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5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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Page 1: 5章 都市計画 GIS データの共通仕様化 - MLIT · 2008-03-27 · 第5 章 都市計画gis データの共通仕様化 108 [5.1.1.解説] 共通仕様化の背景 ① わが国におけるgis標準化動向

第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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5.1. 共通仕様化の背景と必要性

5.1.1. 共通仕様化の背景

情報化を推進する上で、情報を取り扱う方法や情報そのもの自体の形式などを規定し、情報共

有・流通する関係者がそのルールを守ることが必要不可欠となり、データの共通仕様化が重要となっ

ている。

政府においては、IT 基本法の成立(平成 14 年(2000 年) )、e-japan 重点計画の決定(平成

15 年(2003 年) )を受け、GIS アクションプログラム 2002-2005 で『国土空間データ基盤に関す

る標準化と政府による率先使用』を位置づけ、道路 GIS や河川 GIS など各分野において「GIS デ

ータの標準化」を推進している。

地方公共団体においては、行政と住民を含む地域情報化の推進を図るため、電子自治体の実現

を目指しており、その一環として情報共有を目的とした統合型 GIS の構築に取り組みはじめている。

このような、政府や地方公共団体における GIS 普及・利活用に関する取組みを背景に、国内外に

おいては様々な分野で GISデータの標準化が進められており、都市計画分野においても GIS デー

タの共通仕様化を図ることが求められている。

■ 共通仕様化の背景と必要性及びその対応

≪都市計画GISに対するニーズ≫

≪対応≫

≪効果≫

都市分析の広域化・多様化への対応

都市分析の広域化・多様化への対応

都市計画GISの普及と利活用を促進するため、データの相互利用を可能とする『共通仕様』が必要である。

都市計画GISの普及と利活用を促進するため、データの相互利用を可能とする『共通仕様』が必要である。

市町村合併に伴う都市計画GISの円滑な統合

市町村合併に伴う都市計画GISの円滑な統合

市民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展

市民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展

データの互換性が確保されること

⇒データの相互利用(情報交換)が同一仕様で可能

データの互換性が確保されること

⇒データの相互利用(情報交換)が同一仕様で可能

より高度な利活用が可能となること

⇒初期導入時から多機能な都市計画GISを高度利用することが直ちに可能

より高度な利活用が可能となること

⇒初期導入時から多機能な都市計画GISを高度利用することが直ちに可能

多目的利用によりコストが低減すること

⇒類似データの二重持ち、不整合等が解消され、効率的なデータ整備・更新が可能

多目的利用によりコストが低減すること

⇒類似データの二重持ち、不整合等が解消され、効率的なデータ整備・更新が可能

≪前提≫

しかし、現状の都市計画GISは、各都市独自の方法でGIS化が進み、異なる仕様のGISデータが存在するため、データの相互利用が困難な状況となっている。

情報化が進展する中、データの共通仕様化は大原則である。

≪課題≫

≪都市計画GISに対するニーズ≫

≪対応≫

≪効果≫

都市分析の広域化・多様化への対応

都市分析の広域化・多様化への対応

都市計画GISの普及と利活用を促進するため、データの相互利用を可能とする『共通仕様』が必要である。

都市計画GISの普及と利活用を促進するため、データの相互利用を可能とする『共通仕様』が必要である。

市町村合併に伴う都市計画GISの円滑な統合

市町村合併に伴う都市計画GISの円滑な統合

市民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展

市民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展

データの互換性が確保されること

⇒データの相互利用(情報交換)が同一仕様で可能

データの互換性が確保されること

⇒データの相互利用(情報交換)が同一仕様で可能

より高度な利活用が可能となること

⇒初期導入時から多機能な都市計画GISを高度利用することが直ちに可能

より高度な利活用が可能となること

⇒初期導入時から多機能な都市計画GISを高度利用することが直ちに可能

多目的利用によりコストが低減すること

⇒類似データの二重持ち、不整合等が解消され、効率的なデータ整備・更新が可能

多目的利用によりコストが低減すること

⇒類似データの二重持ち、不整合等が解消され、効率的なデータ整備・更新が可能

≪前提≫

しかし、現状の都市計画GISは、各都市独自の方法でGIS化が進み、異なる仕様のGISデータが存在するため、データの相互利用が困難な状況となっている。

情報化が進展する中、データの共通仕様化は大原則である。

≪課題≫

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[5.1.1.解説] 共通仕様化の背景 ① わが国における GIS 標準化動向

わが国においては、国土地理院と民間企業との共同研究により、平成 8 年(1996 年)から国際標準化機構の地理情報に関する専門委員会*用語 52(ISO/TC211)の国際標準案と整合した国内標準として、地理情報標準(JSGI)*用語 4の作成が進められ、現在は第 2 版が準用されている。 また、ISO/TC211 の国際規格を国内規格に適用し、地理情報標準の国内での普及を図るため、財団

法人日本測量調査技術協会において日本工業規格(JIS)原案作成委員会を設置し、地理情報標準の JIS規格化を図っている。

■ 地理情報-JIS 作業項目一覧

規格番号 作業項目 作業段階

JISX7105 適合性及び試験 平成 13 年 8 月 JIS 制定

JISX7108 時間スキーマ 平成 16 年 3 月 JIS 制定

JISX7113 品質原理 平成 16 年 8 月 JIS 制定

JISX7111 座標による空間参照 平成 16 年 8 月 JIS 制定

JISX7115 メタデータ 平成 17 年 3 月制定

JISX7107 空間スキーマ 平成 17 年 3 月制定

JISX7112 地理識別子による空間参照 JIS 原案作成中

JISX7114 品質評価手順 JIS 原案作成中

出典:地理情報-JIS 作業項目一覧,平成 17 年 3 月,財団法人日本測量調査技術協会 HP なお、実際のデータ整備の際には、最新の地理情報標準に準拠して、国土地理院が実利用のために

整理した地理情報標準プロファイル*用語 38(JPGIS)を作成しており、この利用を推奨している。 ② 地方公共団体における GIS 標準化動向 地方公共団体においては、各都市や各分野において GIS が独自に構築・運用されてきた経緯がある

ため、重複したデータを解消し、他地域や他分野と連携した情報の横断的な共有化を図ることが大きな課題となっている。

そのため、総務省では平成 13 年(2001 年)に地理情報標準第 1 版に準拠した「共用空間データ調達仕様書及び基本仕様書」を策定し、各地方公共団体は独自性や地域性に配慮しつつ、統合型 GIS の構築とこの仕様書に基づく共用空間データの整備を推進している。

■ 国内外における標準化の動向

●都市計画 GIS 「都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)」(平成 12 年 7 月-国土交通省都市・地域整備局) ●統合型 GIS 「共用空間データ調達仕様書及び基本仕様書」(平成 13 年 7 月-総務省) ●下水道 GIS 「下水道台帳管理システム標準仕様(案)・導入の手引き」(平成 13 年度-(社)日本下水道協会) ●河川 GIS 「河川基盤地図ガイドライン(案)第 2.1 版」(平成 13 年 12 月-国土交通省河川局) ●道路 GIS 「道路基盤データ製品仕様書(素案)」(平成 13 年度-国土交通省道路局) ●固定資産 GIS 「地番現況図・家屋現況図調達仕様書(検討案)」(平成 15 年 3 月-(財)資産評価システム研究センター)

国際標準:ISO/TC211国内標準:JSGI(JIS)

河川GIS

道路GIS

下水道GIS統合型

GIS

固定資産GIS

都市計画GIS

OGC

民間標準化団体

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)について 旧建設省都市局は、政府の「国土空間データ基盤の整備及び GIS の普

及の促進に関する長期計画」に基づき、平成 9 年度より都市計画基図データ等より先駆けて都市計画決定データの標準化を推進してきた。この成果として、都市計画で利用する各種主題データについての定義、データ型式及びコード体系等について『都市計画 GIS カタログ』(平成 11年 2 月)をとりまとめ、更に、品質及びメタデータ等の定義を追加した『都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)』(平成 12 年 7 月)をとりまとめた。

この都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)は、都市計画実務の視点から、要求品質の定義やデータ項目の名称・構造・属性等につき、地理情報標準 第 1 版に準拠した地物カタログ及びメタデータの作成について記載している。 ■ 都市計画 GIS 標準化の動き

年度 業務名称 成果 地理情報標準に関する動向

平成 9-10 年度

都市計画情報の標準化およびその活用に

関する検討調査業務 ―都市計画GIS標準化及び活用等に関す

る検討調査委員会 (座長:東京大学 岡部篤行教授)

都市計画 GIS カタログ゙

*地理情報標準 第 1 版

(H11.3)

平成 11 年度

都市計画情報の標準化およびその活用に

関する検討調査業務 ―平成 11 年度都市計画 GIS 標準化及び

活用等に関する検討調査委員会

(座長:東京大学 岡部篤行教授)

都市計画GIS標準化 ガイドライン(案)

平成 12 年度

情報通信ネットワークを活用した都市計

画業務支援システム開発検討調査業務 (業務報告書)

*地理情報標準 第 1.2 版

(H13.3)

平成 13 年度

都市計画法における 2,500 分の1より大

縮尺の平面図に関するデジタル地図の検

討調査業務 (業務報告書)

*地理情報標準 第 2.0 版

(H14.3)

平成 14 年度

都市計画情報の電子化推進方策に関する

調査業務 (座長:国土交通省 都市・地域整備局 都市計画課 都市交通調査室 高橋忍室長)

(業務報告書)

平成 15-16 年度

都市計画情報の電子化推進方策策定調査

業務 ―都市計画 GIS 導入推進に関する検討会 (座長:東京大学 岡部篤行教授)

都市計画 GIS 導入 ガイダンス

*地理情報標準 プロファイルの策定 (H17.3 予定)

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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5.1.2. 共通仕様の必要性

都市計画 GIS の普及と利活用を促進するため、データの相互利用を可能とする『共通仕様』

が必要となる。

① 都市分析の広域化・多様化への対応

広域レベルの集計や都市間での比較、或いは様々な主題データの組合せによる分析など、

様々な都市現況の分析を数量的に行い、都市分析の広域化・多様化への対応が必要となる。

② 市町村合併に伴う都市計画 GIS の円滑な統合

市町村合併に伴い、異なるルールで運用されている都市計画GISの統合化を円滑に実施し、

合併後の都市計画区域変更検討や都市計画決定情報の提供を迅速に対応することが必要とな

る。

③ 住民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展

民間分野においてもカーナビなど様々な場面で GIS が利活用されており、住民・民間事業

者など様々なユーザーの GIS 利活用が進展すると、全ての GIS データの統一的なルールが

定められている必要がある。 [5.1.2.解説] 共通仕様の必要性 ① 都市分析の広域化・多様化への対応 現在、地方公共団体ごとに独自の方法で作成された都市計画 GIS データでは、データの取得基準や

精度などが異なるため、データ間の整合性が確保されず、同一条件下での数量的な比較・検討を行う

ことが難しい状況にある。 しかし、共通仕様で作成された都市計画 GIS データを利用することにより、広域レベル(都道府県

域・広域都市圏等)における集計や、都市間(隣接都市・類似都市等)における比較など、任意の区

域における都市現況の分析を行うことが可能となる。 都市の分析においては、地域性や発展性を定量的に分析することが求められ、都市分析の広域化、

多様化に対応した統一基準により作成された都市計画 GIS データが必要となる。

② 市町村合併に伴う都市計画 GIS の円滑な統合 市町村合併では、合併前の各市町村で異なるルールにより運用されている都市計画 GIS を円滑に統

合し、合併後の都市計画区域変更検討や都市計画決定情報の提供を迅速に対応する必要がある。

③ 住民・民間事業者等、様々なユーザーの利活用の進展 民間分野においては、施設・物件管理、エリアマーケティング、輸送ルート検索、位置情報提供な

ど様々な場面で GIS が利活用されており、特に、カーナビにおける利用が顕著で、ここ数年も販売ユ

ニットが増加している。 行政分野のみならず、住民・民間事業者など様々なユーザーの GIS 利活用が進展すると、相互が情

報を共有し、情報の流通を促進することが求められ、全ての GIS データの統一的なルールが定められ

ている必要がある。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 共通仕様の効果

都市計画 GIS データの共通仕様化を図ることにより、異なるシステム間において自由なデータ

交換が実現されるため、様々な面での効果が期待される。 都市計画 GIS の普及と利活用を促進するためには、多種多様な都市計画 GIS データの相互利用

を可能にし、誰もが都市計画 GIS データを共有利用できる環境を確保することが必要であり、そのためには、都市計画 GIS データに関する共通仕様化が必要不可欠となる。 都市計画 GIS データの共通仕様化を図ることにより、異なるシステム間において自由なデータ

交換が実現されるため、様々な面での効果が期待される。

■ 「交換標準」という共通仕様によるデータ交換

システム A

システム C

システム B

システム D

システム A

システム C

システム B

システム D

交換標準

個別システム間のデータ交換 交換標準を介してのデータ交換

出典:地理情報標準第 2 版,平成 14 年 3 月,国土交通省国土地理院地理情報標準推進委員会

①データの互換性が確保されること

現在、多種多様な都市計画 GIS が普及しつつあり、地方公共団体や民間が独自仕様により都市計画 GIS を構築、運用している。行政及び民間が全国共通で情報交換を円滑に実施するためには、新たに標準的な都市計画 GIS を開発することよりも、国が中心となって情報の互換性を確保した共通仕様を定義する方が有益である。

都市計画 GIS データの仕様を標準的なルールに則り共通仕様として統一化することにより、各データの取得基準や精度などが明確に定義され、データの相互利用が同一仕様で可能な互換性を確保することができる。

例えば、「道路界と街区界は一致するもの」と定義することにより、道路界と街区界のデータ整備主体が異なっても、各データは一致し、各データ間のズレは生じない。

②より高度な利活用が可能となること

現在、都市計画 GIS の主な利用形態は地図情報の表示・管理となっているが、GIS の特性を十二分に活用すれば各種集計・分析や住民等との情報交流、行政事務の効率化など、より高度な利活用が可能となる。

様々な利活用を前提とした都市計画 GIS データの共通仕様を位置付けることにより、初期導入時から多機能な都市計画 GIS を高度利用することが直ちに可能となる。

例えば、各 GIS データのカタログ(取り決め)、品質、メタデータ(所在情報)等が明確化されることにより、ユーザーは目的に合致した必要とする GIS データを容易に検索することが可能になる。 ③多目的利用によりコストが低減すること

現在の GIS データの整備方法は、特定の目的に対して独自の仕様によりデータを作成している

ことから、他の目的への転用や効率的なデータ更新などの面で融通が利かない状況にある。また、

地方公共団体や民間が独自仕様を策定した場合、それぞれの仕様毎に策定コストが発生する。 多目的利用を前提とした共通仕様を定義することにより、類似データの二重持ち、不整合等が解

消され、効率的なデータ整備・更新が可能となり、コスト低減につながる。 例えば、建物データは背景図として利用することのみを目的にすればラインデータとして取得さ

れれば良いが、建物面積の計測や建物属性の付与も目的として追加した場合はポリゴンデータとし

て取得する方が効率的である。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 市町村合併時における都市計画 GIS 統合に際しての留意事項 ①都市計画基図の統合における留意事項

各市町村で利用されている都市計画基図は、その大部分が公共測量作業規程に基づき作成されているが、具体的な測量方法、座標系など地図調製方法に至っては多種多様な手法が取られており、合併対象市町村間の統一を図る必要がある。都市計画基図の統合時に留意すべき事項は次の通りである。

[統合時に留意すべき事項] ・利用状況(利用目的、利用範囲等) ・情報形態(アナログ情報、デジタル情報<ベクトル*用語 8情報・ラスタ*用語 41情報>) ・縮尺精度 ・座標系(平面直角座標系、任意座標系等) ・名称及び番号(図郭毎の管理方法) ・整備範囲(図化範囲) ・測量(作成)手法 ・整備時期及び更新周期 等

なお、都市計画基図がデジタル化されている場合は、上記に加えて次のような留意事項が生じる。

[統合時に留意すべき事項] ・データ取得項目 ・データ定義 ・データ形式 ・データ精度 ・ファイル単位 ・座標系の所属 ・メタデータの有無

②都市計画決定情報の統合における留意事項 各市町村の都市計画決定・変更に関する運用方法や確認方法などは微妙に異なることから、各市

町村において用いられている都市計画図等の都市計画決定情報も異なるため、合併対象市町村間の統一を図る必要がある。都市計画決定情報の統合時に留意すべき事項は次の通りである。

[統合時に留意すべき事項] ・背景となる都市計画基図の相違による都市計画決定情報の整合 ・合併対象市町村間の接合 ・境界根拠の考え方 ・都市計画図書の管理・運用方法 等

③都市計画基礎調査の統合における留意事項 都市計画基礎調査の実施主体は都道府県にあるため、同一都道府県内における市町村合併の場合

は殆んど大きな課題は生じないが、調査用のベースマップの相違による課題など幾つかの事項において合併対象市町村間の統一を図る必要がある。都市計画基礎調査の統合時に留意すべき事項は次の通りである。

[統合時に留意すべき事項] ・行政界や町丁目界等を用いた調査区界の見直し ・建物・土地利用現況調査等における図形データの接合(調査成果がデジタル化されている場

合)等

④既存の都市計画 GIS の統合における留意事項 合併対象市町村の中で既に都市計画 GIS を複数の市町村で導入している場合が想定されるが、

都市計画 GIS を導入している関係市町村間のみではなく、合併対象の全ての市町村間において統一化を検討する必要がある。既存の都市計画 GIS の統合時に留意すべき事項は次の通りである。

[統合時に留意すべき事項] ・地物レイヤ区分の管理・運用状況 ・データ取得項目(図形データ種別、属性データ項目・定義内容・コード体系等) ・表示方法 等

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 民間分野における GIS 利活用状況 社団法人電子情報技術産業協会の調査によると、民間企業において地図を利用する機会は多く、

様々なケースにおいて GIS が利用されている。 特に、カーナビへの利用が顕著で、ここ数年、出荷台数が増加している。

■ 民間企業における GIS 利活用事例

管 理店舗・取扱店管理、物件管理、サービス地域管理、用地管理、施設管理(埋蔵物を含む)、安全管理・危機管理、環境管理、都市・森林・海洋調査、電波障害管理、データ更新の即時化・合理化、図面保守費の削減 等

戦略的意志決定支援

事故・災害状況の把握、顧客対応戦略の立案、エリアマーケティング(一定のエリアにおける市場規模やシェア等の状況を把握しながら問題発見、販売戦略立案に活用)、最適立地拠点の選定、最適輸送ルートの策定、車両運行の安全性・利便性・快適性の分析 等

情報伝達手段現在位置の把握、顧客への最寄りの支店・営業所等の所在情報の伝達、物件情報の提供、交通情報、レジャー情報の提供 等

出典:平成 16 年 5 月更新,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)統計データより作成

■ カーナビの出荷台数累計 (千台)

4861,099

1,895

2,789

3,924

5,345

7,094

9,043

11,452

14,456

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

1995.3 1996.3 1997.3 1998.3 1999.3 2000.3 2001.3 2002.3 2003.3 2004.3

出典:平成 16 年 5 月更新,社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)統計データより作成

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

114

5.1.3. 都市計画 GIS データの課題

現状の都市計画 GIS は、各地方公共団体独自の方法で導入が進み、異なる仕様(データの分類

や定義、構造、品質、コード体系等)の都市計画 GIS データが存在するため、データの相互利用が

困難な状況となっている。

① 都市計画基図データ

都市計画基図データは、都市計画縦覧図の背景図として用いられているばかりでなく、他部局に

おいても背景図として広く利用されているため、大部分は公共測量作業規程に基づき国が定めた汎

用性のある国土基本図図式(1/2,500)を適用して作成されているが、一部、図式表現が異なって

いる場合や、データ構造が統一されていない場合がある。

■ 都市計画基図データの現状と課題

他部局の背景図(ベースマップ) として利用

都市計画縦覧図の 背景図(ベースマップ) として利用

都市計画縦覧図

<1/2500DMデータ>

公共測量作業規程に基づき 作成された基図(ベースマップ)

××庁舎

○○部

広域都市圏の背景図(ベースマップ) として利用

B 市では「建設中の道路」の図式が設定されていない・・・

△△部

② 都市計画決定データ

都市計画決定データは、市町村・都市計画区域単位にデータが作成されるため、コード体系の不

統一や、行政界付近における都市計画決定位置の不整合などが生じている。また、都市計画GIS

標準化ガイドライン(案)は平成12年度に作成されているため、その後の都市計画法改正の内容が

反映されていない。

■ 都市計画決定データの現状と課題

自宅やオフィスから 都市計画の情報 の閲覧可能

<都市計画決定データ>

各都市によって独自のコード体系が存在

××庁舎

広域都市圏で利用

昭和 62 年頃~ デジタル化推進

平成 14 年頃~ インターネット配信普及

平成 12 年刊行

都市計画 GIS 標準化ガイドライン

第 1 種低住は「11」第 2 種低住は「12」・・・・・

第 1 種低住は「1」第 2 種低住は「2」・・・・・

平成 12 年以降の 法改正の内容

未反映

第 1 種低住は「91」第 2 種低住は「92」・・・・・

【A 市】

【B 市】

先進自治体

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

115

③ 都市計画基礎調査データ

都市計画基礎調査データは、旧建設省の都市計画基礎調査実施要領(昭和 62 年 1 月)をベー

スにそれぞれの地域特性に応じた調査要領を定めており、その大部分は紙(アナログ)の成果を前

提とした調査方法を採用している。しかし、一部の先進自治体においては、独自の調査要領を定め、

GIS の導入を進めているが、調査項目や分類区分等は統一されていない。また、同一調査項目で

あっても、都市計画 GIS データの定義、構造、品質、コード体系等が異なるため、多種多様なデー

タが存在する。

■ 都市計画基礎調査データの現状と課題

ほとんどの自治体は紙(アナログ)による調査方法を実施

<都市計画基礎調査データ>

調査のデジタル化推進 △△県庁 等

昭和 62 年要領 【旧建設省】

に基づき 各自治体で 独自の調査要領作成

××県庁 等

先進自治体

緑地調査の デジタル化実施

緑地調査未実施

土地利用分類

28 分類

土地利用分類26 分類 土地利用分類

20 分類

土地利用分類

22 分類

××庁舎 広域都市圏で利用

基礎調査 要領

[5.1.3.解説] 都市計画 GIS データの課題 ① 都市計画基図データ

都市計画基図データは、都市計画法第 14 条に基づく都市計画縦覧図(計画図)の背景図として用い

られているばかりでなく、各都市全体を網羅する適切な地形図であることから他部局においても背景

図として広く利用されている。 そのため、大部分の都市計画基図データは、公共測量作業規程に基づき国が定めた汎用性のある国

土基本図図式(1/2,500)を適用して作成されている。 しかし、一部の地方公共団体においては、各都市の地域性や事情を考慮し、国土基本図図式に独自

の図式を追加(又は省略)している場合がある。 なお、都市計画基図データは、通常、公共測量作業規程に基づき一定品質以上のデータが作成され

ているが、都市計画図書(計画図)に利用する背景図に関する法定根拠が一部では明確でないため、

公共測量作業規程に準拠しない住宅概略図等を用いている場合も稀に見られる。また、都市計画基図

は、地図表現を重視した考え方によりデジタル化が進んできたため、データ利活用(集計・解析等)

にも対応したデータ構造等までは配慮されていなかった。そのため、出力地図の表現は統一されてい

るものの、データ構造等は DM データファイル形式で決められている「線」以外のデータも存在して

いる。 このように、都市計画基図データは、地方公共団体の中で多目的に利活用され、状況によっては高

い品質(精度)を求められる場合があるため、国土地理院が定める地形図(国土基本図等)の標準化

動向を踏まえた上で、早急に共通仕様化を検討する必要がある。 また、航空機レーザーセンサー等の新技術を活用して図化する場合は、高さ精度も属性項目として

管理する。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

116

[参考] 国土地理院における地形図(国土基本図等)に関する標準化の動向 国土地理院においては、縮尺 1/500 及び 1/1,000 の大縮尺地形図(地図情報レベル 500 及び

1,000)に関する標準化と、縮尺 1/2,500 の地形図(地図情報レベル 2,500)に関する標準化への対応が図られている。 特に、地図情報レベル 2,500 に関しては、「地理情報標準に準拠した地図情報レベル 2500 デー

タ作成に関する調査研究作業」(平成 15 年度)の成果として「地図情報レベル 2500 データ作成の製品仕様書(案)」が作成され、平成 16 年度はその実証検証を行っている。なお、この仕様書は地理情報標準プロファイル(JPGIS)に準拠している。 また、1/2,500 地形図の作成においては、公共測量作業規程において国土基本図図式を用いる

ことが原則規定されており、デジタル方式の場合には「デジタルマッピング取得分類基準」によることとしている。現在、デジタルマッピング取得分類基準の解釈の統一化を目的として「拡張デジタルマッピング実装規約(案)」(平成 16 年 3 月)が策定されており、今後はこの実装規約で定められている「拡張デジタルマッピング取得分類基準表(案)1:2500」によることとなる。

地図情報レベル 2,500

●「大縮尺数値地形図データの作成に係わる仕様書記載事項、 品質要件及び品質評価基準(案)」(H14.3 国土地理院)

●「製品仕様による数値地形図データ作成ガイドライン(案)」 (H15.3 国土地理院)

地図情報レベル 500、1,000

●「数値地図 2500(空間データ基盤)製品仕様書(案)Ver1.8」

(H16.3 国土地理院) ●「地理情報標準に準拠した地図情報レベル 2500 データ作成に

関する調査研究作業」(平成 15 年度) 「地図情報レベル 2500 データ作成の製品仕様書(案)」(検討中)

●「地図情報レベル 2500 データ作成の製品仕様書に関する調査研究作業」

(平成 16 年度)

[参考] 公共測量作業規程と都市計画縦覧図(計画図) [公共測量作業規程の目的] 国土交通省公共測量作業規程は、国土交通省が公共測量を行う場合の規程として、測量法第 33 条の規定に

より定められたものである。この規定は、標準的な作業方法等を定め、規格を統一し、必要な精度を確保す

ること等を目的としている。 [公共測量作業規程の内容] 国土交通省公共測量作業規程は、国土交通省が行う公共測量に使用するため、標準的な測量方法、観測機

器等を規定している。また、国土交通省公共測量作業規程は、国の機関、地方公共団体、公社・公団等の公

共団体がそれぞれの作業規程を策定する際に準用されることが多い。公共測量作業規程では、計画、実施体

制、工程管理などの測量全般から、基準点測量、水準測量、地形測量、数値地形測量、応用測量、測量業務

の設計積算にわたる標準的な手順が規定されている。旧建設省が、自ら実施する公共測量のために準拠すべ

き測量規程を統一し、標準的な作業規程が使用されるようになったのは昭和 44 年であり、それ以降、測量機

器や技術の進歩、測量方式の変化に伴い、規程の改正が随時行われている。 [デジタルマッピング] デジタルマッピングとは、空中写真測量による図化の段階でデジタルデータを取得するとともに、地形補

備測量や現地補測によって得られたデータも付加して編集し、数値地形図を作成する「作業」であり、公共

測量作業規程に位置付けられている。デジタルマッピングの成果は、地図情報の管理・利用のための基礎デ

ータとして利用可能である、修正を繰り返しても、修正しない部分の精度が低下しない、また、特定項目を

抜き出した主題図が容易に作成できるなどの特徴があげられる。 [公共測量作業規程と都市計画基図] 国土交通省公共測量作業規程は、国の機関、公社、公団、県、市町村等の各公共団体が公共測量作業規程

を策定する場合に準用され、都市計画図の背景となる地形図の作成を含めた各測量事業に適用されている。 都市計画基図は、都市計画法第 14 条で、土地に関し権利を有するものが、指定される区域に「含まれるか

どうかを容易に判断することができるもの」であり、「縮尺 2,500 分の 1 以上の平面図とする」ことが規定

されている。(都市計画法第 14 条、省令 9 条) 現在、都市計画基図の内容や精度に関する規程は存在しておらず、今後の GIS 普及において各地方公共団

体では、法的解釈や判断の基準によって、任意の精度、内容に基づいた基図の作成が行われることも予想さ

れる。 公共測量作業規程は、公共測量に対して統一した規格を与え、一定の精度を確保することを目的として位

置付けており、これまでの公共測量が実施されてきた背景を考慮すると、都市計画縦覧図(計画図)に利用

する、縮尺 1/2,500 以上の平面図の定義を明確にしておくことが必要といえる。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

117

[参考] 都市計画法(関係部分抜粋)(昭和四十三年六月十五日法律第百号) (都市計画の図書) 第十四条 都市計画は、国土交通省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。 2 計画図及び計画書における区域区分の表示又は次に掲げる区域の表示は、土地に関し権利を有する者が、自己の権利に係る土地が区域区分により区分される市街化区域若しくは市街化調整区域のいずれの区域に含まれるか又は次に掲げる区域に含まれるかどうかを容易に判断することができるものでなければならない。 一 都市再開発の方針に定められている都市再開発法第二条の三第一項第二号 又は第二項 の地区の区域 二 防災街区整備方針に定められている防災再開発促進地区(密集市街地整備法第三条第一項第一号 に規定する防災再開発促進地区をいう。)の区域 三 地域地区の区域(商業地域の区域の一部について特例容積率適用区域が定められているときは、商業地域の区域及び特例容積率適用区域の区域) 四 促進区域の区域 五 遊休土地転換利用促進地区の区域 六 被災市街地復興推進地域の区域 七 都市計画施設の区域 八 市街地開発事業の施行区域 九 市街地開発事業等予定区域の区域 十 地区計画の区域(地区計画の区域の一部について再開発等促進区又は地区整備計画が定められているときは、地区計画の区域及び再開発等促進区又は地区整備計画の区域) 十一 防災街区整備地区計画の区域(防災街区整備地区計画の区域について地区防災施設(密集市街地整備法第三十二条第二項第二号 に規定する地区防災施設をいう。以下この号及び第三十三条第一項において同じ。)、特定建築物地区整備計画(密集市街地整備法第三十二条第二項第二号 の規定による特定建築物地区整備計画をいう。以下この号及び第三十三条第一項において同じ。)又は防災街区整備地区整備計画(密集市街地整備法第三十二条第二項第三号 の規定による防災街区整備地区整備計画をいう。以下この号及び第三十三条第一項において同じ。)が定められているときは、防災街区整備地区計画の区域及び地区防災施設の区域、特定建築物地区整備計画の区域又は防災街区整備地区整備計画の区域) 十二 沿道地区計画の区域(沿道地区計画の区域の一部について沿道再開発等促進区又は沿道地区整備計画(幹線道路の沿道の整備に関する法律第九条第二項第二号に掲げる沿道地区整備計画をいう。以下同じ。)が定められているときは、沿道地区計画の区域及び沿道再開発等促進区又は沿道地区整備計画の区域) 十三 集落地区計画の区域(集落地区計画の区域の一部について集落地区整備計画(集落地域整備法第五条第三項 の規定による集落地区整備計画をいう。以下同じ。)が定められているときは、集落地区計画の区域及び集落地区整備計画の区域) 3 第十一条第三項の規定により都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合においては、計画図及び計画書における当該立体的な範囲の表示は、当該区域内において建築物の建築をしようとする者が、当該建築が、当該立体的な範囲外において行われるかどうか、同項後段の規定により当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度が定められているときは当該立体的な範囲から最小限度の離隔距離を確保しているかどうかを容易に判断することができるものでなければならない。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] コード体系の違いのイメージ 下記の例では、A 市のコード体系は単純な連番を付与しているケースであるが、B 市のコード体

系は住居系用途地域、商業系用途地域、工業系用途地域にそれぞれ、10 番台、20 番台、30 番台のコードを割り当て、住居系用途地域、商業系用途地域、工業系用途地域を容易に判別できるようにしているケースである。この様に、用途地域一つとってもコードの振り方は地方公共団体によって千差万別である。

用途地域 コード

第1種低層住居専用地域 1

第2種低層住居専用地域 2

第1種中高層住居専用地域 3

第2種中高層住居専用地域 4

第1種住居地域 5

第2種住居地域 6

準住居地域 7

近隣商業地域 8

商業地域 9

準工業地域 10

工業地域 11

工業専用地域 12

〔A市の用途地域コード体系〕 用途地域 コード

第1種低層住居専用地域 11

第2種低層住居専用地域 12

第1種中高層住居専用地域 13

第2種中高層住居専用地域 14

第1種住居地域 15

第2種住居地域 16

準住居地域 17

近隣商業地域 21

商業地域 22

準工業地域 31

工業地域 32

工業専用地域 33

〔B市の用途地域コード体系〕

② 都市計画決定データ 都市計画決定データについては、標準化を目的に都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)(平成 12

年 7 月)が地理情報標準第 1 版に基づき作成されている。 政令指定都市をはじめとする先進的な都市においては、都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)が

提示される以前の比較的早い時期から都市計画決定情報のデジタル化が進んでおり、近年では、住民

サービスの一環として独自に作成した都市計画決定データをインターネット上で公開を行う自治体も

増えてきている。 しかし、その他の都市においては、一部は都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)に沿って都市計

画決定データを作成しているものの、大部分は様々な定義や品質の都市計画決定データを独自に作成

している。 このように、都市計画決定データは、市町村・都市計画区域単位にデータが作成されるため、コー

ド体系の不統一や、行政界付近における都市計画決定位置の不整合などが生じている。 なお、都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)は平成 12 年度に作成されているため、その後の都

市計画法改正の内容が反映されていない。 都市計画決定データは、既刊の都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)を改定し、他の都市計画

GIS データとの連携が取れた共通仕様の普及と定着化を図ることを目指し、共通仕様化を検討する必

要がある。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

119

③ 都市計画基礎調査データ 都市計画基礎調査は、都市計画法第 6 条に基づき都道府県が主体となって行う調査で、その調査項

目は、省令第 5 条で定められている。 都市計画基礎調査の実施要領は、昭和 62 年に旧建設省都市局都市計画課が作成した「都市計画基礎

調査実施要領があり、現在、多くの都道府県で採用されている。 各都道府県においては、旧建設省の要領をベースに多少の手を加え、それぞれの地域特性に応じた

調査要領を定めており、その大部分は紙(アナログ)の成果を前提とした調査方法を採用している。

一部の先進自治体においては、独自の調査要領を定め、GIS の導入を進めているが、調査項目や分類

区分等は統一されていない。また、同一調査項目であっても、GIS データの定義、構造、品質、コー

ド体系等が異なるため、多種多様なデータが存在する。

■ 都市計画基礎調査実施要領の比較

都市計画基礎調査 先進的な地方公共団体の事例

実施要領 都市 A 都市 B

全 調 査 項 目 68 項目 63 項目 121 項目

図面作成項目 42 項目 38 項目 54 項目

策 定 年 月 日 ( 年 度 ) 昭和 62 年 8 月 平成 14 年度 平成 12 年 3 月

4 項目 5 項目

GIS 導入を前提 とした調査仕様 を定めている 調査項目

なし ・土地利用現況図 ・建物用途別現況図 ・建物構造別・階数別現況図 ・緑地調査

・都市計画基礎調査・調査区図 ・土地利用現況図 ・建物用途別現況図 ・建物構造別・階数別現況図 ・幅員別道路現況図

出典:都市計画基礎調査実施要領,昭和 62 年 1 月,旧建設省都市局都市計画課 他

このように、都市計画基礎調査データは、各都道府県が地域特性に応じて独自に定めた調査要領

に準拠して作成されているため、今後、ニーズが高まるものと想定される広域的な都市分析や、都

市計画基礎調査データの有効利用に向けて、各調査成果の経年蓄積等に配慮しつつ、必要最低限の

レベルで統一的な基準を明確化し、共通仕様化を検討する必要がある。

[参考] 都市計画法(関係部分抜粋)(昭和四十三年六月十五日法律第百号) (都市計画に関する基礎調査) 第六条 都道府県は、都市計画区域について、おおむね五年ごとに、都市計画に関する基礎調査として、国土交通省令で定めるところにより、人口規模、産業分類別の就業人口の規模、市街地の面積、土地利用、交通量その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行うものとする。この場合において、都道府県は、関係市町村に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。 2 都道府県は、前項の規定による基礎調査の結果を、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に通知しなければならない。 3 市町村は、準都市計画区域について、必要があると認めるときは、都市計画に関する基礎調査として、国土交通省令で定めるところにより、土地利用その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び将来の見通しについての調査を行うものとする。 4 国土交通大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県は市町村に対し、この法律を施行するため必要があると認めるときは、第一項又は前項の規定による基礎調査の結果について必要な報告を求めることができる。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 都市計画法施行規則(関係部分抜粋)(昭和四十四年八月二十五日建設省令第四十九号) (都市計画区域についての基礎調査の方法) 第四条 法第六条第一項の規定による都市計画に関する基礎調査は、政府又は地方公共団体が同項に定める事項に関して行う調査の結果の集計及び必要な調査の実施により行うものとする。 (都市計画区域についての基礎調査の項目) 第五条 法第六条第一項の国土交通省令で定める事項は、次の各号に掲げるものとする。 一 地価の分布の状況 二 事業所数、従業者数、製造業出荷額及び商業販売額 三 職業分類別就業人口の規模 四 世帯数及び住宅戸数、住宅の規模その他の住宅事情 五 建築物の用途、構造、建築面積及び延べ面積 六 都市施設の位置、利用状況及び整備の状況 七 国有地及び公有地の位置、区域、面積及び利用状況 八 土地の自然的環境 九 宅地開発の状況及び建築の動態 十 公害及び災害の発生状況 十一 都市計画事業の執行状況 十二 レクリエーシヨン施設の位置及び利用の状況 十三 地域の特性に応じて都市計画策定上必要と認められる事項 (基礎調査の結果の通知の方法) 第六条 法第六条第二項の規定による通知は、基礎調査の終了後、遅滞なく、基礎調査の結果及びその概要を記載した書面を送付して行わなければならない。 (準都市計画区域についての基礎調査の方法) 第六条の二 法第六条第三項の規定による都市計画に関する基礎調査は、政府又は地方公共団体が同項に定める事項に関して行う調査の結果の集計及び必要な調査の実施により行うものとする。 (準都市計画区域についての基礎調査の項目) 第六条の三 法第六条第三項の国土交通省令で定める事項は、次の各号に掲げるものとする。 一 世帯数及び住宅戸数、住宅の規模その他の住宅事情 二 建築物の用途、構造、建築面積及び延べ面積 三 土地の自然的環境 四 宅地開発の状況及び建築の動態 五 公害の発生状況 六 地域の特性に応じ都市計画策定上必要と認められる事項

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

121

5.2. 共通仕様化の考え方

5.2.1. 共通仕様化の対象

都市計画 GIS データの共通仕様化の対象は、都市計画業務に必要となる都市計画基図

データ、都市計画決定データ、都市計画基礎調査データの 3 種類とする。

5.2.2. 地理情報標準最新版への準拠

都市計画 GIS データの共通仕様は、地方公共団体が整備する統合型 GIS との整合を確保し

つつ、わが国で GIS データを作成する際の規範となる共通ルールに基づくため、GIS データ

に関する国内標準である地理情報標準(JSGI) 最新版に準拠するものとする。なお、その

際には、地理情報標準プロファイル(JPGIS)の利用を推奨する。 [5.2.2.解説] 地理情報標準最新版への準拠

データの相互利用を目的とした標準化への取組みは国際的に行われており、国際標準化機構*用語 51

(ISO)においては、地理情報の標準化に関する専門委員会(TC211)が平成 6 年(1994 年)に設

置され、標準化の検討が進められている。その国際標準案に準拠しつつ実運用における検討を行って

日本の国情へ適合したものが地理情報標準である。 この地理情報標準に基づくことにより、GIS データの内容を同一の尺度で相互に理解することが可

能となる。しかし、地理情報標準自体は、概念のみを緩やかに規定しているため、現実的に運用する

ためには具体性を持ったルールが必要となる。 そこで、今回、都市計画GISデータ相互の交換を実現するため共通仕様(案)を作成した。本共通

仕様(案)では、地理情報標準に基づき必要最低限の要求事項を満足しつつ、都市計画分野独自の事

項(例えば、“都市計画区域”という名称の記述方法等)を具体的に規定している。 また、共通仕様化に当っては、対象とする地物(対象となるGISデータ)、応用スキーマ*用語35(GIS

データの内容・構造等に関する取り決め)、品質(GISデータの品質要求及び品質評価基準)、符号化*

用語48(GISデータの記録仕様)、メタデータ(GISデータの内容情報)等の必要事項について定義し、

都市計画GISデータの有効利活用を図るものとする。 なお、地理情報標準は、構成される各規格について順次JIS(日本工業規格)化を進めている。更に、

地理情報標準を利用しやすくするため、標準で規定する最新の内容を日本で実際に利用される項目に

絞って整理した「地理情報標準プロファイル」を作成した。今後は、このプロファイルに準拠するこ

とで、地理情報標準に準拠したデータをこれまでより容易に作成することができる。(国土地理院HP参照)

また、今回、この共通仕様(案)に即した「都市計画GISデータ製品仕様書(案)」(以下、「製品仕

様書(案)」という。)を提示した。本製品仕様書(案)は、共通仕様(案)に基づき作成される都市

計画GISデータの内容を詳しく記述した解説書で、地理情報標準においても「規格XII」として製品仕

様書の添付が義務付けられている。この製品仕様書(案)は、地方公共団体が必要に応じて利用する

ことを前提に汎用的な製品仕様書の雛型として提示しており、容易に活用できるよう関係する参考情

報を含めて別添CD-ROMとして作成している。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

122

■ 地理情報標準と共通仕様(案)・製品仕様書(案)の関係

即即 すす るる

「都市計画 GIS データ」の解説書として添付

都都市市計計画画 GGIISS デデーータタ製製品品仕仕様様書書((案案))

「GIS データ」に 関する国内標準

(一部、JIS 化済み)

規格 XII 製品仕様書 記載事項 1 製品仕様識別 2 製品の目的 3 地理的範囲 4 時間的範囲 5 参照系

6 応用スキーマ 7 符号化仕様 8 品質要求 9 品質評価 10 メタデータ

11 その他オプション

共通仕様(案)に基づく製品仕様書(案)を有効活用しよう!

[内訳] ●都市計画 GIS データ製品仕様書(案) ●メタデータを作成するための「JMP2.0 メタデータエディタ」 ●「都市計画 GIS データ共通仕様(案)」デジタルデータ

「製品仕様書」を作るための規定

都市計画 GIS 導入ガイダンス

「都市計画 GIS」に関する 国の地方公共団体に 対する技術的な助言

準準 ずず るる

対対 応応

地理情報標準第2版

基基づづくく

都市計画 GIS 導入ガイダンス別別添添 CCDD--RROOMM

平平成成 1177 年年 33 月月

第6章 都市計画 GIS データ共通仕様(案)

別別表表11 地地物物一一覧覧

別別表表22 地地物物定定義義表表

対対象象ととすするる地地物物

メメタタデデーータタ

応応用用ススキキーーママ

符符 号号 化化

品品 質質

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

123

5.2.3. 都市計画 GIS データの共通仕様化の考え方

都市計画 GIS データは、次の考え方により共通仕様化を図る。

① 都市計画基図データ

1) 国土交通省の公共測量作業規程に基づく平成 6 年国土基本図図式(平成 11 年 4 月 19 日

一部改正 国地達第 13 号)で定義されている全ての地物を対象とする。

2) 国土地理院の標準化動向を踏まえ、拡張デジタルマッピング実装規約(案)(平成 16 年 3

月)を基本とする。

3) 参考まで、地図情報レベル 2500 データ作成の製品仕様書(案)(平成 15 年度)で規定

された内容を考慮するものとする。

4) 都市計画の図書(法第 14 条)の効率的な管理と都市計画基礎調査(法第 6 条)の効率的

実施を図る観点から、一部の地物(GIS データ)については面積集計等が可能な「面」タ

イプのデータ構造とする。

■ 都市計画基図データの共通仕様化フロー

●対象とする地物 ●応用スキーマ ●品質 ●符号化 ●メタデータ

●都市計画基図データ 共通仕様(案)の作成

1)国土基本図図式で定義 されている地物を対象

2)国土地理院の 標準化動向

「拡張デジタルマッピング 実装規約(案)」

3)「地図情報レベル 2500 データ作成 の製品仕様書(案)」

参考

4)他の都市計画 GIS データと効率的に連携することを考慮したデータ構造に整理

[参考] 地図情報レベル 2500 データ作成の製品仕様書(案)について 国土地理院では、平成 12 年度より地理情報標準に準拠した大縮尺数値地形図の製品仕様書に関

する調査研究作業をはじめ、平成 14 年度には、地理情報標準に準拠した数値地形図データ作成ガイドライン(案)を作成した。これらの成果により、公共測量の主に地図情報レベル 500 及び 1000の数値地形図データ作成における地理情報標準に準拠した製品仕様書の作成の図書が整備された。

しかし、地方公共団体等で広く整備されている都市計画図などの、地図情報レベル 2500 の製品仕様書についてはまだ整備されていない。そこで、地図情報レベル 2500 の製品仕様書作成のための調査研究が行われ、製品仕様書(案)が作成されている。 なお、この製品仕様書(案)は地理情報標準プロファイル(JPGIS)に準拠している。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

124

② 都市計画決定データ

1) 既に作成されている都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)(平成 12 年度)を基本とす

る。

2) 平成 12 年以降の都市計画法改正内容について反映する。

3) 地理情報標準(JSGI)最新版への規格対応を図る。

■ 都市計画決定データの共通仕様化フロー

2)平成 12 年以降の 都市計画法改正の整理

3)「地理情報標準」 初版と最新版の規格間 対応の整理 ●都市計画決定データ

共通仕様(案)の作成

●対象とする地物 ●応用スキーマ ●品質 ●符号化 ●メタデータ 1)「都市計画 GIS

標準化ガイドライン(案)」

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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③ 都市計画基礎調査データ

1) 都市計画 GIS の導入にあたり、意義が認められるデータ項目を利用状況や必要性の面か

ら抽出・選定する。

2) 都市計画基礎調査実施要領(旧建設省/昭和 62 年)との整合を図る。

但し、都市計画基礎調査データは都道府県が実施主体となって調査した成果で、既に都

市計画 GIS を導入している地方公共団体では、各調査項目の分類など調査基準に統一性が

無く、また、都市計画基礎調査は概ね 5 年毎に実施し、過去からの動向を把握するため同

一の調査基準による継続的な実施を考慮する必要があることから、全国一律に統一的な共

通仕様を適用することは馴染まないものと考えられる。

そこで、各地方公共団体の実情や地域性を考慮し、次のような考え方を取り入れた。

a) 独自に分類区分の細分化を定義できることとする。

b) 異なった仕様間で相互に共有利用するための分類区分との対応関係を整理できるこ

ととする。

■ 都市計画基礎調査データの共通仕様化フロー

a)独自に分類区分の細分化を

定義 b)共有利用するための分類区

分対応関係を整理

2)都市計画基礎調査の 調査項目の整理

(都市計画基礎調査 実施要領 68 項目)

共通仕様化の

対象とする 調査項目の 抽出・選定

●対象とする地物 ●応用スキーマ ●品質 ●符号化 ●メタデータ

1)都市計画基礎調査データの利用状況の把握

●都市計画基礎調査データ

共通仕様(案)の作成 「地理情報標準」に準拠して独自にデータ定義する調査項目

共通仕様化の対 象 外 と し た調査項目

[参考] 独自に分類区分の細分化を定義する場合の例 地方公共団体が共通仕様において定めたデータ定義(建物用途現況

の分類区分)を細分化したい場合、データ定義(属性 0414 は店舗併用共同住宅)を継承しつつ、別途、細分化の定義を明示した地方公共団体独自の共通仕様を作成できる。

0401 業務施設

0402 商業施設

0403 宿泊施設

0404 娯楽施設

0405 遊戯施設

0406 商業系用途複合施設

0411 住宅

0412 共同住宅

0413 店舗併用住宅

0414 店舗併用共同住宅 地方公共団体独自の仕様

0415 作業所併用共同住宅 0414-01 業務併用共同住宅

0420 官公庁施設 0414-02 飲食店併用共同住宅

0421 文教厚生施設A 0414-03 宿泊施設併用共同住宅

0422 文教厚生施設B 0414-04 娯楽施設併用共同住宅

0431 重工業施設 0414-05 商業複合併用共同住宅

0432 軽工業施設 0414-06 文教厚生併用共同住宅

0433 サービス工業施設

建物用途現況の分類区分

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

126

[参考] 異なった仕様間で相互に共有利用するための分類区分との対応関係の整理例 既に都市計画 GIS を導入している地方公共団体は、本共通仕様(案)と各地方公共団体独自の

分類区分等とが異なる場合がある。しかし、広域的な都市分析などデータの利用段階で異なった仕様間相互の共有化を図ろうとするニーズも多々ある。

本共通仕様(案)と各地方公共団体独自の分類区分等との対応関係を整理する一つの方法として、「共有分類」を用いることとする。今後、地方公共団体独自の分類区分等を変更、細分化する際は、「共有分類」等を活用するなど本共通仕様(案)との整合に留意する必要がある。

〔共有分類の例〕

先進的な地方公共団体の建物用途別現況調査と本共通仕様(案)の分類区分で調査データを利活用する場合に分類を統合した「共有分類」を例示した。(○が統合した分類)

先進的な地方公共団体の事例

細分化コード

業務施設 業務施設 事務所建築物 業務施設

商業施設(A)

商業施設(B)

商業施設(C)

商業系用途複合施設 商業系用途複合施設

危険物貯蔵・処理施設 処理施設(C)

宿泊施設 宿泊施設 宿泊・遊興施設 1 宿泊施設

スポーツ・興行施設 2 娯楽施設(A)

専用商業施設 2 娯楽施設(B)

娯楽施設(C)

スポーツ・興行施設 1 遊戯施設(A)

宿泊・遊興施設 2 遊戯施設(B)

住宅 住宅 独立住宅 住 宅

共同住宅 共同住宅 集合住宅 集合住宅

店舗併用住宅 店舗併用住宅

店舗併用共同住宅 店舗併用集合住宅

工業併用住宅・共同住宅 作業所併用共同住宅 住居併用工場 作業所併用住宅

官公庁施設 官公庁施設 官公庁施設 官公庁施設

教育文化施設 1

教育文化施設 2

厚生医療施設 1

教育文化施設 3

厚生医療施設 2

重工業施設 重化学工業施設

軽工業施設 軽工業施設

サービス工業施設(A)

サービス工業施設(B)

家内工業施設 家内工業施設

運輸倉庫施設(A)

運輸倉庫施設(B)

農林漁業用施設 農林漁業用施設 農林漁業施設 農業施設

供給処理施設 1 処理施設(A)

供給処理施設 2 処理施設(B)

防衛施設

空き家

その他

住商併用建物

防衛施設

サービス工業施設

供給処理施設

その他

倉庫運輸関係施設 1

文教厚生施設

専用工業

文教厚生施設B

文教厚生施設A

運輸倉庫施設

文教厚生施設(A)

文教厚生施設(B)

その他

工業施設 ○

 

供給処理施設

運輸倉庫施設

遊戯施設

専用商業施設 1

商業施設

娯楽施設

商業施設

娯楽・遊戯施設

商業併用住宅・共同住宅

共有分類 統合 共通仕様凡例 都市B都市A

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

127

5.3. 共通仕様(案)の構成

5.3.1. 共通仕様(案)の構成

本共通仕様(案)は、次の 5 項目から構成される。

この 5 項目は、都市計画 GIS データを作成する際に必要となる地理情報標準の要求規格「XII

製品仕様書」に規定されている製品仕様書記載事項(全 11 項目)に関して、必要最低限の共通ル

ールが提示できるよう定められるべきものである。 ① 対象とする地物 対象とする地物とは、本共通仕様(案)の適用の対象となる GIS データの基本単位である。本

共通仕様(案)においては、対象とする地物を、前項で示した「共通仕様化の考え方」に基づき

抽出し、その名称、分野、分類、種類、定義等について設定している。

② 応用スキーマ 応用スキーマとは、GIS データの内容と構造等に関する共通の取り決めである。

本共通仕様(案)においては、都市計画 GIS データの対象とする地物の地物間関係、空間属性

(図形種別)、時間属性、主題属性、品質等について設定している。

③ 品質 品質とは、利用目的に応じた GIS データの要求品質レベルや品質の評価基準(尺度)、適合性

を判断する方法・水準等を定めるものである。

本共通仕様(案)においては、都市計画 GIS データの主な利用目的を考慮し、品質クラスを設定

している。 ④ 符号化 符号化とは、GIS データの相互交換を可能とするため、応用スキーマに基づき定めるデータの

標準記録仕様(データフォーマット)への変換規則である。

本共通仕様(案)においては、規定の言語(XML)により記述する際に準用する都市計画 GIS デ

ータに係るタグ名称について設定している。 ⑤ メタデータ メタデータとは、GIS データの種類、作成条件、品質、入手方法等のデータそのもの自体に関

する諸情報を詳細に説明、記述したデータである。

本共通仕様(案)においては、国土地理院が提供する地理情報クリアリングハウス*用語 6(所在

情報検索システム)を通じて利用目的に合致した都市計画 GIS データを検索することができるよ

う JMP2.0(日本版メタデータプロファイル*用語 2、3)を採用することを取り決めている。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

128

5.4. 都市計画 GIS データ共通仕様(案)

5.4.1. 対象とする地物

本共通仕様(案)の適用の対象となる地物は、都市計画基図データ 155 項目、都市計画決定デ

ータ 98 項目、都市計画基礎調査データ 4 項目、合計 257 項目とする。

対象とする地物の詳細については、「別表 1:地物一覧」(別冊)に示している。

なお、ここで設定している地物は、地方公共団体が独自に地物の追加や削除することにより都市

計画 GIS データを作成することを制限するものではない。

① 都市計画基図データ

都市計画基図データの地物は、都市計画基礎調査等の都市計画業務で活用することを考慮し、

全地物のうち 8 項目については「面(GM_Surface)」の図形の種類を追加した。

■ 「面(GM_Surface)」の図形種別を追加設定した地物項目

地物項目 概要 都市計画決定および 都市計画基礎調査での活用方法

都府県界 北海道の支庁界

郡市・東京都の区界 町村・指定都市の区界

大字・町(丁)界

行政界(境界)

【都市計画決定】 境界根拠として利用 【都市計画基礎調査】 集計単位となる調査区として活用

真幅道路 幅員が 1.0m 以上の道路 縮尺 1/2,500 の場合に限る 建設中の道路 調査時に建設中、完成までに 1 年以上の真幅道路

水涯線 河川、湖沼、海岸線等

【都市計画基礎調査】 土地利用現況調査に活用

※上記で掲げた地物項目は「面」タイプと「線」タイプを 2 重持ちさせることを前提とする。

② 都市計画決定データ

都市計画決定データの地物は、都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)に示されている内容(地

物 93 項目)を基に、同ガイドライン(案)が刊行された平成 12 年度以降の都市計画法改正の内

容(地物 1 項目削除、地物 6 項目追加、地物 2 項目名称変更)を反映させ、最新の都市計画決

定に関する内容(地物 98 項目)に改訂した。

③ 都市計画基礎調査データ

都市計画基礎調査データの地物は、GIS の導入を図る意義が認められるデータ項目について

利用状況、必要性の面から抽出・選定し、都市計画基礎調査実施要領(旧建設省/昭和 62 年)

との整合を図り、地物 4 項目(基礎調査区、土地利用現況、幅員別道路現況、建物現況)を設定

した。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 図形種別(空間属性) 〔点(GM_Point)〕

単一の位置情報を表現するもので、1 つの点に対して複数の属性(点に関連する情報)を保有することができる。 〔線(GM_Curve)〕

連続した点列の組合せによって表現するもので、1 つの線に対して複数の属性(線に関連する情報)を保有することができる。 〔面(GM_Surface)〕 空間的な広がりを表現するもので、見た目は線で表示されるが、

線と線で一つの面(図形)を構成している。1 つの面に対して複数の属性(面に関連する情報)を保有することができる。

※データの構造を「面」と定義しておくことによって、エリアの

面積の算定や、色を用いた塗り分け等の処理を GIS で行うことができる。

※GM_Point、GM_Curve、GM_Surface は、それぞれ「地理情報標準」の用語である。

[参考] 都市計画法の改正内容と地物項目の更新内容

法改正年次 [施行年次]

関連法令及び改正趣旨 地物項目の更新内容

平 14.4/5 法 22 [平 14.6/1 施行]

都市再生特別措置法附則第 7 条による改正 ―「都市再生特別地区」の創設

『03 地域地区』に都市再生特

別地区の項目を追加

平 14.7/12 法 85 [平 15.1/1 施行]

建築基準法等の一部を改正する法律第 2 条による改正 ―「再開発地区計画」及び「住宅地高度利用地区計画」の「地

区計画」への統合

『10 地区計画等』の住宅地高

度利用地区計画を削除、再開

発地区計画を再開発等促進区

に名称変更

平 15.6/20 法 101 [平 15.12/19 施行]

密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一

部を改正する法律による改正 ―「特定防災街区整備地区」、「防災街区整備事業」の創設

『03 地域地区』に特定防災街

区整備地区、『08 市街地開発

事業』に防災街区整備事業の

項目を追加

平 16.6/2 法 67 [未施行]

建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建

築基準法の一部を改正する法律による改正 ―「特例容積率適用区域」に関する、「特例容積率適用地区」

への拡充

『03 地域地区』に特例容積率

適用地区の項目を追加

平 16.6/18 法 109 [未施行]

都市緑地保全法等の一部を改正する法律 ―「緑地保全地域」の創設、「緑地保全地区」の廃止、「特別

緑地保全地区」の追加、「緑化地域」の創設、

『03 地域地区』の緑地保全地

区を特別緑地保全地区に名称

変更 『03 地域地区』に緑化地域、

緑地保全地域の項目を追加 平 16.6/18 法 111

[未施行] 景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による改正 ―「美観地区」の廃止、「景観地区」の追加

『03 地域地区』の美観地区を

景観地区に名称変更 ※都市計画法の改正に関する事項については、平成 17 年 3 月時点を基準とし、告示された内容(施行前のものを含む)

を反映させるものとする。

属性(code)1,2,…,n

属性(code)1,2,…,n

属性(code)1,2,…,n

合計面積 ○○㎡

[参考] 都市計画基図データの地物 155 項目設定の理由 都市計画基図データの地物は、国土交通省の公共測量作業規程に基づく平成 6 年国土基本図図

式(平成 11 年 4 月 19 日一部改正 国地達第 13 号)で定義されている電子基準点を含む全ての地物(154 地物)を対象とすることを前提としている。しかし、峠名称等など地物を伴わない注記や道路・鉄道・河川の注記は、全てを一括にまとめて 1 地物として数えているため、合計 155地物となっている。

○△鉄道

等高線数値や 道路・鉄道・河川名称等の注記

平成 6 年 国土基本図図式

平成 11 年 4 月 19 日一部改正

平成 6 年時点・・・計:153 地物

平成 11 年時点・・・電子基準点が追加され、計:154 地物

注記をひとまとめにして 1 地物として数える

都市計画基図の 地物数合計:155 地物

-125-

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

130

5.4.2. 応用スキーマ

本共通仕様(案)における応用スキーマは、対象とする地物 257 項目について、各地物項目

(GIS データ)の内容と構造に関する共通の取り決めを定義する。

共通の取り決めとして定義した詳細については、「別表 2:地物定義表」(別冊)に示している。この

「地物定義表」は、都市計画 GIS 標準化ガイドライン(案)で示されている様式を拡充したもので、地

理情報標準の XII 製品仕様書に規定されている「地物要件定義表」と同一のものとして扱う。

なお、ここで設定している定義は、地方公共団体が独自に内容を拡張することにより都市計画

GIS データを作成することを制限するものではない。

[参考] 応用スキーマ

地理情報標準では、応用システム(application;ここでは都市計画 GIS) によって利用される

データの内容と構造、及び応用システムによるデータの操作と処理の方法についての定義(schema)を応用スキーマ(application schema)と呼んでいる。

本共通仕様(案)においては、応用スキーマを、GIS データの相互関係、空間属性(図形種別)、

時間属性、主題属性、品質等について「別表 2:地物定義表」(別冊)として設定しているが、地理情報標準の要求規格では地物定義表に加えて UML(Unified Modeling Language)等により文書として表示することが規定されている。 この UML は、GIS データの内容や構造等をクラス*用語 31図というチャートにより表現するモデ

リング言語で、本共通仕様(案)に即した「都市計画 GIS データ製品仕様書(案)」(別添 CD-ROM参照)の中で標準的な雛型を提示している。

■ UML クラス図の例

地物

道路 河川 建物 地形

等高線 標高点

地物の性質を継承

する意味の記号

地物が複数存在 する意味の記号

形状:GM_Curve 形状:GM_Curve 形状

形状:GM_Curve標高値:Double

位置:GM_Point 標高値:Double

GM_Point:点 GM_Curve:曲線

GM_Surface:曲線 *これらは「空間スキーマ」で決められている。Doucle:実数

:GM_Surface

出典:地理情報標準第 2 版(JSGI2.0)の入門,国土交通省国土地理院 HP

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

131

5.4.3. 品質

本共通仕様(案)における品質は、都市計画 GIS データの主な利用目的を考慮し、5 つ品質クラ

ス(8 つの品質サブクラス)及び品質評価基準を設定することとする。

この品質クラスは、都市計画 GIS データの利用目的に応じた要求品質レベルを示しており、作成

する GIS データにより使い分けることが求められる。

また、その品質を評価する基準(尺度)を地理情報標準で規定されているデータ品質要素体系に

基づき一覧表として整理している。

■ 都市計画 GIS データの品質クラス

都市計画 GIS データ 適用範囲 (※6)

品質 クラス

(※1)

品質名称 (※2)

適応用途 (※3)

品質サブクラス (※4)

備考 (※5)

都市計画基図

都市計画決定

都市計画基礎調査

A-1 地番境界を除き、ほとん

どの領域を確定できる

概ね 1/500 精度 に相当

● ● ●

A-2 地形図に記されている地

物上の境界線に加え、路

線型の領域も確認できる

概ね 1/1,000 精度 に相当

● ● ● A 都市計画の 領域確定に 利用

○都市計画図作成に利用できる

○都市計画の領域の指導に利用できる

A-3 地形図に記されている地

物上の境界線ならば確認

できる

概ね 1/2,500 精度 に相当

● ● ●

B-1 国土交通省公共測量作業

規程に準ずる位置精度を

有する

概ね 1/2,500 精度 に相当

● ● ●

B 形態的把握 に利用

○国土基本図図式程度の地形と対比できる

B-2 国土交通省公共測量作業

規程に準ずる位置精度は

保証されない

概ね 1/2,500 精度 の住宅概略図 に相当

● ●

C 地域の分析 に利用

○地片*用語 12

程度の調査区と対比できる ○土地利用の分断要素(地形)と対比できる

概ね 1/10,000 精度 の総括図に相当

● ●

D 都市全体の 分析に利用

○総括図の作成に利用できる ○町丁目程度の調査区と対比できる ○街区の形状と対比できる

概ね 1/25,000 精度 の総括図に相当

● ●

E 模式図 として利用

○都市の代表的な骨格(鉄道、幹線道路、河川等)との位置関係が把握できる

概ね A4 サイズに 入る大きさ

● ●

※1)都市計画 GIS データの品質クラス(A~E)。都市計画基図に関しては、国土交通省公共測量作業規程に準ずることとし

ているので、品質クラス A もしくは B-1 と設定。 ※2)各々の品質クラスの名称。データ利用者がデータの品質を容易に判断できるよう都市計画情報の代表的な利用ニーズをも

って名称としている。 ※3)各々の品質クラスについて、データ利用者が品質名称からだけでなく、その品質をより詳細に判断できるよう都市計画情

報の利用上の事例によって記述。 ※4)品質サブクラス(A-1、A-2、A-3、B-1、B-2、C、D、E)。都市計画 GIS データの品質クラスは、このサブクラスまで

示す。 ※5)各々の品質クラスについての概ねの縮尺及び用紙サイズ。 ※6)「●」印は、都市計画 GIS データ(都市計画基図、都市計画決定、都市計画基礎調査)に必要な品質クラス。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

132

■ 都市計画 GIS データの品質評価基準①(完全性、論理一貫性)

品質 品質 品質 データ品質要素

クラス 名称 サブ

クラス 完全性 論理一貫性

A-1

A-2 A 都市計画の 領域確定に 利用できる A-3

○計画図に表されている領域は全て取得されていること

○関連するデータに対し、法令による包含関係を満たしていること

○関連するデータと共有する境界線が全て一致していること

○全て面図形として取得すること

B-1 ○関連するデータと共有する境界線は、0.5m 以内であること B 形態的把握に

利用できる B-2

○計画図に表されている領域は全て取得されていること

○関連するデータに対し、法令による包含関係を満たしていること

○全て面図形として取得すること

○関連するデータと共有する境界線は、1m 以内であること

C 地域の分析に 利用できる

○小さな領域は、取得しなくても良い

○関連するデータに対し、法令による包含関係を満たしていること

○関連するデータと共有する境界線は、2.0m 以内であること

○10ha 未満の領域は線図形、点図形で取得して良い(※1)

D 都市全体の 分析に 利用できる

○小さな領域は、取得しなくても良い

○関連するデータに対し、法令による包含関係を満たしていること

○関連するデータと共有する境界線は、5.0m 以内であること

○10ha 未満の領域は線図形、点図形で取得して良い(※1)

E 模式図として 利用できる

○代表的なものが取得されていれば良いが、規定はしない

○関連するデータに対し、法令による包含関係を満たしていること

○関連するデータと共有する境界線の精度は規定しない

○面図形、線図形、点図形のいずれで取得しても良い

※1)省令第 9 条第 1 項第 1 号から第 7 項で規定される都市計画総括図における都市計画の表示について、領域は「面」

図形、位置は「線」図形、「点」図形と読みかえて都市計画 GIS データに適用した。

都市計画の種類 法令における 総括図の表示

都市計画 GIS における図形の種類

市街化区域又は市街化調整区域 概ねの区域 「面」 地域地区 10ha 未満は概ねの位置

10ha 以上は概ねの区域 10ha 未満は「面」又は「点」 10ha 以上は「面」

促進区域 概ねの区域 「面」 一団地の住宅施設、一団地の官公庁施設、流通

業務団地 10ha 未満は概ねの位置 10ha 以上は概ねの区域

10ha 未満は「面」又は「点」 10ha 以上は「面」

その他の都市施設 10ha 未満は概ねの位置 10ha 未満は「面」、「線」又は「点」 市街地開発事業 概ねの施行区域 「面」 市街地再開発事業等予定区域 概ねの区域 「面」 地区計画、住宅地高度利用地区計画、再開発地

区計画、沿道整備地区計画、集落地区計画 概ねの区域 「面」

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

133

■ 都市計画 GIS データの品質評価基準②(位置正確度、時間正確度、主題正確度)

品質 品質 品質 データ品質要素

クラス 名称 サブ

クラス

位置正確度 (境界線の分類は(※2)を参照)

(標準偏差と縮尺の関係は(※3)を参照) 時間正確度 主題正確度

A-1

○Ⅰに分類される境界線は、標準偏差 0.25m の平面図に表された指定の基準となる地物に対し、相対距離が 0m であること

○Ⅱに分類される境界線は、標準偏差 0.70m の平面図に表された指定の基準となる地物からの相対距離が、路線指定の距離に一致すること

○Ⅲに分類される境界線は、標準偏差 1.75m の地形図に表された指定の基準となる地物に対し、相対距離が 0m であること

○Ⅳに分類される境界線は、規定しない

A-2

○Ⅰ及びⅡに分類される境界線は、標準偏差0.70m の平面図に表された指定の基準となる地物からの相対距離が 0m であること。(路線指定の場合は、路線指定距離に一致すること)

○Ⅲに分類される境界線は、標準偏差 1.75m の地形図に表された指定の基準となる地物に対し、相対距離が 0m であること

○Ⅳに分類される境界線は、規定しない

A 都市計画の 領域確定に 利用できる

A-3 ○ⅠからⅢに分類される境界線は、標準偏差

1.75m の地形図との相対精度が 0m であること ○Ⅳに分類される境界線は規定しない

B-1

○Ⅰ及びⅡに分類される境界線は、標準偏差1.75m の地形図に表された基準の地物との相対距離が 0m であること

○Ⅲ及びⅣに分類される境界線は規定しない B 形態的把握に

利用できる B-2

○Ⅱ及びⅢに分類される境界線は、標準偏差3.50m の地形図との相対距離が 0m であること

○Ⅰ及びⅣに分類される境界線は規定しない

C 地域の分析に 利用できる

○Ⅱ及びⅢに分類される境界線は、標準偏差

7.00m の地形図との相対距離が 0m であること ○Ⅰ及びⅣに分類される境界線は規定しない

○主題属性(※4)は、法令においてあり得ない値が無いこと

○主題属性(※4)

は、全て正しいこと

※注意 前者は、属性情報に限っての要求品質であるのに対し、後者は位置との対比での要求品質である。

D 都市全体の 分析に 利用できる

○Ⅱ及びⅢに分類される境界線は、標準偏差17.5m の地形図との相対距離が 0m であること

○Ⅰ及びⅣに分類される境界線は規定しない

E 模式図として 利用できる

○規定しない

○仕様書等で指示された GISデータ表現時点(月日)と同一の時点であること

※注意 最新データとしての定義は、概ね以下のとおりとする。 〔基図〕 ○前回更新時よ

り概ね5年以内であること

〔都決〕 ○新たな都市計

画が告示されてから1年以内であること

〔基礎調査〕 ○前回更新時よ

り概ね5年以内であること

※2)都市計画の領域における境界線の種類

分類 境界線と地物の関係 該当する境界線

Ⅰ ・ 計画線及び計画線からの路線指定 Ⅱ

目に見えない境界線 ・ 道路、鉄道からの路線指定

Ⅲ 地形図に表現できる境界線

目に見える地物と一致する境界線 ・ 道路界、河川界、水路界などの中心 ・ 同地物の境界線上

Ⅳ 地形図に表現できない境界線 ・ 地番界、現地杭界など

※3)標準偏差と縮尺の関係(建設省公共測量作業規定より抜粋)

標準偏差 縮尺精度 標準偏差 縮尺精度 標準偏差 縮尺精度 0.25m 1/500 1.75m 1/2,500 7.00m 1/10,000 0.70m 1/1,000 3.50m 1/5,000 17.5m 1/25,000

※4)主題属性:主題図の文字や日付・値情報

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

134

[5.4.3.解説] 品質

①品質の概念 空間データ(GIS データ)の品質とは、製品仕様書に記載した使用目的に適合した求める空間デー

タと、その仕様に基づき作成された現実の空間データとの差異を表現するものである。そのため、実

世界と GIS データの差異を表現するものでは無く、同一の空間データでも使用目的が異なれば、品質

も変わる。 ■ 品質の概念

空間データ(GISデータ)

抽象化

作成

使用目的に基づき作成

空間データ 製品仕様書

○品質要求 ○品質評価

実世界

データ化

品質評価

使用者の要求

①と②の差異 =品質

仕様に基づき 作成された空間データ

ドキュメント上の 理想的な空間データ

論議領域

使用目的

例えば、都市計画公園の決定位置を示す空間データを作成する場合、単に広域エリアの中での位置

を示すのみであれば属性を持たない「点(GM_Point)」データで充分であるが、決定位置の境界線を

明確に示し、その面積を正確に把握する必要がある場合は、「面(GM_Surface)」データでなければ

不十分である。 従って、空間データの品質を設定する際には、利用目的を明らかにし、空間データの利用者(計画

機関)と作成者(作業機関)は、相互に求める品質レベルとその評価基準について理解する必要があ

る。なお、品質評価基準に基づき適合性を判断する方法・水準等については、本共通仕様(案)に即

した「都市計画 GIS データ製品仕様書(案)」の中で一つの手法例として提示している。 ①品質の構成要素

地理情報標準では、品質の構成要素として、定量的に評価可能な 5 つの「データ品質要素」と、こ

れらを細分化した「データ品質副要素」を規定している。 本共通仕様(案)においては、この品質の構成要素の考え方に基づき品質評価基準を設定している。

1) データ品質要素 データ品質要素は、次の「完全性」、「論理一貫性」、「位置正確度」、「時間正確度」、「主題正確度」

の 5 つの要素に分類されている。

■ データ品質要素体系

完完 全全 性性

論論理理一一貫貫性性

位位置置正正確確度度

時時間間正正確確度度

主主題題正正確確度度

・・・GIS データに表現された地物、地物属性及び地物間関係の超過又は欠落

を示す品質要素。

・・・GIS データ製品仕様書に明記されている構造規則及び属性のコード定義

などに適合した空間データが作成されているかを示す品質要素。

・・・GIS データ製品仕様書に記載されている位置に関する定義に基づき、デ

ータが作成されているかを表す、位置に関する正確度を示す品質要素。

・・・地物の存在時点、GIS データの表現時点、また属性に記録される時刻な

ど、それぞれの時間に関する正確さを示す品質要素。

・・・地物属性の精度、及び地物と地物属性の分類の正確さを示す品質要素。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

135

2) データ品質副要素 先のデータ品質要素を細分化したものを「データ品質副要素」と呼び、品質評価の考え方を定義

している。

■ データ品質要素及びデータ品質副要素

データ 品質要素

データ 品質副要素 定義

過 剰 データ集合中の余分なデータの度合いを示す。 完 全 性

漏 れ データ集合中の欠落データの度合いを示す。

概 念 一 貫 性 応用スキーマに対する適合度(忠実さ)を示す。 例)「特別用途地区」≦「用途地域」の関係が正確かどうか?

定義域一貫性

応用スキーマに定義されている属性の値の定義域に対して、実際に取得された値の正確さを示す。 例) 「東京都千代田区」の場合、市町村番号を表す属性値に“101”以外の値が付与されていないか?

書 式 一 貫 性

ある書式(フォーマット)で記述するように定められたデータが誤った書式で記述されていないかどうか物理構造の規則に対する適合度の度合いを示す。 例) システムがデータを認識可能か?またXMLを利用してデータを表現する場合、XML の書法(開始タグと終了タグが対になる等)に準拠しているか?

論理一貫性

位 相 一 貫 性

応用スキーマで定義された位相(図形が変形しても変わらない性質)の定義に従い、データ位相特性の正しさの度合いを示す。 例) 面として取得すべき建物データの外周線の始終点が必ず一致しているか?

絶 対 正 確 度 又は

外 部 正 確 度

取得した地物の座標値が、地物の真又は真とみなされる座標に対して接近する度合いを示す。 例) 都市計画決定データ(取得した地物)と都市計画基図(真位置とみなすデータ)を重ね合わせ、座標点のずれがどの程度か?

相 対 正 確 度 又は

内 部 正 確 度

取得した地物間の相対的な位置が、真とみなされる相対位置に対して接近する度合いを示す。 例) 建物の外壁後退距離が 1m と定められている場合は、道路(及び隣地)の境界線から約 1m 離れた位置に建物データの外周線が存在するか?

位置正確度

グリッドデータ 位 置 正 確 度

グリッドデータ(複数の線分が交差してできるネットワーク)の位置と、真とみなされる座標に対して近接している度合いを示す。 例) 等高線を表すグリッドデータの格子点と基図に表現されている標高がほぼ一致しているか?

時間測定正確度 取得した地物の時間属性の値と、真とみなされる時間に対して、どの程度誤差を生じているかを示す。 例)ある商店の開店時刻属性が実際の開店時刻と同じか?

時 間 一 貫 性 取得した地物の時間関係の順序が正確であるかを示す。 例)明治、大正、昭和、平成・・・の順か? 時間正確度

時 間 妥 当 性

データの時間に関する妥当性を示す。 例) データベースへの登録日時や有効期間が規定された範囲に含まれてないデータ存在していないか?

分類の正しさ 地物や地物属性の分類が正しく付与されているかを示す。 例) 「商業地域」の領域を「近隣商業地域」として属性が与えられていないか?

非定量的属性 の 正 し さ

非定量的な属性の正しさを示す。 例) ある学校を表す地物が他の学校の地物と区別できるための属性が付与されているか?

主題正確度

定 量 的 属 性 の 正 確 度

定量的な属性の属性値が、データの真又は真とみなされる値にどの程度近接しているかを示す。 例)ある学校の生徒数属性が実際の生徒数と同じか?

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

136

5.4.4. 符号化

本共通仕様(案)における符号化は、応用スキーマに基づき定めるデータの標準記録仕様(デー

タフォーマット)への変換規則として、規定の言語(XML)により記述する際に準用する都市計画 GIS

データに係るタグ名称を設定する。

なお、地物単位に定めているタグ名称については、「別表 2:地物定義表」(別冊)に示している。

[参考] 符号化と XML GIS データの相互交換を可能とするために規定されたデータの標準記録仕様への変換規則が“符

号化”である。 実際に GIS データを交換するためには、データ交換のための XML 文書(空間データを記載した

本体のファイル)と XML スキーマ(XML 文書に記載される空間データの構造及びタグを定義するファイル)の 2 つを定める必要がある 地理情報標準で規定されている空間データの書式には XML(eXtensible Markup Language)を

使用するよう推奨されており、インターネット等で用いられている HTML と同様に、<○○>で囲んだ文字列を“タグ”と呼び、記述内容に関する情報を“タグ”で挟む方法により統一的な書式が確保できる。

なお、XML の場合、ユーザーが自由に独自の“タグ”を定義することが可能であるため、単なる文書記述に留まらずデータベース的な活用が可能となる。例えば、“タグ”に「<X 座標>」という項目名を定義し、その記述内容に関する情報としてある地物の X 座標値を格納することにより、独自に空間データの位置を定義することが可能になる。

出典:JACIC GIS ひろば-GIS 学習[GIS 用語集],財団法人日本建設総合情報センターHP より作成

■ XML と UML クラス図との関係のイメージ

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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5.4.5. メタデータ

本共通仕様(案)におけるメタデータは、国土地理院が提供する地理情報クリアリングハウス(所在

情報検索システム)を通じて利用目的に合致した都市計画 GIS データを検索することができるよう

JMP2.0(日本版メタデータプロファイル)を採用する。

[参考] メタデータと地理情報クリアリングハウス メタデータ(meta data)とは、GIS データの種類、作成条件、品質、入手方法等のデータそ

のもの自体に関する諸情報を詳細に説明、記述したデータである。 膨大な GIS データの中からユーザーが必要とするデータを探し出す手助けとするために作成さ

れるものである。例えば、インターネット上にある膨大な情報も、単純なキーワード検索しかできないのが現実であるが、個々の情報に「情報を説明するデータ」としてメタデータを付与することにより、データの性質を的確に反映した正確な検索が可能となる。特に、画像データや空間データ(GIS データ)などは、そのままでは単純なキーワード検索を行うことはできないため、メタデータの作成は必須となる。

なお、メタデータの具体的な記述内容については、本共通仕様(案)に即した「都市計画 GISデータ製品仕様書(案)」の中で標準的な雛型として提示している。 また、地理情報クリアリングハウス(clearinghouse)とは、インターネット上でメタデータを

検索・閲覧するシステムで、政府が推進する地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議の施策に基づき国土地理院が構築、運営している。 なお、平成 12 年 10 月 6 日に決定された「今後の地理情報システム(GIS)の整備・普及施策の

展開について」(地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議申し合わせ)においては、 ○国土地理院は,メタデータ検索システムを整備し,平成 12 年度中に地理情報クリアリングハ

ウスの運用及びノードサーバーの設置やメタデータの整備に関する関係省庁への技術面の支援を開始する。

○地理情報を保有する省庁は,地理情報標準に準拠したメタデータを整備し,ノードサーバーに登録するとともに,データの電子化及び提供の状況,メタデータの整備状況等について,国土地理院に報告する。

とされている。

出典:クリアリングハウスとメタデータ,国土交通省国土地理院 HP

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] JMP2.0 とは

国土地理院では、政府の地理情報クリアリングハウスを運用しており、そのシステムにおいて日

本版メタデータプロファイル(JMP1.1a:Japan Metadata Profile 1.1a)が利用されている。JMP1.1a とは、日本国内におけるクリアリングハウスの普及促進を優先することを目的に、国際標準化機構の地理情報に関する専門委員会(ISO/TC211)のメタデータの委員会原案(1998 年登録)に基づいて暫定的に策定した国内標準である。

ISO/TC211 では、2003 年 5 月にメタデータ(ISO19115)が国際規格として正式に発行された。これを機に、日本版メタデータプロファイルについても、国際規格に準拠したものに改訂する運びとなり、国土地理院及び民間企業 17 社が参加する共同研究「地理情報標準の普及・利用技術に関する研究」において、国際規格に準拠した JMP2.0 を策定した。

ISO19115 では、コアメタデータと呼ばれる基本項目(約 50 項目)が設定されており、この項目はどのようなコミュニティも遵守している。また ISO 19115 では、予め拡張用としての項目が多く用意されており、コアメタデータと追加パッケージを含んだ、包括的メタデータ(約 400 項目)がある。メタデータの運用を考えると、これらコアメタデータだけでは必要とする事項をすべて記述することは難しいので、JMP2.0(約 70 項目)では、ISO 19115 との整合性を保ちながら、包括的メタデータで用意されているパッケージから必要と思われる項目をコアメタデータに追加する形をとった。

コアメタデータ (約 50 項目)

JMP2.0 (約 70 項目)

ISO19115 包括的メタデータ (約 400 項目)

出典:クリアリングハウスとメタデータ,国土交通省国土地理院 HP

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

139

5.5. 都市計画 GIS データ共通仕様(案)の利用方法

5.5.1. 従来までの都市計画 GIS データ整備手順との比較

従来までの都市計画 GIS データの整備手順(地方公共団体が各々独自の仕様を作成し、都市

計画GISデータを整備していた方法)では、作業機関は各工程を完了するごとに計画機関と協議及

び点検を実施し、その都度、精度管理を行い、最終的な成果品の品質を確保してきた。

これに対して、本共通仕様(案)に基づく新たな都市計画 GIS データの整備手順では、計画機関

が発注時に「製品仕様書」を作成し、成果品完成時には作業機関が「メタデータ」や「品質評価報告

書」を作成して、計画機関が要求する品質の保証を行うこととなる。

■ 従来までのデータ整備と本共通仕様(案)に基づくデータ整備の作業工程の比較

従来までのデータ整備 共通仕様(案)に基づくデータ整備

作業工程 内容 作業工程 内容 事業計画 ・目的の明確化

・既存成果の調査 事業計画 ・目的の明確化

・既存成果の調査 設計 ・共通仕様書作成

・特記仕様書作成 ⇒各作業内容の明確化 ⇒使用する機器や作成方法の決定

設計 ・共通仕様書作成 ・特記仕様書作成 ・製品仕様書作成 ⇒共通仕様に基づき、必要な地物を任意に抽出 ⇒品質要求を決定 ⇒品質評価手順書の作成

・適合性試験の実施 積算・発注 ・一般競争及び指名競争入札、

プロポーザル方式 等 積算・発注 ・一般競争及び指名競争入札、

プロポーザル方式 等 作成調達 ・実施計画書作成

・GIS データ等作成 ・作業工程ごとにデータを点検

し、精度管理表を作成

作成調達 ・実施計画書作成 ⇒作成手法の決定

・GIS データ等作成 ・品質評価報告書の作成 ⇒製品仕様書に定められた品質評価方法により品質評価を実施(納入検査)

検査・納入 検査・納入

・特記仕様書等記載事項にそって成果品が作成されているか等確認

作業工程ごとに精度管理を行い、成果品の品質が確保された成果品

・メタデータの作成 ・品質評価の実施(受入検査)

品質評価により品質を保証された成果品

その他 ・システムへのデータ搭載 ・電子納品対応

その他 ・システムへのデータ搭載 ・電子納品対応

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

140

5.5.2. 共通仕様(案)に基づく都市計画 GIS データ整備手順

① 事業計画

計画機関は、都市計画GISデータの利用目的を明確化し、必要なデータ項目を選定する。また、

既存成果の有無について調査を実施し、二重投資を予防する。

② 設計

計画機関は、利用目的に即した製品仕様書を作成し、応用スキーマや品質評価手順等を明確化

する。また、作成した製品仕様書が地理情報標準や JIS に適合しているかを確認する。

③ 積算・発注

計画機関は、技術面やコスト面などから適切な作業機関を選定する。なお、作業機関は、特別な

指示が無い限り作業方法等を自由に選択し、都市計画 GIS データの整備を行う。

④ 納品・受入

作業機関は、品質評価手順にそって作成した都市計画 GIS データの品質を評価し、品質評価報

告書を作成する。計画機関は、この報告書に計画機関が要求する品質が定量的に記載されている

かを確認し、作業機関と品質に関しての合意を得る。また、成果品の一部としてメタデータを作成す

る。

⑤ データ登録

計画機関等は、製品仕様書に記載された品質を保持した成果品を庁内のシステムに登録する。

また、作成したデータの電子化状況を庁外へ情報発信するために、国土交通省国土地理院が運営

している『地理情報クリアリングハウス』へメタデータの登録を行う。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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■ 共通仕様(案)を用いた都市計画 GIS データ整備作業の流れ

作業項目

【 ① 事 業 計 画 】 ●目的の明確化 ●既存成果の調査

【 ② 設 計 】 ●製品仕様書の作成 - 要件整理 <データの概要> データ作成の目的 データの地理的範囲 データの時間的範囲 データの座標参照系 データの時間参照系

- 応用スキーマの決定 <データの定義> UML クラス図 地物要件定義書

- 品質要求及び品質評価 手順の決定

- 符号化仕様の決定

●適合性試験の実施

【 ③ 積 算 ・ 発 注 】

【④納品受入・検査】 ●成果品の受入 - メタデータの作成 - 電子納品 - 品質評価報告書

●品質評価 ●完了報告

【 ⑤ デ ー タ 登 録 】 ●庁内システムへの登録 - GIS データ

●クリアリングハウスへの登録 - メタデータ

データの利用目的によって、必要なデータ項目と品質が決

定するため、事業目的を明確化する。

利用目的に適したデータ項目や構造、作成基準を決定し、

応用スキーマを作成する。

メタデータをクリアリングハウスへ登録する。

共通仕様(案)を利用する場面

利用目的に即した品質と、品質評価手順を決定する。

要件整理を行い、これから作成するデータを選定する。

データ交換のための XML 文書等を定める。

作成したデータの説明情報をメタデータとして記録する。

品質評価手順に則って品質評価を行う。

【参照する章】 5.4.1 対象とする地物 [別表 1] 5.4.3 品質

【参照する章】 5.4.1 対象とする地物 [別表 1]

【参照する章】 5.4.2 応用スキーマ [別表 2] 及び 別添 CD-ROM

【参照する章】 5.4.3 品質 及び 別添 CD-ROM

【参照する章】 5.4.2 応用スキーマ [別表 2] 5.4.4 符号化 及び 別添 CD-ROM

【参照する章】 5.4.5 メタデータ 及び 別添 CD-ROM

【参照する章】 5.4.3 品質 及び 別添 CD-ROM

【参照する章】 5.4.5 メタデータ 及び 別添 CD-ROM

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

142

[5.5.2.解説] 共通仕様(案)に基づく都市計画 GIS データ整備手順

① 事業計画

・・・データの利用目的によって、必要なデータ項目と品質が決定するため、

事業目的を明確化する。

既存成果の調査 ・・・他機関の既存成果、民間企業の市販データ等の調査を行う。 (クリアリングハウス等を利用)

目的の明確化

共通仕様(案)を利用する場面

1)目的の明確化

都市計画 GIS データを作成する目的によって、必要なデータ項目(地物)や品質が決まるため、

事業目的を明確化することが重要である。必要に応じて、本章の『5.4.1 対象とする地物』(別表

1:地物一覧)や『5.4.3 品質』を参照する。 また、都市計画基図データを他分野と連携して導入する場合には、共用空間データの整備とし

て全庁的な協議・調整により目的の明確化を図る。

2)既存成果の調査 都市計画 GIS データの作成には、相応の費用が必要であるため、既存成果(GIS データや図面

など)を利用することは一つの有効な手段といえる。利用に際しては、当該計画機関はもちろん

のこと、クリアリングハウス等を利用して他機関の成果や民間企業の市販データの利用等も考慮

する。 なお、ここで作成する事業計画は、都道府県知事に通知することとなっている。(測量法第 14

条 1) ② 設計

・・・要件整理を行い、これから作成するデータを選定する。 要件整理

・・・利用目的に適したデータ項目や構造、作成基準を決定し、 応用スキーマを作成する。

品質要求及び 品質評価手順の決定

符号化仕様の決定

適合性試験の実施 ・・・データ製品仕様書が地理情報標準や JIS に適合しているか、確認する。

・・・データ交換のための XML 文書等を定める。

応用スキーマの決定

・・・利用目的に即した品質と、品質評価手順を決定する。

・・・事業計画の目的にそったデータ製品仕様書を作成する。 製品仕様書作成 共通仕様(案)を利用する場面

1)製品仕様書の作成 都市計画 GIS データを作成する際には、データの利用目的に沿った製品仕様書が必要である。

製品仕様書の作成は、本共通仕様(案)に基づき、以下に示す手順で作成することが望ましいが、

別添 CD-ROM で提示している「都市計画 GIS データ製品仕様書(案)」を利用しても構わない。 なお、製品仕様書には専門的な知識を要する部分が有るので、計画機関が独自で製品仕様書を

作成することが困難な場合は、実績ある第三者機関に製品仕様書作成の代行を別途発注する方法

もある。 また、製品仕様書の作成の際には、国土地理院が作成した「空間データ製品仕様書作成マニュ

アル JPGIS 版」を参考にすることができる。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

143

a) 要件整理 必要なデータ項目を検討する際には、本章の『5.4.1 対象とする地物』(別表 1:地物一覧)

を参照し、検討することが望ましい。

b) 応用スキーマの決定 応用スキーマを決定する際には、本章の『5.4.2 応用スキーマ』(別表 2:地物定義表)をそ

のまま利用するか、もしくは部分的に拡張して利用することが望ましい。 また、応用スキーマは、UML クラス図を利用することが地理情報標準で定められている。UML

クラス図は、国土地理院が作成した「空間データ製品仕様書作成支援ツール」を利用して作成

することができる。 c) 品質要求及び品質評価手順の決定

応用スキーマを決定すると、その定義に対応した“品質”を設定する必要がある。本章の『5.4.3 品質』を参照し、品質クラスを検討することが望ましい。また、決定した品質クラスに合わせ

た品質評価手順書を作成する場合は、本ガイダンスの別添 CD-ROM を参照する。

d) 符号化仕様の決定 符号化仕様は、データ交換のための XML 文書(空間データを記載した本体のファイル)と

XML スキーマ(XML 文書に記載される空間データの構造及びタグを定義するファイル)の 2つを定める必要がある。 符号化仕様作成のためのタグを決定する際には、本章の『5.4.4 符号化』を一読した上で、 「別

表 2:地物定義表」に示すタグを採用することが望ましい。 また、XML 文書と XML スキーマの作成には、「地理情報標準プロファイル(JPGIS)」に準

拠することが望ましい。これには、国土地理院が提供する「空間データ製品仕様書作成支援ツ

ール」を利用することができる。

[参考] 公共測量での製品仕様書の位置付けについて

国土交通省で用いている「国土交通省公共測量作業規程」においては、特殊な現場事情や技術革新

に柔軟に対応するため、「機器等及び作業方法に関する特例」(同規程第 16 条)を設けている。この規定を活用することにより、製品仕様書による公共測量を実施することができる。各測量計画機関が定める作業規程に類似の規定があれば、同様の対応が可能である。 公共測量に必要な諸手続きの詳細については国土地理院ホームページの公共測量

http://psgsv.gsi.go.jp/koukyou/tetuzuki/index.htm 及び「空間データ作成のための製品仕様書作成の手引き」(平成 16 年 3 月国土交通省国土地理院)を参照できるが、本共通仕様(案)により公共測量を実施する場合は次の事項に留意する必要がある。

・製品仕様書による公共測量を実施する場合、これまでの作成仕様と同様に「公共測量作業規程」

(測量法第 33 条)を定め、国土交通大臣の承認を得る必要がある。 ・「公共測量実施計画書」(測量法第 36 条)に記載する「作業量」は、「データ名称」と「数量」

のみの記入で構わない。また、「測量精度」は、本共通仕様(案)の「名称」のみの記入で構わない。更に、「測量方法」は、作業方法を定めない場合は「-」の記入で構わない。

・「測量標及び測量成果の使用承認申請書」(測量法第 26・30 条)に記載する「測量精度」は、測量標と測量成果を同時に使用する場合、本共通仕様(案)の「名称」のみの記入で構わない。

・「測量成果の提出」(測量法第 40 条 1)では、製品仕様書による測量成果として「空間データ」及び「メタデータ(JMP2.0)」を明記する。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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■ 作成仕様と製品仕様の発注の流れ

測量作業

作業規程

測量法第33条

作業規程作業規程

測量法第33条

製品仕様書

地物定義品質要求

製品仕様書製品仕様書

地物定義品質要求

作業規程作業規程

第4編第4編数値地形測量数値地形測量

作成手法精度管理

共通仕様書共通仕様書共通仕様書

特記仕様書特記仕様書特記仕様書

測量作業発注仕様

精度は一定

作成手法      は任意品質

作業規程第16条適用

製品仕様製品仕様

作成仕様作成仕様

地図データ

データ購入

点検

品質評価

出典:空間データ作成のための製品仕様書作成の手引き,平成 16 年 3 月,国土交通省国土地理院

■ 公共測量諸手続きの流れ

測量計画機関

国土地理院 各地方測量部・

沖縄支所

都道府県 知事

測量作業規程

使用する基本測量成果

測量標及び測量成果使用承認申請書

公共測量実施計画書・製品仕様書

(公共測量作業規程第 16

条を適用した場合)

測量成果の写し

設計

積算

発注

納入及び検査

事業計画

測量成果管理 複製承認 法 43 条 使用承認 法 44 条

国土交通大臣

承認申請 法 33 条 1

承認 法 33 条 1

閲覧・交付申請法 28 条 1,2

謄本・抄本の交付法 27 条 3・法 28 条

提出 法 36 条

公示 法 14 条 3 (法39条)

公示 法 14 条 3

(法 39 条)

技術的な助言 法 36 条

提出 法 26・30 条

承認・情報提供法 26・30 条

通知法 14 条 2(法39 条)

測量成果の審査法 41 条 1

測量成果の提出法 40 条 1

通知 法 14 条 1

(法 39 条)

保管 閲覧 交付

法 42 条 1,2

結果公表法 41条2

出典:空間データ作成のための製品仕様書作成の手引き,平成 16 年 3 月,国土交通省国土地理院

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 国土交通省公共測量作業規程 (機器等及び作業方法に関する特例)

第 16 条 この規程に定めるものと異なる機器等又は作業方法は、必要な精度の確保及び作業能率の維持に支障がないと認めて計画機関が指示し、又は承認した場合に限り、作業の一部に用いることができる。

2 計画機関は、前項の指示又は承認をしようとするときは、国土地理院の長の意見を求めなければならない。ただし、法第 36 条の規定に基づく国土地理院の長の技術的助言をもってこれに代えることができる。

<第 16 条運用基準> 1.作業機関は、機器等又は作業方法を変更する場合、計画機関に対し精度を確認するために必要

な資料を提出し承認を得なければならない。 2.新しい測量技術で国土地理院が作業マニュアル等を作成した場合は、法第 36 条の規定に基づ

く、技術的助言によりこれを準用することができる。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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[参考] 空間データ製品仕様書作成支援ツール

本ツールは、平成 14~15 年度の官民共同研究「地理情報標準の普及・利用技術に関する調査研

究」において作成したもので、JSGI2.0 に準拠した製品仕様書及び空間データのサンプル作成を支援するためのツールである。 本ツールでは、地物要件定義書、応用スキーマのクラス図の作成、符号化仕様やサンプルデータ

等、製品仕様書の一部の項目について部分的に作成することが可能である。 本ツールは、平成 16 年度も引き続き機能強化等の改良を行っており、利用された方々から、改

良のための意見等を得ることを目的として試験公開している。改良版は地理情報標準プロファイルに対応した「空間データ製品仕様書作成支援ツール」として平成 17 年 5 月頃公開予定である。

出典:共同研究成果 地理情報標準の普及・利用技術に関する研究,

平成 16 年 3 月,国土交通省国土地理院 HPhttp://www.gsi.go.jp/GIS/stdindex.html

〔地物要件定義書の例〕 〔UML 図の例〕

<<feature>>

0201都市計画区域等

+区域: GM_Surface

<<feature>>

020101都市計画区域

+市区町村コード: +都市計画を定める者: cp_authority

+告示番号: string

+告示年月日: TM_Instant

+区域名称: string

+都市計画区域内面積: Int

+都市計画区域内人口: Int

+当該市町村内面積: Int

+当該市町村内人口: Int

<<CodeList>>

cp_authority

1 国

2 都道府県

3 市町村

4 特別区

なお、地物要件定義書については、本共通仕様(案)で示す「別表 2:地物定義表」(別冊)を

利用するほかに、ツールで出力されるものを利用しても構わない。 〔XML 文書の例〕

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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2)適合性試験の実施 「地理情報標準」に規定された「製品仕様書記載事項」(11 項目)をデータ製品仕様書として

まとめた段階で適合性試験を実施し、その全てに適合しているか確認する必要がある。 ■ 代表的な適合性試験の項目

項目 適合性

応用スキーマのための 規則

●応用スキーマに、名前と版が含まれているか? ●応用スキーマが文書化されているか? ●応用スキーマ内の地物の要素が一般地物モデルに従って定義されているか?

品質原理 ●品質の記述において、品質の構成要素が記述されているか?

⇒完全性、論理一貫性、位置正確度、時間正確度、主題正確度

品質評価手順 ●品質評価手順が作成されているか? ●データ品質評価が作成されているか? ●品質情報報告が作成されているか?

メタデータ

●メタデータおよびメタデータプロファイルが、メタデータに従って記述されているか? →データの所有者や配布者などの問合せ先の情報 →データを一意に識別するための情報 など

●メタデータが、データセットまたは地物に対して、設定されているか?

符号化仕様作成の ためのタグ

●符号化規則が、一般符号化規則の要件に合致しているか? →応用スキーマと定義するためのスキーマ言語を規定しているか?

なお、適合性試験の実施には専門的な知識を要するので、計画機関が独自で適合性試験を実施

することが困難な場合は、実績ある第三者機関に適合性試験の代行を別途発注する方法もある。 ③ 積算・発注

本共通仕様(案)を用いた都市計画 GIS データの整備は、製品仕様書に記載された品質を確保し

た成果を作成することが前提となるため、作業機関は特別な指示が無い限り作業方法等を自由に選

択することになる。 このため、発注方式は「プロポーザル方式(特命方式、指名コンペ、公開コンペ)」を採用してい

る自治体が多い。この方式では、計画機関が複数の受注候補者から作業工程の考え方、使用する機

器、作業効率や品質確保手段などの提案説明を受け、その長所/短所を充分理解したうえで受注者

を決定する。また、整備費用の積算は、現時点では根拠となる歩掛り等が無いため、作業仕様に基

づく費用により予算措置を図り、上記の発注方式の中で各受注候補者から提案内容に対する見積を

参考まで貰うことが考えられる。

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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④ 納品受入及び検査

・・・作業機関が作成した GIS データと品質評価報告書を受け入れる。

品質評価

完了報告 ・・・品質評価により問題が無いと判断された場合、事業完了届を作成する。

・・・品質評価手順に則って品質評価を行う。(受入検査)

成果品の受入

共通仕様(案)を利用する場面

・・・測量成果の場合は、測量成果電子納品要領に則った納品方法であるか確認する。

・・・作成したデータの説明情報をメタデータとして記録する。 メタデータの作成

電子納品

1)成果品の受入

作業機関は、製品仕様書に基づいた GIS データの作成作業が完了すると、品質評価手順書にそ

って空間データの品質を評価し、品質評価報告書を作成することになる。 計画機関は、この報告された内容に計画機関が要求する品質が定量的に記載されているかを確

認し、作業機関と品質に関しての合意を得る必要がある。

a) 電子納品 電子納品は図面、写真等の成果物を電子データで提出することを義務付けるものであり、当

面の対象は業務(調査・設計)及び、工事等の国土交通省が発注する公共事業が対象となって

いるが、将来的には、全ての公共事業を対象とすべく計画がなされている。 現在では、都市計画分野としての GIS データ電子納品要領(案)が未策定であるが、測量成

果を電子納品する際は、測量成果電子納品要領に則り、受発注者間の協議により測量成果を以

下のように対応するとの規定がある。 ■ 電子納品における各情報項目の対応

情報項目 場所 対応

製品仕様書名 測量情報管理ファイル (¥¥SURVEY¥SURVEY.XML)

「基礎情報」カテゴリーの「製品仕様書名また

は作業規程名」に製品仕様書名を記載 製品仕様書 およびメタデータ

ドキュメントサブフォルダ (¥¥SURVEY¥DOC)

製品仕様書ファイルおよびメタデータファイルを格納

空間データ 地形測量の成果記録フォルダ (SURVEY¥CHIKEI¥DATA)

空間データファイルを格納

※上記以外の成果品は、測量成果電子納品要領に従って電子納品を行う必要がある。

出典:空間データ作成のための製品仕様書作成の手引き,平成 16 年 3 月,国土交通省国土地理院

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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■ 電子納品フォルダ構成

SURVEY (測量フォルダ)

INDEX_D.XML(業務管理ファイル)

DOC (ドキュメントサブフォルダ)

DATA (成果記録サブフォルダ)

CHIKEI (地形測量サブフォルダ)

INDEX_D02.DTD(業務管理ファイル用 DTD)

SURVEY.XML(測量情報管理ファイル)

SURVEY01.DTD(測量情報管理ファイル用 DTD)

SURV_CHI.XML(測量成果管理ファイル)

SURV_D01.DTD(測量成果管理ファイル用 DTD)

出典:空間データ作成のための製品仕様書作成の手引き,平成 16 年 3 月,国土交通省国土地理院

b) メタデータの作成 メタデータを作成する際には、本章の『5.4.5 メタデータ』を参照し、国土交通省国土地理

院が提供するツール「JMP2.0 メタデータエディタ」を利用して作成することが望ましい。

2)品質評価 計画機関側でも、製品仕様書に記載された品質評価手順に則って品質評価を行い、品質を保証

された成果品であるか確認が必要である。なお、製品仕様書に記載されていない品質評価方法で

検査を行ってはならない。 但し、特記仕様書などで、製品仕様書の品質要求および品質評価手順について変更することが

明記されている場合は、変更後の品質評価方法で検査する必要がある。 なお、品質評価には専門的な知識を要する部分が有るので、計画機関が独自で品質評価を行う

ことが困難な場合は、実績ある第三者機関に品質評価の代行を別途発注する方法もある。

3)完了報告 品質評価により問題が無いと判断された場合は、事業の完了届を作成し、公共測量に関する必

要な手続きを実施する。なお、事業が完了した際は、その旨を都道府県知事に通知することとな

っている。(測量法第 14 条 2)

[参考] JMP2.0 メタデータエディタ

JMP2.0 メタデータエディタは、JMP2.0 に基づいたメタデータを XML 形式で作成するツール。メタデータに記述する項目の説明、記述する際の要求度/条件、記述回数など JMP2.0 の仕様に

沿った機能を利用して、エクスプローラ風な表示及び操作により、JMP2.0 のメタデータを作成することが可能。また、作成されたメタデータが JMP2.0 仕様に適合しているかの XML チェック機能、他のソフトへの利用を実現する XML と CSV*用語 17の相互変換機能、入力した内容を表形式にレイアウトした印刷機能などが利用可能。

出典:クリアリングハウスとメタデータ,国土交通省国土地理院 HP

http://zgate.gsi.go.jp/ch/jmp20/jmp20.html

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第 5 章 都市計画 GIS データの共通仕様化

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⑤ データ登録

・・・庁内で稼動中の GIS にデータを搭載する。

クリアリングハウスへの登録 ・・・メタデータをクリアリングハウスへ登録する。

庁内システムへの登録

共通仕様(案)を利用する場面

1)庁内システムへの登録 製品仕様書に記載された品質の成果を保持した成果品をシステムに登録(インストール)する

ことにより、GIS 上での稼動開始となる。このため、システムへのデータ登録までをデータ整備

事業の範疇にするか否かは、計画機関で判断する。 また、システムの不具合等によりデータが破損することも念頭におき、GISデータはFD(Floppy

Disk)や MO(Magneto-Optical disk)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)な

ど、データを記録しておくための記録媒体にデータを保存しておく必要がある。 2)クリアリングハウスへの登録

作成した GIS データの電子化状況等を庁外へ情報発信するために、国土交通省国土地理院が運

営している「地理情報クリアリングハウス」へメタデータの登録を行う。この時、登録するメタ

データは、本共通仕様(案)に示すように JMP2.0 に準拠していることを前提とする。 また、メタデータの登録の際には、国土交通省国土地理院が提供する「クリアリングハウスノ

ード構築関連のツール集」を利用して、登録することが望ましい。

[参考] クリアリングハウスノード構築関連のツール集

“クリアリングハウスノードサーバー構築キット”には、メタデータの登録・ノードサーバーの

構築の方法に加えて、構築したノードサーバーを国土地理院のゲートウェイに登録するための手順について詳細に説明したマニュアルが添付されています。

出典:クリアリングハウスとメタデータ,国土交通省国土地理院 HP

http://zgate.gsi.go.jp/ch/jmp20/jmp20.html