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2019.8.9 16 2019.8.9 16 44 45 世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。この コーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホ テル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてき たが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合 い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名 取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載で は、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、 コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写 真を掲載する。 ポルトガル・コロニアル様式のメインエントランスに立つベルスタッフ コロニアルスタイルの本館客室は少々狭いが、この「Junior Cataratas Suite」は 約 40㎡の広さを確保している ホテルの目の前にある観爆台から見た轟音が迫るイグアスの滝。「Junior Cataratas Suite」は “Cataratas” の文字通り、付帯したバルコニーからはっきりとイグアスの 滝を俯瞰できる位置にある 夕暮れ時に佇むベルモンド ダス カタラタス「Belmond Hotel Das Cataratas」の正面ファサード。イグアス国立公園内ブラジル側にある唯一のホテルで、ポルトガル・コ ロニアル様式の建物は優美で印象的だ。淡いピンクに彩色されたホテルはスイートを含む全 193 室を擁し、モノトーンの樹林帯に美しく溶け込んでいる 筆者 小原 康裕 国際ホテルジャーナリスト 慶応義塾大学法学部法律学科卒。 1974 年 Munich Re 入社。 2001 年投資顧問会社原健設立、 代表取締役 CEO。 JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント 協会常務理事。 SKAL International Tokyo、 Professionnels du Tourisme 会員。 JARC、日本宿泊施設関連協会 アドバイザリーボードメンバー。 www.jhrca.com/worldhotel/?cat42 www.hoteresonline.com https://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16 旧宗主国ポルトガルのアズレージョが印象的なレセプションデスク 落ち着いたクラシカルな雰囲気の「Junior Cataratas Suite」 Belmond Hotel Das Cataratas 世界最大の瀑布イグアスの滝は、ブラジルとアルゼンチンの国 境に接している。ベルモンド ダス カタラタス「Belmond Hotel Das Cataratas」はイグアス国立公園内ブラジル側にある唯一のホ テルで、ポルトガル・コロニアル様式の建物は優美で印象的だ。 熱帯雨林のジャングルに建つ歴史的ホテルは、迫力溢れるイグア スの滝が目前に迫る抜群のロケーションを誇る。ホテルの庭園前 から始まる遊歩道は良く整備され、宿泊ゲストはほんの数十分足 を運ぶだけで壮大なイグアス滝のハイライト “ 悪魔の喉笛 ” に到 達できる。また、国立公園の閉園後から翌朝の開園まで、一般観 光客の去った後の静寂の時間にゲストの特典として散策が可能で ある。 イグアスの滝は先住民の言葉で “ 大いなる水 ”「Y Guazú」を 意味し、北米のナイアガラの滝、アフリカのヴィクトリアの滝と 並び、世界三大瀑布に数えられている。それぞれの滝に魅力があ るが、スケールの大きさ、ダイナミックな迫力は他の二つの瀑布 とはケタが違う。イグアスの滝は大小 275 の滝があり、最大落 差約 80 メートル、滝幅はなんと約4キロもある。 ホテルの名称である “ カタラタス ” とは「滝」を意味し、1958 VOL 197 世界のリーディングホテル www.hoteresweb.com/columntop Belmond Hotel Das Cataratas ベルモンド ホテル ダス カタラタス

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  • ー 2019.8.9・16ー ー 2019.8.9・16ー44 45

    世界にはまだまだ日本人が訪れていないホテルがある。このコーナーではホテリエが知っておくべき「世界のリーディングホテル」を紹介する。これまで多くのホテル紹介本が出版されてきたが、そのほとんどが現地のホテルと事前に取材の連絡を取り合い、プロのカメラマンや通訳、そのほか大勢を連れ立っての大名取材であり、宿泊は省略といったことも多々であった。本連載では、著者自身が長年にわたる個人旅行中に自分の目で感じ取り、コメントを書き込み、自分のカメラで思いのままを撮ってきた写真を掲載する。

    ポルトガル・コロニアル様式のメインエントランスに立つベルスタッフ コロニアルスタイルの本館客室は少々狭いが、この「Junior Cataratas Suite」は約 40㎡の広さを確保している

    ホテルの目の前にある観爆台から見た轟音が迫るイグアスの滝。「Junior Cataratas Suite」は “Cataratas” の文字通り、付帯したバルコニーからはっきりとイグアスの滝を俯瞰できる位置にある

    夕暮れ時に佇むベルモンド ダス カタラタス「Belmond Hotel Das Cataratas」の正面ファサード。イグアス国立公園内ブラジル側にある唯一のホテルで、ポルトガル・コロニアル様式の建物は優美で印象的だ。淡いピンクに彩色されたホテルはスイートを含む全 193 室を擁し、モノトーンの樹林帯に美しく溶け込んでいる

    筆者 小原 康裕国際ホテルジャーナリスト

    慶応義塾大学法学部法律学科卒。1974 年 Munich Re 入社。2001 年投資顧問会社原健設立、代表取締役 CEO。JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会常務理事。SKAL International Tokyo、Professionnels du Tourisme 会員。JARC、日本宿泊施設関連協会アドバイザリーボードメンバー。

    www.jhrca.com/worldhotel/?cat42 www.hoteresonline.comhttps://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16

    旧宗主国ポルトガルのアズレージョが印象的なレセプションデスク 落ち着いたクラシカルな雰囲気の「Junior Cataratas Suite」

    Belmond Hotel Das Cataratas

     世界最大の瀑布イグアスの滝は、ブラジルとアルゼンチンの国境に接している。ベルモンド ダス カタラタス「Belmond Hotel Das Cataratas」はイグアス国立公園内ブラジル側にある唯一のホテルで、ポルトガル・コロニアル様式の建物は優美で印象的だ。熱帯雨林のジャングルに建つ歴史的ホテルは、迫力溢れるイグアスの滝が目前に迫る抜群のロケーションを誇る。ホテルの庭園前から始まる遊歩道は良く整備され、宿泊ゲストはほんの数十分足を運ぶだけで壮大なイグアス滝のハイライト “ 悪魔の喉笛 ” に到

    達できる。また、国立公園の閉園後から翌朝の開園まで、一般観光客の去った後の静寂の時間にゲストの特典として散策が可能である。 イグアスの滝は先住民の言葉で “ 大いなる水 ”「Y Guazú」を意味し、北米のナイアガラの滝、アフリカのヴィクトリアの滝と並び、世界三大瀑布に数えられている。それぞれの滝に魅力があるが、スケールの大きさ、ダイナミックな迫力は他の二つの瀑布とはケタが違う。イグアスの滝は大小 275 の滝があり、最大落差約 80 メートル、滝幅はなんと約4キロもある。 ホテルの名称である “ カタラタス ” とは「滝」を意味し、1958

    VOL197世界のリーディングホテル www.hoteresweb.com/columntop Belmond Hotel Das Cataratasベルモンド ホテル ダス カタラタス

  • ー 2019.8.9・16ー ー 2019.8.9・16ー46 47

    レストラン「Itaipu Restaurant」はディナー専用のシグネチャーダイニングで、優雅な雰囲気の中、フレンチベースのブラジル料理を堪能できる

    専用のバスタブを備えたスパスイート。全 5 室のトリートメントルームは癒やしの空間である

    「Junior Cataratas Suite」のバルコニーから望むイグアスの滝

    シグネチャーダイニング「Itaipu Restaurant」の特別ルーム

    ホテルとしては初の試みで、単にテイスティングのみならず、チーフソムリエ氏がカシャーサの歴史を解説し、メインバー「Bar Taroba」の一角を占有して特別な講義形式で歓待していただいた

    夕刻から暖炉に火が燈る優雅なロビーラウンジ

    ジャグジースタイルのバスタブ。バスルームは引き戸でベッドルームと区分できる

    スパ施設「Cataratas Spa」のレセプションデスク

    広々とした野外スイミングプール

    コロニアルスタイルのメインバー「Bar Taroba」。カウンター席の照明が美しい

    今回、ホテル側からカシャーサ「Cachaça」のテイスティングに招待された。カシャーサとは、サトウキビを原料として作られるブラジル原産の蒸留酒であり、ポルトガル統治時代からの民族酒である

    カジュアルダイニング「Ipe Grill」は庭園にあるスイミングプールに面した戸建てのレストランで、地元食材のビュフェスタイルが人気だ

    リビングルーム内にある専用バーコーナー。柱や壁面にロゼリーヌ・グラネ作のブロンズ像が確認できる

    年に竣工した。2007 年から Orient-Express Hotels 社によりリノベーションが始められ、14 年から Belmond Ltd に経営が引き継がれている。淡いピンクに彩色されたホテルはスイートを含む全193 室を擁し、モノトーンの樹林帯に美しく溶け込んでいる。今回はイグアスの滝を部屋から望む「Junior Cataratas Suite」をご紹介したい。約 40㎡の広さで “Cataratas” の文字通り、バルコニーから轟音が迫る滝を俯瞰する Jr. スイートだ。レストラン「Itaipu Restaurant」はディナー専用のシグネチャーダイニングで、優雅な雰囲気の中、フレンチベースのブラジル料理を堪能できる。カジュアルダイニング「Ipe Grill」はスイミングプールに面した戸

    建ての庭園レストランで、地元食材のビュフェスタイルが人気だ。スパ施設「Cataratas Spa」はスパスイート2室を含む全5室のトリートメントルームを持つ癒やしの空間である。 今回、ホテル側からカシャーサ「Cachaça」のテイスティングに招待された。カシャーサとは、サトウキビを原料として作られるブラジル原産の蒸留酒であり、ポルトガル統治時代からの民族酒である。ホテルとしては初の試みで、単にテイスティングのみならず、チーフソムリエ氏がカシャーサの歴史を解説し、メインバー「Bar Taroba」の一角を占有して特別な講義形式で歓待していただいた。

    VOL197世界のリーディングホテル www.hoteresweb.com/columntop Belmond Hotel Das Cataratasベルモンド ホテル ダス カタラタス