は次の通りになります。舞台には一人
の人が地面に横になっている。そして白いシャツを着ているが、血を思わせる赤い色のしみ
にシャツは染まっているという設定です。つまり、地面にある人が深刻な傷を負っているか
のように、あるいは死んでいるかのように見せかけられている設定です。また、身体に剣が
刺されているような設定です。で、志願者の目隠し布がいきなりその現場の前に脱がれて、
この死体もどき舞台を志願者がみますね。で、「尊敬すべきマスター」が次のことを言いま
す。「裏切り者はこのような目に会うから」と。ですから、このような時、志願者が惑って
もおかしくないと思います。」
セルジュ「フリーメイソンの影響力は紛れもない事実です。「人権ロッジ」においてよく経
験したことですが、大東社ロッジの方にさらに多いと思いますが、毎年、いわゆる「社会問
題」が提示されて我々は勉強することになっていました。全国のロッジにおいてこの問題が
議論された結果、全国レベルで総合報告書が作成されます。そして、この総合報告書は大統
領と政府に提出されます。要は、政治家たちは必ず正式にフリーメイソンの立場がどうなっ
ているか報告されているわけです。しかしながら、それよりも大事なのは、いわゆる「国会
の友愛クラブ」の影響力は決定的です。」
Le Point 新聞（左派の大手雑誌）、記録資料。「国会の友愛クラブ」の信徒たち（２００７年
１月１８日の記事）。
抜本「地方に長年の間、やってきたフリーメイソン会員が次のように説明しています。「こ
の地方では、フリーメイソンとかかわらないで、政治をやるのは至難の業である。左派の政
治家ならなおさらだ」」
セルジュ「考えてください。地方のどこかの田舎に４０人がいて、これらはある程度の権力
と人脈を持っています。で、一人ずつ、ある課題について、例えば社会問題について、重要
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な立場にある、人脈の２０数人に働きかけたら、全体的にどれほどに強い人脈と影響圏にな
るか想像に難くないのです。そして、全国レベルでも同じです。同じ問題、同じ対策を全国
のロッジに流されたら、なおさらのことです。このようなやり方はフリーメイソンがフリー
メイソンの理想を拡散するための一つの手段です。」
セルジュ「「国会の友愛クラブ」は、当選されたフリーメイソン会員、あるいは国家の高等
官僚のフリーメイソン会員からなっています。私が手元にある正式に公開されている数字
によると、「国会の友愛クラブ」には４００人の会員ぐらいあります。その内の２５０~３
００人ぐらいは当選された政治家です。残りは官僚の人々です。言いかえると、国会両院の
内、３００人ぐらいはフリーメイソン会員であることになります。つまり、議員全員の三分
の一の議員たちはフリーメイソン会員になっています。もちろん、この割合は少なく見積も
ってなのです。「国会の友愛クラブ」に属しないフリーメイソン会員もいることが想定され
ているからです。かつて、「国会の友愛クラブ」の会長は公けに宣言しました。これを証明
する資料を保管しているので、本において紹介しています。会長はこういっています。「私
は会長としての役割をちゃんと果たしたら、左派右派を問わず、フリーメイソン会員の両院
の全員は社会問題に関する法案で同じ投票するでしょう。」「社会問題」とはいわゆる男女平
等、同性愛、安楽死、堕胎などなど。ですから、数年前のいわゆる「同性愛結婚」は一体な
ぜ通ることは可能になったかというと、フリーメイソン議員の投票で理由が尽きます。
また、有名人で Fred Zeller の例を挙げましょう。彼は大東社のグランド・マスターでした。
また、当時、トロツキーの秘書官としても活躍しました。どういった人物だったかを理解す
るために面白い事実でしょう。で、Fred Zeller が明白に言ったことがあります。つまり、国
会にいるフリーメイソン会員の仕事は何よりもまずフリーメイソンの理想を支えるために
働くことだと、このフリーメイソンの大物が明白に言いました。私が言っているのではない
のですよ。」
セルジュ「その通りです。当然といえば当然ですが、紛れもなくフリーメイソンはルシファ
ー教なのです。ただ、ルシファー教という意味はどうなっているかを説明しましょう。ルシ
ファー教あるいは悪魔教の意味になりますが、フリーメイソンではいわゆる「黒いミサ（注・
カトリックミサを真似て、冒涜して、カトリックの典礼を覆す悪魔教の儀礼）」や「子供を
殺して生贄を捧げること」や「集団乱行」などはありません。いわゆる、性的行為を踏まえ
たサタン的な儀礼などはありません。」
取材者「セルジュ様の知る限りということですね」
セルジュ「はい、その通りです。指摘してくださってよかったです。私の個人的な経験に照
らして、このような儀礼を見たことはありませんでしたが、確かに全くないとは限らないの
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です。私はあくまでも証人です。神学者でも宗教学者でもありません。私は長年、フリーメ
イソン会員だったということで、単なる証人ですが、そして聖霊の導きのお陰で信仰に戻っ
た一人にすぎません。つまり、私はこの目で見たことについてのみ証言しています。ですか
ら訂正しましょう。私は黒いミサのような儀礼を見たことがありません。しかしながら、多
くの著者は確かにこのような儀礼について証言したりします。特にスペイン人の学者です
が、Ricardo de la Cierva という有名な学者があります。彼はこう説明しています。「すべて
のフリーメイソン会員は悪魔礼拝者ではありません。しかしながら、すべての悪魔礼拝者は
フリーメイソン会員なのです」と説明しています。このことは単なる現実の確認なのです。
学界では彼の研究の成果は評価されているわけです。例えば、合衆国での悪魔教の創立者は
Aleister Crowley ですが、彼はフリーメイソン会員でした。」
II.対談・フランスの大東社ロッジの元グランド・マスターのフリーメイソンである Bauer 氏
とフランスの代表的な保守批評家 Zemmour 氏
「Zemmour 氏は有名な保守論壇の批評家である。ユダヤ人で、共和政主義の一員である。
（アナウンサー）皆様、こんばんは。Eric Zemmour さま、こんばんは。Alain Bauer さま、
こんばんは。
Bauer 氏はフランス国立工芸院で犯罪学を教えておられます。また、ニューヨークでも上海
でも教鞭をとっておられます。危機管理の顧問として、いくつかの組織や国立機関のために
活躍しておられます。右派の人で、Rocard 派の一員でもおります。多くの書籍を書き、犯
罪学やフリーメイソンや暴力や治安などに関する多くの本を出しておられます。
最新の著籍は Cerf 出版の『コロナヴァイルスの時代になってどう生活していけばよいかー
理解するため、そして抵抗するための教科書』と題されています。」
「（Zemmour 氏）それはちょっと違うと思います。なぜでしょうか？Bauer 様の元兄弟たち
の心理分析を試みるので、ご容赦ください。
つまり、単なる分裂とかではなく、フリーメイソンはカトリック教会とカトリックを第一の
敵にしているからこそ、このようなライシテになっていると思います。昔も今も、フリーメ
イソンは全力を尽くして、手段を問わず、カトリック教会を潰そうとしています。今でもこ
のように考えているフリーメイソン会員はいるでしょう。どうしてもカトリック教会とい
う敵を潰すこと。事実、現在はカトリック教会が地面に倒れている現実があるとしても、マ
ルクスが言っていたように「彼等は祖母に平打ちするようなものだ」と言っていた通りと思
いますが、それでもカトリック教会を潰そうとしています。
要は、カトリック教会を第一の敵にしているから、フリーメイソンの動き、それから国家の
動きも本質的に説明できると思います。つまり、フリーメイソンなどはカトリック教会に対
する戦いの一環として、イスラム教は仲間だとされたと思います。ご存じのように、カトリ
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ック教会を徹底的に潰そうとしている結社などは千年以上からずっとあったし、（１７８９
年以降から激しくなったし）今になってそれがいきなり消えるわけはありません。
ですから、私の目には Bauer 様の言葉においてある種の矛盾が聞こえます。つまり、Bauer
様は「けしからという立場で、しかし、残念ながら失敗した」という反省で、それは全くい
いですし、むしろ、Bauer 様の正直な話に尊敬の意を表したいと思います。でも、それなら、
次のことについてどう思いますか？つまり、フリーメイソンは昔から計画して推し進めた
社会の非カトリック化の結果、逆説的にもカトリックが弱くなっていくにつれて、ライシテ
も弱くなっていった現象について。そして、カトリックが弱いままに、無気力となった社会
に大きな穴があけて、そこにイスラム教は容易に入り込んだ現象について。どう思います
か？
以上の現状認識について、同意してくだされば本当にうれしいことです。というのも、評価
ではなく、現状認識であるはずなので、皆同意できるはずだと思います。ただし、私は毎日
のように、Bauer 様の多くの仲間たちが以上の現状認識を否定しているわけですよ。それで
は私も困ります。
（Bauer 氏）さて、まず、フリーメイソンの動きと別にして、カトリック教会は自滅してい
る事実を思い出しましょう（注・これは第二ヴァチカン公会議の帰結です）。まあ、フリー
メイソンは昔からいろいろやっていますが、結局、カトリック教会が自滅した時、今の状態
になっているという事実があります。
それから、カトリック教会を正式に第一の敵にする事を止めたのは１９８４年あたりです。
いわゆる、その年、「統一化された公立教育の法案」の時ですね（注・ホームスクール、フ
リースクール、私立学校の教育を全面的に廃止して、すべての教育を公立学校に統一する非
常に革命的な法案）。
（Zemmour 氏）で、１９８４年の膨大なデモで、実現しなかった法案ですね。
（Bauer 氏）以上の法案はミッテラン大統領の一つの誓いでした。そういえば、事実に、ミ
ッテランの正式な政治的な綱領は、大東社のロッジで作成されたわけです。私の一人に前任、
Fred Zeller グランド・マスターの下に、それから Roger Le Ray グランド・マスターが引き
継いて、ミッテランがロッジに訪問したわけです。ミッテランは「私には人々がいるが、思
想とかなくて綱領や政策はない」といって、ロッジに政策と綱領の作成を依頼したわけです。
で、大東社は多くの思想や政策をいつも出しているから、喜んで受け入れましたね。
（Zemmour 氏）昔から変わらないのですね。
（Bauer 氏）まあ、Zemmour 様はフリーメイソンの出している政策などについて、好まな
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いでしょうが、一応、一杯の法案や綱領や政策を現に昔から出していますね。そのおかげで、
少なくとも議論のためにフリーメイソンはいろいろ提供しているわけです。
で、最終的に、大東社はミッテランが当選して、非常にガッカリしました。（注・それでも、
ミッテランの政策は急進的な左翼のことで有名であるのに。。。）ことに、「統一化された公立
教育の法案」の失敗は大東社にとって非常に残念なことでした。
それ以降、フリーメイソンの第一の敵はカトリック教会ではなく、我々自分自身の内部的な
争いとなりました。
言いかえると、カトリック教会が強かった時、フリーメイソンは皆、一丸となって戦ってい
たわけです。が、８０年代になっていくと、カトリックが弱くなっていくにつれて、我々の
敵の存在感が衰えて、内部的な争いが生じてしまったという羽目になりました。これは、軍
事学なら、かなり普通のことですが。
要は、フリーメイソンの問題はカトリック教会を潰そうとすることを止めたのはないので
す。いや、カトリック教会と戦おうとしても、相手はいなくなったせいで、内部的な分裂が
生じたというわけです。はっきりとした敵は弱くなって、もう、内部的な争いなどが中心と
なって、内部的なつまらない問題が発生しました。８０年代以降、フリーメイソンは深刻な
アイデンティティーの危機に入りました（注・そこまで、カトリック教会を敵にしているこ
とこそ、そのアイデンティティーの根底にあったということになります）。それ以降、ロッ
ジなども、思想上にいっても乏しくなったと思います。つまり、フリーメイソンの問題はカ
トリック教会との死闘を止めたことではなくて、思想上の影響力を失った点にあると個人
的に思います。これはフリーメイソン会員としての反省の試みでしたが。
（Zemmour 氏）残念ながら、私から見ると、フリーメイソンは影響力として全く消えてい
ないわけですよ。例えば、政策や法案をいまだに出し続けるでしょう。フェミニストや
LGBT などのロビイストと手を組んで、同性愛の結婚、代理出産、安楽死、堕胎をはじめ、
いわゆる「社会的な法案」を数多くロッジが出して、国会が可決してきているでしょう。
要は、いまでも、フリーメイソンは社会の解体を引き続きやっている事実があるでしょう。
また、ロッジの影響で、最小限の共同道徳ですら否定される目的は引き続き強く徹底されて
いるでしょう。この意味で、フリーメイソンの影響力はまったくきえていないどころか、非
常に強く見ていますけど、どうでしょう？
さらにいうと、確かにフリーメイソンの内部的な争いがあったのは否定しません。いや、む
しろ、このような内部的な争いがあったから、世間ではフリーメイソンの悪い側面ばっかり
が目立ったと思います。つまり、いわゆる、コネ、あくどい金儲け、裏工作、贈賄、商売裁
判での闇取引などなど。一般人にとって、フリーメイソンはこのような世界だけになってい
るのですよ。フリーメイソンはそれだけではないということは言うまでもないのですが、そ
れはともかく、一般人にとって、世間でのフリーメイソン観はこのようになっていることは
事実です。そして、これらの事件は実際にあるので、事実としてもありますね。
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要は、Bauer 様は「フリーメイソンの問題は内部的な争いにある」とおっしゃったのです。
それはそれでいいと思います。それでも、内部的な争いがあるからといって、フリーメイソ
ンの全体的な傾向は変わらなかったと思います。つまり、カトリック教会を潰し、社会を解
体するような傾向、以前と変わらないで、強く作用しているとおもいます。その中枢は変わ
らなかった結果、現に、どうしてもカトリック教会を絶えずに叩き潰し続けたのです。イス
ラム教を入れて、亡国を伴うとしでも、カトリック教会を潰すために、このような政策を全
面的に推し進めた結果、現代の状態となります。その意味で、Bauer 様が描いている内部的
な問題とフリーメイソンの全体意的な動きの間に矛盾がないと思います。結果、どうしても
カトリックを潰すべきということで、犠牲を図らないで、手段を問わないで、イスラム教を
全面的に受け入れる国になる羽目となったのです。
残念ながら、現代もこれからも、このめちゃくちゃな方針の代価を払わざるを得ないのです。
（Bauer 氏）それはそうですが、一点付き加えたいと思います。カトリックの道徳とカトリ
ック教徒の言動と聖職者たちの言動はかならずしも一致していないということです。言い
たいのは、愛徳という教義があっても、十字軍と異端審問があったのです1。で、カトリッ
ク教会の幾つかの立場は聖書にも福音書にも書かれていない事実もあります（注・聖伝によ
る教義）。時代時代に合わせて、カトリック教会の公会議はその時代に合わせて解決するた
めに多くの教会令などを出していますね。
（Zemmour 氏）それはそうでしょう。カトリック教会の役割はそこにもあるでしょう。教
義を伝えていく上に、時代の問題を具体的に解決するためにもずっと動いたのも、カトリッ
ク教会の一つの役割でしょう。
（Bauer 氏）それはそうです。全くそうです。そういえば、イスラム教の一番大きな悲劇は
教会がないことにあります。シーア派ぐらいある程度の位階制があるので、シーア派ならば、
政教条約のようなことを結ばれるでしょうが、フランスにあるイスラムはそういった位階
制はないので、全く国家と話すこと自体出来ないわけです。
（Zemmour 氏）100％賛成です。イスラム教の悲劇は教会という位階制の組織がないこと
にあります。その通りです。そういえば、ユダヤ教もイスラム教と同じように、纏まった教
会は存在しなかったわけです。その結果、ナポレオンは人工的にフランスのすべてのユダヤ
人を束ねる組織を作ったのですね。
（Bauer 氏）まったくそうです。ユダヤ教の場合、このような纏まった組織を与える代価、
1 注・典型的な革命歴史観。異端審問の真相について、別個の講演録を参照。
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「公の場で遠慮するように」というフランス版のライシテの条件付きですね。
（アナウンサー）素晴らしいですね。二人とも好きな課題になって、何でもかんでも同意し
ているという珍しいことになりました。
」
「（Zemmour 氏）最初の課題に戻りますが、Bauer 様に伝えようとしているのは次のことで
す。そうですね。最初は Bauer 様の現状認識について、私も賛成だったという話。
今日、Bauer 様と話している結果、分かってきたことがあります。目の前にある問題を解決
するために、専門的というか、エキスパート次元の治療を提案したりします。このような治
療を見て、私は大体、良い治療だと思います。
問題は、これらの治療は病気を治すためにありますね。そして、その病気は精神的な病気だ
と思いますが、フリーメイソンこそが作った病気だよということを最初から言いたいので
す。つまり、治療しようとすることはごもっとものですが、この状態になっているのは、フ
リーメイソンの思想に由来しているということ。これは大きな問題でしょう。
（Bauer 氏）確かに、部分的にその通りです。例えば、大東社のロッジにおいて、女性への
尊敬とかは議論の対象になりません。あるいは、「安楽死」も議論の対象になりません。言
っておきたいのは、自発的な安楽死であって、老人は老人なので老人を殺そうといっている
のではないのですね。
（Zemmour 氏）ただ、結果として、老人を殺すことになる危険があるでしょう。
（Bauer 氏）はい、その危険はありますが、危険はいつもありますので、危険に晒さないと
ね。」
「（アナウンサー）質問させていただきたく。啓蒙思想は「共和政の宗教」でしょうか？
（Bauer 氏）はい、そうなのです。何度も書いたことです。啓蒙思想は「共和政の宗教」で
す。そのどころか、大東社は「共和政の教会」だと何度も書いたし、説明しています。
そういえば、大東社は「共和政の教会」であることを書いて、Zemmour 様を喜ばせる発言
になるのは予想しなかったのですが、それはともかく、啓蒙思想は紛れもなく共和政の宗教
であって、また啓蒙思想を参照した、道具箱でもあって、そこに多くの政策や方針などがあ
ります。つまり、ライシテの教義や儀礼があるということですよ。我が大東社の基盤、あと
多くの他のロッジの基盤は宗教なしに共和政は生きていけないという常識はずっとありま
す。ですから、共和性には宗教があって、それは啓蒙思想、ライシテです。
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（Zemmour 氏）まったく賛成です。それは昔からの話で、ルソーはすでに細かく説明して
いるところです。時間は大丈夫でしょうかね。もうちょいいですかね。
本当に不思議です。フリーメイソンを指して、Bauer 様は「共和政の教会だ」と特徴づけて
おられますね。で、不思議なことに、ご存じだと思いますが、（王党派の）シャルル・モー
ラスの表現ですね。もちろん、シャルル・モーラスの口には称賛するための表現ではなかっ
たのですが。モーラスはこのような言葉を使って、いわゆる今でも話題となっているフリー
メイソンのコネや裏工作を指していたのですが、それだけではありませんでしたね。フリー
メイソンの政治への大影響力をもさしていました。そして、それよりも、カトリックに対す
るフリーメイソン指導の迫害を非難するためでした。
ご存じのように、フリーメイソンは第三共和国の政策を通じて、フランスでカトリック信徒
の大迫害を開始して、実施したということを思い出しましょう。いわゆる、フランスからの
修道会の追放令、教会産の財産目録、軍隊におけるカトリック士官のカード事件。いっぱい
ありますね。
（Bauer 氏）ただし、言っておきたいのは、我々はカトリック信徒をその時、一人も殺した
ことはないのです。（Nous n’en avons tué aucun 原文のまま！）
（Zemmour 氏）殺人はなかったですが、あなたたちフリーメイソンは激しくカトリックを
迫害している事実は変わりません。
（Bauer 氏）いや、補足点だけとして。
（Zemmour 氏）殺人はなかったが、国からの追放は重い迫害でしょう。それから、軍隊に
おいてカトリックなら昇進は妨げられて高くなれなかったのも大きいでしょう。（そして、
全国の教会、現地まで、その財産を取り調べて、村人まで迫害されていた）
（Bauer 氏）軍人ならカトリックだからといって迫害されたのではないのです。
（Zemmour 氏）いや、ちょっと。厳密に言うと、毎週、ミサに与っていたなら、迫害され
ていたという。それはカトリックであるということでしょう！
（Bauer 氏）でも、当時のフリーメイソン会員のほとんど、カトリック信徒だったわけです
よ。
（Zemmour 氏）それは洗礼を受けているからといって、背信したらもはやカトリックと言
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えるでしょうか。ご存じだと思いますが、当時、ペタン将軍に、ミサに与っている士官の名
前の提出が要求されたときでしたね。で、ペタンは次のことを答えました。「私はいつもミ
サのとき、前列にいるから誰預かっているかはわからない」という有名なセリフがあります
ね。ペタンはミサにいっていなかったし、信仰が大嫌いだったし、自由思想と淫蕩な風習が
あったペタンがこのようなことを言っていたぐらいですから。
（Bauer 氏）でも、ペタン政権になったとき、フリーメイソンを危険な組織と判断して、フ
リーメイソンを解体する政令を出して、これらの政令は、政権になってから最初に出した政
令です。
（Zemmour 氏）その通りです。そして、それはまったく矛盾がありません。逆です。これ
らの政令はフリーメイソンが指導していた第三共和国のカトリックへの迫害の仕返しのよ
うなものです。そういえば、カトリックに対して大迫害をしたとき、フリーメイソンはプロ
テスタントとユダヤをも自分側に巻き込んだ結果、１９４０年になって、プロテスタントと
ユダヤ教も仕返しの対象となりました。それもフリーメイソンのせいでしょう。それはとも
かく、思い出しましょう。１９４０年の政権が取った最初の政令などは、かつての迫害の仕
返しのようなところが強いです。それを忘れてはいけません。
（Bauer 氏）いやでも、迫害は一般のカトリック信徒を対象にしたのではなくて、聖職者を
迫害していたわけですよ。
（Zemmour 氏）それは違います。聖職者だけの問題ではありません。第三共和国において、
カトリックは全面的に差別されています（注・人口の 95％ぐらいがカトリックだったの
に。。。）。これは無視できない大きな事実です。（注・例えば、財産目録は一般信徒まで及ん
だ。警察は強制的に教会に入り込もうとして、多くの場所では村人などが立ち上がって警察
官に抵抗したような。また、官僚などではカトリックであるだけで、限りのない障害と妨げ
があった）
（Bauer 氏）いや、一般信徒は迫害されていないのです。
（Zemmour 氏）それは無理があります。例えば、修道会の追放は一般信徒への迫害でもあ
ります。（注・これらの修道会は学校や病院施設をやっていたので、一気にこれらの施設を
通うことが不可能となって、一般使徒も巻き込まれている）。そして、軍隊の士官は聖職者
ではないでしょう。ミサに与っているという理由で昇進できないなんて、カトリック信徒に
対する迫害でなければ何でしょう。今風にいうと、これは立派な差別でしょう。
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（Bauer 氏）ご存じのように、カードの事件は結局、事件にとどまって実施することはでき
ませんでしたね。いわゆる、フリーメイソンの一員がカトリック士官に対する迫害の計画を
知った時、呆れて、公開した結果、話題となって事件となって食い止められたのです。
（Zemmour 氏）たしかに。フリーメイソンが計画的に迫害を加えようとして、寸前までい
って、そして実際に妨げを受けた士官もいる事実はかわらないでしょう。
そして、カード事件という大きな迫害は実現しなかったとしても、ドレフュス事件のあと、
事実として、多くのカトリック士官は差別された事実があります。
（Bauer 氏）厳密に言うと、ドレフュス事件のあと、カトリック士官への差別はカトリック
だったからではなかったのです（注 でもカトリックだけは差別されたと認めている！！）
（Zemmour 氏）正式な理由は、ドレフュスに反対していたということでした。これは名目
で、しかも、実際、ドレフュスに反対していたといったら、まだ違うのですが。
（Bauer 氏）その通りです。簡単に片づけるような問題ではないので、気を付けましょう。
確かなのは、大東社という組織は全力を尽くして、カトリック教会という組織を潰そうとし
ていたのです。
（Zemmour 氏）まさにそうですね。Bauer 様はおっしゃったとおりに、フリーメイソンは
「反カトリック教会」ですね。
（Bauer 氏）その通りです。フリーメイソンは「反カトリック教会」です。ただ、フリーメ
イソンという教会は個人を解放する教会なので、幅広い課題になりました。カトリック教会
は唯一の敵だったので、敵になったとおもいますけど。
（Zemmour 氏）それもちょっと違います。フリーメイソンにある普遍主義は、カトリック
の普遍主義を変質した形で引き継ぐのです。フランスにあるこの普遍主義は、カトリック普
遍主義に活かされている、そこに根を下ろしているわけです。これは聖パウロの書簡の言葉
通りに由来しています。「もう、ユダヤ人もギリシャ人もなく、奴隷も自由民もなく、男も
女もない。みなキリスト・イエズスにおいて一つだからである」（ガラツィア人への手紙、
3、28）
（Bauer 氏）そうですね。そういえば、無宗教のロッジにおいてですら、儀礼を始める時、
必ずヨハネの福音書の最初の文章が読まれています。なぜヨハネの福音書になっているで
しょうか？マルコ、マテオ、ルカなどの共観福音書と違って、ヨハネは違うことを記してい
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るからです（注・これはフリーメイソンの一つの目論見をしめしています。つまり、聖書を
読み直して、異端的な読み方にするということを暗に示す発言です。聖ヨハネは違うことを
記しているというのは確かですが、他の福音書との矛盾はなく、あえて言えば、重ならない
ように、以前にまだ記されていなかったイエズス・キリストの人生の違う場面を記してあり
ます。）それから、ロッジでは聖書の一番好きな旧約聖書は列王の書です。というのも、そ
こに神殿の建設野話が記されているからです。」
「（Bauer 氏）現代のフリーメイソンは確かに、多くの法案などを作成して国家に提供する
という形で、いまだに共和政と密接につながっています。私は何もないかのようにごまかす
ような人ではないので、責任を取ります。Zemmour 様は指摘したように、フリーメイソン
会員で詐欺、買収、コネ、スキャンダルにかかわる者、海賊、簒奪者、酷い奴は少なくない
のです。そして、彼等は他の普通のフリーメイソンを人質にして自分のやっていることを隠
していました。それはどこもそうだと思いますがしょうがないのです。
いわゆる、警察が話題になる時、警察は暴力的なのか、あるいは、暴力的な警察官はいるの
かというような問題と似ています。もちろん、暴行を犯す警察官がいますが、そうだからと
いって、体系的に警察は暴力団であることになりません。で、問題は犯罪をやる警察官を罰
して警察から追い出すということだけです。やってはいけないのは、なんか、警察官だから
といって、警察団はこの一員を守って犯罪を隠すようなことでしょう。そうすると、警察と
いう組織自体は汚れてしまって、攻撃の対象となります。それは悲劇です。
要は、フリーメイソンの主な仕事は思想を作って、法案を作って、綱領を作ったりします。
まあ、政治界への影響力は昔に比べたら非常に薄くなりました。
（Zemmour 氏）まあ、第三共和国の時代の方は政治のフリーメイソンは多かったですね。
（Bauer 氏）はい、第三共和国の時代なら、国会議員の九割ぐらい、大東社に属していまし
た。もう、現代になって、大東社の国会議員は一割を下回りました。この意味で大東社は昔
の覇権的な立場でなくなりました。その結果、政治へのフリーメイソンの影響力は多少あり
ます。多少ですけど、Zemmour 様は我々の力を評価してくれてありがたいですが。
（Zemmour 氏）いやいや、私は実際の影響力について何も言及していなくて、法案などを
まだ作成しているということぐらいをいっているだけです。
（Bauer 氏）それは確かです。我々は多くの法案などを作成しています。主に、道徳につい
ての法案となりますが、倫理的な課題なら、あまり出していないのです。私にいわせれば倫
理と道徳は微妙に違うと思います。」
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III. Sebastien Mercier、『2440 年、この上なくの夢（L’an 2240, rêve s’il en fut jamais）』、
1771 年。
啓蒙思想に傾いていた一員であり、革命の時、共和派の穏健派になり、王の死のために投票
しなかった。
1771 年、以上の未来小説を刊行した。つまり、作家は眠りに耽って 2440 年の時に起きて、
未来を語るという設定になる。
第二章は「700 歳だ」と題して、ある脚注に 1768 年に作成されたと書いてあって、革命の
30 年前に書かれている。
今度の革命に関する不思議な予測は多くて、多くは実現したが、その一つに次のことがある。
日本の近代化、文明開化、武士道の衰退。
「日本の首都、江戸から、○○年にて
内裏を無力にさせて、内裏を崇拝されている偶像にさせた大君の子孫らが『法の精神』と『犯
罪と刑罰』を和訳して（これを採用した）！
尊敬に当たる阿弥陀を街に運ばれたが、結局、一人もその車に潰されなかった。
いま、日本の出入りは自由となって、そこで、外国の技術や芸術を貪っている。自殺はもは
や道徳として認められなくなった。日本の国民は絶望の結果と否定すべき熱狂な無関心を
表す行為だと認めた。」（399 頁）
IV. Auguste Cochin, La Machine Révolutionnaire, Tallandier, 2018
Auguste Cochin (1876-1916)は歴史家と社会学者である。革命歴史を中心に研究を展開して、
社会学という新しい学問の方法を補足的に使いながら、第一資料に基づく立証的な研究を
遺した。
昔からのパリ・ブルジョワ層の一族で、18 世紀になって貴族号は与えられた家庭に生まれ
て、19 世紀になっても代々、軍人や政治家は輩出してきた。Auguste Cochin は文系のエリ
ートグランド・エコール（高等学校）「フランス国立古文書学校」を卒業し、革命の歴史、
特に三部会の集会の向けての代表選挙や「思想クラブ（Societes de pensees）［サロンとフリ
ーメイソンのロージ］」を中心に全国の資料館を訪れて、資料上の網羅的な研究を行い、多
くの成果をだした。
第一次世界大戦になると、志願で入隊して、1916 年、戦没する。若いうちに死亡して、望
ましい研究をつづけられなかったことは遺憾なことである。
革命の原因には「思想クラブ」の工作が大きくかかわっていること、また、革命の過激化の
流れには「民主政治的な組織の運営・運行」自体に要因があることを証明した。また議会に
おける「思想クラブ」の工作と操作を立証的に紹介した（個別例として、ブルゴーニュ地方
の三部会の代理者の選挙）
革命の見直しにおいて大きく影響を及ぼした Augustin Cochin でありながら、死亡になって
から学界では忘れられる傾向はあった。革命派の学者らは Augustin Cochin の研究を正面か
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ら批判することはできずに、その分、彼は課題にならないように努めたが、数十年前から彼
の研究は再発見された。
次に彼の研究ノートからの抜本。『革命的な抽象化とカトリックの現実主義』より。
「革命におけるフリーメイソンの役割
新しい歴史出来事が生じたら、新しいやり方で運ばれた事件となった。［フランス革命は］
フリーメイソンが歴史上最初に公に活発に現れる出来事である。
1789 年以前のフリーメイソンの役割は Taine による理解は不十分である
Taine は立派に網羅的に経済や政治などを初めて、フランス革命を促した諸原因を分析した。
一つの原因だけを彼が忘れた。それはフリーメイソンだ。
Taine の研究は風景を描いたようなことだ。そこに、人物をいれないと完成しない風景にな
る。
Taine の風景は非常に暴力的に振り回されて激しい風景だが、誰もいないかのような風景で
ある［ので腑に落ちない部分がある］。
フリーメイソンの定義
フリーメイソンは陰謀だとは言えない。というのも、フリーメイソンには一般的な目的があ
るからだ。陰謀なら、特定の目的があるだけだから、フリーメイソンは単なる陰謀ではない。
フリーメイソンという組織は多くの陰謀のための道具となっている。［フリーメイソン組織
の運行によって］その組織内に多くの陰謀は自然に生まれるが、これだけではない。フリー
メイソンというのは陰謀を企てるための学校であり、首謀者や加担者のアカデミーである。
というのも、フリーメイソンというのはその会員を長く支配しているからだ。普通の陰謀な
ら、一時的にだけ動員される加担者は陰謀が終わると解散するにとどまるからだ。
フリーメイソンというのは政党ではない。というのも政党あるいは派閥はある思想によっ
て纏まるが、フリーメイソンというのは傾向によって纏まる。それらの傾向において、多く
の程度があって、いわゆる傾向の明瞭さによってあるいは傾向の強さによって、組織内の階
級は決まっている。これらの階級と順序はお互いに内の内に潜んでいる形をとっている［円
形の形を取る階級内の奥に正体を現さない階級制となっている］。
フリーメイソンというのはこれらの傾向を纏める。ある時のある人の思想をあまり考慮し
ないで、この人の行動と思想が表すこの人の精神上の傾向を重視している。つまり「否定的
思考様式」と「知性上の傲慢さ」に傾く人なら「フリーメイソン」的になるということにな
る。また、「憎しみ」「妬み」「自尊心」に傾く心の持ち主は「フリーメイソン」的になる。
フリーメイソンの起源と伝統はそこにある。」
「世論を操作する陰謀。飢饉、大恐怖などは「洗脳」キャンペーンの結果である。
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フランス革命の原因はどうなっているだろうか。思われるより単純であるが、フリーメイソ
ンに由来している。
例えば、Brienne 国債は失敗に終わった。なぜ？皆が国王にはもう金がないから返済できな
いと言っていたからだ。
1789 年の飢饉。なぜ？小麦は不足していたから？違う（小麦はいっぱいあった）。前もって
計画的に小麦は買い占められて不足を作ったから？違う。飢饉があったのは、「小麦が不足
しているから」と皆がいったからだ。（1789 年 8・9 月の）大恐怖も全く一緒だ。
さて、一体なぜ「みんな」がこのようにいっていただろうか？このようにいうために、また
このように言わせるために、計画的にお互いに打ち合わせれていた人々がいたからだ。「叫
べ。叫ばせろ」。ヴォルテールはすでにこの工作［の秘訣］を完全に紹介した。秘密ならそ
こに尽きる。」
「フリーメイソンと代表制
フリーメイソンとはすべての権力を奪う可能性はずいぶんあったがそのために必要な条件
が一つのみだった。「平等」の原則と代表制の採用は必要だった。このようにして、「自由」
選挙と諸議会を完全にフリーメイソンの支配下に置くためであった。なぜこのような目的
をフリーメイソンが達成できただろうか？人々はお互いに独立しあって、それぞれの理性
は皆、同じ価値を持ち、また自分の利益に背く投票はできないといった「詭弁」を原則にし
たおかげ［でフリーメイソンは覇権を握るように成功した］。」
「フリーメイソンにおいて、少数派こそは多数派を支配している。
フリーメイソンの強みは現代の人々の弱みをよく知り、考慮して、これらの弱みをうまく利
用していることにある。
フリーメイソンの組織の強みと危険性は何であるのか？フリーメイソンが決定した法律な
どを「一般意思」が決めたことに見せかけることにある。
1.ロージの構成において。原則として新しい会員になるため、多数派が同意すべきだとされ
ている。これは保証になるのか？いや、ならない。ロージを束っている委員会がその新員を
紹介するが、多数派はその委員会の構成員を知らないままになっているので、手当たり次第
に皆が投票する。
2.ロージの決定は？多数派によって可決されるが、［すべてのの決定は］委員会によって作
成されて、紹介される。。。
だから、（革命の時）、ある都市が混乱に落ちて揺るがされたら、中央権力と企てるクラブの
支配下に落ちることは理解しやすい。そして、このクラブ自身はクラブ内の一番暴力的な少
数派の支配下に落ちる。」
「公論と与論
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いつもの間違いは公論と与論を混同することにある。「無名」である与論は私心のないこと、
一般的であることは間違いである。このような間違いはおきるのが理解しやすい。フリーメ
イソンの組織全体を把握しないかぎり、隠れた利益や目的は見えないからだ。問題は実にフ
リーメイソンが存在していて、目的と利益があるが、フリーメイソンが存続するのは以上の
混同のお陰である。」
「秘密結社はなぜ秘密主義を採用するのか？
フリーメイソンの秘密。なぜ隠れているのか？権力者から隠れるためなのか？いや、国民の
公論から隠れるためである。その証拠はフリーメイソンの秘密が会員と非会員の間にある
だけではなく、フリーメイソンの各階級の間にも秘密が原則である。つまり、フリーメイソ
ンという組織においていつまでも代表者らが投票する人々の裏に陰謀を企てて、支配者は
被支配者の裏に陰謀を企てて、将軍らは軍人らの裏に陰謀を企てる組織となる。」
*フリーメーソンを見た歴代教皇たち（前編）
Billecocq 神父に哲学の講話を聴きましょう！
「【フリーメーソンの第一の特徴：宗教多元主義、外面的自然的誠実さを装う】
続いて、
「それらに属する人々は、宗派やセクトを問わず自然な誠実さを装いつつ各々が自ら決め
た法規と規定に基づき、緊密かつ極秘の誓約によって互いを結び付けて拘束し合い、秘密の
闇の内に行う物事を一切明らかにせぬことを聖書に基づく誓いとして、それに違反すれば
非常に重い罰を受けると沈黙を不可避のものとしている。」
以上は、1738 年の回勅です。フリーメーソン自体は、その誕生から 21 年しか経っていませ
んでした。にもかかわらず、フリーメーソンの定義として素晴らしいものです。少ない言葉
で、全部主な要素は含まれています。
一つ一つの言葉には重みがあります。
その定義を繰り返しましょう。「それらに属する人々は、宗派やセクトを問わず」
これは、フリーメーソンの大きな特徴です。「宗派やセクトを問わず」。つまり、宗教上の多
元主義に他なりません。現代なら、違う表現、つまり「エキュメニズム」というだろうけど、
全く同じです。「宗派やセクトを問わず」。つまり、宗教上の多元主義です。
続いて、「自然な誠実さを装いつつ」も大特徴です。今風に言うと、「博愛主義・慈善活動・
人類愛」というところです。そして、誤謬としての「自然主義」もすでに暴かれつつありま
す。「自然」というのは、「超自然」の反対語です。つまり、この指摘は「フリーメーソンに
超自然的なもの、精神的なものは一切ないぞ」としているという意味です。すべて、自然に
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属するだけだと。しかしながら、それよりも、フリーメーソンというのは、偽善そのもので
す。「自然な誠実さを装いつつ」と書いてある通りです。
因みに、かかる偽善というのは、1717 年の設立当初から見られます。労働者だった「建築
者組合」を建前に使っている偽善でしたが、その後の時代は違う形になるかもしれません。
具体的な流れは不明ですが、当初の労働者は結局離れてしまいました。まあ、グノーシスと
いわれても、結局何も良いことはなかったことに気付いたか、自分らが労働せざるを得ない
間に、他の会員が秘密の会合をやって呆れたかわかりませんが、離れてしまいました。
というのも、現在なら、フリーメーソンには、当然ながらもう建築者・大工はいない事実が
ありますから。それはともかく、建築者という建前がなくなったら、今度どういった隠れ蓑
を使うかというと「自然な誠実さ」に他なりません。「自然な誠実さを装いつつ」。だから、
そういった建前は今でも残っています。「博愛主義・慈善活動」であれ、「人道主義・人間尊
重主義」であれ、つまり「人間のために良い事を施す」といった自然主義になって、ある種
の仮面を被ります。さらに言うと単なる「自然な誠実さ」という次元とは、他にならない「人
間主義（ヒューマニズム）」に属する程度になります。超自然次元でも精神次元でもありま
せん。あくまでも、自然から上に行かない。あえて言えば、水平の秩序のままで、人と人だ
けの関係となります。要するに「自然な誠実さ」の仮面というのは、ある種の「人間主義（ヒ
ューマニズム）」に他なりません。少なくとも外面的な人間主義なのです。
また、言い換えると、宗教上の無関心或いは、慈善活動・人類愛とでも呼ばれる仮面を被り
ます。強調したいのは、教皇が断言したときに、少ない言葉で明白にすべてを断言するとこ
ろです。
【フリーメーソンの第二の特徴：秘密主義】
「それらに属する人々は、宗派やセクトを問わず自然な誠実さを装いつつ各々が自ら決め
た法規と規定に基づき、緊密かつ極秘の誓約によって互いを結び付けて拘束し合い、」
これは、フリーメーソンの第二の特徴なのです。何度も否認の対象となってきたフリーメー
ソンの要素ですけど、その秘密主義なのです。
要約してみると、フリーメーソンの第一と第二の特徴はこうなります。
第一は慈善活動・人類愛とでも呼び得る特徴。
第二は秘密主義とでも呼び得る特徴。
慈善活動・人類愛というのは、「人間主義（ヒューマニズム）」の名残のようなものです。た
だし、「秘密主義」も付いている、この人間主義が何かを隠しているということです。
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こういったことを理解すると、歴史における思想の流れをより良く把握できます。「人間主
義（ヒューマニズム）」といったら、「原始に遡っておるぞ」と自慢しながら、ルネサンスの
当初なら、まだ人間主義者は「カトリック」だと断言されたりしました。確かに、こういっ
た「カトリック的な人間主義」があえて言えば存在した、というか、いえ、カトリックであ
りながら同時に「人間主義者」だった信徒が確かにいました。
でも「人間主義」というだけで、カトリックの何かを壊します。つまり、無理矢理に、「人
間を高揚」するあまりに、ハッキリ言わなくても、既に天主をその相応しき立場から落とさ
せてしまいます。それより、深刻なのは、人間主義のせいで、創造物と被創造物との間の特
別な関係を崩します。あえて言えば、人間を高揚するあまりに、「無」である人間と「全て」
である天主の間の関係を崩してしまうのが人間主義なのですから。まあ、それは兎も角、当
初のヒューマニズムなら、カトリック的に振る舞える可能性が確かにありました。因みに、
歴代教皇の何人かは、当時のヒューマニズムの強みを活かしていた事実もあります。特に、
ローマでの芸術の発展が典型的でしょう。
しかしながら、思想の面でいうと、当初のカトリック的な人間主義が、時間が経ると、単な
る仮面となってきます。一方で人間を高揚する側面を維持しつつ、カトリック的な部分をす
べて抜いてしまい、自然状態では真空がすぐ埋まるように、他方でその代わりにある種のグ
ノーシスが入ってきます。秘密の教義、オカルトの教義がカトリック要素の代わりに入って
きます。
自明でしょう。「天主は光だ」。「悪魔は闇だ」。つまり、天主を追い出したら、闇しか残らな
いのです。考えてみると、分かりやすいですね。人間主義を取っておきながら、人間主義か
ら天主を抜き出して、その代わりに裏から闇を入れただけです。ところが、闇を隠すために、
ピカピカの建前を装うということです。」
*瀧川政二郎、『東京裁判をさばく』、慧文社、東京、平成１８年、昭和二七年・二八年東和社刊
東京裁判に対する違和感 / 歴史は裁判所
ｐ.106「俺は何とかして長生きをして、歴史家としてこの裁判をさばいてやろう。東京裁判に関
係している弁護人は、いずれも日本法曹界の大物であって、多士済々である。しかし、見渡した
ところ、歴史家は俺ひとりだ。この裁判記録を正確に保存して、世界の人々が冷静を取り戻した
ときに、この不正を世界に訴えてやろう。「孔子春秋を著して乱臣賊子の心胆を寒からしめた」
というが、生きた人をさばくのは裁判官の職務である。しかし死んだ人をさばくのは歴史家の職
務である。」p.131 「証拠法と歴史研究法とはよく似ている。証拠法は、現在の事実を確認する
方法であり、歴史研究法は、過去の事実を確認する方法である。確認せんとする事実に新旧の別
はあっても、真実を追求せんとする目的は同じである。歴史研究法においては、蒐集せられた素
材の中から資料を択び出すには、「史料の批判」なるものを行わねばならない。「史料の批判」即
ち史料の吟味であって、史料の信憑性を検討することである。」