物理学概説ab or 力と運動 (力学)質問への回答 問) 左辺 に...

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第10回 極座標と万有引力 + 角運動量 物理学概説Ab or 力と運動 (力学) 以下の準備をお願いします 担当講師:桑畑和明 Zoom : ホームページ : マイクのミュートビデオの停止チャットを見れるようにしておいて下さい http://www.ohno.ynu.ac.jp/kuwahata/index.html に授業のスライド、演習問題、提出フォーム、補助資料 を置いておきます 授業開始は12時50分から、少々お待ちください。 ←ホームページには左のQRコードからもアクセス可能 (連絡先:[email protected]講義を録画します (備忘録)

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Page 1: 物理学概説Ab or 力と運動 (力学)質問への回答 問) 左辺 に を含んでいないので極限を取る必要はない。 において左辺で の極限を取らないの

第10回 極座標と万有引力 + 角運動量物理学概説Ab or 力と運動 (力学)

以下の準備をお願いします

担当講師:桑畑和明

Zoom :

ホームページ :

マイクのミュート、ビデオの停止、 チャットを見れるようにしておいて下さい

http://www.ohno.ynu.ac.jp/kuwahata/index.html に授業のスライド、演習問題、提出フォーム、補助資料 を置いておきます

授業開始は12時50分から、少々お待ちください。

←ホームページには左のQRコードからもアクセス可能

(連絡先:[email protected]

講義を録画します

(備忘録)

Page 2: 物理学概説Ab or 力と運動 (力学)質問への回答 問) 左辺 に を含んでいないので極限を取る必要はない。 において左辺で の極限を取らないの

質問への回答問)

左辺 に を含んでいないので極限を取る必要はない。

において左辺で の極限を取らないの

と一緒

Fx Δx

f′�(x) = limΔx→0

f(x + Δx) − f(x)Δx

Δx

答) 

において左辺も極限を

とる( )必要はあるか?

Fx = − limΔx→0

U(x + Δx, y, z) − U(x, y, z)Δx

= −∂U∂x

limΔx→0

Fx

より厳密には 論法を使って証明するϵ − δ

数学の授業で習っていない知識を使うこともあるが、力学で使う数学的知識を 事前に全て勉強するには1,2年かかるので、多少先取りすることがある

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成績評価方法配分: 授業レポート(50%) + 期末テスト(50%)

合格ライン:70%

範囲は12回分の授業全範囲、難易度は授業レポートよりも難

→ 期末レポート(レポート作成期限は2週間)期末レポート◎

課題は7月31日に提示する

締め切りは8月13日(木)17時まで

未提出者はホームページにて告知する

締切までは何回でも提出可能

手書き+写真で提出する人は可読性に注意する

(早めに出してくれると僕が楽)

未提出の授業レポートがあれば7月31日までに提出すること・

(発展内容は対象外)

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今後の方針◎ これまで

・運動方程式を解く

md2 rdt

= F

◎ これから

・保存量:時間が経っても変化しない量・力学で出てくる保存量

① 運動量保存

② エネルギー保存

③ 角運動量保存

運動の第二法則 or ニュートンの運動方程式

ちなみに運動の第一法則は12回並進座標系で扱う

(教科書 p86 〜 106)

(教科書 p46 〜 p50, p173 〜 p194の一部)

+ 極座標(教科書 p130 〜 137) (教科書 p107 〜 129)

Page 5: 物理学概説Ab or 力と運動 (力学)質問への回答 問) 左辺 に を含んでいないので極限を取る必要はない。 において左辺で の極限を取らないの

極座標

x

y

e x

:回転を表現するのに適した座標系

r = (x, y) = x e x + y e ye y

新しい基底ベクトル を導入( )er, eϕ er ⊥ eϕrr

r = x e x + y e y = r e re reϕ

ϕ

cos θ

sin

θ

e r = cos ϕ ex + sin ϕ ey

eϕ = − sin ϕ ex + cos ϕ ey

ddt

er = − ·ϕ sin ϕ ex + ·ϕ cos ϕ ey = ·ϕ eϕ

ddt

er = limer(t+Δt) − er(t)

Δt

= limΔϕΔt

= | ·ϕ |

を座標をデカルト座標系で表すr

ここで、 , x = cos ϕ, y = sin ϕ r = x2 + y2

は時間に依存することに注意er, eϕ

1

1

er(t)

er(t+Δt)

Δϕ

Δϕer(t+Δt) − er(t) の時間変化の大雑把な説明er

ddt

eϕ = − ·ϕ cos ϕ ex − ·ϕ sin ϕ ey = − ·ϕ er

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? ?

極座標の運動方程式

運動方程式 を座標ごとに分解して成分を比較m a = F ・ddt

er = ·ϕ eϕ

・ddt

eϕ = − ·ϕ er max ex + may ey = Fx ex + Fy ey

を時間微分するr = r e r

v =ddt (r e r) = ·r er + r ·ϕ eϕ

a =ddt ( v ) = ··r e r + ·r ·ϕ eϕ + ·r ·ϕ eϕ + r ··ϕ eϕ − r ·ϕ2 er = (··r − r ·ϕ2) er + (2 ·r ·ϕ + r ··ϕ) eϕ

m(··r − r ·ϕ2) = Fr

m(2 ·r ·ϕ + r ··ϕ) = Fϕ

目標) 極座標の運動方程式を求める

・ デカルト座標

・ 極座標 mar er + maϕ eϕ = Fr er + Fϕ eϕ

→ ax = ··x, ay = ··y

→ ar = ··r, aϕ = ··ϕ

◎ 極座標の微分

考え方)  を計算し、成分ごと比較d2

dt2r = ar er + aϕ eϕ

ar = ··r − r ·ϕ2, aϕ = 2·r ·ϕ + r ··ϕ =1r

ddt (2r2 ·ϕ)よって、

これを運動方程式に代入して、

:r

:ϕ極座標の運動方程式

m··r = Fr + mr ·ϕ2

遠心力(詳しくは第12回  並進座標、相対座標)

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例) 長さ の紐に吊るされた質量 の物体が角度 から静かに離した。

この時の張力 の角度依存性を調べよ。

l m ϕ0T

極座標の運動方程式

mg

ϕ

er

ϕ

T

運動方程式m(··r − r ·ϕ2) = mg cos ϕ − T

m(2 ·r ·ϕ + r ··ϕ) = − mg sin ϕ

:er

:e θ

ここで ( )·r = 0, ··r = 0 ∵ r = l (Const.)

−ml ·ϕ2 = mg cos ϕ − T

ml ··ϕ = − mg sin ϕ

••• (1)

••• (2)

d2ϕdt2

= −gl

sin ϕ この式の両辺に をかけるdϕdt

非線形

両辺を時刻0からtまで積分する。初期条件 よりϕ(0) = ϕ0,·ϕ(0) = 0

∫t

0

ddt′�{

12 ( dϕ

dt′�)2

}dt′� =12

·ϕ2(t) =gl

(cos ϕ − cos ϕ0)

T = mg cos ϕ + ml ·ϕ2 = 3mg cos ϕ − 2mg cos ϕ0

これを解くには 楕円積分の知識が必要

dϕdt

d2ϕdt2

=ddt { 1

2 ( dϕdt )

2

} = −gl

sin ϕdϕdt

=gl

ddt (cos ϕ)

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等速円運動円周上を一定の速さで運動している質点の速度と 加速度を求めよ

問)r

ωt角速度を とおくと時刻 の角度はω t ϕ = ωt. である| r | = r = Const

v = ·r er + r ·ϕ eϕ

a = (··r − r ·ϕ2) er + (2 ·r ·ϕ + r ··ϕ) eϕ

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(発展)3次元極座標

x = r sin θ cos ϕ

er = sin θ cos ϕ ex + sin θ sin ϕ ey + cos θ ez

y = r sin θ sin ϕ

z = r cos θ

e θ = cos θ cos ϕ ex + cos θ sin ϕ ey − sin θ ez

eϕ = − sin ϕ ex + cos ϕ ey

これらの基底の関係を使って を微分していくr = r er

··r = (··r − r ·θ − r sin θ ·ϕ) er + (2 ·r ·θ + r ··θ − r sin θ cos θ ·ϕ2) e θ

+ (2 sin θ ·r ·θ + 2r cos θ ·θ ·ϕ − r sin θ ··ϕ2) e θ

(右ねじ系)

:1つの長さと2つの角度で表現(x, y, z) → (r, ϕ, θ)

x

y

z

ϕ

θ

r

r⊥ = r sin θ

er

e θ

rcos

θ

の変換ex, ey, ez → er, eϕ, e θ

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(発展)極座標における積分

= limn,m

n,m

∑i,j

f(xi, yj)ΔxΔy

x

y

ΔxΔy

座標変換 に対する積分(x, y) → (r, ϕ) かつf(x, y) → f(r, ϕ) x = r cos ϕ, y = r sin ϕ

r

ϕ

rΔϕ

Δr

= limn,m

n,m

∑i,j

f(ri, ϕj)rΔrΔϕ

◎ 2次元極座標

ΔS = ΔxΔy微小面積

ΔS = rΔrΔϕ

∫ ∫ f(x, y) dxdy = ∫ ∫ f(r, ϕ) rdrdϕ

∫ ∫ f(x, y) dxdy ∫ ∫ f(r, ϕ) rdrdϕ

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◎ 3次元極座標

座標変換 に対する積分(x, y, z) → (r, ϕ, θ)

∫ ∫ ∫ f(x, y, z) dxdydz = ∫ ∫ ∫ f(r, ϕ, θ) r2 sinθdrdϕdθ

微小体積

「物理の学校」より引用 https://physics-school.com/polar-integral/

ΔV = dr × rdθ × r sin θdϕ

= r2 sin θdrdθdϕ

(発展)極座標における積分

r sin θ

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(発展)有限の大きさを持つ球の重力問) 球対称な密度分布 を持つ半径 の球体が及ぼす

万有引力は全質量が中心に集まって及ぼす万有引力に等しいことを示せ

ρ(r) R

万有引力1次元:F = − G

mMr2

3次元: F = − Gm∫ρ(r) es

s2dV

微小質量 が 及ぼす力を積分

ΔM

よりdV = r2 sin θdrdθdϕ

F = − Gm∫R

0dr∫

π

0dθ∫

0dϕ ( ρ(r)

s2r2 sin θ es)

∫2π

0es dϕ = ∫

π

0(2 cos α ez)dϕ = 2π cos α ez

F = − Gm∫R

0dr∫

π

0dθ ( ρ(r)

s2r2 sin θ cos α ez)

x

y

z

ϕ

rΔM = ρ(r)ΔV

l s

微小質量

es es′�α

α

π

(教科書 p124 〜 p127)点p

z軸上に原点から距離の位置を点pとする( )l l > R ≥ r

と を足し合わせたものはz成分のみが残るので、es es′�

θ

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とするl > R ≥ r

F = − Gm∫R

0dr∫

π

0dθ (ρ(r)r2 sin θ cos α

s2ez)

余弦定理より

、cos θ =l2 + r2 − s2

2lrcos α =

l2 + s2 − r2

2ls

x

y

z

ϕ

r

r⊥

ΔM = ρ(r)ΔV

l s

微小質量

es es′�α

α

π

◎ 余弦定理

c

c2 = a2 + b2 − 2ab cos θ

a

−sin θdθds

=−2s2lrsで微分

∴ sin θdθ =slr

ds θ 0 → πs l − r → l + r

∫π

0 ( sin θ cos αs2 )dθ = ∫

l+r

l−r

(l2 + s2 − r2)ss2 ⋅ lr ⋅ 2ls

ds

=1

2l2r ∫l+r

l−r (1 +l2 − r2

s2 ) ds =1

2l2r [s −l2 − r2

s ]l+r

l−r

=2l2

F = −Gml2

ez ∫R

0(4πr2ρ(r))dr

(発展)有限の大きさを持つ球の重力

点p

θ

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x

y

z

ϕ

r

Δr

ΔM = ρ(r)ΔV

l s

微小質量

es es′�α

α

π

F = −Gml2

ez ∫R

0(4πr2ρ(r))dr

半径 と の間の球面の体積r r+Δr ΔV

ΔV = 4πr2Δr

:全質量M = ∫R

0(4πr2ρ(r))dr

F = −GmM

l2ez

(発展)有限の大きさを持つ球の重力

θ

万有引力は全質量が中心に集まって及ぼす万有引力に等しい

よって、

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角運動量保存例)太陽を回る惑星の運動

太 : 大r, : 小v p : 小r

, : 大v p ・距離( )と速度or運動量( )は反比例関係r v, p

・2つのベクトルの角度を考慮した量

角運動量: L = r × p

角運動量が保存量になっているかを確かめる 保存量: ddt

( ∼ ) = 0

ddt

L =d rdt

× p + r ×d pdt

= m v × v + r × F

S

c = a × b

a

b常に0

ddt

L = 0 ⇔ N = r × F = 0力のモーメント or トルク

r × F = 0 ⇐ r ∥ F = 0中心力

中心力

中心力が働いている場合、角運動量が保存する

: 紙面から上向き

: 紙面から下向き

L

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力のモーメント

ddt

L = r × F = N

力のモーメントddt

p = F

運動方程式の 回転運動version

まとめ

◎ 角運動量:    L = r × p

◎ 力のモーメント: N = r × F◎ 角運動量の時間変化は力のモーメント

d Ldt

= N

◎ 力が中心力の場合、角運動量が保存する

太 r

p

L

:F N

:F N

( を大きく)L

( を大きく)L角運動量の時間変化は力のモーメント

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角運動量保存天井から長さ のひもで吊るされた質量 の物体が 角度 のときに速さ で回転運動をしている。 このときの紙面上向きを正とした時の角運動量と力のモーメントを求めよ。

l mθ v

問)

θ

v

l

mg

mg sin θ

θ

: 紙面から上向き

: 紙面から下向き

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