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2Fina l Cut Pro Xガイドブック追補
2011年9月のアップデートにより、Final Cut Pro Xはバージョンが「10.0.1」に進化しました。今回のバージョンアップでは「Lionでのフルスクリーンビュー」など操作面の改善に加えて、「メディアステムの書き出し」「XMLの書き出しと読み込み」など、主に入出力部分での機能が向上しました。基本的なアーキテクチャはそのままに、「できること」の幅が広がったアップデートと言えるでしょう。ここでは「バージョン10.0.1」で追加された主な機能についてご紹介します。
F i n a l C u t P r o
XG u i d e b o o k
第 1 章 Final Cut Pro とは?
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Final Cut Pro X
ガイドブック
EXTRA 1
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SECTION 01
Final Cut Pro X 10.0.1
について
「タイムラインインデックス」が開きます。「ロール」ボタンをクリックして「ロール」表示にします。ここでは5個のロールがリストアップされています。
「メディアステム」の書き出し「バージョン10.0.1」で大きく変わったのがメディアの書き出し機能です。メニューの「共有」>「ムービーを書き出す」が「メディアを書き出す」に変わりました。追加された「ロール」機能によってプロジェクトで使用しているメディアを仕分けして書き出すことができるようになったのです。これにより、文字の入っていないムービーの作成(いわゆる「白完」)やミキシング用に音声トラックを分けて書き出す作業が容易になりました。
❶「ロール」でタイムラインのクリップを仕分ける新たに加わった「ロール」を使ってタイムラインのクリップを仕分けしてみましょう。「ロール」とは「役柄」の意味で、クリップの仕分けカテゴリです。「ロール」はクリップごとに設定されます。Final Cut Pro Xでは「ロール」別にプロジェクトからメディアを書き出すことができます。
▶クリップの「ロール」を表示する図のようにすでに編集されたプロジェクトがあります。「タイムラインインデックスを表示」ボタンをクリックします。
「ビデオ」 ........ビデオクリップに割り当てられます。写真やイラストなどの静止画や、ジェネレータで作成された背景なども初期設定では「ビデオ」になります。
「タイトル」 ......タイトルブラウザで作成されたタイトルクリップに割り当てられます。「ダイアログ」 .... ダイアログとはセリフの意味です。ビデオクリップに付随した音声トラックに割り当てられます。「ミュージック」 .. CD音源など追加された音素材に割り当てられます。「エフェクト」 .... Apple Loopで追加された効果音には「エフェクト」のロールが自動的に割り当てられます。
ビデオのロールはチェックボタンが青色、音声のロールは緑色で表示されます。ロールを選択すると、該当するクリップがハイライト表示されます。
「タイムラインインデックス」表示
「ロール」ボタン
該当するクリップがハイライト表示される
2 0 1 1 年 9 月 、 F i n a l C u t P r o は 1 0 . 0 . 1 に
バ ージョンアップしました 。ここではその 新 機 能 に
ついて 解 説します 。
F i n a l C u t P r o X 1 0 . 0 . 1について
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S e c t i o n 0 1Ex t r a
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SECTION 01
Final Cut Pro X 10.0.1
について
ロールのチェックを外すことで、該当するクリップ全体を一時的にオフにすることができます。映像の場合はビューアに表示されなくなります。音声の場合は音が再生されなくなります。
このように、ロールごとにオン/オフを切り替えることで、「タイトル」の入っていないムービーやセリフだけのムービーなど、用途に応じて様 な々ムービーファイルを書き出すことができます。ムービーの書き出し方法については本書216ページ「マスターを作成する」をご参照ください。なお、バージョン10.0.1ではメニューの「共有」>「ムービーを書き出す」は「メディアを書き出す」に変更されています。
また、個別のロールをまとめて書き出すには後述の「メディアを書き出す」で書き出すロールを設定します。
▶ポイント◀「ステム」とは?「ステム」とは、直訳すると「葉をまとめる茎」の意味ですが、録音スタジオでは「ステム・ミキシング」というように使います。レコーディングでは音源をバラバラの状態から一気にミックスするのではなく、ある程度まとめておいてからミキシングした方が効率が良い場合があります。たとえばボーカル、ドラム、ギターなどにまとめてからミキシングしていくと、スムーズに処理できます。このようにメディアを仕分けして、まとめておくことを「ステム」と言うのです。Final Cut Pro Xでは「ロール」ごとに音素材をまとめておくことで、MAスタジオなどでのミキシング作業がスムーズになります。書き出されたメディアは無音の部分を含めてすべて同じ尺になるので、タイミングがずれる心配はありません。
❷ロールの追加ロールは追加して、クリップに割り当てることができます。ロールには、「ロール」とさらに細かく分類することができる「サブロール」とがあります。
メニューの「変更」>「ロールを編集」を選択します。「ロールエディタ」が開きます。
ロールを追加するには左下の「ロールを追加」ポップアップメニューからカテゴリを選びます。ここでは「新規ビデオロール」を選択しています。
「静止画」という新規のロールを作成しました。また「ロールエディタ」中央下の「+」ボタンを押すと「サブロール」を追加することができます。ここでは「写真」と「イラスト」のサブロールを追加しています。
❸ロールの削除追加したロールとサブロールはキーボードの「delete」キーで削除することができます。
❹ロールをクリップに割り当てるクリップにロールを割り当ててみましょう。タイムラインにデジカメ
で撮影した写真を読み込み、クリップを選択します。
写真は初期設定では「ビデオ」が割り当てられています。「変更」>「ロールを割り当てる」から追加したサブロール「写真」を選択します。
「タイムラインインデックス」の
「ロール」表示に新規のロールとサブロールが追加されます。サブロール「写真」を選択するとハイライト表示されます。
▶ポイント◀ロールはイベント内のクリップにもあらかじめ割り当てておくことができます。イベント内のクリップを選択し、「変更」>「ロールを割り当てる」からロールを選択します。
チェックを外す 表示がオフになる
ロールを追加 サブロールを追加
写真を読み込んで選択
ロールが追加される
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SECTION 01
Final Cut Pro X 10.0.1
について
❺メディアを書き出すタイムラインから、メディアをロール単位で書き出すことができます。
メニューの「共有」>「メディアを書き出す」を選択します。
「書き出し」のプルダウンメニューから書き出すメディア形式を選択します。
「ロールをマルチトラックQuickT imeムービーにする」:Soundtrack ProやLogicなど、マルチトラック形式のQu i c k T imeファイルに対応したアプリケーションでミキシングを行なう場合に選択します。
「ロールを個別のファイルにする」:ロールごとに分かれたムービーと音声ファイルが書き出されます。ProToolsをはじめGarageBandなど汎用のアプリケーションでミキシングを行なう場合に選択します。
「ビデオロールのみを個別のファイルにする」:ビデオロールのみ書き出します。音声は書き出しません。
「オーディオロールのみを個別のファイルにする」:オーディオロールのみ書き出します。映像は書き出しません。
▶「ロール」の書き出し設定メディアを書き出す際にロールをまとめたり、必要のないロールを書き出さないように設定をすることができます。
たとえば音声のミキシング用にメディアを書き出す場合は、「ビデオ」「タイトル」などビデオ部分をまとめておき、「ダイアログ」「ミュージック」「エフェクト」など
の音声部分を分けて書き出します。
書き出しの設定はプリセットとして保存しておくことができます。
設定した内容でメディアが分かれて書き出されます。
オーディオ用アプリケーションで読み込み、トラックを用いたミキシングをすることができます。
「SoundTrack Pro」でのミキシング
まとめるロールを選択
不要なロールは−で削除
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SECTION 01
Final Cut Pro X 10.0.1
について
「XML」の書き出しと読み込みFinal Cut Pro Xでは素材の管理データは「イベント」、編集データは「プロジェクト」として保存されます。「バージョン10.0 .1」ではこれらのデータをより汎用性の高い「XMLフォーマット」で入出力できるようになりました。
今後はFinal Cut Pro XのXMLに対応したカラーコレクションツールで色補正をしたり、合成ツールでCGを合成したりといった、高度な連繋作業が可能になることが期待されています。
❶XMLの書き出しイベントとプロジェクトからXMLを書き出してみましょう。
▶イベントを書き出す場合イベントライブラリでイベントを選択し、「ファイル」>「XMLを書き出す」を選択します。
▶プロジェクトを書き出す場合プロジェクトライブラリでプロジェクトを選択し、同様に「ファイル」>「XMLを書き出す」を選択します。図のように「.fcpxml」という拡張子がついたファイルが書き出されます。このXMLファイルには使用するメディアの場所や使う範囲等が記述されています。このファイルを対応した外部アプリケーションで読み込んで作業を行います。
❷XMLの読み込み書き出したXMLファイルをFinal Cut Pro Xで読み込んでみます。
Fina l Cu t Pro Xから「ファイル」>「読み込む」>「XML」を選択します。「XMLを読み込む」ウインドウでXMLファイルを選択します。
XMLを元に新規にプロジェクトが作成されます。タイムラインで確認すると、編集点や接続ポイント、主なトランジションが再現されているのがわかります。一方で、テキストのフォントや、エフェクトの設定などは反映されません。XMLで書き出すことができるのは編集データのすべてではないのです。
フォントの設定などは反映されません。
オリジナルの「テキスト」 XML で再読み込みした「テキスト」
▶ポイント◀Fina l Cut Pro 7との互換性は?現時点では、Final Cut Pro Xで用いられるXMLファイルと、Final Cut Pro 7やiMovieのXMLファイルとの互換性はありません。Fina l Cut Pro XのXMLファイルをFina l Cut Pro 7で読むことはできませんし、Final Cut Pro 7のXMLファイルをFinal Cut Pro Xで読み込むこともできません。しかし「Project X₂7」など、サードパーティからリリースがアナウンスされているXMLの変換ツールを用いることで、ある程度の互換性を保つことができるようになるでしょう。
XML の読み込みで作成されたプロジェクト
編集点や主なトランジションは再現される
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Final Cut Pro X 10.0.1
について
L i o n でのフルスクリーンビューMac OS X 10.7 L ionのフルスクリーンビューにFinal Cut Pro Xも対応しました。フルスクリーンビューモードではメニューバーが格納されるので、より広く画面を使うことができます。
❶フルスクリーンにするメニューの「ウインドウ」>「フルスクリーンにする」を選択します。
フルスクリーンビューになり、画面上端のメニューバーが非表示になります。メニューバーはマウスを上端に移動させると表示されます。
❷フルスクリーンを解除するメニューの「ウインドウ」>「フルスクリーンを解除」を選択します。
開始タイムコードのカスタマイズプロジェクトのタイムコードを任意の時間からスタートさせることができるようになりました。
❶新規プロジェクトでのタイムコード設定「ファイル」>「新規プロジェクト」を選択します。プロジェクトの設定画面が表示されます。「開始タイムコード:」で任意のタイムコードを設定します。
❷既存プロジェクトでのタイムコード設定プロジェクトライブラリでプロジェクトを選択し、右クリック>「プロジェクトの情報」を選択します。(またはプロジェクトを選択し、メニューから「ファイル」>「プロジェクトの情報」を選択します。)
インスペクタにプロジェクトの情報が表示されます。右下のスパナの形をした「プロジェクトの情報を変更」ボタンをクリックします。
プロジェクトの設定画面が表示されます。「開始タイムコード:」で任意のタイムコードを設定します。
タイムコードを設定
「プロジェクトの情報を変更」ボタン
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Final Cut Pro X
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SECTION 01
Final Cut Pro X 10.0.1
について
❷シナリオから単独のクリップに戻すトランジションは「delete」キーで削除することができます。また、シナリオから単独のクリップに戻すにはシナリオを選択し、メニューの「クリップ」>「クリップ項目を分割」を選択します。
トランジションが含まれていると図のようなアラートが表示されます。「分割」をクリックするとトランジションは削除され、通常の接続されたクリップに戻ります。接続されたクリップとシナリオについて詳しくは本書153ページ「シナリオ」をご参照ください。
接続されているクリップへのトランジション追加
接続されているクリップに簡単にトランジションを追加することができるようになりました。シナリオの新規作成を選択しなくても、自動的にトランジションが設定されたシナリオが作成されます。
❶トランジションを設定する接続されているクリップにトランジションブラウザから任意のトランジションをドラッグします(または任意のトランジションをダブルクリックします)。
シナリオが自動的に作成され、トランジションがクリップの前後に付きます。前後どちらかにトランジションを設定したい場合はクリップの端を選択し、トランジションをダブルクリックして設定します。
その他のアップデート項目Fina l Cut Pro X 「バージョン10.0.1」ではさらに下記の項目について機能が追加されています。
▶「Xsan」でのイベントとプロジェクトの共有ファイバーチャネルを用いた高速なSAN(ストレージエリアネットワーク)環境でのイベントとプロジェクトの共有ができるようになりました。複数のクリエイターがネットワーク上の素材を共有しながら映像コンテンツを作り上げることができます。
▶GPUでの書き出しを高速化グラフィックカードの最適化を進めたことでこれまで以上に高速にメディアの書き出しができるようになりました。
▶Camera Impor t SDKSDKとはソフトウェアの開発キットのことです。カメラメーカーへ専用SDKを提供することで、「カメラの読み込み」に対応する機種が増えることが期待されます。
▶Mot ion5でのセカンドディスプレイ表示同時期にMotionとCompressorもアップデートされましたが、このうちMotionではキャンバスとタイミングパネルのいずれかをセカンドディスプレイに表示し、Final Cut Pro X同様に2画面で作業をすることができるようになりました。
メニューの「ウインドウ」>「キャンバスをセカンドディスプレイに表示」または「タイミングパネルをセカンドディスプレイに表示」を選択します。
2012年春には「マルチカム編集」と「放送クオリティのビデオモニタリング」がFinal Cut Pro Xに実装される予定です。最新の情報はアップルのFinal Cut Pro Xサイトでご確認ください。http: / /www.apple.com/ jp/ f ina lcutpro/
新しいテーマ「トリビュート」バージョン10.0.1では新規のテーマ「トリビュート」が追加されました。テーマブラウザ内に「トリビュート」としてカテゴリが登録されます。
トランジション「Up-Over」