物理化学特論(第四回) - tokushima u質問書(4月21日)その3 •...

29
物理化学特論(第四回) 鈴木良尚

Upload: others

Post on 24-May-2020

10 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

物理化学特論(第四回)

鈴木良尚

予定

• 結晶成長事始(結晶とは?結晶成長とは?結晶成長はこんなに偉い!)

• 相変化の熱力学• 結晶の誕生• 理想的成長• 表面構造とラフニング• 表面kinetics

質問書(4月21日)その1• 塩を加えることでEdesolvを低下させる方法?

→塩を加えれば溶媒和の構造が変化するので、当

然変化しうるでしょう。

∆µ

結晶 溶液

Edesolv

E A

B

質問書( 4月21日)その2• キンク体積?

vs

• →サイコロはわかりやすいモデル→面同士が接しているときそこに結合があると考える

• →この体積は結晶格子間隔によって決まっている• →この中には結晶化単位ただ1つしか入れない

質問書( 4月21日)その3• 分子一個の進む距離aはどうやって求めるか?→結晶の単位格子は、X線結晶構造解析でかなり正確に求められる。結晶が成長するので、基本的にその単位格子分だけ成長することになる。

• Frank-van der Merwe様式で成長するものはあるか?→Au/Ag, Ag/Au, Fe/Au, Au/Pd, Xe, Kr/graphiteなど(A. A. Chernov, Modern Crystallography III, Springer-Verlag, 1984 p.90.)

質問書( 4月21日)その4• 溶媒和・脱溶媒和はどのようにして測定するか?→NMRによる緩和時間の測定(溶媒和をすることで動きにくくなったものの緩和時間の増加)や、熱測定(一分子が溶媒和・脱溶媒和する際の熱の吸収・放出)などがあります。

kTEvak

kTEvak

CCkTEvaR

desolvS

desolvS

edesolv

S

−×=⇔

−×=

−−

×=

)ln(ln

)exp(

))(exp(

ν

ν

ν

lnk

1/T

Edesolv/k

質問書( 4月21日)その5• 濡れによる成長様式の分類の角度は?

完全な濡れ(γWL > γWS + γSL )→Frank – van der Merweの層成長様式

部分的な濡れ(γWL + γSL > γWS > γWL - γSL )→Volmer – Weberの島状成長様式

完全に濡れない(γWS > γWL + γSL )

θ < 0 ºθ = 0 ~ 180º

θ > 180 º

質問書( 4月21日)その6• 融液と溶液の違いとは?

Crystallization

Melt

Solution

Gas

))(exp( edesolv

S CCkTEvaR −

−×= ν

))exp(1)(exp()exp(kTk

SkTEaR d µν ∆−

−∆−−

=

質問書( 4月21日)その7• 気相成長で結晶成長を行っている例?→Molecular Beam Epitaxy MBE法では、シリコン基板上の微小回路の作製(ドーピング)、超格子の作製など

→Metal Organic Chemical Vapor Deposition MOCVD法では、青色LEDのGaNなど

• 分子組み込み速度はどのように制御するのか?→分子の回転拡散をきちんと制御できる必要があります

が、これは至難の業です。なかなか人の能力の及ばないところがあるのもまた事実です。

質問書( 4月21日)その8• 脱離とは不純物の排出のことか?→違います。結晶化単位であっても、吸着しているうちに

結晶に取り込まれなければ、脱離します。

→不純物は結晶化すると不安定になるものであれば、吐き出されます。制御は難しい。Pfannの方法が有効。

ステップ

キンク

ws

h

拡散

吸着

表面拡散

脱離二次元島

質問書( 4月21日)その9• 結晶の成長条件に不純物の排出とあったが何故か?→不純物が入ると、その周囲で自由エネルギーが増加。

また、正常な結晶化を阻害するので、結晶化が遅くなる。

• ゾーンメルトとは?→試料棒を高周波加熱などによって溶けた溶解ゾーンが通過する結晶化方法。FZ(Floating Zone)法は、そのうちの一つ。

→Bell研究所のPfannという人が発明した。結晶は不純物を吐き出すので、何回も繰り返してゾーンが通過するとどんどん高純度の結晶ができる。ノーベル賞級の研究。

臨界核生成の自由エネルギー

結晶の誕生

RRC

∆FC

∆F

23

43

4 RvRF

S

πγπµ +∆−=∆

),(2

PTvR S

C µγ

∆=

2

32

316

µγπ

∆=∆ S

CvF

均一核生成

結晶の誕生

• 核生成→自由エネルギー増加必須…(1)• 熱力学第二法則→自由エネルギー増加禁止…(2)• (1), (2)は矛盾??→熱ゆらぎによって解決!!

A, B二つの微視的状態が実現する確率P(A), P(B)の比

)exp()exp()()(

kTE

kTEE

BPAP BA ∆

−=−

−=

臨界核以上の大きさの核が生成する頻度→核生成頻度

)3

16exp()exp( 2

32

00 kTv

JkTF

JJ SC

µγπ

∆−=

∆−=

不均一核生成

結晶の誕生

O

O

R

R

γWL

R

γSL

γWS

θ

θθ

• 界面張力のつりあい

WSWLSL γγθγ −=cos

)cos1(2

)cos2()cos1(31

2

23

θπ

θθπ

−=

+−×=

RA

RV

Rsinθ

より

ohet FF hom

2

)(

)cos2()cos1(41)(

∆Φ=∆

+−=Φ

θ

θθθ

融液成長

理想的成長

))exp(1)(exp()exp(kTk

SkTE

aR d µν ∆−−

∆−−=

∆µ

結晶 液体

Ed

E

分子1個で進む距離

分子の振動数

成長側

溶解側

)exp(

ln

kS

WW

SssWW

k

L

S

LSL

S

∆−=⇔

∆−=−=

気相成長

dvkTmv

kTmdvv )

2exp()

2()Pr(

22/3 −

理想的成長

xy

z

m

Maxwell – Boltzmann分布

mkTPPv

mkTPPaaR eSe

ππ 2)(

2)(2 −×=

−××=

分子表面積

分子1個で進む距離

入射 離脱

Hertz – Knudsen の式

溶液成長

理想的成長

))(exp( edesolv

S CCkTEvaR −

−×= ν

∆µ

結晶 溶液

Edesolv

E

分子1個で進む距離

分子振動数

成長側

溶解側キンク体積

理想的な成長速度

理想的成長

kTKR µ∆

結晶表面の構造

表面構造とラフニング

ステップ(レッジ)キンク

二次元島

テラス吸着原子

刃状転位

螺旋転位

表面構造(分子レベル)

表面構造とラフニング

キンク

K

S

A

最近接分子z個&結合エネルギーJ→∆h = zJ/2だけ回復すれば結晶→単純立方格子なら3本回復で結晶(z = 6だから)→キンク位置で結晶化

理想的な成長速度

理想的成長

kTKR µ∆

≈ 結晶の表面がキンクだらけ過飽和度が小さいときのみ成り立つ

実際はキンクだらけではない→キンクの供給様式で成長速度が決まる

沿面成長

•平らな表面を持った状態での結晶成長→キンク生成機構

•二次元核成長•スパイラル成長

表面kinetics

二次元核成長その1

•完全結晶の表面にキンクを供給

表面kinetics

二次元島

• ステップ形成→エネルギー増加

• 二次元島になれば化学ポテンシャルが減少

• 三次元核生成と同様の取り扱い可能

二次元核成長その2

表面kinetics

r

βπµπ rarF

s

22

2 +∆−=∆as: 分子一個の表面積β: ステップ自由エネルギー

µπβ

µβ

∆=∆

∆= s

cs

ca

Fa

r2

,2&

)exp()exp(2

0,2

0 kTaJ

kTF

JJ SCs µ

πβ∆

−=∆

−=

二次元核成長その3• 曲がっているステップ→前進速度遅い

ra

rNarN

SS

δπδπ 22

=⇔=

表面kinetics

βπµπ rarF

s

22

2 +∆−=∆

raNa

NF

NaNF

ss

s

βµβπµ

βπµ

+∆−=+∆−=∂∆∂

+∆−=∆

− 2/12

2/12 2

&

µ

βµ

∆=

−=−∆=∂∆∂

−=

kTKv

rrv

ra

kTK

NF

kTKv

s

csss

0

02 )1()(

Q

二次元核成長その4

表面kinetics

単一核様式

多核様式

AJ s

11 =τ待ち時間

成長速度→無限!!AaJaR s==

a

待ち時間τで一層→一層中の個数τAJN sn = →この個数の面積An?

3/12

2

)(

)(−=⇔

=×=

vJ

AvNA

s

nn

τ

τ 平均ステップ速度:v

)3

exp(

)(

23/23/1

0

3/12

kTavaJ

vJaaR

s

s

µπβ

τ

∆−=

==

P = 0.1 MPa, 26.4 ℃, 5.6 mgml-1

P = 50 MPa, 26.4 ℃, 5.6 mgml-1

課題• 提出期限→2010年5月26日• 提出方法→Hard copies 514号室• 分量→A4シングルスペース3枚以上5枚以内• 文章でまとめて(全訳ではない)。意味が通じるのならば、箇条書きでもよい。でも難しいと思います。

• 内容1→「私の研究と結晶」 (図表入り)Intro→Experimental→Results&Discussionor

• 内容2→結晶もしくは結晶成長に関係する英語論文の要約(図表入り)